日の出別命の出現で元気付いた岩彦は、女に降伏を迫る。女は、岩彦に降伏したような口ぶりをし、日の出別命には、岩彦はデモ宣伝使だから係わり合いにならないように、と言うと、すっと煙のように消えてしまった。
岩彦は、やはり妖怪変化であったかと威張っている。すると、外でガクリと異様な音がした。女は小窓の外から中をのぞき、岩窟の中にずっと居て修行をしなさい、と言う。そして、日の出別命と一緒にどこかへ行ってしまった。
鷹彦は神変不可思議の術を使って、小さい鷹となって小窓から外に出ることができた。岩彦は鷹彦に助けを求めるが、鷹彦は薄情な物言いをして、岩彦をからかっている。しかし岩彦もそれに強気で返している。
鷹彦は岩窟の扉を開けた。勢い余って岩の部屋の中に転げ込んだすきに、五人はさっさと外へ出て、扉を閉めてしまった。今度は五人で鷹彦をからかっているが、鷹彦はまたもや術を使って小窓から抜け出してしまった。
鷹彦は、岩彦がしょうもないことばかり言うから、日の出別命に置いてけぼりをくったのだ、と小言を言った。一同は日の出別命を追って駆け出した。
またもや大きな岩壁につきあたった。岩壁には、広い階段が上に彫ってあり、また細い道が続いている。どちらを行ったらよいかで、議論になった。亀彦一人が、暗くても細い道を行こうと言い、残りの五人は上の広い階段を登って行った。
亀彦は一人暗い低い道を進んで行くと、上から、広い道を行ったはずの五人が落ちてきて、井戸に落ち込んでしまった。亀彦と岩彦はこっけいな問答をするが、そのうちに井戸に落ちた五人は石段を登って上がってきた。
このとき、前方から怪しい宣伝歌が聞こえてきた。