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文献名1霊界物語 第17巻 如意宝珠 辰の巻
文献名2第1篇 雪山幽谷
文献名3第1章 黄金の衣〔612〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ鬼雲彦によって岩窟に一年押し込められていたお節は、悦子姫によって救い出され、平助・お楢の祖父母の元に帰ってきた。
そして三五教の宣伝使、岩公、勘公、櫟公と共に、雪の中を真名井ケ原へとお礼参りに出かけた。爺・婆は足元に難があるため、岩公、勘公、櫟公三人は先に雪の中を発って行った。
話は戻って、鬼虎、鬼彦の両人は心の鬼に責められながらとぼとぼと雪道を行くうちに、路傍の糞壺に落ちてしまった。
厳寒の中、二人は命からがら進んで行くと、一軒のあばら家があった。着物を洗濯し、古ごもや古ござを巻いて、ようやく命をつないだ。
部屋の隅に加米彦がいて、二人に豊国姫命の命で悦子姫より衣を授かってきた、という。鬼虎と鬼彦は喜ぶが、その着物は、真名井ケ原に着いて体を清めてから出ないと渡せない、という。
そこへ岩公、勘公、櫟公が追いついてきた。
加米彦は、家の中からぼろぼろの着物を探し出して、当面の用にと鬼虎と鬼彦に着せた。
しばらく行くと、道端にこざっぱりとした家があり、女が招く。一同が中へ入ると、おコンと名乗る女は、鬼虎と鬼彦に禊をさせ、悦子姫からの立派な着物を授ける。
その着物には、鬼彦は彦安命、鬼虎は虎彦命という宣伝使名が書いてあった。おコンはもうすぐ真名井ケ原なので、ここで天津祝詞と天の数歌を唱えるように、と導師の役をする。
一同が一生懸命祝詞を唱えていると、平助、お楢、お節の三人が追いついて来て声をかけた。気づくと、おコンも加米彦もおらず、岩公、勘公、櫟公、鬼彦、鬼虎の五人は、真っ裸で雪の中に座っていたのであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年04月21日(旧03月25日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
OBC rm1701
本文の文字数7016
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本文  見渡す限り野も山も  平一面の銀世界
 人の心を冷やかに  わかやる胸を撫で下ろし
 雪の肌の愛娘  魔神の深き計略に
 押籠められて岩窟の  中にて絞る涙の雨
 何時しか比沼の真名井ケ原に  一陽来復の春待ち兼ねて
 皇神の恵の露に綻びし  心切なき節子姫
 此岩窟に捕はれて  悲しき月日を送る内
 春夏秋と十二節  越えて漸う東雲の
 空晴れ渡る思ひなり。
 悦子姫に送られ、祖父母の家に帰り来れる節子姫は、嬉し涙に一夜を明かし、あくれば正月二十八日、平助、お楢の祖父母と共に、雪積む野路を辿りつつ、心も深き礼参り、岩公、勘公、櫟公諸共に、真名井ケ嶽の麓を指して進み行く。
お節『お客さま、御存じの通り、年を老つたる老爺サン婆アサン、それに繊弱き女の妾、思ふ様に足許も捗りませぬ。あなた方は神様にお仕へ遊ばす身の上、悦子姫様が嘸お待兼で御座いませう。何れ真名井ケ原の神様の御前にて、お目に掛りませうから、どうぞ妾等にお構ひなく、一足先へ行つて下さいませ』
