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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第2篇 中軸移動よみ(新仮名遣い)ちゅうじくいどう
文献名3第11章 蜃気楼〔211〕よみ(新仮名遣い)しんきろう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
盤古大神らは、忽然と現れたアーメニヤの宮殿に本拠を置くこととした。

神々が遷都を祝っていると、空に神軍が現れ、国祖が采配を振るっているのが見えた。神々が恐れのあまりひれ伏すと、宮殿と思えた場所は泥田の中であった。

一同が驚いていると、宮殿は蜃気楼となって空中に飛び上がってしまった。それとともに盤古大神、常世彦ら上位の神々も、宮殿とともに空に舞い上がったかのような幻が見えた。

従者神たちは、上位の神々が天上に登ってしまったかと思って探し回ったが、実は盤古大神も常世彦も泥田の中にいて、探し回る従者神たちの足に踏みつけられていた。

今まで国祖の神軍が見えた空には、八頭八尾の大蛇が火を吹いており、満天を黒雲で包んでしまっていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月06日(旧12月09日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版68頁 八幡書店版第1輯 542頁 修補版 校定版70頁 普及版32頁 初版 ページ備考
OBC rm0511
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本文  盤古大神以下の神人は、忽然として現はれたるアーメニヤの宮殿を、万古不易の安住所と定め、各居室を定め、八百万神を配置し神政を行ふこととなつた。天より降つたか、地から湧いたか、知らぬまに荘厳無比の宮殿をはじめ数多の建築物が建てられてゐた。神人らは盤古の神政を祝するために遠近の山に分けいり、種々の珍しき花木を切り来つて、各これをかたげながら宮殿を中心として面白き歌を謡ひ、酒に酔ひながら踊り狂うてゐた。
 時に中空にあたり何神の声ともなく、
『アーメニヤ、アーメニヤ』
と叫ぶ声しきりに聞えた。神人らは期せずして声する方を仰ぎ見た。幾百千とも限りなき神軍は武装を整へ、雲に乗り中空に整列して、その中央には国祖国治立尊の神姿現はれ、采配を振つて神軍を指揮しつつあつた。神人らはその威厳に打たれてたちまち地上に平伏した。何とはなしに身体一面に湿気を感じ、驚きのあまり酒の酔も醒め、ぶるぶると地震の孫のやうに、一斉に震ひだした。このとき又もや天上より、
『盲神ども、足もとを見よ』
と頭からたたきつけるやうな声で云ひ放つた。いづれも驚いて足もとを見ると、またもや泥田の中に盤古大神はじめ、八百万の神人らは泥まみれになつて、のたくつてゐた。ここはアーメニヤの宮殿と、何れも思うて宮殿の方を一斉に見やれば、今まで立派な宮殿と見えしは蜃気楼であつた。見るみる天上に宮殿は舞ひ上り、自分らの姿までも空中に舞ひ上つてしまつた。八王大神はじめ、重なる神将は残らず蜃気楼とともに天上に昇つてゐるのが見える。残された神人らは性を失ひ驚きのあまり、四方八方に泥田の中をうろつき始めた。そのじつ盤古大神も八王大神も天上に影が映つてゐるのみで、依然として深き泥田に乳の辺りまで落ち入り、身動きもならず苦しんでゐた。されど数多の神人らは、盤古大神以下の神将残らず天上に昇りしものと思ひ、右往左往に泥田を走り廻り、盤古大神、八王大神以下の神将を泥足で踏みつけ、一斉に、
『オイオイ』
と泣くばかりである。
 このとき、ウラル山の方面より黒雲を捲き起し、空中を照らし進み来る八頭八尾の大蛇が現はれた。今まで国治立尊以下の神将、天の一方に現はれゐたりしその姿はいつしか消え失せ、八頭八尾の大蛇の火を噴きつつ、満天墨を流したごとく黒雲をもつて包んでしまつた。
(大正一一・一・六 旧大正一〇・一二・九 加藤明子録)
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