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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第6篇 肥の国へよみ(新仮名遣い)ひのくにへ
文献名3第31章 虎転別〔331〕よみ(新仮名遣い)とらてんわけ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-08 17:23:08
あらすじ肥の国の都では、八島別の居城に数万の群集が押しかけた。群衆を扇動する虎転別という大男は、八島別と談判に来たと言って、門を開けさせ城の中に押し入った。しかし城の中では四五人の絶世の美人が虎転別を出迎え、美酒で酔わせてぐにゃぐにゃにしてしまった。すると虎転別はどら声を張り上げて、自分の悪巧みをすっかり歌い明かし始めた。ここは常世神王の家来・虎転別の領分である。天教山から肥の国を侵しに来た八島別をやっつけるため、国人を欺いて八島別の命令だといって城を築かせているのは自分だ。その城に籠もって八島別をやっつけるのだ。自分は金毛九尾の眷属である、頭の白い古狐だ、と自分から白状してしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月01日(旧01月05日) 口述場所 筆録者吉原亨 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版195頁 八幡書店版第2輯 103頁 修補版 校定版201頁 普及版83頁 初版 ページ備考
OBC rm0731
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本文  久方の天津御空に聳り立つ  仰ぐも高き天教の
 山に鎮まる木の花姫の  神のみことの世を救ふ
 清き教を四方の国  国の八十国百八十の
 八島の別の宣伝使  堅磐常磐に鎮まりし
 肥の神国の常磐城  折りから起る鬨の声
 八島の別は怪しみて  戸を押し開き眺むれば
 東や西や北南  蟻の這ひでる隙もなく
 押し寄せきたる諸人の  勢猛き人の波
 心も荒き国人の  醜の荒びぞ凄じき。
 数万の群集の中より勝れて背の高い色の赭黒い、目の玉の大きい鰐口の男は、四五の醜男を引き連れて、拳を固め大手を振りながら、八島別の門前に立ち現はれ、
『オーイ、オーイ、この門開け』
と雷のごとく呶鳴り立てゐる。門番は、
『何物ならば勿体なくも、天教山より天降り給うた八島別様の御威勢を恐れず、この門開けとは無礼千万、汝ら如き乱暴者の申すことを聞く耳持たぬ。トツトと帰れ』
 大の男、才槌のごとき拳を固め、
『恐くてよう開けぬか、穴虫、がつと虫、まだも違うたら土鼠、塵埃に潜む蚯蚓虫、ごてごて云はずに早く開け』
門番『明けの鴉のカアカアと、あたやかましい、開けなら開けで開けもしようが、開けてビツクリ玉手箱、魂の宿替せぬ様に、性念魂をしつかり据ゑてゐるがよからう』
 門番は不承無精に門の戸をガラガラと音させながら左右にサツト開けば、屋根葺の手伝のやうな体中の真黒黒助、熊のお化か烏の親方か、頭か顔か一寸見分のつかぬ五人連、口を揃へて目を釣り上げながら、
『俺は肥の国の数万の人間に選ばれて談判にきた虎転別だ。一時も早く八島別の前に案内いたせ』
門番『何だい黒ン坊、二つとない命が惜くなければ会はしてやらう、吃驚するな。さあ俺について来い』
と奥殿さして進み行く。
門番『モシモシ受付のお方、ドエライ奴が参りました。真黒黒助の熊転だとか、虎猫だとか、怪体な奴が八島別に会はしてくれと申します、どうぞお取次を願ひます』
『コラ門番、いらぬ事をいふな、虎様を八島別に会はせばよいのだ』
 暫くすると奥の間より、容姿端麗なる四五の美人現はれ来り、しとやかに、
『コレハコレハ虎転別様、ようこそお出下さいました。すぐに奥にお通り下さいませ』
と云ひつつニヤリと笑つて両手をとり、奥へ導き入る。
 虎転別は絶世の美人に、鰐の鱗のやうな手を握られ、章魚の様にグニヤグニヤになつて涎を垂らしながら奥深く伴はれ行く。何とも知れぬ酒の香がしてゐるので、虎転別は立ち止まり、鼻を犬のやうにピコつかせながら山の如く積み重ねたる酒樽の方に眼を配りゐる。
 女性は虎転別に向ひ、
『もしもし虎転さま、お酒はこの通り沢山に置いてあります。八島別さまは神通力を以て、あなたのお越し遊ばすことを前以て御承知なので、酒を沢山に珍客に十分飲ましてあげといふ事でした。サアサア妾がお酌をします。御遠慮なくお召上がり下さい』
と言ひながら怪しき秋波を虎転別に注げば、虎転別は猫のやうにゴロゴロと喉を鳴らせ、今までの勢は何処へやら行つてしまひ、
『八島別さまは話せるわい、気が利いてるな。しかし気の毒だが折角ここまで用意して下さつたのだから無下にお辞退するも気の毒だ。頂くのも気の毒だが、頂かぬも気の毒だ。同じ気の毒ならトツクと頂かう』
女『それが宜しうございませう』
 虎転別は忽ち相好を崩してその場に安坐をかいてベツタリと坐り込み、四人の供人もこの男を中心に鶴翼の陣を張りて左右にヅラリと並ぶ。この三人の美人の名は春姫、夏姫、秋姫といふ。春姫は白扇をひろげ、長袖を振つて舞ひ始め、夏姫は磬を打つて調子をとり、秋姫は大の盃になみなみと注いで、虎転別を始め四人の供人に代るがはる酒を勧める。虎転別は御機嫌斜ならず、八島別の館に在るを打ち忘れ、銅鑼声を張り上げて首を左右に振りながら、唄ひ始めたり。
『ここは筑紫の神国と  人はいへども常世国
 常世神王のその使  虎転別の御領分
 鬼でも蛇でも閻魔でも  掴みて喰らふこの方の
 威勢も知らずに何の態  八島の別の宣伝使
 天教の山から降つてきて  この肥の国に城造り
 その名も建の日向別  訳の分らぬ有散事を
 ほざいて世人を迷はせる  俺にはそれが気に喰はぬ
 そこで俺奴が国人を  沢山集めて谷々の
 岩を運ばせ城築き  八島の別の常永に
 鎮まる城だと誑かりて  その礎も大方に
 築き始めた我が企み  いよいよ成功した上は
 虎転別は城の中  弓矢を調へ準備して
 八島の別の宣伝使  ただ一撃にやる企み
 企みはうまいぞあゝ旨い  甘いといつたらこの酒ぢや
 酒ほど甘いものはない  酒を飲まして虎転を
 亡ぼす企みが面白い  酒さへ飲まして呉れたなら
 俺はどうでも宵の口  酔つてクダまきや尾も白い
 頭も白い古狐  化けた虎転化の司
 金毛九尾の御眷族  あゝ面白いおもしろい』
と酒に酔ひ潰れて自分の企みを残らず白状しけるぞ面白かりける。
(大正一一・二・一 旧一・五 吉原亨録)
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