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文献名1霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
文献名2第3篇 神山霊水
文献名3第12章 一人旅〔579〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ追放された素盞嗚尊は、母神に会おうと地教山にやってきた。しかし、バラモン教の鬼掴の一団に囲まれてしまう。
尊が鬼掴を放り投げると、その勢いに辟易したバラモン教の一団は逃げてしまう。尊が山を登っていくと、大蛇に道をさえぎられた。
困惑している尊の前に、母神・伊邪冊命が現れ、世界を遍歴して八岐大蛇を退治し、叢雲の剣を得て天照大御神に奉るように、と命じた。
尊は母神の命を奉じることとし、山を降った。降る途中、帰順した鬼掴を共とし、西南指して進んでいった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年04月02日(旧03月06日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所
OBC rm1512
本文の文字数3186
本文のヒット件数全 2 件/地教山=2
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本文  天津神達八百万  国津神達八百万
 百の罪咎身一つに  負ひてしとしと濡れ鼠
 猫に追はれし心地して  凩荒ぶ冬の野を
 母の命に遇はむとて  出ます姿ぞ不愍しき
 天の岩戸も明放れ  一度清き神の代と
 輝き渡るひまもなく  天足の彦や胞場姫の
 醜の霊魂の荒び来る  山の尾上や河の瀬は
 風腥く土腐り  河は濁水満ち溢れ
 雨は日に夜に降り続き  流れ流れて進む身の
 蓑もなければ笠もなく  とある家路に立ち寄りて
 一夜の宿を訪へば  はつと答へて出で来る
 荒くれ男の顔みれば  こは抑も如何にこは如何に
 鬼雲彦の夫婦づれ  地教の山の山の下
 奇石怪巌立ち並ぶ  谷の辺に細々と
 立つる煙も幽かなる  奥に聞ゆる唸り声
 神素盞嗚の大神は  物をも云はず戸を開き
 つかつか立ち寄り見給へば  八岐大蛇の蜿蜒と
 室一面に蟠まり  赤き血潮は全身に
 洫み渉りて凄じく  命を見るより驚愕し
 忽ち毒気を吹きかくる  鬼雲彦と思ひしは
 全く大蛇の化身にて  鬼雲姫と思ひしは
 大蛇に従ふ金毛の  白面九尾の古狐
 裏口あけてトントンと  後振り返り振り返り
 深山をさして逃げて往く  神素盞嗚の大神は
 天津祝詞の太祝詞  声爽かに宣りあげて
 この曲津霊を言霊の  御息に和め助けむと
 心を籠めて数歌の  一二三四五つ六つ
 七八九十の数  百千万の言霊に
 さしもに太き八つ岐の  大蛇も煙と消えて行く
 あゝ訝かしと大神は  眼を据ゑて見たまへば
 家と見えしは草野原  跡方もなき虫の声
 不審の雲に蔽はれつ  地教の山を目標とし
 息もせきせき登ります  折柄吹き来る山颪
 八握の髯のぼうぼうと  風に吹かれて散り果つる
 木々の梢の紅葉も  命が赤き誠心を
 照らしあかすぞ殊勝なる。
 素盞嗚尊は、地教山の中腹なる道の辺の巌に腰打ち掛け、高天原に於ける磐戸隠れの顛末を追懐し、無念の涙にくれ居たまふ時こそあれ、忽ち山上より岩石も割るるばかりの音響陸続として聞え来る。
 怪しの物音は刻々に近づき来たる。素盞嗚尊は又もや大蛇の悪神襲来せるかと、ツト立ち上り、剣の握に手をかけて身構へしつつ待ち居たまへば、雲突く許りの大男四五十人の手下と共に、尊の前に大手を拡げて立ち塞がり、
『ヤア、其方は天教山の高天原に於て、天の岩戸に、皇大神を閉ぢ込めまつりたる悪魔の張本、建速素盞嗚尊ならむ。一寸たりともこの山に登る事罷りならぬ』
と呶鳴りつくるを、尊は言葉優しく、
『吾は汝が言ふ如く、高天原を神退ひに退はれたる、素盞嗚尊なり。さりながらこの地教の山には、吾母の永久に鎮まり居ませば、一度拝顔を得て、身の進退を決せむと思ひ、遥々此処に来れるものぞ。汝物の哀れを知るならば、一度は此道を開きて、吾を母に会はせかし』
