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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第3篇 太平洋よみ(新仮名遣い)たいへいよう
文献名3第16章 釣魚の悲〔316〕よみ(新仮名遣い)ちょうぎょのかなしみ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-04 17:44:16
あらすじ日の出神はふたたび、三五教の教えを織り込み、人々に心の鬼大蛇を戒める宣伝歌を歌い始めた。すると、またしても海面は風凪ぎ、波は鎮まった。船中から一人の男が日の出神に話しかけた。二度までも船の危急を救ったことと、清き美わしい教えの教示に感謝の念を表し、自分の身の上を語り始めた。この男は、先の長髪の男の息子であり、海に身を投げた女が探していた恋人であった。男は、むざむざ目の前で父親と恋人を亡くした悩みを、日の出神に打ち明けた。日の出神はにっこりとして、神は必ずや親子夫婦の再会を得させたまう、ただ本心に立ち返って三五教の教えを守り、天地の神を真心より賛美するようにと諭した。男は日の出神に感謝し、涙を流しながら宣伝歌を歌い始めた。日の出神は海を指して、あれを見よ、と男に注意を促した。そこには、波の間に漂う男女の姿が見えた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月31日(旧01月04日) 口述場所 筆録者広瀬義邦 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版94頁 八幡書店版第2輯 69頁 修補版 校定版98頁 普及版40頁 初版 ページ備考
OBC rm0716
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本文  再び暴たる光景に船の諸人はまたも不安の念に駆られ、猫に逐はれし鼠の如く頭を垂れ呼吸を凝し、戦慄き伏してチウの声も挙げ得ざりける。
 この四辺は大小無数の岩石水面に起伏して危険極まる区域なり。一つ違へば船は忽ち破壊覆没の厄に遭ふ地点にして、地獄の釜の一足飛び、人々の生命は恰も轍迹の魚か石上の累卵か、危険刻々に迫り来たりける。このとき船の一方に声あり。
『禍多き人の世は  飯食ふ暇も附け狙ふ
 情嵐の吹き荒び  何の容赦も荒浪の
 涙の淵に沈みたる  世の諸人を天津日の
 神の恵に救はむと  黄金山に現はれし
 三五教の宣伝使  日の出神と現はれて
 波風猛る荒海を  渡りてここに太平の
 神世を修理固成めむと  常世の国に進み行く
 心も広き海原や  神の恵の弥や深く
 大御稜威は久方の  天津御空にそそり立つ
 天教山も啻ならず  神徳高き照妙の
 衣を捨てて簑笠の  服装も軽き宣伝使
 重き罪人救はむと  教の船に棹さして
 闇の海原進み行く  黒白も分かぬ暗の夜に
 苦しみ迷ふ人々の  心の波は騒ぐとも
 魂の月は曇るとも  天津日の出の宣伝使
 光り輝く言霊に  眠を醒せ眼を開け
 眠を醒せ眼を開け  神が表に現はれて
 善と悪とを立て別る  この世を修理固成りし神直日
 心も広き大直日  ただ何事も人の世は
 直霊に見直し聞き直せ  身の過は宣り直せ
 神の御子なる人草は  恵も深き神の前
 祈りて効験あらざらめ  祈れよ祈れ諸人よ
 神は汝と倶にあり  神は汝と倶に在り
 心の岩戸を押開き  鬼や大蛇を逐ひ出し
 三五教の神の教  心の倉に隙間なく
 充たせ足らはせ諸人よ  充たせ足らはせ諸人よ
 世は紫陽花の七変り  月日は落つる世ありとも
 海の底ひは乾くとも  千代も八千代も変りなき
