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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第4篇 救世の神示よみ(新仮名遣い)きゅうせいのしんじ
文献名3第24章 天の浮橋〔224〕よみ(新仮名遣い)あまのうきはし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ天橋は、竜宮城の顕国玉の神威の発揚であった。金・銀・銅の橋は、それぞれ上中下の身魂の神人らを救い上げた。瑞月の前には銀色の霊線が下りてきて、たちまち腹部の帯に鉤がかかると眼もくらむばかりの速さで空中に引き上げられた。『眼を開けよ』という声が聞こえた。するとはるか空中の銀橋の上に立たされていた。頭上から国姫神の神示が聞こえ、小松林命の神名を授かった。そして、天上の光景を両親兄弟朋友知己に語って悔い改めを促し、神の道に就かしめるように、との命が与えられた。頭上から降ってきた金線を掴むと、あっという間に地上に降ろされた。そこは広々とした原野で、恐ろしい猛獣が散在していた。しかし猛獣たちは不思議にも、立派な館に住んでいた。国姫神より、黒布が授けられた。この黒布をかぶってみると、猛獣たちは人間であり、自分の親しい友人たちも混じっていた。そうするうちに、また金線が下がってきて上空まで引き上げられた。今度は金橋の最高点で、国姫神が現れて、金橋について語った。それによると、この橋は黄金の大橋といい、また天の浮橋という。地球の中心である火球から金気が上り騰がり、顕国の玉となり、この玉の威徳によって、国の御柱が空中に高く延長したのである。御柱の頂上は左右に分かれ、左が男神、右が女神が渡る橋である。この橋はなめらかで欄干も無く、暴風が吹いて、油断すれば再び地上に転落してしまう。一足も油断無く、あらゆる心を配って渡るべき橋は、実に神柱たるもののつとめである、との神示であった。王仁はその教訓を拝して一歩一歩はだしで進んでいった。たちまち金橋が回転を始め、危機迫る思いに顔色をなくしてしまった。すると、勇猛・果断たれ、毅然として神命を敢行せよ、恐れるな、との声が聞こえた。この声に恐怖心はすっかり払拭された。金橋は回転を速めて旋回し、また元の東の位置に戻った。するとそこは、天教山の頂であった。そこには木花姫命をはじめ、多数の神人らがいて、歓迎の意を表した。王仁は天教山の山頂に、神々とともに停立していた。突然山上を吹きまくる吹雪の寒さに痛みを感じ、烈風に吹かれて山上に倒れ伏した。額を打って両眼から火光が飛び出したと思うと、王仁の身は高熊山の岩窟に静座して、岩角に頭を打ち付けていたのであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月10日(旧12月13日) 口述場所 筆録者井上留五郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版141頁 八幡書店版第1輯 567頁 修補版 校定版143頁 普及版63頁 初版 ページ備考
OBC rm0524
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本文  竜宮城の三重の金殿より顕国玉の神威発揚して、あたかも両刃の剣を立てたるごとき黄金の柱中空に延長し、その末端より発生したる黄金橋はこの柱を中心に東西に延長し、その少しく下方よりは左右に銀橋を発生し、そのまた下方部よりは銅橋を発生して東西に延長し、地球の上面を覆うたことは前述の通りである。
 そして各橋より垂下する金銀銅の霊線の鉤に身体をかけられ、上中下三段の身魂が各自身魂の因縁によつて金銀銅の橋上に救ひ上げられ、或は中途に地上に落下する有様を、訝かしげに眺めつつ見惚れてゐた瑞月の前に、銀色の霊線が下りきたり、その末端の鉤は腹部の帯に引掛るよと見るまに、眼も眩むばかりの速力にて空中に引きあげられた。あまりの恐ろしさに、思はず眼を閉ぢ口を塞ぎ、両手をもつて耳を塞ぎつつあつた。俄に、
『眼を開けよ』
といふ声が、頭上の方にあたつて聞えた。その声に思はず眼を開けば、遥の中空に捲揚げられ、自分は銀橋の上に立たされてゐた。銀橋の上には、ところどころに神人が引き揚げられてゐるのを見た。いづれも恐ろしげに緊張しきつた態度で、地上を瞰下してゐるのであつた。このとき吾頭上にあたつて、