岩公『左様なれば、お先へ道開けの為に参りませう。一切万事用意を整へ、お待受を致して居ります、どうか緩々お出で下さいませ。お老爺サン、お婆アサン、お節さま、左様なれば吾々三人は一足先へ御免を蒙りませう。何卒ゆるりとお越し下さいませ』
平助『アヽそれが宜しい。此方は年老つた老爺に婆ア、繊弱き娘、到底あなた方の様な屈強な若いお方と、同道するのは苦しう御座ります。又あなた方もマドロしく思はれませう。それよりも早う悦子姫様のお側へ行つて、すべての御用をお聞き下さいませ。吾々三人はボツボツ後から参ります』
岩公『ソンナラお老爺さま、お婆アさま、お節さま、一足先へ失礼致しませう。……サア勘公、櫟公、雪中強行軍だ。前進々々、お一、二、三』
と掛声諸共、バラバラと駆出しける。
お楢『アノ、夜前のお客さまの元気の良い事、……アーア、年は取りたくないものだ。これ程雪の積つた路を、猪かナンゾの様に、驀地に駆出して、早モウ姿が見えなくなつて了つた。サアサアボツボツ行きませう』
と三人は杖を突き乍ら、岩公等の通つた足跡を踏んでボツボツと進み行く。
 話は後へ戻る…………………………
 心の鬼に責られて泊りも得せず、雪積む夜路をトボトボと、雪しばきに向ひ乍ら、互に肩を組み合せ、西へ西へと進み行つた鬼彦、鬼虎の両人は、路踏み迷ひ、路傍の糞壺の中へ、肩を組んだまま、ドボンと転落し、頭の先から足の爪先まで、忽ち黄金仏と早替り、二人は漸く生命からがら這ひ上り、身を切る如き寒風のピユウピユウと吹いて来る中を、震へ声を搾り乍ら、
鬼彦『罰は目の前だ、コンナ事なら、頭の一つや二つ、平助老爺に叩かれても、素直に謝罪つて、泊めて貰つたが得策だつた。貴様が、テレ臭いとか、何とか言つて、痩我慢を出すものだから、コンナ目に遭つたのだよ。実に糞慨の至りだ』
鬼虎『過去つた事を、今になつて言つた所で、何になるか。過去し苦労は大禁物だと云ふ事を忘れたか。刹那心だよ。併し乍ら、斯うして居れば、着物も体も氷結して了ふ。零度以下二十度と云ふ此寒空に、糞汁の着物を着て歩いて居るのも能い加減ナものだ。况して神様は神聖な……清浄潔白をお喜び遊ばす。コンナ着物を着て、どうして参拝が出来ようか。……貴様達はまだ悪が消えないから、参拝の資格がないと云つて、神様が糞壺へ放り込んだのかも知れぬ。……アヽ寒い寒い……寒さが通り越して、体中が痛くなつて来た。そこら中錐で揉まるるやうだ。……冷たい、痛い。……アーア泣くに泣かれぬ。どうしたら宜からうなア』
鬼彦『平助やお楢に屁を噛まされ、馬鹿臭い、テレ臭い、阿呆臭い……と臭い目に会うて、其上又糞壺へ放り込まれ、……アーアぢぢ臭い、ババ臭い……此処にも平助、お楢が居よつた様なものだ。おセツない思ひをして、真名井ケ原へ進むにも進まれず………エー糞いまいましい。どつか此処らに家でもあつたら、今度は何と言つても構はぬ、無理に押入つて、焚物でも焚いて、体を温め、ゆつくり湯でも沸して浄めなくては、どうする事も出来ぬぢやないか。グヅグヅして居ると、身体強直、石地蔵の様になつて了うワ、サア往かう往かう』
 二人は生命からがら、二三丁ばかり前進すると、バタツと行当つた又もや一軒の茅屋、
『ヨー天道は人を殺さずだ。此処に一軒屋が有るワイ。……ハテ此れは物置小屋と見える。……マア兎も角、這入つて体の処置を附けようかい』
 二人は戸を押し開け、怖々這入つて見ると、暗がりに赤い物が見える。
