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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第7篇 日出神よみ(新仮名遣い)ひのでのかみ
文献名3第38章 雲天焼〔338〕よみ(新仮名遣い)くもてんやけ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-06 19:32:16
あらすじ
谷川の傍らに腰かけ、そま人たちが肥の国で群集が八島別の館を取り囲んだ事件の噂を語り合っていた。

そこへ宣伝歌が聞こえてくる。そま人たちは頭を抱えて道に横たわり、ぶるぶる震えていた。一人の勝れて大きな男は、泰然自若として宣伝歌を愉快げに聞いている。

日の出神は、この大男のそま人に声をかけた。大男は熊と名乗った。熊は豊の国の貧しさと惨状を述べて、宣伝使たちを追い返そうとする。

豊日別はどうしても豊の国へ案内せよ、と言い、熊は仕方なく宣伝使を都へ導き行く。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所 筆録者谷川常清 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版229頁 八幡書店版第2輯 116頁 修補版 校定版236頁 普及版97頁 初版 ページ備考
OBC rm0738
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本文  春の山辺は緑の顔を天に晒して打ち笑ひ、芳しき花は黄紫赤白と処々に咲き乱れて木の間を綴り、百鳥は長閑な声を張り上げてこの世を謳ふ。春山の霞を別けて下り来る心も清き宣伝使、身装も軽き簑笠の、鎧冑を取り付けて、草鞋脚絆の小手脛当、勢込ンで進みくる。潺々として流れも清き谷川の傍に腰打ち掛け、雑談に耽る四五人の杣人ありけり。
甲『オイ、貴様ら聞いたか、この間から艮の方に当つて、五色の雲が立ち昇つただらう。アレヤ、一体何ンだと思つて居るか』
乙『乞食の雲つて何ンだい、それや貴様らの親類だらう。乞食の雲助が立ち昇つた、艮で無うても此の山道には、何日も雲が籠を舁いだり乞食が徘徊するじやないか』
甲『馬鹿、貴様はド聾だな。五色の雲が立ち昇つたのだと云ふのだよ』
と乙の耳の傍に口を寄せて大声に呶鳴る。
『そンな大きな声を為なくてもよう聞えて居るのだ。乞食と雲助が何うしたと云ふのだい』
甲『ハヽヽヽヽ面白い面白い、金挺子だね、こンな聾に話をして居ると日が暮れてしまふわ。オイ八公、五色の雲の理由を聞かして呉れ』
 八は威丈高に成り、
『何ンでも肥の国に虎転別とか、雲天焼とか、妙な名の悪神がをつてな。焼島別とかいふ宣伝使の館に火を点けよつたが、その煙が天へ舞ひ昇つて、空の雲が焼けて、それで雲天焼と云ふのだよ。さうして結構な宣伝使の館が、スツカリ焼けて島つた別といふのだ。何れ焼けて島つた別は居る所がないので、この峠を越して出て来るかも知れないぞ。又あンな奴が豊の国に逃げて来よつて、肩の凝るやうな歌を歌ひよると、豊の国にも腰抜けばかりは居やしないから、第二の雲天焼が現はれるに定つてゐる、物騒な事だワイ』
乙『その雲天焼とかいふ奴はこの広い豊の国には何れ居るだらうね』
八公『居らいでかい、居らいで耐らうかい。俺がその雲天焼に成るのだもの』
乙『貴様雲天焼に成つて何うするのだい』
八公『そンな奴が来よつたら焼糞になつて焼いてこますのだ』
乙『それや貴様、焼糞に成つたら雲天焼ではないよ。糞天焼だよ』
と、馬鹿口を叩いてをる。そこへ微に聞えて来た宣伝歌の声。
八公『ヤア、怖いぞ肩の凝る声が聞え出した。長居は恐れだ、逃げろ逃げろ』
乙『態見やがれ、大法螺計り吹きよつて、宣伝歌の声か水の音か風の響か分りもせぬのに、日の暮まぎれに茅の穂を見て幽霊だと思つて腰を抜かした奴のやうに、見つとも無いじやないか』
八公『喧しう言ふない。頭が痛いわ、逃げろ逃げろ』
 乙は一目散に駆け出さうとする。
