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文献名1霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
文献名2第2篇 四十八文字よみ(新仮名遣い)しじゅうはちもじ
文献名3第8章 改心祈願〔358〕よみ(新仮名遣い)かいしんきがん
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ漁師たちは猿世彦の言霊に感心して尊敬の念を払い、三五教の教理に服した。猿世彦は教理には通じていなかったため、平然として矛盾脱線の教えを語っていたが、ただ神を祈ることは一生懸命であったので、神徳を授けられたのである。朴訥な漁師たちにはあまり難しい教理を説く必要もなく、ただ豊漁を与えてもらうことをもって信仰の基礎としていた。ただ村長の照彦は立派な男であったが、猿世彦の熱心な祈祷の力に感じて、猿世彦を賛美する歌を歌った。かくして、猿世彦は宣伝使となって法外れの教理を説いていたが、村人たちは信仰を怠らなかった。アリナの滝から数町奥に、不思議な岩窟があった。岩窟の中には直径一丈ばかりの円い池があり、清鮮な水をたたえていた。村人たちは池を鏡の池と読んでいた。猿世彦は村人たちを従えて、この鏡の池に禊身にやってきた。村長をはじめ村人たちに池の水で洗礼を施し、そして池に向かって祈願を込め始めた。その祈願は、村人たちの信仰と救いへの守りを祈り、また自らの過去の罪を懺悔し、日の出神に出会ったことで改心できた感謝を捧げていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月06日(旧01月10日) 口述場所 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年6月15日 愛善世界社版51頁 八幡書店版第2輯 169頁 修補版 校定版53頁 普及版23頁 初版 ページ備考
OBC rm0808
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本文  漁夫は猿世彦の言霊に依つて、蛸の意外なる収獲を得、今迄軽侮の念を以て遇して居た猿世彦に対し、尊信畏敬の態度を以て望むことになり、アリナの滝に草庵を結び猿世彦の住家となし、尊敬の念を払ひ三五教の教理に悦服したり。されど俄宣伝使の猿世彦は未だ三五教の教理には徹底してをらず、只神を祈ることのみは一生懸命なりき。夫故平然として彼が説く所の教理は矛盾脱線に満ち居たれども、誠の神は彼が熱心に感じて神徳を授けられたるなり。
 この村は無智朴訥なる漁夫のみなれば、余り高遠なる教理を説くの必要も無く、また漁夫どもは神を祈りて豊な漁を与へて貰ふ事のみを信仰の基礎として居たり。然し掃溜にも金玉あり、雀原にも鶴の降りて遊ぶが如く、此村の酋長に照彦と云ふ立派な男ありけり。彼は猿世彦の熱誠なる祈祷の効力に感じ、歌を作つて之を讃美したりける。
 朝日眩ゆき智利の国  御空の月も智利の国
 猿世の頭も照の国  昼は日照の神となり
 夜は月照彦となり  吾らを照らす宣伝使
 かかる尊き救ひ宣使  又とアリナの滝の如
 其名は四方に響くなり  其名は四方に響くなり。
と村人に歌はせたり。猿世彦は得意満面に溢れ、天晴れ宣伝使となりすまし、法外れの教理を説きゐたり。然れど朴訥なる村人は誠の神の尊き教と堅く信じ、涙を流して悦び、信仰を怠らざりける。
 アリナの滝より数町奥に不思議なる巌窟あり。巌窟の中には直径一丈ばかりの円き池あり、清鮮の水を湛へ、村人は之を鏡の池と命名け居たり。猿世彦は村人をあまた随へ、この鏡の池に禊を成さむと進み行きぬ。まづ酋長の照彦に鏡の池の水を掬つて洗礼を施し、次々に之を手に掬ひ、老若男女に向ひ一々洗礼を施し、この巌窟の鏡の池に向つて祈願を籠めにける。
『嗚呼天地を御造り遊ばした国治立の大神様、太陽の如く月の如く鏡の如く、円く清らかなる此鏡の池の水晶の御水の如く、酋長を始めその他の老若男女の身魂を清く研かせ玉うて、此水の千代に万代に涸ざる如く、清き信仰を何処までも繋がせ玉ひて、神様の御膝下に救はれます様に、又この尊き、清き御水を鏡として、吾々はじめ各自のものが何時までも心を濁しませぬやうに、御守り下さいますやう御願ひ致します。私は今日まで鬼城山に立籠り、木常姫と共々に大神様の御神業を力限り、根限り妨害致しました其罪は、天よりも高く、千尋の海よりもまだ深いもので御座います。然るに貴方様は大慈大悲の大御心を以て、吾々の如き大罪人に対し満腔の涙を御注ぎ下さいまして、畏れ多くも天教山の猛火の中に御身を投じ玉うたことを承はりました。其事を聞きましてから私は、昔の悪事を思ひだし、起つても坐ても居れぬやうな心持になりました。嗚呼一日も早く改心したいと思ひますと、私の腹の中から悪魔が「馬鹿々々、何をソンナ弱い事を思ふか」と叱りますので、ついウロウロと魂が迷ひ、心ならぬ月日を送つて居りました。偶私は常世の国を逃出して、筑紫の島を彼方此方と彷徨ふ内、日の出神と云ふ立派な宣伝使が、智利の都へ御出で遊ばしたと聞いて、朝日丸に乗つて此処へ渡ります其船の中に、有難くも日の出神様が乗つて居られ、いろいろ結構な御話を聞かして下さいました。之も全く貴方様の御引合せと有難く感謝を致します。此の清き鏡の池の水は、円満なる大神様の大御心でありませう。この滾々として湧き出づる清き水は、大神様の吾らを憐れみ玉ふ涙の集まりでありませう。此水の清きは、大神様の血潮でありませう。願はくば永遠に吾らの魂を、此鏡の池の円満なるが如く、清麗なるが如く守らせ玉はむ事を、村人と共に御願ひ致します。惟神霊幸倍坐世、惟神霊幸倍坐世』
と真心を籠めて祈願したり。数多の人々も異口同音に、惟神霊幸倍坐世を唱へて神徳を讃美したりけり。
(大正一一・二・六 旧一・一〇 森良仁録)
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