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文献名1霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻
文献名2第2篇 天岩戸開(二)よみ(新仮名遣い)あまのいわとびらき(二)
文献名3第16章 国武丸〔512〕よみ(新仮名遣い)くにたけまる
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-12 00:45:34
あらすじ呉の海を、国武丸が進んで行く。船中の客たちは四方山話にふけっている。甲は世の中の混乱を嘆いて神の存在を疑うが、乙は神様と人間は持ちつ持たれつだから、人間も心をしっかり持たねばならない、と論じる。また、この呉の海は昔は玉の井の湖で、大自在天配下の鬼神と竜神の戦いの際に、二つに分かれて呉の海と琵琶の湖になったのだ、と語った。人間の悪が栄えたので、竜神たちは海の底の竜宮に姿を隠してしまったのだ、と説く。そして、人間の鏡が曇っていると、神様が神力を映そうと思っても、映る道がないのだ、と戒める。話しているうちに、ものすごい風が起こって、国武丸はあわや沈没という状態に陥ってしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月10日(旧02月12日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年9月30日 愛善世界社版135頁 八幡書店版第2輯 675頁 修補版 校定版142頁 普及版58頁 初版 ページ備考
OBC rm1216
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本文  天に月日の光なく、地に村雲ふさがりて、奇しき神代も呉の海、国武丸に帆を揚げて水夫の操る櫂の音は、波に蛇紋を画きつつ、コーカス山の麓を指して進み行く。
 風も無く、油を流したやうな静かな、淋みのある海面を船脚遅く、波掻き分けて北東指して進む。此の海上に漂ふこと旬日、数十人の船客は四方山の話に耽り居るのみ。
甲『斯う毎日日日天は曇り、地は言ふに言はれぬ鼻もむしられるやうな臭気がして来る。若い者の頭までが白髪になる。年も寄らぬに禿頭が彼方にも此方にも殖ゑて来る。五穀は実らず、果物は熟せず、病気は起る、獅子や、虎や、狼や大蛇は所々に現はれて人を害する、困つた世の中になつたものだナア。斯うなつて来ると人間も弱いものだ。吾々を救ふ誠の神様が果して世の中に御一柱でもあるとすれば、斯んな世の中を一日も早く立替へて下さりさうなものだな』
乙『それや神様は屹度有るよ。誠の神様は広い世界に唯一柱より無いのだ。何程偉い神さまだとて一柱では、さう隅から隅まで手が廻りさうなことは無いぢやないか。神様が一方で救け持て往かつしやる後から、又悪魔がドンドンと魅入つて往くのだから仕方が無い。各自に心得て魂を研くより仕様がないわ。さう神さまばかりに凭れて居つても自分から改心せなくては、神様がお出になつても、アー斯んな穢れた奴は屑の方に入れてやれと云つて、屑籠の中へ投り込まれて了ふかも知れない。他力信神も結構だが、他力の中に自力信神が無ければならぬよ』
丙『自力で救かるのなれば別に神様は無くても好いぢやないか』
乙『自力の中に他力が有り、他力の中に自力が有る。神様と人間とは持つ持れつ呼吸が合ねば、御神徳は現はれて来ぬのだ。人間は神様に救けられて世の中に活躍し、神は人間に敬はれて御神徳を現はし給ふのだ。毎日手を束ねて他力ばかりを待つて居た所でさう易々と棚から牡丹餅が落ちて来る様な訳には行かない。人間は尽す可き道を尽し、心を尽し、身を尽し、もう是で自分の力の尽しやうが無いと云ふ所まで行つたとこで、神様が力を添へて下さるのだ。偸安姑息自分許り為べき事もせず楽な方へ楽な方へと、身勝手なことばかり考へて居る奴に、神さまだつてナニ護つて下さるものか。これ丈け世の中が曇つて来たのも、みんな神様の所行ぢやない。吾々人間の心得が悪いからだ。互に憎み、妬み、怨み、譏り、怒り、呪ひ、瞋恚の焔を燃して悪魔道のやうに、優勝劣敗、弱肉強食の悪心悪行が天地を包むで、自然に斯んな日月の光も見えぬ暗黒界が現はれたのだ。詮り人間の口から吹く邪気が凝つたのだよ。何うしても是は善言美詞の言霊を以て直日に見直し聞き直し宣り直し天津神言の伊吹きに依て、この天地の妖雲を払ひ清めねば、天日の光を仰ぐことは何時までも出来ぬ。雨も降らず、風も無し、地上に邪気は蔓延する。一体お前たちは此の世界は何うなると思つてゐるのか』
甲『何うなるつたつて、何うも仕方が無いぢやないか。一人や二人の言霊を清くした所で大海の一滴、何の役に立つものか。神様でさへも御一柱で手が廻らぬのに、况して人間の分際で一人や、半分、何程清い言霊を使つた所で何の足にもなりはせぬぢやないか』