八公『一寸待つてくれ俺も一緒に連れて逃げぬかい』
乙『貴様足が有るだらう。貴様勝手に歩かぬかい』
八公『何うやら俺は胴が据つたと見えてビクともできぬわい』
乙『貴様臆病者奴、腰を抜かしよつたな』
 宣伝歌は益々近く聞え来たる。
『神が表に現はれて  善と悪とを立別る
 日の出神や三柱が  今下り行く豊の国
 四方の草木も神風に  靡き伏しけむ醜草は
 神の御息に散り果てむ  散りたる後に実を結ぶ
 神の教の豊の国  豊日の別と現はれて
 四方に拡むる宣伝歌』
と近辺を響かせながら一声々々と近寄り来る。四五人の杣人は頭を抱へ呼吸を詰めて谷道に横たはりブルブル震へゐる。中に一人の勝れて大の男泰然自若として首を傾け、その宣伝歌を愉快気に聴き入りぬ。
 声は刻々に近づくと共に益々高く聞え出し、大の男は立上り声する方に向つて歌ひ始めたり。
『此処は亜弗利加豊の国  広い沙漠の連りし
 不毛の土地ぞ荒野原  神の御国の宣伝使
 何ほど力が有るとても  荒野が原の荒風に
 吹かれて体は砂まぶれ  頭の髪はテカテカと
 光の強い禿頭  何ンな神なと出てうせよ
 豊日の別の神の国  豊日の別の神国は
 荒ぶる神や曲津神  曲つた心の八公や
 虎公のやうな奴が居る』
八公『ヤイ何を言ふのだい、宣伝使が来ると思つて貴様一人が助かり度いと思ふのか、俺の悪口まで歌ひよつて怪しからぬ奴だ。覚えて居ろ』
大男『八公、熊公、ここ迄ござれ、ドツコイシヨドツコイシヨ』
と、舌を出し、手を振りながら、八公を嘲弄しつつ、宣伝使の声のする方に向つて走り行く。
日出神『お前は豊の国の者か』
大男『ハイ私は豊の国の熊といふ野郎です。能う来て下さいました。しかし、この国は七分どほり沙漠で毎日日日風が吹きます。それはそれはえらい砂烟で目も鼻も開けて居る事は出来ませぬ。それで彼方此方の木草の繁つた山を撰ンで、木の実を食つたり兎や猪を生捕て生活をして居る惨目な国であります。駱駝は沢山に居りますが、彼奴馬鹿な奴で大きな図体をしよつて何も役に立たず、時々虎や狼に追はれて吾々人間の居る処へ妙な声を出して押寄せて来るなり、その時には吾々の歩く場も無いやうな目に会せます。貴下はこの国に折角御出で下さつたが、もう御帰りになつたが宜しからう。世界は広いのにこンな悪い国に御出でになつたつて仕方が有りませぬ。肥の国の八島別のやうに又虎転別とか云ふ悪者が出てきて惨い目に会はされては御気の毒ですから、もうこれ限りこの山を引き返して熊襲の国にでも御出でなさいませ。私は決して悪いことは申しませぬ。貴下の歌はつしやる宣伝歌は誠に結構ですが、この国の人間の耳には余り立派過ぎて這入りませぬ』
と虎転別の豊日別が現在眼の前に居るのも知らずに喋り立てゐる。
豊日別『俺はその悪者の虎転別だよ。今は日の出神の御取計らひに依つて此の豊の国の守護職と成つたのだ。お前らは豊の国の都へ吾々一同を案内いたせ』
 大の男熟々と豊日別の顔を見て、
大男『イヤー、肥の国の虎転別といふ奴は頭の禿げた悪者だといふ事だのに、それにお前さまは毛が生えて居るでは無いか、結構な宣伝使様だらう。それに何ぞや鬼のやうな人の嫌ふ悪の強い虎転別じやなンて戯言にも程がある、本当の名を仰言つて下さい』
豊日別『そりや実際だ。何は兎もあれ、豊の国の都へ案内してくれ』
 大の男は、不承無精ながら先に立つて、豊の国の都へ、四人の宣伝使を導き行く。八公その他四五の杣人は路傍に腰を抜かしたるまま、
八公『オイオイ熊公貴様どこへ行く。豊の都にでもそンな奴を案内したら、この国は大変だぞ。俺一人でも雲天焼に成つてやるぞ』
と叫ぶ。
熊公『八公の腰抜け、喧しう云ふない、善か悪か未だ知れやしない。馬には乗つて見い、人には添うて見いだ。貴様も早く腰を癒して後から俺の処を探ねて来い』
と云ひながら都を指してドンドンと急ぎ行く。
 四人の宣伝使は又もや宣伝歌を歌ひつつ進み行く。
(大正一一・二・二 旧一・六 谷川常清録)
(第三三章~第三八章 昭和一〇・二・二五 於天恩郷透明殿 王仁校正)
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