文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第8篇 神界の変動よみ(新仮名遣い)しんかいのへんどう
文献名3第28章 苦心惨憺〔128〕よみ(新仮名遣い)くしんさんたん
著者出口王仁三郎
概要
備考
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データ凡例
データ最終更新日----
あらすじ
主な人物
舞台
口述日1921(大正10)年11月28日(旧10月29日)
口述場所
筆録者外山豊二
校正日
校正場所
初版発行日1922(大正11)年3月3日
愛善世界社版165頁
八幡書店版第1輯 319頁
修補版
校定版169頁
普及版74頁
初版
ページ備考
OBC rm0328
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本文の文字数1597
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本文
竜宮城の従臣與彦、田依彦、與若、木糸姫、竜国別、三国別、高杉別らの役員等は、国直姫命の上天後、その去就に迷ひつつありける。
そこへ常世姫は、種々の手段をめぐらしてこれらの神司を自己の部下に引入れ、大八洲彦命、神国別命、大足彦に極力反対の行動を執るにいたれり。
一方ローマ城内にては、四分五裂の窮状を曝露し、外部よりは八王大神常世彦の強力なる魔軍に包囲され、ほとンど落城せむとするの光景なりき。言霊別命は天の鳥船に乗り、急遽ローマにむかひ直ちに入城したりしが、十二の八王神は、言霊別命の不意の来城にほとンど狼狽の体なりき。ここに言霊別命は城内の諸神将をあつめて統一をはかり、ふたたび勢力を盛返し、協力一致の積極的行動をとりければ、八王大神の魔軍は、その勢力に辟易して退却し、遠方よりこれを包囲監視しつつあるのみなりけり。
さて地の高天原は、常世姫の横暴きはまる行動に、諸神司は遠く四方に散乱し、常世姫の目の上の瘤はほとンど払はれけり。常世姫は、内は竜宮城を攪乱せしめ、魔我彦、魔我姫、美山彦、国照姫をして大国彦に通じ、大国彦をして外部より竜宮城および地の高天原を攻撃せしめたり。大国彦は松代別、国代別を部将とし、あまたの魔軍を熊と化し、不意にこれを襲ひ、つひに城内くまなく探索して大足彦を捕へ、凱歌を奏して帰陣せり。あとに常世姫は、ほとンど竜宮城の主宰者となり、地の高天原をも蹂躙せむと、着々として歩を進めつつあり。
このとき大八洲彦命、真澄姫、言霊姫、広国別、広宮彦、照代姫の部将は、地の高天原を厳守して、魔軍に一指をもつけさせざりけり。されど常世姫は執拗にも、高杉別、與彦、與若、魔我彦、魔我姫などを煽動して地の高天原の一角を崩壊せむとし、ほぼその目的を達せむとしたり。
○
このときローマに破れ、一時退却したる常世彦は、到底ローマの容易に陥落せざるを知り鬼雲別、蚊取別らをして、大国彦の力を借り、これを鏖滅せむと図りぬ。大国彦はただちに承諾し、数多の魔軍を二人に与へ、常世彦と共に三方よりローマ城を包囲攻撃したりける。
このとき万寿山城をのぞく十一の八王神はほとンど遁走し、以下の神卒は四方に散乱したり。言霊別命は敵の猛烈なる攻撃にすこしもひるむ色なく力戦奮闘をつづけたまふ。しかるに火弾は空しく、弓は折れ、矢は尽き、敵のために捕はれ俘虜となり、つひに常世の国に送られける。
言霊姫は、言霊別命の常世城に囚はれしを憂ひ、大神に祈願されつつありし。
をりしも常世姫は魔我彦、魔我姫をともなひ、言霊姫の祈れる前に意気揚々として現はれきたり、やや軽侮の色を面色に現はしていふ。
『汝は言霊別命を救はむとする心なきや。汝の決心次第にて、夫の難を救はむ』
と心あり気に口を切りぬ。言霊姫はよろこびて、
『いかにせば夫を救ふ途ありや』
と反問しけるに、魔我姫はここぞと言はむばかりの顔つきにて、肩をいからせながら、
『貴女は竜宮城を明け渡し、大島彦以下の神司を率ゐて、万寿山に転居すべし。しからば妾はその改心の賞として、常世城にます八王大神常世彦に歎願し、言霊別命を救ひ与へむ』
と得意然としていふ。
ここに言霊姫はその去就に迷はざるを得ざりけるが、魔我彦、魔我姫は、口をそろへて言霊姫の決心をうながすべく、弁にまかせて説きつけたれば、憂ひに沈みたる言霊姫はつひに魔我姫の言にしたがひ、竜宮城を開放し万寿山に遁れむと決心を定め、あまたの従者にその意を伝へしめむとしたりける。
このとき国若姫、広国別らの神将は、極力これを諫止し、かつ大神に祈り神力をえて、つひに常世姫一派の鬼神をやうやく退場せしめける。常世姫は、ただちに常世の国に馳せ帰り、戦備をととのへ再び捲土重来の期を待ちつつありける。
(大正一〇・一一・二八 旧一〇・二九 外山豊二録)
(第二六章~第二八章 昭和一〇・一・一七 於亀の井旅館 王仁校正)