『吾は国姫神なり、汝に今より小松林命といふ神名を与へむ。この綱にすがりて再び地上に降り、汝が両親兄弟朋友知己らに面会して天上の光景を物語り、悔い改めしめ、迷へる神人をして神の道につかしむべし』
と言葉終るとともに頭上より金線は下つてきた。そして国姫神の姿は声のみにて、拝することは出来なかつたのである。下りくる金色の霊線を両手に握るよとみるまに、ガラガラと釣瓶の車をまはすごとき音して地上に釣瓶落しに卸されて了つた。
 降れば身は何ともいへぬひろびろとした原野に立つてゐた。ここには吾親らしきものも兄弟知己らしき人間もなく、ただ虎、狼、山狗、狐狸の群がところどころに散在してゐるのであつた。不思議にも是らの猛獣は白壁造りの庫を建てて、或は立派な門構へをなし、美しき広き家に住まつてゐるのである。どう考へても猛獣狐狸の棲むべき住家とは思はれなかつた。これはどうしても人間の住むべき家である。しかるに何ゆゑ、此のごとき獣類のみ住みをるやと、訝かりつつあつた。
 このとき国姫神の声として、
『天上より此黒布を与へむ』
と云はるるかと見るまに、黒き布は風にヒラヒラとして吾前に下り来つた。手早くこれを持つて面部を覆うた。黒布を透してその猛獣狐狸の群をながむれば、あにはからむや、いづれも皆立派なる人間ばかりである。中には自分の親しく交はつてゐた朋友も混つてをるには、驚かざるを得なかつた。
 それよりこの黒布を一瞬の間も離すことをせなかつた。そのゆゑは、此眼の障害物を一枚除けば、前述のごとく猛虎や狐狸の姿に変つて了ひ、実に恐ろしくてたまらなかつたからである。
 さうかうする間、又もや天上より吾前に金色の霊線が下つてきた。以前のごとく吾腹帯に鈎は引かかつた。今度はその黒布を手ばやく懐中に入れ、両手を以て確と金色の霊線を掴みながら、前のごとく一瀉千里の勢にて上空に引き揚げられて了つた。
 やや久しうして、
『眼を開けよ』
と叫びたまふ神の声が聞えた。眼を開けば今度は最高点の黄金橋の上に引き揚げられてゐたのである。まづ安心とあたりを見れば、国姫神は莞爾として四五の従神とともに吾前に現れ、
『この橋は黄金の大橋といひ、また天の浮橋ともいひ、地球の中心火球より金気昇騰して顕国の玉となり、この玉の威徳によりて国の御柱は中空に高く延長し、その頂上は左右に分れ、左は男神の渡るべき橋にして、右は女神の渡る橋なり、この黄金橋は滑にして、少しの油断あらば滑りて再び地に顛落し、滅亡を招くの危険あり。汝は抜身の中に立つごとく心を戒め、一足たりとも油断なく、眼を配り、耳を澄ませ、息を詰め、あらゆる心を配りてこの橋を東方に向つて渡れ。また此橋は東南西北に空中を旋回す、その旋回の度ごとに橋体震動し、橋上の神人は動もすれば跳飛ばさるる恐れあり、また時には暴風吹ききたつて橋上の神人を吹き落すことあり。欄干もなく、足溜りもなく、橋とはいへど黄金の丸木橋、渡るに難し、渡らねば神の柱となることを得ず、実に難きは神柱たるものの勤めなり』
と言葉嚴かに云ひ渡された。
 王仁は唯々諾々として其教訓を拝し、東方に向つて覚束なき足下にて、一歩々々跣足のまま歩を進めた。
 忽ち黄金橋は東より南に廻転を初めた。じつに危険身に迫るを覚え、殆ど顔色をなくして了つた。このとき何神の御声とも知れず、
『勇猛なれ、果断なれ、毅然として神命を敢行せよ。神は汝の背後にあり、夢恐るるな』
といふ声が耳朶を打つた。
 王仁はこの声を聞くとともに、恐怖心も何も全部払拭され、光風霽月、心天一点の暗翳も留めざる思ひがした。
 金橋はますます廻転を速め、東より南に、南より西へ、西より北へと中空をいと迅速に旋回し、また元の東に戻つた。
 黄金橋の東端は、ある一つの高山に触れた。見れば是は世界の名山天教山の頂きであつた。このとき木花姫命を初め数多の神人は、吾姿を見て、
『ウローウロー』
と両手を挙げて叫び、歓迎の意を表された。
 いつの間にか王仁の身は天教山の山頂に、神々とともに停立してゐた。金橋は何時のまにか東南隅に方向を変じてゐた。
 時しも山上を吹き捲くる吹雪の寒さに、頬も鼻も千切れるばかりの痛みを感ずるとともに、烈風に吹かれて山上に倒れし其の途端に前額部を打ち、両眼より火光が飛び出したと思ふ一刹那、王仁の身は高熊山の岩窟に静坐し、前額部を岩角に打つてゐた。
(大正一一・一・一〇 旧大正一〇・一二・一三 井上留五郎録)
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