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文献名1霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
文献名2第2篇 常世の波よみ(新仮名遣い)とこよのなみ
文献名3第13章 谷間の囁〔263〕よみ(新仮名遣い)たにまのささやき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
長白山では山人たちが、最近獣が取れないことを話の種に、四方山話にふけっていた。

そこへ、西方の谷間に大音響が響くと、黒と赤の二匹の巨大な大蛇が谷川めがけてまっしぐらに降ってくるのを目撃して、一同は肝を冷やした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月18日(旧12月21日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月10日 愛善世界社版79頁 八幡書店版第1輯 659頁 修補版 校定版81頁 普及版33頁 初版 ページ備考
OBC rm0613
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本文  八百八谷の谷々の、流れもここに鴨緑江の、その水上の岩が根に、腰打ちかけて、四五の山人は、弓矢を携へ、水音高き谷川の巌に腰をうちかけて、囁く声はあいなれの水瀬を圧するばかりなりけり。深霧罩めし長白の峰は屹然と、雲に頭を現はして、さも雄渾の気に充たされ居たる。
甲『オイ今日はどうだつたい、何か獲物があつたかの、吾々は谷から谷へ駆け廻り、兎や猪の足跡を考へ附け狙つたが、どうしたものか一匹の獲物もないのだ。大きな顔をして弓矢を持つて家へ帰れた態ぢやない。お前たちの獲つたものでも、一寸俺に貸してくれないか、手ぶらで帰るとまた山の神の御機嫌斜なりだ。いつもいつも夫婦喧嘩は見つともないからなア』
乙『俺らだつて同じことだよ、一体このごろ四足どもは何処へ行きよつたのだらうか。影も形も見せない。俺らア合点がゆかぬが、きつと大変だぜ』
丙『察するところ、つらつら考ふるに、天地開闢の初め、大国治立命御退隠遊ばしてより……』
甲『何ぢや、ひち六か敷い御託ばかりこきよつて、いつも貴様のいふ事は尻が結べた事はありやしない、黙つてすつこみて居れ』
丁『イヤ丙のいふ通りだ、終りまで聞いてやれ、この間からチト天の様子が変ぢやないか。彼方の天にも此方の天にも金や銀の星が集合つて、星様が何か相談しとるぢやないか。ありやキツと大地震か、大風か、大雨を降らす相談だらうぜ』
丙『しかり而うして、そもそも天上の諸星鳩首謀議の結果は』
甲『貴様のいふ事は訳が分らぬ。すつこみて居れと云つたら、すつこみて居らうよ』
丙『貴様は、いつも吾輩の議論を強圧的に圧迫して、抑へつけようとするのか……』
甲『強圧も、圧迫も、抑へつけるもあつたものか。同じ事ばかり並べよつて、此奴は余程どうかして居るぜ』
丙『どうかして居るつて何だい。本来俺が一言いふと頭から強圧しよつたらう。二度目にはまた圧迫しよつて、三度目には抑へつけよつたらう。面倒くさいから三度のを一遍にいうたのだ。無学の奴は憐れなものだナア』
乙『そんな話はどうでもよい、第一地響きは毎日ドンドンと続くなり、雨はベチヤベチヤ降り続くなり、猪や兎の奴一匹も、どこかへ行きよつて、俺らも最早蛙の干乾にならなくちや仕方がないのだ。俺らの生活上の大問題だよ』
丁『要するに、貴様たちのやくざ人足は何も知らないからだ。この間も宣伝使とかいふ奴がやつて来てね、「猪や兎などは三日前から何でも知つて居る。お前たちの眼はまるで節穴だ」と云つて通りよつたが、大方このごろ山に、鳥や獣の居らなくなつたのは、大洪水の出るのを知つて、長白山の奴頂辺にでも避難したのかも分らないよ。道理でこの谷川の名物緑の鴨も、一羽もそこらに居らないぢやないか。晴天でお太陽様の光が木間から漏れて、この谷川に美しい鴛鴦が浮いて居るときの光景は、何ともいはれなかつたが、今日の殺風景はどうだい。この間の雨で谷水は濁る、水はだんだん増加る、おまけに間断なく雨は降る、これ見ても吾々は何とか考へねばなるまい。キツと天地の大変動の来るべき前兆かも知れないよ』
丙『江山の風景は必ずしも晴天のみに限らず、降雪、降雨、暴風のときこそかへつて雅趣を添へるものなりだ。エヘン』
甲『また始まつた、貴様のいふことは一体訳が分らないワ』
丙『黙言つて終まで聞かうよ。昔から相似の年といつて、長雨も降つたり、地震も揺つたり、星が降つたり、凶作が続いたり、鳥獣が居なくなつたりした事は幾度もあるよ。世の中の歴史は繰返すといつてな、少々地響がしたつて、雨が降つたつて、星が集会したつて、さう驚くに及ばぬのぢや。察するところお前たちの臆病者の腹の中は、もはや天変地妖が到来して、獲物が無いので山の神に雷でも、頭の上から落されるのが恐くつて震うて居よるのだらう。つらつら惟るに、エヘン、お前たちは臆病神に誘はれたのだねえ、エヘン、オホン』
丁『ヤア、そこへ五六羽の鴨が来たではないか』
 ヨウ、ヨウ、と言ひながら一同は弓に矢を番へて身構へする。
乙『待て待て大変だ。この谷は鴨猟は厳しく禁じてあるぢやないか、そんな物ども獲つたら大変だよ。この鴨は昔八頭の妻磐長姫が、悋気とか陰気とかの病で河へ飛び込んで、その亡霊が鴨になつたといふ事だ。それでその鴨は八頭様の奥様の霊だから、それを撃たうものなら大変な刑罰を受けねばならぬ。そしてその鴨を食つた奴の嬶は、すぐにこの谷川へ飛び込んで、鴨になつて仕舞ふと云う事だよ』
丙『そンな事は疾の昔に委細御承知だ。迷信臭い事をいつ迄もぬかす奴があるかい、背に腹はかへられぬ。食はずに死ぬか、食うて死ぬかぢや。罰があたりや、当つたでよい。一寸先は闇よ。宣伝使の云ひ草ではないが、天は地となり地は天となる、たとへ大地が沈むとも間男の力は世を救ふのだ。せせつ細しい善とか悪とかに拘泥してゐたら、吾々はミイラになつて仕舞わア、そンな訳の分らぬ迷信はさつぱりとおいて欲しぼしぢや、梅干ぢや、蛙の干乾ぢや、土用干ぢや、お玉り小坊子や膝坊子や、カンカン』
とただ単独、調子にのつて下らぬことを喋りてをる。
 このとき西方の谷間にあたりて、山も割るるばかりの音響聞ゆると思ふ刹那、身の廻り三丈もあらうと思ふ真黒の大蛇が、谷川めがけて下り来たり、間もなく、少し赤味を帯びたる同じ大きさの二三百丈もある長い大蛇が、引き続いて谷川めがけて驀地に下り来るを見つつ、一同は息を殺し、目を塞ぎ、岩に噛りつき、大蛇の通過するを震ひ震ひ唇まで真蒼にして待ち居たりける。
(大正一一・一・一八 旧大正一〇・一二・二一 加藤明子録)
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