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文献名1霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
文献名2第1篇 五里夢中よみ(新仮名遣い)ごりむちゅう
文献名3第5章 風馬牛〔555〕よみ(新仮名遣い)ふうばぎゅう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-12-19 01:42:31
あらすじ三人は裸馬にまたがって小鹿峠の急坂を登っていった。弥次彦は馬と喧嘩を始めた。そして馬によってさんざんな目に会わされて戒められる。最後に馬は、自分は木花姫の分霊の罵倒観音だ、と洒落ると、姿が消えてしまう。弥次彦は、馬はどこへ行ったのか、と与太彦、六に尋ねるが、二人は最初から馬などいない、と不思議がる。今度は牛の群れが三人の方にやってきた。弥次彦は馬で懲りてもう乗ろうとしないが、与太彦と六は、楽をしようと牛に乗って、背から落ちた。と思った瞬間、それは与太彦と六の夢であった。弥次彦は二人をからかう。そのとき、山岳が崩れるばかりの音が響いてきた。何事かと驚いて三人は目を覚ました。気がつけば、三人は小鹿峠の道端で居眠りをしていたのであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月23日(旧02月25日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年11月15日 愛善世界社版83頁 八幡書店版第3輯 187頁 修補版 校定版87頁 普及版39頁 初版 ページ備考
OBC rm1405
本文のヒット件数全 4 件/小鹿峠=4
本文の文字数4626
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本文  三人は駻馬に跨り放屁の砲撃を受けながら小鹿峠の急阪を一目散に登り行く。
弥『長鞭馬腹に及ばずだ、エー邪魔臭い、鞭は無用だ』
と馬上より惜し気もなく鞭を投げ捨てた。
馬『無智な奴の、人三化七に鞭の必要があるものかい、牛飲馬食の大将奴、もう此処らで一つ直立してやらうかい』
弥『馬公の奴、減らず口をたたくな。古今無双の乗馬の達人、弥次彦サンを知らないか、愚図々々吐すと胴腹を締めて息を止めてやらうか』
馬『ヒヽヽヽヽヒンヒン、可笑しい哩、蚊の一匹も留つたやうな感覚も起らぬワ、狐の容器奴が』
弥『オイ、畜生、口が過ぎるぞ。主人に向つて無礼であらうぞ』
馬『ヒヽヽヽヽヒン、美ん事仰有る哩、轡も嵌めずに馬に乗る奴があるかい、余程いい頓馬だな』
弥『頓馬とは貴様の事だよ』
馬『弥次彦の馬鹿者奴、お竹の宿で小便を飲まされよつて、此奴は馬の小便ぢや無からうかと馬首を傾けて思案した時の可笑しさ、屁馬ばつかりやる奴だな。それだから馬抜野郎と言ふのだ』
弥『エー、能く囀る頓馬野郎だ、轡は無し一寸困つたな』
馬『轡が無けりや乗るない、貴様は木馬で結構だ。何でも今の奴は金の轡さへ嵌めさへすれば温柔しくなるのだよ、如何だ、金を持つとるかい』
弥『俺も貴様のやうな頓馬だから此頃は手許不如意でヒンヒン(貧々)だ。オイ与太彦、貴様の馬は如何だ』
