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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第3篇 予言と警告よみ(新仮名遣い)よげんとけいこく
文献名3第19章 旭日出暗〔219〕よみ(新仮名遣い)きょくじつしゅつあん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
ウラル彦は宣伝使・日の出神を捜索して捉え、牢獄につないでしまった。そして『飲めよ騒げよ、一寸先は暗よ』という歌を作って四方に宣伝させた。

ウラル彦たちが宴会を開いて、飲めよ騒げよ、と歌っていると、その場に盤古神王が現れて、宣伝歌を歌い始めた。盤古神王の歌を聞くと、過半数の神々は酔いもさめて畏れおののいた。

ウラル彦夫妻は負けじと、飲めよ騒げよ、と歌い返して両者争っていたが、牢獄の奥から荘厳な声が聞こえ、神々は苦悶して倒れた。

盤古神王はその声を便りに牢獄に進んでいくと、そこには日の出神がとらわれていた。盤古神王は日の出神を救い出し、丁重にもてなした。日の出神は野立彦命の神意を伝え、改心を迫った。

常世神王は帰順し、ウラル山の上に立派な宮殿を造り、日の神、月の神、大地の神を荘厳に鎮祭し、礼拝を怠らなかった。

一方ウラル彦夫妻は無神説を唱えて反抗した。飲めよ騒げよ、と歌って神務を忘却するに至った。

このとき、轟然と音響が響き、強烈な光が地上に放射された。それは、天の浮橋からの光であった。浮橋の先端から金色の星が幾十となく放出して、ウラル山上の盤古神王の宮殿に落下した。

盤古神王は大神の恵みとして、玉を拾い集めて神殿に安置し、日夜奉祭した。それよりウラル山上は瑞祥があふれるようになった。

そしてこのときより、盤古神王とウラル彦の間には、深い断絶が築かれてしまったのである。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月09日(旧12月12日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版111頁 八幡書店版第1輯 557頁 修補版 校定版114頁 普及版51頁 初版 ページ備考
OBC rm0519
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本文  ウラル彦は賢明叡知にして、天地の神意に出でたるこの警告を心底より諒得したる盤古神王の心を解せず、大蛇の悪霊と金狐の邪霊に憑依され、驕慢ますます甚だしく、神王の宣示を空ふく風と聞きながし、かつ神人らを四方に派して言触神を探し求めしめ、つひにこれをウラル山の牢獄に投じてしまつた。さうして、神人らの迷ひを解くためにとて歌を作り、盛んにこれを四方に宣伝せしめた。その歌は、

『呑めよ騒げよ一寸先や暗よ
 暗の後には月が出る
 時鳥声は聞けども姿は見えぬ
 見えぬ姿は魔か鬼か』

 折角の日の出神の「三千世界……梅の花」の宣伝も、この歌のためにほとんど抹殺されてしまつた。
 盤古神王は殿外の騒がしき声を聞き、何事ならむと殿中より表門口に立出づれば、ウラル彦を中央に、あまたの神人らは酒に酔ひつぶれ、
『呑めよ騒げよ』
の歌を謡つて踊り狂ふ落花狼藉に驚き、宴席の中央に現はれ、
『三千世界云々』
の童謡を声張りあげて謡ひはじめた。
 この声を聞くとともに過半数の神人は、にはかに酒の酔も醒めはて、顔色蒼白めてぶるぶる慄ひだす者さへ現はれた。盤古神王はなほも引続きこの歌を唱へた。神人の過半数は、ますます畏縮して大地に仆れ、踏ん伸びる者さへ現はれてきた。
 ウラル彦は、ここぞとまたもや、
『呑めよ騒げよ一寸先や暗よ、暗の後には月が出る』
と高声に謡ひかけた。神人はその声に応じてまたもや立上り、元気回復して踊り狂うた。盤古神王は又もや、
『三千世界の……梅の花』
を謡ひはじめた。せつかく元気回復したる神人らは、ふたたび大地にバツタリ仆れた。
 ウラル彦夫妻は、場の両方より声をかぎりに、手を拍ち踊り舞ひながら、
『呑めよ騒げよ一寸先や暗よ』
の歌をうたひ始めた。またもや神人らは頭をもたげて踊り狂ふ。このとき場の一方より何ともいへぬ美しき且つ荘厳なる声が聞えた。その声に神人らは、またもや胸を刺さるるごとく苦悶して、大地に仆れた。盤古神王はその声を頼りに進んで行つた。その声は不思議にも、牢獄の中から聞えてをる。
『不審』
と神王は、四五の従者を伴ひながら牢獄の前に進んだ。
『三千世界一度に開く梅の花』
とまたもや聞えだした。盤古神王は頭を鉄槌にて打ち砕かるるごとく、胸を焼鉄にて刺さるるごとき苦しさを感じ、思はずその場に平伏した。四五の従者も一時にバタバタと将棋倒しにたふれた。
 神人らはやうやく頭をもたげて眺むれば、それは彼の言触神であつた。驚いてただちに戸を開き救ひだし、奥殿にともなひ帰り、鄭重に接待し、礼をつくして教を乞うた。日の出神は、慇懃に野立彦命の真意を伝へ、かつ改心帰順を迫り、天地日月の殊恩を説示した。神王はあたかも生ける神のごとく、この宣伝者を尊敬し、敬神の態度を怠らなかつた。ただちに宣伝者の命により、ウラルの山上に改めて立派なる宮殿を造り、日の神、月の神、大地の神を、さも荘厳に鎮祭し、敬拝怠らなかつた。
 それに引換へ、体主霊従の大蛇と金狐に魅せられたるウラル彦、ウラル姫は、この神王の行為にたいし不快を感じ、さかんに神人らに対して自暴自棄となり、日夜酒宴を張り、豊熟なる果実を飽食せしめ、無神説を唱へ、
『呑めよ騒げよ一寸先や暗よ、暗の後には月が出る。よいとさ、よいやさつさ、よいやさつさ』
と意地づくになつて踊りくるひ、連日連夜の遊楽にのみ耽つて、神政を忘却するに致つた。
 このとき轟然たる音響天に聞ゆると見るまに、さも強烈なる光は地上を放射した。神人らは一せいに期せずして空を仰いだ。眼も眩むばかりの強烈なる光である。その光はまたもや、天の浮橋の東西南北に悠々として探海燈を照したごとく、中空を東西南北に転回してゐる。さうしてこの強き光のために盲目となる者も現はれた。浮橋の尖端よりは金色の星幾十となく放出して、ウラル山上の盤古神王の宮殿に落下した。
 盤古神王は大神の恵みと深く感謝し、一々その玉を拾ひあつめて神殿に恭しく安置し、日夜供物を献じ祭祀を荘厳におこなひ、敬神の至誠をつくしてゐた。それよりウラル山上は、紫雲たなびき、天男天女はときどき降りきて中空に舞ひ、微妙の音楽を奏し、風暖かく花は香しく、木々の果実は味はひ美はしく豊熟するにいたつた。
 神王は、日の出神を宮司として、これに奉仕せしめた。これよりウラル山上の盤古神王とウラル彦夫妻との間には、もつとも深き溝渠が穿たれた。
(大正一一・一・九 旧大正一〇・一二・一二 外山豊二録)
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