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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第1篇 勝利光栄よみ(新仮名遣い)しょうりこうえい
文献名3第6章 逆転〔532〕よみ(新仮名遣い)ぎゃくてん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-26 16:51:41
あらすじ
シヅの森で鷹彦に降参した五人のウラル教の宣伝使たちのもとに、どこからともなく改心を促す宣伝歌が聞こえてきた。

宣伝歌は、ウラル教の宣伝使たちに、お前たちも神の子神の宮であり、この世を作りし大神はただ一柱いますのみである、本津御神を振り捨てて枝葉の神を敬うことをするな、と戒めていた。

宣伝歌の主は、日の出別命であった。鷹彦は名乗りを上げて挨拶をする。日の出別命は五人の改心の任を、鷹彦に任せた。

鷹彦は一同の中でもっとも頑固な岩彦を降参させた。これ以降、一行は日の出別命の信者となり、フサの都に宣伝歌を歌いながら進んで行くことになる。
主な人物 舞台シヅの森 口述日1922(大正11)年03月16日(旧02月18日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版75頁 八幡書店版第3輯 59頁 修補版 校定版76頁 普及版32頁 初版 ページ備考
OBC rm1306
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本文の文字数1980
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本文 『朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 曲津の神は荒ぶとも  黄泉ムの島沈むとも
 誠の神は世を救ふ  神が表に現はれて
 善と悪とを立別ける  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  唯何事も人の世は
 直日に見直せ聞直せ  世の過ちは宣り直せ
 三五教の宣伝使  日の出の別と現はれて
 ウラルの山に隠れたる  魔神の砦を言向けて
 神の教を伝へつつ  又もや進むアーメニヤ
 美山の彦や国照姫の  醜の魔神の曲業を
 誠一つの言霊に  言向和はす神司
 ペルシヤの海を乗り越えて  タルの港に上陸し
 駒に跨り静々と  進みて来るシヅの森
 森の木蔭に立寄りて  疲れを休むる折もあれ
 俄に聞ゆる人の声  耳を済ませばこは如何に
 ウラルの神の御教を  四方に伝ふる宣伝使
 岩彦梅彦亀彦や  駒彦音彦鷹彦の
 訳も分らぬ同志打ち  打ち寛ろぎて聞き居れば
 狗に腐肉を見せし如  言騒がしくさやぎつつ
 打つ蹴る擲る泣くわめく  名に負ふシヅの此の森も
 さやぎの森となりにけり  ウラルの神の宣伝使
 汝も神の子神の宮  此世を造りし大神は
 唯一柱ゐますのみ  本津御神を振り捨てて
 枝葉の神を敬ひつ  世を紊し行く曲神の
 報いは忽ち目のあたり  神素盞嗚の大神の
 御稜威の風に払はれて  ウラルの山やアーメニヤ
 堅磐常磐の住処ぞと  仕へ奉りし鉄条網
 木葉微塵となりはてて  今は果敢なき夢の跡
 美山の彦や国照姫の  醜の魔神の細々と
 苦節を守る憐れさよ  高天原も国土も
 曇り果てたる今の世は  ウラルの教も世の末ぞ
 一日も早く片時も  疾く速けく改めて
 醜の曲言宣り直し  栄え目出度き三五の
 神の教に真心を  捧げて祈れ六の人
 世は紫陽花の七変り  八洲の国は十重二十重
 雲霧四方に塞がりて  とく由も無き常夜国
 汝が身に受けし村肝の  心の魂を逸早く
 天の真澄の御鏡と  研き澄まして神直日
 清き身魂に立替よ  われは日の出の宣伝使
 天津御空の日の神の  御言畏み葦原の
 瑞穂の国に降りたる  神の依さしの厳身魂
 瑞の身魂の現れませる  コーカス山に進むなり
 誠の神に刄向ひて  栄えし例し昔より
 今に至るもあら波の  闇の海路を渡る如
 その危さは限りなし  限りも知らぬ大神の
 深き恵みを悦びて  仕へ奉れよ三五の
 神の教の道芝に  神の教の道芝に』
と歌ふ声に、一同は雷に打たれし如き心地して、大地にドツと平伏し、息を殺して控へゐる。
鷹彦『アヽ何れの方かと思へば、今日船中にてお目にかかつた日の出別の宣伝使様、われは元来は三五教の宣伝使鷹彦と申すもの、ウラル教の宣伝使となりすまし、彼等が悪計の秘密を探り、此処まで帰り来りしもの、今や五人の宣伝使に包囲攻撃を受け、前後左右に体を躱し、三五教の教理を聴聞させむと心胆を砕きし折、思ひがけ無き貴使の宣伝歌、アヽ有り難しありがたし。われも是より貴使のお供仕り、コーカス山にお送り申さむ。どうぞ此儀お許し下さいませ』
と声をしるべに物語るを、日の出別は、
『ホーその方は予て噂に聞きし鷹彦なりしか。よい所で逢ひけるよ。それにしてもこの五人の宣伝使を言向け和さねば、吾々の任務を果すことが出来ない』
鷹彦『イヤご心配はご無用です。三年ぶり此の男等と寝食を共にし、彼等が心理状態を確り承知致し居れば、余り心配せずとも帰順させることは容易の業だと思ひます。どうか此の五人は私にお任せ下さいませ』
 日の出別は言外に承知の旨を面色にて示しゐる。
鷹彦『サア、岩彦、貴様一人は最も難物だ。貴様さへ改心をすれば他の連中は、最早九分九厘まで帰順してゐるやうなものだ。何うだ、三五教に帰順するか』
岩彦『アー仕方が無い。また神の道の逆転旅行だ。時あつて親子主従敵となり、味方となるも世の習ひ、是非に及ばず降伏いたさうかい』
鷹彦『そりや本当か』
岩彦『本刀でなうて何としよう、真剣だ、正宗の銘刀だ』
鷹彦『モウ少し早く改心すれば好いものを、トコトンまで頑張りよつて、ドン後で往生するとは余りみつとも良く無い。しかし乍ら改心せぬより優だ。軈てまた夜が明けるだらう、改心の褒美として、悠々安眠させてやらう。また明日は一生懸命てくつかねばならぬから』
岩彦『イヤもう寝るどころでも、何どころでもない。心の中の天変地妖だ。地震、雷、火の雨に逢うたよりも、きつい脅威だ』
鷹彦『アーさうだらう。其処を決心するのが誠の道を歩む宣伝使の態度だ』
 斯く話す折しも十重二十重に包まれし月は、フサの海の彼方に影を顕はし、皎々たる光を此の森に斜に投げた。
 又もや一同の顔は、ほのかに判別することが出来るやうになつて来た。これよりウラル教の宣伝使は、日の出別命の信者と急転し、夜明けを待つてフサの都に宣伝歌を歌ひ乍ら進み行く事となりける。
(大正一一・三・一六 旧二・一八 外山豊二録)
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