与『乗心地が良いワ。女偏に馬の字に跨つた様な気分だよ』
弥『エー仕方が無いワ、コンナジヤジヤ馬に乗り合したのが災難だ。オイ六サン、お前は如何だい』
六『俺もチヨボチヨボだ、乗心地が良いよ、何とも言へぬ良い気持だ。丁度金竜、銀竜に乗つとる様な股倉加減だよ』
弥『エー、異馬々々しい、貧乏籤を抽いたものだワイ』
馬『オイ弥次サン、お前は弥次馬だから仕方が無いよ。マア馬の俺の背中から空中滑走をやつて着陸して頭をポカンと割つて、ま一遍十万億土へ行つて来い、さうすれば立派な馬に乗れまいものでも無いワ』
弥『エー、能う口答をする馬鹿野郎だナア』
 馬、鬘を振り立て目を瞋らし口を開けてガブツと腕を噛みかけやうとする。
弥『コラ、何をしやがるのだい、ジヤジヤ馬奴が、貴様等に噛まれて堪るかい』
馬『直立しやうか、貴様は四足の容器だから一遍ぐらゐ人間らしう直立した馬に乗つて見るも良からう』
弥『コラ、馬は馬らしうせぬかい、四足が立つて歩くといふことは天則違反だぞ』
馬『ヒンヒンヒン、それは貴様の事だ。四足身魂が偉相に、立つて歩くのが何が不思議だい、ヒンヒンヒン』
弥『エー仕様の無い奴だ、もう暇を遣はす、これから親ゆづりの膝栗毛に乗つて歩かうかい、胴柄ばかり大きくて、屁ばつかり達者な頓馬野郎奴、止まれ止まれ、下りてやらう』
馬『下さぬぞ下さぬぞ、下す所が違ふワ。も少し待つて居れ、この先に大変な断巌絶壁があつて、谷底には猿捉茨が一面生えてゐる、そこまで行つて下してやらぬと根つから興味が薄い哩』
弥『此奴は聊か迷惑千万馬の、閉口頓首ぢや』
馬『今に閉口頓死だよ』
弥『何を吐しやがるのだ、落すなら落して見よ。貴様の鬘に喰ひついて居るから貴様も一所に猿捉茨の中に埋没だ。死んだ馬につけたら能う動かぬほど、其処になつたらドツサリと賃銀をはりこんで与る哩』
馬『サア之からだ、一ン二ン三ンツ』
弥『コラ、暴れるな、静にせないかい、俺は貴様が暴れると喰ひついて血を吸ふてやるぞ、それでも可いかエーン』
馬『何だか、チツポイ人間だと思つたら貴様は蚤の如うな奴だ。馬偏に蚤といふ奴は騒ぐに定つてる。ヨシ之から一騒ぎだ、覚悟せい』
弥『もう仕方が無い、馬上悠かに此世の名残りに飲食でもやらうかい。馬よ騒げよ、一寸先や闇だ、蚤が食ひついて飲食だ、これが牛飲馬食だ、チツト噛つて遣らうかい』
馬『ヒンヒンヒン、貧相な奴だな、品格の悪い』
弥『何だ、宣伝使の人格を品等すると言ふ事が畜生の分際としてあるものかい』
馬『ヤア、もう斯うなつたら破れかぶれだ、ジヤジヤ馬だ』
と言ふより早く鬘を震つて直立し、前後左右に二三間ばかり空中に跳び上り狂ひ廻るにぞ、
弥『コラコラ静にせないか、目が廻るわい、目どころか、山も道もみんな廻り出したワイ、ジヤイロコンパスの様に、そこらが廻転し出した哩、いい加減に静まらないか』
馬『何、貴様が落ちる所まで暴れるのだ。今に冥土に送つてやるのだ』
弥『鳴動も爆発もあつたものかい、これだけクルクル廻る地球上は俺も嫌になつた哩、何でも世の立替が急速度を以て開展して行くと見えるわい。アーア、能く廻る世の中だ』
馬『輪廻に迷ふ浅間しさ、回天動地の神業に参加すると貴様は毎時も吐いてゐるが如何だい、回天動地の大事業は馬サンの活動に勝るものはあるまい、一分間に八千回、回転するジヤイロコンパスよりも早い俺の放れ業には感心したか』