鬼彦『ハハア、誰か火を焚いて行きやがつたなア。大方音彦、加米彦の仕事だらう』
と附近の藁を引摺り出し、火を吹き点け、真裸となり、
『一寸是で楽だ。併し乍ら、着物を乾かさねばなるまい。……それにしても一度洗濯をして、其上にせなくては、乾いた所で、臭くて、どうにも斯うにも仕方があるまい、のう鬼虎』
『ウン此茅屋も、元は誰か住んで居つたのだらう。井戸がある筈ぢや。一つ探して、井戸でも有つたら、俺達の着物を突込み、バサバサとやつて、充分に圧搾を加へ、水気を除り、大火を焚いて焙る事にしやうかい。……オー有る有る、グヅグヅして居ると、落ち込むかも知れぬぞ。どうやら水溜りが有るらしい。……オイ貴様火を焚く役だ、俺が暫く洗濯鬼になつてやらう。人鬼だ。婆の来ぬ間に鬼が洗濯……アハヽヽヽ』
 両人は糞まぶれの着物を、水溜りに向けて、手早く脱ぎ、投げ込み、
『サアこれで洗濯の用意は出来た。併し乍ら着る物がない。どつか此処らに薦でもないかナア』
と二人はガサガサと、小屋の隅クラを、手探り、古薦や、古蓆を探し索めて、やうやう身に纏ひ、
『アヽこれで生命丈は助かつた』
と大火を焚いて、両人はあたつて居る。
『オイ、鬼虎の大将、お前は洗濯にかかるのだよ。俺は干す役を勤めるから』
『自分の着物は自分が洗濯し、他人の世話になると云ふやうな事は天則違反だぞ。……ヨシ、自分の丈を洗濯して、お望みとあらば、干す役もして貰はうかい。……ヤア井戸かと思へば、又糞壺だ。家の中に雪隠を拵へて置きやがるものだから、間違うのも無理はない。併しマア陥らなンだ丈は結構だ』
『オイ鬼虎、俺の方は、どうやら本物らしいぞ、かやくが浮いて居らぬワイ』
『アハヽヽヽ、鬼彦、貴様のは小便桶だ。何とかせなくてはなるまいぞ』
『アツヽヽ、火が点きやがつた。オイ鬼虎どうしやうどうしやう』
『雪の中へ転げ込め』
『よし来た』
と鬼彦は、矢庭に外へ駆け出し、雪の上を転げて居る。又もや鬼虎のお米の木の着物に火が燃へ移り鬼虎は、
『此奴ア堪まらぬ』
とザブリと水溜りへ飛び込めば、何処よりともなく怪しき笑ひ声、
『アツハヽヽヽ、オホヽヽヽ』
『オイ鬼虎、ナア貴様は気楽な奴だ。糞責め、火責め、水責めに逢うて苦しみて居るのに、何が可笑しいのだ。怪体な声を出しやがつて……』
『鬼虎が笑つたのぢやない、物が笑つたのぢやない。……ソレ、物が物言うとるぢやないか』
『ヤイヤイどこの奴ぢや。何が可笑しいのだ。俺は鬼彦さまだぞ』
 又もや隅の方より、
『鬼彦、鬼虎、随分苦労をしたネー。お節の宿で半殺しに会ひ、今又此処で半殺しの様な目に遭つて、牡丹餅の様に、黄金の餡や、雪の餡を着けて、中々うまい事をやるのウ。サアこれから、俺が招待れてやらう。鬼の共喰だ、アハヽヽヽ』
『さう言ふ声は岩公ぢやないか、奴跛の癖しやがつて、巫山戯た態をさらすと、鬼彦が承知をせぬぞ』
 作り声にて、
『此方は岩公でも無い、鬼でも無い、物ぢや、物ぢや』
鬼彦『物とは何だ、化物と云ふ事か。夜がホンノリと明けかかつて居るのに、化物が出るナンテ、チツト時季が過ぎとるぞ。化け損ひの大馬鹿者奴が』
加米彦『アハヽヽヽ、実の所は加米彦さまだ。悦子姫さまが豊国姫の神様から命令を受けて、今鬼彦、鬼虎の両人改心の為、糞壺へ陥めてあるから、グヅグヅして居ると凍て着いて了ふ。体は糞まぶれだ。早く往つて真名井の水で体を清め、此着物を着せてやれ…と仰有つて、生れてから見た事もない様な立派な着物を預つて来たのだよ』
