常世彦は驚いて宮殿の奥にのがれ、国祖に祈った。すると大江山の鬼武彦が現れて、角のある常治彦の姿と代わってしまった。
同時に三人の常治彦が現れて、牛のように常世彦に突きかかってきた。すると奥殿から大爆音が聞こえて、瞬く間に宮殿は燃え尽きてしまった。
竜宮城の金殿はにわかに鳴動し、天に向かって延長して雲に達した。金殿は際限なく延長し、巨大な浮橋を形作った。浮橋から白煙がもうもうと現れ、聖地に雪を降らせた。常世彦は聖地を捨て、アーメニヤに向かって逃げ出した。
一方、エデンの宮殿も轟然と打ち倒れ火に包まれた。盤古大神は雪を掻き分けながらアーメニヤに向かって命からがら逃げていった。
途中、急に太陽が熱を増して雪が溶け、そこらじゅうが泥海になってしまった。常世彦、常世姫、盤古大神らは樹の上に逃れたが、そこに多数の蛇が逃げてきて巻きつき、苦しめた。
八頭八尾の大蛇が現れて暴れまわると水が引き、常世彦、常世姫、盤古大神らはアーメニヤにたどり着くことができた。
盤古大神がアーメニヤに着くと、不思議にもそこにはすでに立派な宮殿が建てられており、妻の塩長姫、長子の塩光彦が多くの従者らとともに出迎えた。このように奇怪なことが続発する世界となってしまった。