と下から出ればつけ上り、大の男は鼻息荒く仁王の如き腕をニウツと前に出し、
『男子の言葉に二言は無いぞ、罷りならぬと云へば絶対に罷りならぬ。仮令天地は上下にかへるとも、ミロクの世が来るとも、いつかな、いつかな、吾々が守護する限りは、一分一寸たりとも当山に登る事は許さぬ。たつて登山せむと思はば此方の腕を捻ぢて登れ、此方は天教山に坐し在す大神の命を奉じ、素盞嗚尊万一此山に登り来らば都牟刈の太刀をもつて斬りはふれ、との厳しき御仰せ、万々一其方を此岩より一歩たりとも登すが最後、吾々一族は天地間に居る事は出来ないのだ。汝も元は葦原の国の主宰ならずや、物の道理も分つて居らう、下れ下れ、一時も早く此場を立ち去らぬか』
『アヽ是非に及ばぬ、然らば汝の勝手に邪魔ひろげ、吾は母に面会のため、たつて登山致す』
と群がる人々の中を悠然として登り往かむとしたまふを、大の男はぐつと猿臂を延ばし、
『コラコラコラ、俺を誰方と思うて居るか、実の事を白状すれば、バラモン教の大棟梁、鬼雲彦のお脇立と聞えたる、鬼掴なるぞ』
と云ひながら尊の胸倉をぐつと取りぬ。尊はエヽ面倒と云ひながら、片足をあげてポンと蹴り玉ひし拍子に、鬼掴の体は四五間ばかり空中滑走をしながら片辺の林の中に、ドスンと倒れさまに着陸し、頭蓋骨を打つてウンウンと唸り居る。尊は委細構はず大手を振つて急坂をとぼとぼ登りたまへば、数多の家来は此勢に辟易し、蜘蛛の子を散らすが如く四辺の森林に姿を隠したりけり。
 尊は猶も足を速めて急坂を登りたまふ時しもあれ、傍の木の茂みより、又ツト頭を出したる滅法界巨大なる大蛇の姿路上に横はり、尊の通路を妨げて動かず。
 尊は大蛇に遮られ、稍当惑の体にて暫し思案に暮れたまふ時、山上より嚠喨たる音楽響き来り、数多の美はしき神人列を正し此場に現はれ給ひ、中に優れて高尚優美なる一柱の女神は、素盞嗚尊に向ひ、
『ヤヨ、愛らしき素盞嗚尊よ、妾は汝が母伊邪冊命なるぞ、汝が心の清き事は高天原に日月の如く照り輝けり。さりながら大八洲国になり出づる、数多の神人の罪汚れを救ふは汝の天賦の職責なれば、千座の置戸を負ひて洽く世界を遍歴し、所在艱難辛苦を嘗め、天地に蟠まる鬼、大蛇、悪狐、醜女、曲津見の心を清め、善を助け悪を和め、八岐の大蛇を十握の剣をもつて切りはふり、彼が所持せる叢雲の剣を得て天教山に坐し在す天照大神に奉るまでは、唯今限り妾は汝が母に非ず、汝又妾が子に非ず、片時も早く当山を去れよ、再び汝に会ふ事あらむ、曲津の猛び狂ふ葦原の国、随分心を配らせられよ』
と宣らせ給ふと見れば、姿は煙と消えて後には地教山の峰吹き渡る松風の音のみにして、道に障碍りたる大蛇の影も何時しか見えずなりぬ。
 素盞嗚尊は止むを得ず此処より踵をかへし、急坂を下らせたまへば、以前の男、鬼掴は大地に平伏し尊に向つて帰順の意を表し、
『私は実を申せば鬼雲彦の家来とは偽り、高天原の或尊き神様より内命を受け、貴神の当山に登らせたまふを道にて遮断せよとの厳命を頂きしもの、嗚呼併しながら此度の天の岩戸の変は貴神の罪に非ず、罪は却つて天津神の方にあり、何れの神も御心中御察し申上げ居る方々のみ。吾は之より心を改め貴神の境遇に満腔の同情を表し奉り労苦を共にせむと欲す、何卒々々世界万民の為に吾が願を許させ給へ』
と誠心表に現はれ涙を流して歎願したりける。尊は、
『其方は頭の傷は如何なせしや』
と尋ね玉ふに、鬼掴は畏みながら、
『ハイ、お蔭様にて思はず知らず、神素盞嗚の大神様と御名を称へまつりし其刹那より、さしも激烈なる痛みも忘れたる如くに止まり、割れたる頭も元の如くに全快致したり。瑞霊の御神徳には恐れ入り奉る』
と両手を合して涙をホロホロ流し居る。素盞嗚尊は大に喜びたまひ、
『吾れ、高天原を退はれしより、時雨の中の一人旅、実に淋しい思ひを致したるが、世の中は妙なものかな、一人の同情者を得たり。いざ之より汝と吾とは生の兄弟となりて大八洲の国に蟠まる悪魔を滅し、万民を救ひ天下に吾等が至誠を現はさむ、鬼掴来れ』
と先に立ち、柴笛を吹きながら足を速めて何処ともなく天の数歌を歌ひつつ、西南指して進みたまふ。
(大正一一・四・二 旧三・六 加藤明子録)
(昭和一〇・三・二〇 於彰化神聖会支部 王仁校正)
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