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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第4篇 千山万水よみ(新仮名遣い)せんざんばんすい
文献名3第23章 高照山〔416〕よみ(新仮名遣い)たかてるやま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-02 16:13:45
あらすじ虎公、熊公が神恩に感じ入って感謝を述べているところへ、四五人の荒男がやってきた。それは旧知の鹿公一行であった。鹿公は高照山の岩窟に、八岐の大蛇という神が現れて、結構な御神徳を下さっている、という話をして、去っていく。虎公、熊公はその神を見定めようと、岩窟に向かって谷道を進んでいった。岩窟の前にはたくさんの参詣人が祈っている。岩窟からはいやらしい笑い声が聞こえ、信徒に悪をなし弱肉強食を進めるようにと託宣を垂れている。虎公は立ち上がって名乗りを上げ、岩窟の神に向かって挑戦し始めた。熊公も、改心を勧告する。しかし岩窟の声は逆に、二人の過去の罪を責め、宣伝使としての未熟さを言霊を駆使してなじり始めた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月15日(旧01月19日) 口述場所 筆録者東尾吉雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版177頁 八幡書店版第2輯 337頁 修補版 校定版184頁 普及版74頁 初版 ページ備考
OBC rm0923
本文の文字数5062
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本文  ヒルとカルとの国境、高照山の山口の、芝生に残されし熊公、虎公の二人は、松代姫一行の姿を影の隠るるまで見送りながら虎公は、
『あゝ三五教の宣伝使一行は、吾々にお供を許されず、温かい言葉を残して、この場をいそいそと立つて行かれた。何うで、吾々のやうな罪の重い人間だから、お供は叶はぬのだらうが、あゝ残念な事をした。せめて三年前に、今のやうな心になつて居れば、立派にお伴を許して下さつたであらうに、思へば思へば、この身の罪が恨めしい』
と声を放つて泣き入る。
『虎公よ。決して決してさうではないよ。俺たちをどうぞ立派な神の柱にしてやりたいと思つて、わざと捨ててお出で遊ばしたのだ。あの獅子といふ奴は、子を生んでから三日目に、谷底へ蹴り落して、上つて来る奴をまた蹴り落し蹴り落し、三遍以上あがつて来たものでないと、自分の子にせぬと云ふ事だよ。谷へ落されてくたばるやうな弱い事では、到底悪魔の世の中に生存する事は出来ない。まして悪魔の様な人間を教へ導く宣伝使だもの、お師匠さまを杖に突いたり頼りにするやうな事では、完全な御用は出来ないから、外へ出る涙を内へ流して、大慈大悲の神心から、吾々を置き去りにして往かれたのだ。人間は到底深い深い神様の御心は判るものでない。それだから三五教の宣伝歌にも、
「この世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直せ聞き直せ」
とあるのだ。見直しが肝腎だ。繊弱い吾々のやうな智慧の暗い人間は、無限絶対、無始無終の誠の神様に従つて、真心籠めて祈るより外はない。祈ればきつと神様の栄光が吾々の頭上に輝くであらう』
