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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第6篇 聖地の憧憬
文献名3第39章 海辺の雑話〔239〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2017-04-03 02:37:33
あらすじ西に高山、東に万里の海を控えた浜辺に立って、怒涛のごとく荒れ狂う波を眺めながら、雑談にふける四五人の男たちがあった。
男たちは、宣伝使が最近あちこちに現れては、三千世界一度に開く梅の花、大地が沈むとも真の神は世を救う、という福音を宣伝していることについて、あれこれと品評をしていた。
そんなことがあるものか、といって互いにけなしあいながら、おかしな話をしていた。乙はウラル教の教えこそ天国の福音だ、と言う者もいた。
そこへはるか前方から三人の宣伝使が、予言の宣伝歌を歌いながらやってくると、ウラル教を賛美していた乙は、顔をしかめてしゃがみこんでしまった。暴風はますます激しくなり、一同は山へ逃げ込んでしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月13日(旧12月16日) 口述場所 筆録者井上留五郎 校正日 校正場所
OBC rm0539
本文の文字数3059
本文のヒット件数全 1 件/地教山=1
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本文  西に高山を控へ東に縹渺たる万里の海を控へたる浜辺に立ち、山嶽のごとき怒濤の荒れ狂ふ光景を眺めて雑談に耽る四五の男があつた。
甲『あゝ世の中は変になつて来たではないか、あの濤を見よ。海か山か判らぬではないか。この間も宣伝使とやらが遣つてきて、海は変じて山となり、山は変じて海となると、大声に叫んで吾々の度胆を抜いた。されど「馬鹿いへ、この深い海が山になつてたまるものか」と冷笑してゐた。それにあの濤は爺の代からまだ見たこともない。この間もタコマ山の半腹まで海嘯が押し寄せると云つて、宣伝使が呶鳴つてゐたよ。この辺も今に海嘯で浚はれるかも知れない。汝らも一つ思案して、タコマ山の頂辺か、地教山へでも避難したらどうだらうね』
と首を傾けて思案顔に言つた。乙は冷笑を浮べながら、
『なに、ソンナ馬鹿なことがあつてたまるかい。この間の宣伝使といふ奴は、ありや気違ひだよ、星が降るとか、洪水が出るとか、人が三分になるとか、訳の判らぬ、舁いて走るやうな法螺ばかり吹きよつて、吾々をびつくりさせて喜んで居るのよ。この世に神もなければ、又ソンナ大変動があつてたまるものぢやない、万々一ソンナ事があれば世間並ぢやないか。この世の神人が全部死んで了つて、僅に二分や三分残つたつて淋しくて仕様がない。ソンナことを云つてくれな、それよりもこの前に来た宣伝使のいふことあ気が利いて居たよ』
丙『気が利いて居るつて、ドンナことを云つたのだい』
乙『ドンナ事をいつたつて、そりや大変な結構なことだよ。天来の福音といつたら、まあアンナことをいふのだらう』
甲『天来の福音て何か、「三千世界一度に開く梅の花」とか、「たとへ大地は沈むとも、誠の神は世を救ふ」と云ふことだらう』
乙『馬鹿いふない、この天地は自然に出来たのだ。雨が降るのも風が吹くのも浪が高くなるのも海嘯も、みな時節だよ。この世は浮世といつて水の上に浮いてゐるのだ。ソンナけち臭い恐怖心を起すやうな、たとへ大地は沈むともなぞと、吾々はちつと気に喰わないよ。アンナ歌を聞くと、吾々の頭はガンガンいつて、今の彼の浪よりも業腹が立つよ。吾々の聞いた福音といふのは、ソンナけち臭い白痴おどしの腐れ文句ぢやない。古今独歩、珍無類、奇妙奇天烈の福音だ。まあコンナ大事なことはとつとこうかい。汝らに聞かしたら吃驚して癲癇でも起すと迷惑だからな』
丙『何だい、貴さまの云ふことあ一体訳が判らぬぢやないかい、偉さうに人の受売を勿体ぶつて天来の福音だなぞと、おほかた駄法螺でも吹音だらう、癲癇の泡吹音くらゐが関の山だ』
乙『だまつて聞いてゐろよ、たとへ大地が沈むとも間男の力は世を救ふのだ。弱蟲や腰抜蟲の前でコンナことを云つたら、冥加に盡て天罰が当るかも知れぬ。やつぱり却つて汝らの迷惑になるから止めておこかい』
