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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第1篇 勝利光栄よみ(新仮名遣い)しょうりこうえい
文献名3第3章 波の音〔529〕よみ(新仮名遣い)なみのおと
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-26 16:44:15
あらすじ
またしても船が暴風に襲われ、岩彦は仲間から、お前が改心しないから神の戒めにあうのだ、と責められる。

しかしいよいよもうだめだというときに、一同は変な刹那心を発揮して逆に勇気を奮い、日の出別宣伝使に対抗しようと、しどろもどろにウラル教の宣伝歌を歌い始めた。

そうするうちに船は暴風に流されて波斯の海岸のタルの港に着いた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月16日(旧02月18日) 口述場所 筆録者藤津久子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版46頁 八幡書店版第3輯 48頁 修補版 校定版47頁 普及版18頁 初版 ページ備考
OBC rm1303
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本文  颶風は忽ち西北に変じ、鶴山丸は逆流して再び元来し海路に漂ひにける。
 猛り狂ふ飛沫に、寿司詰になつた船中の人々は頭上より塩水を浴び、誕生の釈迦像の様になつて了つた。ウラル教の宣伝使、音彦は猛り狂ふ海を眺めて、
『それ見ろ、岩公が偉さうに大将面を振り廻し頑張るものだから、再び天道様の御機嫌を損ねて二度驚愕しやつくりな目に合ふのだよ。貴様の改心が足らぬから皆の者が御招伴をさされるのだ。御馳走の御招伴なら宜いが命からがら此通り、何時船は奈落の底に落ち込むか分らない危急存亡のこの場合だ。はやく改心して日の出別命にお詫をせい。時化の景物に頭から塩水を浴びせられて、辛い目に合つて苦しむのは貴様計りぢやない、一同の迷惑だよ』
岩彦『改心せいと云つた処でこの頃は手元不如意で改心の原料が無いのだ。何うなるも斯うなるも船のまにまに行く処まで行かな仕方がないわ』
音彦『音に名高い、波斯の荒海だ。都合よく何れの湊かに漂着すれば宜いが、海底の竜宮へでもやられて見よ、何うする事も出来やしない』
岩彦『ソンナ取越苦労はすな。寸善尺魔、この瞬間が吾々の自由意志を発揮する時だ。一尺先の事が分るものか。それだからウラル教の宣伝歌に「一寸先は闇よ」と云ふのだ。
  「波よ騒げよ一寸先は闇よ、波の中から月が出る」
と云ふのだ。たとへ船が沈没して竜宮へ行つた処で淤縢山津見の様に暫らく雌伏して居ると、待てば海路の風が吹く、そこへ日の出神が現はれて、吾々を助けて呉れると云ふ段取だ。莫迦らしい、日の出別なんてソンナ偽者にこの尊い頭を安売して堪るかい』
梅彦『オイオイ岩彦、お前がさう頑張る為に一同の迷惑だ。現当利益を現はした日の出別の宣伝使に兜を脱いで、今一度助けて貰つたら何うだ』
岩彦『三五教の宣伝歌ぢやないが、
  「たとへ大地は沈むとも 誠の力は世を救ふ」
吾々はウラル教の宣伝使となつて誠一つを立て通して来たものだ。たとヘウラル教が善にせよ悪にせよ、白鷺の子は白い、烏の子は黒いと定まつて居る。ウラル教が烏なら烏で宜い。身魂の因縁に依つて、烏に生れた者だから遽に白鷺にならうたつて、なれさうな事はない。下らぬ心配するよりも、宣伝歌でも歌つた方がよからう』
音彦『いくら云つてもこの大将は駄目だ。エヽ仕方がない。一寸先は闇だから心残りのない様に持合せの酒でも飲んだらどうだい』
亀彦『下地は好きなり、御意は良し。何も彼も忘れる為めに酒でも沢山飲んで新規蒔直しの管でも巻かうかい』
音彦『アヽアヽ五月蝿奴だナア。之丈けものの解らぬ宣伝使では竜宮の一つ島でも言向け和せないのは道理だ』
岩彦『貴様は落着きのない奴だ。これ位の時化が恐くてどうして天下の宣伝使が勤まらうかい』
梅彦『貴様でも勤まつたと思ふか。頻りに作戦の領分を拡張する計りで、腮の先計りで吾々を指揮したつて罰は目の前、頭が廻らな尾が廻らぬと云ふ事がある。よく考へて見よ。帰つて盤古神王にお目玉を頂戴するより此処で直に、日の出別命に謝罪つて助かる方が利巧なやり方だぞ』