と涙まじりに語る折しも、弓矢を持つた四五人の荒くれ男、犬を引き連れながら坂路を下り来る。一人の男は、熊公、虎公の顔を見て、
『オー、貴様はこの高砂島でも音に名高い熊公、虎公ぢやないか。貴様の名を聞くと泣く子も泣き止むと云ふ野郎だのに、今日はマアどうしたことか。貴様なんだい、ベソベソと吠面かわいて……』
虎公『ヨーこれは鹿公か。俺はな、すつかり改心したのだ。今まで悪人だと世間の者に言はれて来たが、これからはすつかりと善心に立返つて、自分の罪の懺悔をし、今までの罪亡ぼしに、神様の宣伝歌を歌つて、教へを説き廻り人を助けるのだ。あまり有難うて、今嬉し泣きに泣いて居たところだよ。お前も好い加減に殺生は止めて、三五教の教を聞いて、善人になつて呉れ。虎公が改心の門口、宣伝の初陣だ。貴様が改心して呉れたならば、この高砂島の人間は皆改心するのだ』
『フフン、何吐かしよるのだ。鬼の念仏見たよな事吐きよつて、何処を押へたらそんな音が出るのだ。この頃の暑さに、一寸心が変になりよつたな。ヘン、とろくさい、世の中は凡て優勝劣敗だ。大魚は小魚を呑み、小魚は虫を食つて互に生活する世の中だ。犬が猫を捕る、猫が鼠をとる、鼠が隠居の茶の子をとる、茶の子が隠居の機嫌とる、隠居が襦袢の虱とる、虱が頭のフケをとる、といつて世の中は廻りものだ。海猟師が魚を捕るのも山猟師が猪を獲るのも、皆社会の為だ。猟師がなければ皮を使ふ事も出来ず、魚を食ふ事も出来やしない。世の中は優勝劣敗、弱肉強食が自然の法則だよ。貴様もそんな女々しい事を言はずに、元の通り鬼虎となつて、売出したらどうだい。ここまで売り出した名を零にするのも惜しいぢやないか』
熊公『あゝ、善と悪とは違つたものだナア。善ほど辛いものはない、否結構なものはない。貴様もそんなことを言はずに、虎公のやうに改心して、神様を祈る気にならぬか』
『イヤ、俺は神様を祈つてるよ。俺の祈つてる神様はな、そんな腰の弱い、ヘナヘナした水の中で屁を放いた様な、頼りない教をする神さまとは訳が違ふのだ。いま俺はその神様に詣つて来たのだ』
虎公『お前が詣つて来た神様といふのは、そら何ういふ神様だい』
『貴様、あれ程名高いのに未だ聞かぬのか。随分遅耳だのう。ここをズツと三里ばかり奥へ這入ると、そこに高照山の深い谷がある。そこには長い滝が落ちて居つて、滝壺の右と左に大きな岩の洞穴があるのだ。さうして東の方の穴からは妙な声がするのだ。その岩に向つて、何事でも教へて貰ひに行くのだ。一ぺん貴様も行つて見よ、沢山の人が詣つて居るよ。一寸取り違ひ野郎が行くと、その岩の穴から大きな火焔の舌を出して、身体をチヤリチヤリと焼かれるのだ。貴様のやうな馬鹿な事云つて居る奴が行つたら、きつと岩の穴から出て来る火の舌に舐められて、黒焦になつて了ふだらうよ』
熊公『それは一体、何と云ふ神だい』
『何といふ神だか、エー、忘れたが、なんでも八岐の大蛇とか聞いたよ』
熊公『一体、何んな事を云ふのだい』
『委しい事は忘れて了つたが、とも角時代向きのする事を言ひ居る神さまだ。マアかい摘んで言へば、人間は一日でも立派に暮して、天から与へられた甘い物を喰つて、美しい着物を着て、酒でも飲んで元気をつけと云ふのだ。智利の国の鏡の池のやうな、水の中から屁をこいた様な、けち臭い御託宣とはわけが違ふのだ。まあ貴様ら、メソメソ泣いて居らずに一遍行つて来い。目が醒めてよからうぞ』