 両人一度に、
『ヤアそれは有難い』
鬼虎『流石は悦子姫さまだ。腕振り合ふも多生の縁、夢にも文珠堂で此鬼虎が、悦子姫さまを、間違つて叩いたお蔭で、斯う云ふ結構な着物を頂戴するのだ。
 叩かれて、丸う治まる、桶の底、
だ……オイ鬼彦、俺のお蔭だぞ』
鬼彦『加米彦さま、あなたは偉いものだ。サア早く着物を着せて下さいナ』
加米彦『待て待て、これから半里許り、其儘歩いて、真名井ケ原の塩の溜りで体を浄め、それから清の井戸でマ一遍清め、三遍目に大清の井戸で浄めた上で、着物を着せて下さるのだ。今は持合せがないのだよ』
鬼彦『ナーンだ。それまで体が続くだらうか、困つた事だワイ』
 斯かる所へ、岩公、勘公、櫟公の三人、息急き切つて現はれ来り、
『オイオイ鬼彦、鬼虎の両人、まだコンナ所に居つたのか。大変だぞ。夜前は俺達は半殺しに遇うて来たのだ。貴様も夜前泊つた位なら、鏖殺しになる所だつたよ、マアマア生命が有つてお芽出度う。……ナンダナンダ、裸ぢやないか。一体着物はどうしたのだ』
鬼彦『着物かい、着物は神様に寄附して了つたワイ』
岩公『どこの神様に寄附したのだ』
鬼彦『雪隠の神様に………。これから裸、跣足で参るより仕方が無い。貴様も一つ、摩利支天さまに、一枚脱いで寄附致さぬかい』
岩公『ヤア本当に、両人とも赤裸だなア。元気な事だ。俺達の着物を寄附してやりたいが、此方も着の身着の儘ぢや。山椒の木に飯粒ぢや、仕方が無い。マア行く所まで行かうか』
鬼虎『それだつて、裸で道中がなるものかイ』
岩公『なつてもならないでも仕方が無いワ。グヅグヅして居ると、夜前のお節さまが、おつつけ此処に出て来るぞ。コンナ姿を見つけられたら醜もない。サア行かう行かう』
 鬼彦、鬼虎、岩、勘、櫟の五人は、夜の明けた雪路を、トボトボと進み行く。家の内より加米彦の声、
『オイオイ鬼虎、鬼彦。着物だ着物だ』
とボロボロの継ぎ継ぎだらけの着物を引つ抱へ加米彦がやつて来て、
『サア兎も角、当座凌ぎに、これなと着て行け』
鬼虎『ヤア、全然東道以上だ、百ツギも二百ツギもやつた着物だ。…………エヽ仕方が無い。鬼彦、これでも無いより優しだ。拝借しようかい』
『さうださうだ、寒い時に穢い物なし』
と手早く加米彦の手よりひつたくり、クルクルと身に纏ひ、
『アヽなんだか、ウヂウヂするぢやないか』
加米彦『定つた事ぢや。虱の本宅だ。サアサア進もう進もう』
と雪路を西へ西へと走りゆく。道端に小瀟洒とした綺麗な家が左側に建つて居る。一人の綺麗な娘、戸口を開け、
『もうしもうし、あなた方は、真名井ケ嶽へ御参詣の方と見えますが、此雪路に嘸お困りでせう。湯も沸いて居ります。どうぞ一服して行つて下さいませ。別にお茶代の請求も致しませぬ。今日は親の命日で、お茶や御飯のお接待を致して居ります。サアサアどうぞ這入つて往て下さいませ』
鬼彦『ヤア捨てる神もあれば拾ふ神も有るとは能う言つた事だ。皆さま一服さして貰ひませうかな』
と鬼彦は早くも先に立ち、屋内に飛び込みたり。
『サアサア皆さま、お這入りなさいませ』
 加米彦は、
『アイ御免よ』
と尻振り乍ら這入り、
『ヨー、此処の家は、外から見た割とは広い家だ。……さうしてお娘、コンナ小広い家にお前一人居るのかい、随分険呑なものだなア。大江山の鬼雲彦の乾分、鬼虎、鬼彦がやつて来て、お節女郎の様に掻攫へて帰ぬかも知れませぬぞ。気を付けなさいませや』
