高姫を拘束した亀彦・鬼武彦は、高姫が取引の場として指定した田辺の港にこぎ寄せた。しかし港に着くと高姫と青彦はひらりと舟から飛び降りて、闇の中に姿をくらましてしまった。
亀彦はがっかりして由良の港へ帰っていく。鬼武彦は高姫らを捜索すると言ってどこかへ姿を消してしまった。亀彦の体たらくを見た従者たちは密かに非難を浴びせている。
秋山彦の館に戻ると、亀彦はこのたびの不始末を詫びるとして、切腹してしまう。秋山彦や英子姫が悲嘆に暮れていると、表門から高姫・青彦を捕らえた鬼武彦が入ってきた。
切腹したと見えたのは、亀彦に扮した白狐であった。本物の亀彦は鬼武彦とともに、高姫を捕らえて帰ってきたのであった。
奥には秋山彦が用意した祝宴の席が設けられていた。高姫は捕らえられながらも悪口雑言をしきりに発している。
そしてやおらに如意宝珠の玉をとりだすと、餅のように軟らかくして飲み込んでしまった。そして、宇宙の縮図たる如意宝珠の玉を飲んだ自分は宇宙と同体であるから、崇めよ、と一同を睥睨する。
怒った亀彦、秋山彦が猛烈な勢いで高姫に斬りかかると、高姫は白煙と化して逃げてしまった。鬼武彦がその後を追う。残された青彦はその場に震えていた。
一同は神前に祝詞を上げると、英子姫、悦子姫、亀彦の三人は秋山彦に別れを告げ、由良川をさかのぼって聖地に上ることになった。