虎公『鹿公、お前はその教を信じて居るのか』
『信ずるも信じないもあつたものか。あんな結構な教が何処にあらうかい。さやうなら』
と五人の猟師は歩を速めて坂を下り行く。虎、熊の二人は足を速めてドンドンと谷道を伝ひ、玉川の瀑布に黄昏時に漸く辿り着き見れば、琴を立てたやうな大瀑布が、高く幾百丈ともなく懸つて微妙の音楽を奏でてゐる。東側の大巌窟の前には、沢山の参詣人が合掌して何事か口々に祈願してゐる。二人は素知らぬ顔にて諸人と共に、巌窟の前に端坐し合掌するや、巌窟は俄に大音響を立てて唸り始めたり。一同は大地に頭をピタリとつけ、畏まつてその音響を聴いてゐる。唸りは漸くにして止み、巌窟の薄暗き奥の方より、
『アハヽヽヽ』
といやらしい笑ひ声が聞え来る。
 虎、熊の二人は、顔見合して呆れゐる。巌窟の中より、
『悪の栄える世の中に、善ぢや悪ぢやと争ふ奴輩。あくまで阿呆の恥曝し、悪をなさねば安楽に世は渡れぬぞ。飽くまで食へ、飽くまで飲め、飽くまで力を現はして、悪魔と言はれようが、力一杯わが身の為に飽くまで尽せ。イヽヽヽ生命あつての物種だ。要らざる教に従うて、善の、悪の、末が怖ろしいのと萎縮け散らしてゐるよりも、威勢よく酒でも飲んで、いつまでも生々として生命を延ばせ。ウヽヽヽ後指を指されようが後を向くな。見ぬ顔をいたして甘い物を鱈腹食ひ、美い酒は酒に浮くほど酔うて、甘い甘いと舌鼓、五月蝿い五月蝿いと肩の凝るやうな三五教の教を聴くな。この巌窟には穴がある。ウヽヽヽと唸る穴があるぞよ。あな面白き穴有り教ぢや。迂濶に聴くな。エヽヽヽ遠慮会釈もなく吾身のためには人は構うてをれぬぞ。得になることならば何処までも何処までも行け。閻魔が怖いやうな事ではこの世に居れぬぞ。地獄の閻魔を味噌漬にして食ふやうな偉い心になれ、笑ぎて暮せ酒飲んで。オヽヽヽ鬼か大蛇の心になつてこの世に居らねば、この世は優勝劣敗、弱肉強食の世の中ぢや。お互ひに気をつけて、吾身の得を図れよ。怖れな、後れな、面白くこの世を渡れ、大蛇の神を朝夕祈れ。オヽヽヽヽ面白い面白い』
 虎公はこの声を聞いてむつくと立ち上り、
三五教の宣伝使、志芸山津見とは吾事なるぞ。悪魔の張本、天足の身魂、八岐の大蛇の再来、善を退け悪を勧むる無道の汝、今に正体現はして呉れむ。アハヽヽヽ、イヒヽヽヽ異端邪説を説き諭す、心の枉んだ大蛇の悪神、ま一度言ふなら言つて見よ、一寸刻みか五分試し、生命を取つて何時までも、禍の根を断つてくれむ。違背あらば返答いたせ。ウフヽヽヽ狼狽者のうつけ者、迂論な教を吐き立てて人心を動かす谷穴の土竜、浮世を乱す汝が悪計、志芸山津見の現はれし上からは容赦はならぬ。得体の知れぬ、奴拍手脱けした声をしぼり、優勝劣敗、弱肉強食の、エグイ心を嗾る奴。オホヽヽヽ大蛇の悪魔、往生いたすまで応対いたすぞ。尾をまいて降参いたせばよし、オメオメと言訳に及ばば、志芸山津見が両刃の剣を以て征伐いたす。奥山の谷底に身をひそめ、この世を乱す八岐の大蛇、返答はどうだツ』
 巌窟の中より、
『カヽヽヽ構ふな構ふな、蛙の行列、闇に烏の向ふ見ず、喧しいワイ。キヽヽヽ斬るの斬らぬのと広言吐くな。貴様のやうな腰抜けに、大蛇が斬れてたまらうか。気の利かぬ奴だなア。クヽヽヽ暗がり紛れに頭から食つてやらうか。くさい顔して苦しさうに俄宣伝使とは片腹痛い、ケヽヽヽ怪我のない間に早くこの場を去つたがよからう。見当の取れぬこの方の言葉、コヽヽヽここな腰抜け共、殺されぬ間にこの場を立去れ、こはい目に遇はぬ内に心を直して、この方の言ひ条につくか、執拗う聞かねばこの方も耐へ袋がきれるぞよ。米喰虫の製糞器奴。ワハヽヽヽ』