乙『人間は神様の容器だ。神様が人間の身体に入つて下さらば、その身魂は日月の如く輝いて、斯んな暗黒な世の中でも薩張すつかりと浄まつて了ふのだが、何を言つても吾々の肉体には醜の曲津が巣を組んで居るから、神様が入つて下さる隙が無いのだよ。一日も早く心の曲津を投り出して、真如の日月を心の天に輝かすやうにならなくては駄目だ。塵芥の溜つた座敷には、貴いお客さんは据ゑることは出来ない。マアマア身魂の掃除が一等だな』
甲『この呉の海には大変な竜神さまが、この頃現はれたと云ふことだよ。その竜神が現はれた風評の立つた頃から、斯うして天地が真暗気になつたぢやないか』
乙『勿体ないことを云ふな。この呉の海は、昔は玉の井の湖と云ふ水晶の湖水があつて、そこに沢山の諸善竜神様がお住居をしてござつたのだ。その時代は此辺りは世界の楽土と言はれた所であつたが、その玉の井の湖を占領せむとして、大自在天の部下なる牛雲別、蟹雲別と云ふ悪神が、攻めよせ来たり、竜神さまと鬼神との戦ひがあつて、その時に玉の井の湖水は天へ舞ひ上り、二つに分れて出来たのがこの呉の海と、琵琶の湖だよ。さう云ふ因縁の有る此の海に何うして悪神さまが住居を為さるものかい。余り人間が悪賢うなつて悪が盛んになつたが為に、地上の諸善神は残らず天へ昇られ、竜神さまは何れも海の底、即ち竜宮の底へ、身を潜め給うたのだ。この地上には、誠の神様はみんな愛想をつかし見捨てて或は天に昇り、或は海の底に入らるるやうになつたものだから、恐い者無しの悪魔が横行濶歩するやうになつたのだよ』
甲『神様は全能ぢやとか、愛だとか言ふぢやないか。真に吾々を愛し給ふならば、何故飽迄も保護をして下さらぬのだ。斯うなつて見ると神の慈愛も疑はざるを得ぬではないか。要するに神と云ふものは美しい、綺麗なばかりで実力の無いものと見える。心穢き悪魔の跋扈に耐へ兼ねて天へ避けたり、海の底へ隠れるとは、なんと神様も不甲斐無いものだナア。吾々人間でさへも斯うして地上に依然と辛抱してゐるぢやないか』
乙『莫迦を云ふな。「人盛なれば天に勝ち、天定まつて人を制す」と曰ふことがある。何程神様が人間を照してやらうと思召しても、鏡が曇つて居るから神様の御神力が映る途が無いのだ。濁つた泥の池には清き月の影は映らぬ。曇つた鏡には姿は映らない、神様は清浄潔白、光だから斯う云ふ汚い人間には御うつりなさらうと思つてもうつることが出来ないのだよ』
甲『其処が神さまぢやないか。吾々の魂が曇つて居れば、何とかして勝手に磨いて、うつればよささうなものぢやないか。魂を研け、磨いた者には、うつつてやらう、護つてやらう、救けてやらう、磨けぬ者には、うつらぬ、護つてはやらぬ、救けぬと云ふのでは別に吾々と異つたことは無いぢやないか。吾々でも色の白い、年の若い、綺麗な別嬪には不知不識に目がうつり、心がうつり、気分がよくなるし、穢いお多福面の色の黒い、どて南瓜のやうな奴には、何となしに心持が悪くつて、そよそよと吹いて来る風も厭と云ふやうな気になる。其処が人間の心だ。仕方が無いが世界の人民は皆我が児だと仰有る神の親心から見たなれば、極道の児や不具の児は、親の心としてなほ可愛がつて呉れさうなものぢやないか。之を考へると余程吾々の方が慈悲心が深いやうだワイ』
乙『よう理窟を云ふ奴だな。神界の事は人間界の理窟で解るものかい。至大無外、至小無内、千変万化の神様の御働き、そんな人間を標準としての屁理窟を言つたつて、神様の大慈大悲の大御心が解るものかい。各自に身魂を研くが一等だ』
甲『さうすると此の海にござる竜神さまは、善の神と云ふのか。善の神なら一寸姿を現はして吾々に安心をさして下さつてもよかりさうなものだのにナア』
乙『何時でも現はして下さるよ。斯んなことは神様の自由自在だ。併し乍ら吾々のやうな穢苦しい身魂の人間が、竜神さまの頭の上を斯うして船に乗つて穢して渡つて居るのだから、何とも知れないよ。マゴマゴすると大変な御立腹を受けて荒波が立つて、船と一緒に竜宮行きをせにやならぬかも分らぬぞよ』
甲『たとへ船がひつくりかへつても、竜宮へ往けるならば結構ぢやないか。神様ばかり清らかな天や、海の底へ入つて地上の人間を斯んな悪魔の中に放つたらかして置くとは、ちつと量見が解り兼る。竜宮へ遣つて貰つて俺は一つ神様と談判をして地上の人間を守つて貰ふやうにしたいのだ』
乙『何程結構な竜宮へ往つた所で、自分の心の鏡が曇つて居れば、美しいことはないわ、鬼や、大蛇や、醜女、探女が四方八方から取囲むで苦しめに来るだけのものだよ。心相応に神様は現はれ給ふのだ。そこが千変万化の神の御働きだよ』
 斯く話す折しも俄に一陣の颶風颯と吹き起つて船をキリキリ廻し、山岳の如き浪を立て数十人の生命を乗せたる国武丸は、今や海中に没せむとするの光景とはなりにける。
(大正一一・三・一〇 旧二・一二 外山豊二録)
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