丁『あまり勿体ぶるない、三文の大神楽で口ばつかりだよ、こいつな、この間も自分の小忰が井戸へはまりよつただ。その時に狼狽へよつて矢庭に手を合せて「お天とさま、お天とさま」と吐かしてな、吠面かわきよつて拝み仆してゐたのよ。その間にその小忰がぶくぶくと泡をふきよつて沈んでしまつたのだ。その時に自暴糞になりよつてな、この世に神も糞もあるものか。全智全能の神だつて、尻が呆れて雪隠が踊る、小便壺がお出で、お出でをすると吐かして怨んでゐたよ』
乙『要らぬことをいふない、人の欠点までコンナとこで曝け出しよつて、貴様の嬶が死んだ時どうだつたい。男らしくもない、冷たうなつて踏ん伸びて、石の様に硬うなつた奴を……こら女房、お前は儂を後に遺してなぜ先に死んだ、も一度夫といつてくれ……ナンテ死んだ奴に物をいへと吐かすやうな没暁漢だからね』
丁『馬鹿云へ、俺の嬶、神さまだ。貴様の嬶のやうな蜴の欠伸したやうな変な面付した嬶とは種が違ふだよ。死んでからでも毎晩々々おれの枕許へきて介抱する、そりやホントに親切だよ。そして天人の天降つたやうな立派な装束を着てゐるよ』
乙『一遍手水を使うて来い、そりや幻だよ、すべた嬶にうつつ三太郎になりよつて、毎日日日息のある間はお嬶大明神と崇めよつて、朝晩に屁つぴり腰をしよつて、嬶のお給仕に涎を垂らしてをつたお目出度い奴だからね』
 一同転げて笑ふ。このとき海鳴ますます激しく浪は脚下まで襲うてきた。これは大変と真蒼な顔して一丁ばかり山へかけ登つた。
丁『偉さうに太平楽のへらず口ばかり並べよつたが、そのざま何だい。浪が来たつて真蒼な顔しやがつて、腰を抜かさぬ許りに山へ駆登つたそのぶざまつたらないぢやないか。見られたざまでないよ、ソンナざまして天来の福音なんて福音が聞いて呆れらあ、呆れ入谷の鬼子母神だ。それもつと早く意茶つかさずに癲癇の泡吹音とやらを、吾々御一統の前に畏み畏み奏聞仕るが後生のためだよ』
乙『その後生で思ひだした、この間もな、ウラル彦の宣伝使だと云つて五升樽を供に担がして大道を呶鳴つて来たのだ。それだ、天国の福音といふのは』
丁『何の事だい、べらべらと序文ばつかり並べよつて、おほかた酒を喰ふことだらう。まあこいつらの福音といふのは樽さへ見せたらよいのだ。口に唾一ぱい溜めよつて、蟹のやうな泡をふきよつてな、喉をぢりぢり焦げつかして、餓鬼が飲みたい水を飲まれぬ時のやうな憐れな面付をして、その宣伝使の後から跟きまはつて、犬が猪の後をつけるやうに鼻ばかりぴこつかして歩いていつたということだ。こいつ等の福音といふことは、酒の匂ひを嗅ぎつけて、よう飲みもせず、けなりさうに指をくはへて、宣伝使の臭い尻からついて歩きよつて、宣伝使が厠へでも這入つてゐるまに、樽のつめをポンと抜いて、長い舌を樽の中へ入れべそべそやつて居ると、雪隠の窓から宣伝使に見つけられて平謝りに謝つて、その代償として立派な美しいお尻を拭かしてもらつた臭い奴があるといふ評判だつた。大方こいつ等のことだらうよ。天国の福音でなくつて糞放の尻拭音だよ。馬鹿々々しい、糞が呆れらあ』
 乙は拳を握り、むつとした顔付きで、
『貴様アよい頬桁だなあ』
丁『頬桁より桐下駄がよいのだ、あまり穿きちがひするなよ』
乙『穿きちがひは貴様のこつた、人の下駄で人を踏みつけやうとしよつて、泥足で三千世界泥の海なんて、泥棒の言ひ草みたいなことを吐してな、馬鹿らしい、それよりも酒の代りに泥水でも飲んだら、ちつと天来の福音が聞けるだらう。
 飲めよ騒げよ一寸先や暗よ
  暗のあとには月が出る

 ヨイトサ、ヨイトサ』
丁『酒もないのに酒を飲んだ気になりよつて、踊る奴があるものかい』
乙『ごてごていふない、早う帰つて嬶の幽霊になと会つてこい、かまふない』
とたがひに腕を捲りあげ格闘を初めたとたんに、はるか前方より三柱の宣伝使は、
『三千世界一度に開く梅の花、開いて散りて実を結ぶ』
と謡つてくる。乙は矢庭に眼を塞ぎ、顔を顰め、両手に頭を抑へながら、
『こいつはたまらぬ』
と大地にしやがんだ。
 折しも暴風ますます激しく、浪は脚下へ襲うてくる。一同は先を争うて又もや山上めがけて逃げ出した。
(大正一一・一・一三 旧大正一〇・一二・一六 井上留五郎録)
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