とウラル教の宣伝使一行は、大恐怖落胆の御面相、ザツト半打斗りも陳列して居る。風は益々激しくなつて来た。船頭は声を張り上げて、
船頭『オイオイ皆のお客たち、最う駄目だぞ。用意をなされ』
岩彦『オイ船頭、用意をなされと云つたつて何を用意するのだい』
船頭『叶はぬ時の神頼みだ。この風に向つて負けず劣らず言霊を発射するのだよ。サアサア俺の後に付いて力一杯呶鳴るのだ』
と云ひながら、船頭は櫂や艪の手を止めて、臍下丹田に息を詰め、
『アー、オー、ウー、エー、イー、』
と呶鳴り出したれば、船客一同は怖さに震ひながら声を揃へてアヽオヽウヽエヽイヽと複数的に言霊を発射するのであつた。岩彦は盥伏せに合つた泥棒猫の様な狡猾な面を薄暗い闇に曝して目玉をギヨロギヨロさせ何となく不安の面色にて手足をヂタバタさせて居る。
音彦『オイ大将、その狼狽へ加減は何だ。強さうな事を云つても、矢張まさかの時になれば弱い者だなア』
岩彦『斯うなつては吾々の刹那の権利と云ふものは只煩悶苦悩の自由を有するのみだ。自分の権利を充分自由に発揮して居るのに、貴様が干渉する権利があるか。オイ貴様等モウ駄目だ、俺は覚悟がある。たとへ海の藻屑になるとも三五教には降伏せない。よく考へて見よ、鶴山丸が沈没すれば、三五教の日の出別も矢張共に溺死する丈けの可能性は充分に具備して居るのだよ。放つとけ放つとけ。自分が怖かつたら神様に願つて波風を止めるだらう。吾々はその景物をソツト占領すればよいのだ』
梅彦『さうだな。船が沈没すれば三五教の宣伝使も沈没せずには居るまい。貴様の今云つた言葉は真に天来の妙音だ』
岩彦『何を云つた処で仕方が無い。空を仰いで見よ、真黒けな顔をして今にも泣き出しさうな暗澹至極の御面相だ。世の終りと云ふものは、天の力も如何共する事が出来ないと見える。船頭の奴、吾々にまで言霊の発射を強圧的に勧めよつて、発言機関を虐使するものだから言霊の停電を来して声も何もかすれて了つた。折角胃の腑に格納して置いた酒迄が逆流して、八百屋店を開店する。本当にこれくらゐ雑閙を極めた事はありやしない。貴様等ソレ船が沈むとか、死ぬとか、弱音を吹きよつたが何うだい、時節と云ふものは偉いものだらう。風の神、余程弱つたと見えて沈黙しかけたぢやないか。モウ心配するな。さしもに猛き荒の神も「ヤア長々お気を揉ませました、ウラル教の宣伝使様、また御縁があつたら陸上でお目に掛りませう、アリヨース」と云つて、尻に帆かけて、スタコラヨイヤサと、アーメニヤの都をさして予定の御退却だ。何うだ俺の刹那心には閉口しただらう』
亀彦『さうだ、余りの偉い時化で咫尺暗澹、吾身の進路を誤つて居たが、最う斯うなる上は何を苦しむで三五教に降伏する必要があるか。すんでの事で鶴山丸が大タンクになる処だつた。サア皆の奴勇気を鼓して、こちらは六人向ふは一人だ。宣伝歌を歌つてやらうかい。今の風ぢやないが、吹いて吹いて吹き廻し、三五教の宣伝使の胆玉を転宅させるのだよ。風力七十五メートルの勢いでナ』
一同は、
『面白い面白い』
と喉元過ぐれば熱さ忘れるとかや、妙な処へ刹那心を発揮して声調も整はぬ複数的のシドロモドロの宣伝歌を歌ひ始めたり。
『波よ騒げよ一寸先や闇よ  闇の後には月が出る
 月は月ぢやが盃ぢや  飲んで酔へ酔へ酔うたら踊れ
 酔へと云つても船には酔ふな  踊れと云つても波の奴
 船のかへる様な踊りをするな  アンナ悪戯ちよこちよこやると
 俺等の胸迄踊り出す  飲めよ飲め飲め心地よく飲めよ
 飲めと云つても船ではないぞ  日の出の別の宣伝使を
 波の鬘ふり立てて  グツト一口飲んで了へ
 俺はウラル教の宣伝使  仮令大地は暗くとも
 命の親の酒飲めば  顔の色まで赤くなる
 曇つた顔して天道様  難かし顔して睨むより
 飲めば栄えるこの酒を  一寸一杯食召せ
 酒と女は世の宝  酒でなければ夜が明けぬ
 酒でなければ夜が明けぬ  酒から日が出る月が出る
 酒から日が出る月が出る』
とシドロモドロの歌を歌ひ宣伝歌を潰して了つた。
 斯くする中、船は漸く波斯の海岸タルの湊に安着したりける。
(大正一一・三・一六 旧二・一八 藤津久子録)
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