弥『恐れ入つた、もう耐へて呉れえ』
馬『醜態見やがれ、一体俺を誰だと思つてるのだ』
弥『畜生の馬公ぢやないか』
馬『馬鹿だな、俺は木花姫の分霊だ、罵倒観音だ。すなはち馬頭観音様だよ』
弥『これはこれは、失礼いたしました、何卒許して下さいませ』
 馬ブウブウブスと音を立てて屁のやうに消えて仕舞つた。
弥『アヽア、大変だつた、恐い目に遭はされた。オー与太公、六公、貴様、馬は如何したのだ』
与、六『馬を如何したつて、誰が馬に乗つたのだい』
弥『貴様、今いい気でヒン馬に跨つて此処まで来たのぢやないか』
二人『馬鹿言ふない、俺たちは親譲りの交通機関でてくつて来たのだ、貴様も矢張り何だか妙な面をしよつて目を塞いだまま歩いて居つたぢやないか、歩きもつて夢を見よつたのだな、気楽な奴だ、アヽコンナ奴と道連れになるのも頼りない事だナア』
弥『ハテ、面妖な、合点の往かぬこの場の光景、何物の仕業なるぞ』
与『アハヽヽヽ、何だ、大きな目を剥きよつてコンナ処で芝居をやつたとて誰も観客は出て来はせないぞ。ど拍子の抜けた銅羅声を出しよつて、団栗眼を廻転させて大根役者奴が、何の真似だい、チツト春さきで逆上せよつたな、アハヽヽヽヽ』
弥『そうすると矢張り夢だつたかいな』
与『一遍手洗を使はむかい、恍け人足奴、貴様は図体ばかり仁王の荒削り見たいな奴だが、大男総身に智慧が廻りかねか、独活の大木、胴柄倒し、困つた奴だナア。この与太サンは身体は小さくても山椒小粒でもヒリリツと辛いと言ふ哥兄サンだぞ』
弥『チヤチヤ吐すない、鶏は跣足だ』
与『馬は大きうてもふりまらだ、チツト褌でも締めて、しつかりせむかい、アハヽヽヽ』
弥『この小鹿峠はやつぱり噂の通り化物峠だ、しつかりせむとお三狐にちよろまかされるぞ』
与『アハヽヽヽ、吐したりな吐したりな、自分がちよろまかされよつて憚りさまだ、この与太サンはチツト身魂の製造法が違ふのだ。貴様のやうな粗製濫造とは聊か選を異にしてゐるのだぞ、喃う六公』
六『恰で弥次サンは六道の辻に亡者が迷ふた様な人ですな』
与『オイオイ、亡者の序に向ふを見よ、沢山の亡者が来るぢやないか』
弥『貴様こそ恍けて居よる、彼奴は牛じやないか』
与『牛だからもうじや』
弥『何を吐しやがる、コンナ処で口合ひを出しやがつて』
六『くちあいものには蝿が集るか、アハヽヽヽヽ』
弥『真実に沢山なもう公ぢや、オイ如何だ与太公、馬を牛に乗り換へたら』
与『乗り換へるも乗り換へぬもあつたものかい、馬に乗つた覚えがないぢやないか』
 牛の群ドシドシと三人の前に突進し来たる。
与『牛公の奴、貴様の喧嘩ぢやないが天地間は、もちつ、もたれつぢや。如何だ、附合に俺を一つ乗せて行かないか、附合ぢやと言つても俺を突いては困るよ』
牛『もう止めておこかい、もう昧頑固なもう碌を乗せたつてもうからぬからな』
与『此奴、洒落た事を言ひよる、一寸談せる哩、乗つてやらうか』
牛『乗るなら乗れ、その代りに牛々言ふ目に遇はされるぞ』
与『何を吐しよるのだ、ソンナ不心得の事をしよつたが最後、貴様のどたまをトン骨とやつて肉は喰ひ皮は太鼓に張つてやるのだ』
牛『マア兎も角、乗つたが良からう』
与『ヨー有難い、牛に引かれて善光寺詣りと言ふ事は聞いて居るが、牛に乗つてコーカス詣りか。合ふたり、適ふたり、開いた口に牡丹餅、三口にしんこ、四つ口に羊羹、○○に踵、ピツタリコだ。水も漏らさぬ仲となつてコーカス詣でだ』