 神の恵を力とし  大神光を目標に
 波風高き荒海の  潮踏み分けて世を渡れ
 神は汝と倶にあり  光り輝く言霊の
 天津祝詞の太祝詞  声も涼しく宣れよ人
 声も涼しく宣れよ人  この世を救ふ埴安彦の
 神の命や埴安姫の  神の命の開きたる
 三五教の教理をば  耳の戸開けて菊の秋
 四方の山々紅に  錦織りなす真心は
 神に通へる心ぞや  神に通へる心ぞや
 吾は日の出神なるぞ  わが言霊は常世行く
 暗を照らして世の中の  百の曲事祝姫
 長閑な海面面那芸の  厳の息吹に凪ぎて行く
 実にも尊き神の恩  実にも尊き神の徳』
と歌ひ終ると共に、またも海面は風凪ぎ、波静まり、月は中天に皎々として輝き始め、さしも頑強なる船の人々も思はず手を拍つて天地の神の洪徳を感謝したりける。
 船客の中より色浅黒き、口元の締りたる中肉中背の男、日の出神の前に現はれ、恭しく手を突きながら、
『一度ならず二度までも、この遭難を救ひ、吾らに清き美はしき教を垂れさせ玉ひしことを有り難く感謝いたします』
と云ひつつ涙を拭ひ、
『さて、宣伝使にお尋ね申したきことがあります。お聴き届け下されますや』
と耻かし気にいう。日の出神は、
『吾は世界を導く宣伝使、何事なりとも問はせ給へ』
と快く答へたまへば、彼の男は、
『私は実は白雪郷の者であります。ふとしたことより郷の女と恋に落ち、白雪郷を追ひ出され常世の国に遁げ行かむと致しました。然るに唯一足違ひにて、船は常世の国へ出帆いたし、次の船を待つて、今や常世の国に渡らうと致して居ります。然るに吾が恋しき女はわが後を追ひ、同じ船に如何なる因縁か乗ることとなりました。しかし彼の女は私の此の船に乗つて居ることは夢にも知りませぬ。私も亦その女の船に乗つて居ることは毫も気が付かなかつたのです。時しも船の一方に当つて、歌を唄ひ始めた女あり、よくよく視れば、私の日頃恋ひ慕ふ彼なれば、噫、彼は一旦約したる言葉を守り、遥々遠き波の上、我を捜ねて来りしか、嗚呼、愛しの者よ、と自ら名乗りを挙げ、相擁して泣きたく思ひました。傍を見れば豈計らむや、我が父の儼然として船中に控へて居るに気が付きました。思ひは同じ一蓮托生の身の上、とつおいつ、吐息を漏らす折からに、彼の女は遂に何思ひけむ、深き千尋の海に身を投げて、泡と消えゆく哀れさ。亦もや我が父の後を追ひて海の藻屑となりしを見る我身の苦しさ。私もその時彼と父との後を追ひ、この海原へ身を投げむやと決心はいたしたものの、何となく腹の底より「マア待て、マア待て。愛する彼の女と恩深き父の弔ひは誰人がなす。天にも地にも親一人子一人の汝、身投げは思ひ止まれよ」と頻りに私語きます。我身の不覚より、彼の女を殺し、大恩ある我父の生命まで水の泡となせしは私の罪咎、千尋の海よりも深きを思へば立つてもゐても居られませぬ、何卒わが心の迷ひを照らさせ給へ、日の出神の宣伝使さま』
と涙と共に物語るを、日の出神は莞爾として、事も無げに、
『世の中は老少不定、会者定離だ。一切万事人の運命は神の御手に握られて居る。生くるも神の御慮、死するも神の御慮ぞ。唯何事も人の世は、直日に見直せ聞き直せ、身の過は宣り直せ。また来る春に相生の、松も芽出度き親子夫婦の再会を、必ず得させ玉はむ。汝はこれより本心に立ち帰り、三五教の教を守り、天地の神を真心より讃美し奉れ』
と教へ玉へば、彼は熱き涙を湛へながら、日の出神に感謝し、直に宣伝歌を声高らかに歌ひはじめたり。日の出神は手を拍つて彼の男に向ひ、
『彼方を見られよ』
と指さしたまふ。波の彼方に、浮きつ沈みつ、何かにのせられたる男女の影見えたり。この男女は果して何人ならむか。
(大正一一・一・三一 旧一・四 広瀬義邦録)
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