松・竹・梅の宣伝使は、間の国を立ち出でて、目の国を宣伝しながら、常世の国へ向かって北上していた。
川田の町の十字街で、ばったりと淤縢山津見に出くわした。一同は森の中に行って休息し、そこでこれまでの宣伝の旅について話をしようということになった。
すると、騒々しい物音が聞こえてきた。見ると、宣伝歌を歌う人物が、数百人に取り囲まれている。三姉妹と淤縢山津見は、群集に紛れて様子を見ると、一人の男が小高い巌の上に立って、説教をしている。
群集の中から色黒の大男が現れて、常世城の牛雲別と名乗ると、宣伝使に降伏しろ、と怒鳴りつけた。
宣伝使は牛雲別を上回る大声で、ウラル教徒をしかりつけ、三五教への改心を迫った。その言霊に、牛雲別の手下らは肝をひしがれて、しゃがみこんでしまった。
牛雲別が宣伝使に打ってかかると、宣伝使はひらりとかわして、牛雲別の足をさらえた。牛雲別はもんどりうって倒れてしまった。群集の中から、蟹雲別と名乗るもう一人が宣伝使に打ちかかると、宣伝使は蟹雲別をひっつかんで、牛雲別の上に吊り下げてしまった。