牛『オイ与太公、俺の朋輩は百人、貴様の連れは三匹だ、この中から選挙して何れなつと乗るが宜からう』
弥『サアサア選挙権の所有者は三人だ、被選挙権者も三匹だ、如何だ、普通選挙でやらうかな』
牛『如何でも宜いワ、早くやらないか』
与『一人一票だ、俺は赤の牝だ』
牛『貴様、矢張り牝が好きだな、余程あかだと見える哩』
六『俺は白の牝だ』
牛『白い牛に烏のやうな男が乗ると似合はないぞ、一層黒にして乗つてやれ』
六『俺は牛に乗るのはしろ人だから白にするのだ。黒に乗つて、苦労するのは困るからのう』
弥『俺は選挙権の棄却だ』
牛『神聖な一票の選挙権を放棄すると言ふ事があるものか、立憲政治を何と心得てゐる』
弥『俺は馬に乗つた夢を見て、懲り懲りした、もうもう乗り物は廃止だ。これからボツボツとてくる事にしやう、乗つた所で牛の奴、足が遅いから却てテクが良い訳だ』
与『ソンナラ俺は乗せて貰はう。オイ六公、貴様も乗つたり』
六『乗らいでか、ロハで乗せてやらうと言ふのだもの、コンナ安価い乗り物があるかい、サア白サン、赤サン、歩いたり歩いたり』
赤、白『ヤア当選の光栄を得まして有難うございます』
与『極つた事だ、一騎当千の英雄豪傑が乗つて居るのだもの、当選するのは当然だ、サア進んだり進んだり』
赤『オイ、与太サン、この先へ行くと峻い阪がある、その阪まで行つたら直立するから覚悟してお呉れや』
与『よしよし直立せい、俺は貴様の角に喰ひ付いて居るから大丈夫だよ』
白『これこれ六サン、俺もチヨボチヨボだ、この先へ行くと羊腸の小径がある、そこを通る時は如何しても直立せねばならぬから、しつかりなさいよ、千人の者が九百九十九人まで落ちて死ぬ処だから……』
六『ヤアソンナ処があるのかい、ソンナラもう此処で破約だ、小便だ、下して呉れ』
白『下して堪るか、喃、赤公』
赤『極つた事だ、下すのはまだ早い、断巌絶壁で振り落してやらうかい』
与『ヤア此奴洒落た事を吐いてゐよる、エー、仕方が無い、思ひ切つて空中滑走だ。一、二、三つ、ドスン、アイタヽヽヽ』
弥『オイオイ貴様、何だ、二人とも道を歩きもつて跳び上りよつて地べたにへたつて、アイタタもあつたものかい、しつかりせぬか』
与『オレは、もうもう、牛々云ふ目に遭はされちやつた』
弥『如何したと言ふのだ、夢を見たのぢや無いか、歩きもつて夢を見る奴が何処にあるかい』
与『何を吐しよるのだ、歩きもつて夢見るのは貴様が教祖ぢやないか、俺も競争して夢を見てやつたのだ、ナア六公、貴様も碌でもない夢を見たのだらう』
弥『アハヽヽヽヽ、神様は偉いものだ、俺が夢を見たと言つて襤褸糞に笑ひよるものだから罰は覿面、貴様も同じ様に歩きもつて夢を見せられよつたな。これだからアルコールの脱けた甘酒のやうな低脳児と同行するのは困ると言ふのだ』
 この時山岳も崩るる許りの怪音が聞えて来た。三人は驚いて目を醒せば豈図らむや小鹿峠の道端にコクリコクリと居睡つて居た。
三人『アーア偉い夢を見た喃、夢の中に夢を見たり、何が何だか有名無実、曖昧朦朧、アア小鹿峠だ、こしつかりと腹帯でも締めて行かうかい』
(大正一一・三・二三 旧二・二五 北村隆光録)
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