熊公『カヽヽ神の使の宣伝使に向つて無礼千万な、覚悟を致せ、体も骨も改心致さねば、グダグダにして遣らうか。キヽヽ気を取り直しキツパリと改心致せばよし、きかぬに於ては宣伝歌を歌はうか、クヽヽ暗い穴にすつ込んで、訳も判らぬ苦情を並べ、苦し紛れの捨てぜりふ、その手は食はぬ、熊公の身魂の光を知らざるか、ケヽヽ怪しからぬ悪逆無道の大蛇の再来、コヽヽここで会うたは優曇華の、花咲く春の熊公が手柄の現はれ口、最早かなはぬ、降参するか、返答は、コラ、どうぢや』
 巌窟の中より、
『サヽヽヽ騒がしいワイ、囀るな、酒を飲め飲め、飲んだら酔へよ、酔うたら踊れ。逆とんぶりになつて踊つて狂へ、扨も扨も酒ほど甘いものはない、酒の味を知らぬ猿智慧の熊公の世迷ごと、坂から車を下すやうに、この谷底へころげ落してやらうか。シヽヽヽ執拗い奴ぢや、しぶとい奴ぢや、しがんだ面して芝生の上に、ほつとけぼりを食はされて、吠面かわいた志芸山津見とは片腹痛い。スヽヽヽ速かに、この方の申す事を聞けばよし、すつた捩じつた理屈をこねると、簀巻に致して谷底へ投り込んでやらうか、セヽヽヽ雪隠虫奴が。宣伝使なんぞと下らぬ屁理屈を言つて廻る馬鹿人足。ソヽヽヽそれでも貴様は神の使か、底抜けの馬鹿とはその方の事だ。そのしやつ面でどうして宣伝使が勤まらうか、そこ退け、そこ退け、この方の邪魔になるワイ』
虎公『サヽヽ逆言ばかり囀る悪神、さあもう容赦はならぬ。シヽヽ志芸山津見が言霊の威力によつて、汝が身魂を縛つて呉れむ。死ぬるか生きるか、二つに一つの大峠、スヽヽヽ速かに返答いたせ。セヽヽ背中に腹は代へられよまい。宣伝使の吾々に兜を脱ぐか、降参するか、ソヽヽそれでもまだ往生いたさぬか、改心せぬか』
 巌窟の中より、
『タヽヽヽ誑け者、叩き潰して食うて了はうか、鼻高神の宣伝使、チヽヽヽちつとばかり改心が出来たと申して、この方様に意見がましい知識の足らぬ大馬鹿者、一寸は胸に手をあてて見よ。ツヽヽヽ捕へ処のない事を吐いて歩く、罪の深い両人共、掴み潰してやらうかい。強さうに言つても、貴様の胸はドキドキして居らうがな、テヽヽヽ天にも地にも俺一人が宣伝使だと言はぬばかりのその面つき、多勢の中で面を剥れてテレクサイことはないか。てるの国から遥々出て来て、扨もさても馬鹿な奴だ。トヽヽヽ虎公のトボケ面、熊公の心の暗い俄改心、迚も迚も衆生済度は六つかしからう』
熊公『ナヽヽ何を吐きよるのだ。タヽヽ他愛もないこと、立板に水を流すやうに、よくも囀る狸の親玉、誰にそんな事教へて貰ひよつたのだ。誑け者。チヽヽ一寸は貴様も考へて見よ。ツヽヽ詰らぬ理窟を並べよつて、テヽヽ手柄さうにトボケきつたことを吐しやがるな』
 巌窟の中より、「ウヽヽヽワーワー」と大音響ひびき来る。
(大正一一・二・一五 旧一・一九 東尾吉雄録)
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【霊界物語誕生百周年】
大正10年(1921年)10月18日に王仁三郎が霊界物語の著述を開始してから
令和3年(2021年)10月18日で百年目を迎えます。
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