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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第5篇 宇宙精神よみ(新仮名遣い)うちゅうせいしん
文献名3第30章 真帆片帆〔230〕よみ(新仮名遣い)まほかたほ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ暗澹とした天地の光景は一変し、穏やかな日となった。地中海の渡船場にひとりの異様な旅姿の宣伝使があらわれ、乗船を迫った。船戸神は宣伝使を差し招き、一点の雲もない空の下、穏やかな海面を船は出港した。風のない海面で船は遅々として進まずに漂っていた。神人らは四方山話にふけって時を費やしていた。連日の無聊に退屈した神人らは、ウラル教の宣伝歌を歌って騒ぎ始めた。これを聞いていた宣伝使は身を起こし、涼しい声を張り上げて天教山の宣伝歌を歌い、手をうち足を踏みとどろかして舞い狂った。神人らはこの歌声につり出されてともに興に乗って踊り始めた。この光景に苦々しい面構えをした巨大な神人が立ち上がった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月11日(旧12月14日) 口述場所 筆録者井上留五郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版177頁 八幡書店版第1輯 580頁 修補版 校定版179頁 普及版77頁 初版 ページ備考
OBC rm0530
本文の文字数2287
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本文  さしも暗澹たりし天地の光景はここに一変して、空には燦然たる天津日の影うららかに下界を照し、地は東風おもむろに吹いて紺碧の海面に漣を立て、これに日光映射して波のきらめく有様は、あたかも鯛魚の鱗を敷き詰めたるがごとき地中海の渡船場に、息急き切つて現はれた宣伝使があつた。今や船は静かな風に真帆を打揚げ、西南に向つて出帆せむとする時である。
 ここに現はれた宣伝使は、太き竹に教示を記したるを甲斐々々しく左肩より右の腋下に斜交に背負ひながら、紫の紐もて乳房のあたりに確と結び、片手に杖をつきながら、紫の被面布を被り、ときどき左の手をもつてこの被面布を額のあたりまでめくり上げ、右の手にて鼻柱をこぢあげ、そのまま右の眼瞼より左の目尻にかけてつるりと撫で、再び鼻の下を手の甲にて擦り、左の手にて再び被面布を顔に覆ひながら乗船を迫つた。
 あまたの船客は、この異様の扮装に怪訝の眼を見張つた。船戸神は快く右手を揚げてさしまねき、早く乗れよとの暗示を与へた。宣伝使はつかつかと乗場に近づき、船を目がけて飛び込んだ。その響に船は激動して、畳のごとき海面に時ならぬ波の皺を描いた。海辺の長き太き樹は海底に向つて倒まにその影を沈め、波につれて竜の天に昇るがごとく、樹木の幹は左右に蜿蜒として、地上目がけて上り来るのであつた。
 空には一点の雲なくまた風もなき海面は、あたかも玻璃鏡を渡るがごとく、帆は痩せ萎れ、船脚遅々として進まず、この海上に漂ふこと数日に及んだのである。神人らは四方山の無駄話に時を費し、無聊を慰めつつあつた。
 日は西山に没し、海上を飛び交ふ諸鳥は塒を求めておのおの巣に帰り行く。半弦の月は西天に懸り、利鎌のごとき光を海上に投げた。空は一面に天書の光梨地色に輝き、月は天の河を流れて海の涯に沈むの感があつた。
 海の底には一面の星光輝き、天にも銀河横たはり、海底にもまた燦爛たる銀河流れ、河二つ月二つ、実に蓮華の台に身を托したる如き爽快の念に打たれつつ、静かに船は西南に向つて進んでゐる。
 船は渡る海底の空を、棹は穿つ海底の星を、海月の幾十百ともなく波に漂ふ有様は、俄に天上の月幾十ともなく降り来りて、船を支へまもるの感じがしたのである。
 昨日の惨澹たる天地の光景に引換へ、今日のこの静けさは、夕立の後の快晴か、嵐の後の静けさか、天地寂として声なく、蚯蚓のささやく声さへ耳に通ふやうであつた。
 連日の航海に船中の神人は何れも無聊に苦しみ、船の四隅には、
『アーアー』
と大口を開けて欠伸をする神人が現はれた。何れもこの欠伸に感染して、一斉に両手の拳を握り頭上高く延長しながら、大口を開けて、
『アーアー』
と云ひながら、欠伸を吾劣らずと始めかけた。一時ばかりはあたかも欠伸の競争場のごとき感があつた。最早欠伸の種も尽き、船の一隅には辺りをはばかりてか、小声に鼻唄さへ謡ふ神人が現はれた。これに感染されてか、またもや小声に何事をか小唄を謡ひ始めた。遂には狎れて大声をあげ、遠慮会釈もなく船中に立ち上り、両手を頬に当てながら、
『飲めよ騒げーよ一寸先あー闇ーよー
  闇のーあとーにはー月がーでるー

 船がー浮くならー心もー浮かせー
  心沈めばー船沈むー

 さあさ浮いたり浮いたり浮いたりなー
  浮いたー浮世はどうなろとままよー

 儘にならぬが浮世と云へどー
  わしはー時節で浮いてーゐる

 時鳥声は聞けどもー姿は見せぬ
  見せぬ姿は魔か鬼か

 若も鬼奴が出て来たら
  手足を縛りー角を折り

 叩いて炙つて食てしまへ
  たとへ牛虎狼獅子も

 力のーよわき山羊
  猿の千疋ー万疋もー

 掻いて集めて引き縛り
  西の海へとさらりとほかせ

 さらりとーほかせー
  よいよいーよいとさのーよいとさつさ』

 神人らは異口同音に声を合して、節面白く手を拍つて謡ひ始めた。
 宣伝使は黙然としてこの騒ぎを心なげに、見るともなしに眺めてゐた。暫くあつて神人らは疲労を感じたと見え、さしも騒がしかりし波の上も、水を打つたる如くたちまち静粛に帰し、風の音さへも聞えぬ閑寂の気に打たるるばかりになつた。
 宣伝使はやをら身を起し、船中の小高き所に立ち現はれ、涼しき声を張りあげて、
『高い山からー谷底見れば  憂しや奈落の泥の海
 三千世界一度に開く梅の花  開いて散りて実を結ぶ
 月日と土の恩を知れ  この世を救ふ生神は
 天教山に現はれる  この世を教ふる生神は
 地教の山にあらはれた  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  たとへ大地は沈むとも
 誠の力は世を救ふ  誠の力は世を救ふ』
と手を拍ち足踏み轟かし舞ひ狂ふ。
 神人らはこの声に釣り出さるる心地して、一斉に立ち上り、手を拍ち足踏み轟かし、一心不乱に興に乗りて踊り狂ふ。
 このとき船中の一隅より、苦々しき面構の巨大なる神人は、すつくと立ち上り、宣伝使をはつたと睨めつけた。その光景は、あたかも閻羅王の怒髪天を衝いて立ち現はれたごとくであつた。あゝこの神人は何物ならむか。
(大正一一・一・一一 旧大正一〇・一二・一四 井上留五郎録)
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