中津御国の天教山の木花姫命の御教えを伝える、黄金山・霊鷲山の埴安彦、三葉彦は、教えを一つにまとめて三五教を現した。
黄金山の宣伝使・青雲別は、名を高彦と改めて、青雲山への宣教に旅立った。青雲山を上っていく高彦の耳にきこえて来たのは、ウラル教の宣伝歌を歌いながら道路を開鑿する工事人夫たちの声だった。
かまわず三五教の宣伝歌を歌いながら山上に進んでいく高彦を、ウラル教の人夫の頭・雲掴がさえぎり、首筋を掴んで路上にねじ伏せた。しかし高彦は何とも感じず、平気で神言を小声に奏上し始めた。
雲掴の体は次第に強直して地蔵のようにその場に固まってしまった。人足たちはこの様を見て、一斉に高彦に襲い掛かったが、高彦の神言に、みなやはり石像のように硬直してしまった。
高彦は鎮魂を解いて、雲掴の霊縛を解除した。雲掴は涙を浮かべて無礼を陳謝した。高彦は三五教の仁慈の教えをもって諭し、青雲山の吾妻彦がウラル教に恭順したことを問いただした。
雲掴は吾妻彦がウラル彦に恭順した経緯を語り出した。