大蛇に乗った宣伝使たちは、ものすごい勢いで山麓に降ってきた。気がつけば、一同は広い芝生の上に下ろされており、大蛇は影も形も見えなくなっていた。
大蛇を使う蚊々虎の神力に、淤縢山津見、正鹿山津見、五月姫は驚き感心している。淤縢山津見は、これは蚊々虎という名を宣り直さなければ、と言う。
正鹿山津見は、大蛇を使ったから大蛇彦という名を提案した。蚊々虎は珍山彦という名を自ら提案し、一同は賛成した。
正鹿山津見はもうすぐ珍の都が近いことから、神言を奏上して宣伝歌を歌いながら行きましょう、と促した。正鹿山津見は節面白く宣伝歌を歌いながら進んで行く。
ようやく一行は、正鹿山津見の館に着いた。主の正鹿山津見が到着すると、中からは数多の僕が走り出て迎えた。淤縢山津見らは館に世話になることにした。
一同は湯船で旅の疲れを癒し、また珍味佳肴を振舞われ、正鹿山津見の厚意に感謝した。その夜は正鹿山津見を中心に、国魂の神を祀る神前に向かって天津祝詞を奏上し、宣伝歌を歌った。一同は疲れて熟睡し、あくる朝目が覚めると、また旅の四方山話にふけっていた。