『ホヽヽヽ、鬼虎も、鬼彦も、今日の様に、善の途に堕落して仕舞へば、モウ駄目ですよ。お節の家では断られ、糞壺へは落ち込み、薦を着ては火に舐められ、虱だらけの着物を着て、ウンバラ、散バラ若布の行列、褞褸の親分、雑巾屋の看板も跣足で逃げると云ふ様な、立派な着物をお召しになつて、真名井ケ嶽へ参拝する様になつては、モウ駄目ですワ、ホヽヽヽ』
勘公『ヤア此奴ア妙だ。優しい顔をして居乍ら、口の達者な女だ』
娘『マアマア皆さま、ゆつくりなさいませ。併しプンプンと匂ふぢやありませぬか、裏に溜池が有ります。あの池の外で、頭から水をかぶり、鬼彦、鬼虎さまは、洗濯をして来なさい。モシモシ岩さまとやら、あなた、此処に横槌が御座います。二人の髻を掴んで、溜池に突込み、石の上でキユウキユウと踏み潰し、此横槌でコンコンとこづいて充分に圧搾をかけ、火に焙つて、綺麗サツパリと洗濯をしてあげて下さいナ』
『馬鹿にしやがる。着物と人間の体と一つにしられて彦も虎も堪まるものかい』
娘『キモノ弱い人は、キモノ弱いのも、おなじことぢや。一遍洗濯して、糊でも着けねば腰が立つまい。よつぽどよい腰抜野郎だからなア』
鬼彦『馬鹿にしやがるない。貴様は一体何者だ』
 女白き牙をニユツと出し、目をクルリと剥き、腮をしやくり乍ら、
『あてかいな、あてい……あの……おコンと云ふ者ですよ』
鬼彦『エイ、狐みたいな名の奴だ、大方……狐が瞞しとるのぢやないかナ』
おコン『雪に閉され、誠にコン窮千万、どうぞコン夜丈お泊め下されと、コン願したが、平助爺に、コンと肱鉄砲を喰はされ、コンな事なら、悪い事するぢやなかつたのに、エーエ仕方がない、コン夜は雪の路を、コンパスの続く限り歩かうかと、二人はコン限り力限り走つた揚句に糞壺の中へコン倒し、コンな因果が古コンを尋ねても、又と一人あるものか………とコン惑の態、茅屋の中へ飛び込み、薦を被つて火に焙り、やつと安心する間もなく体に火が燃えつき、雪の上に転げるやら小便桶へ陥るやら、コン難の最中に加米公の御親切な御志、虱の宿の様な襤褸の錦を恵まれて、此処までやつて来たお前ぢやないか。是れから此オコンさまが、アンナ失敗を今後繰返さぬ様に、コンコンと説諭してあげよう。早く体を洗つて出て来なさい。炬燵へでも潜り込んで、ゆつくりと、おコンの話を聞かつしやいツ』
岩公『兎も角も、此縁の端を貸して貰ひませう。二人の体の処置をつけなくては、どうする事も出来ませぬワイ』
 鬼彦、鬼虎は、裏口の溜池にて、薄氷の張つた池水を掬ひ乍ら、ザブザブと御禊をやつて居る。二人は体を清め、ビリビリ震へ乍ら、
『アヽ皆さま、お待たせしました。これで気分がサラリとした。併し困つた事にはお召物の心配だ。どうしたら宜からうかなア』
おコン『ホヽヽヽ、ご心配なされますなお二人様、お召物はチヤンと此処に用意致して御座います。悦子姫さまが前以てお預けになりました。サアサア御遠慮なしにお召し遊ばせ。……これが鬼彦様のお召物……此方が鬼虎さまのお召物ですよ』
 鬼彦、矢庭にグルグルと身に纏ひ、
鬼彦『ヤア立派な物だ。これは正しく宣伝使の装束だ……ヤアナンダ、妙な物が貼つてあるぞ。……エ……鬼彦を改名して、只今より彦安命と名を与ふ……ヤア有難い有難い、何だか鬼の字が癪に障つて仕方がなかつた。サア是れから彦安命の宣伝使だ。……オイ鬼虎、今日から俺の弟子にしてやらう。オツホン』
鬼虎『アハヽヽヽ、彦安命さま、誠に済みませぬが、拙者も虎彦命と名を与ふ……としてあるのだ。五分五分だよ。サア勘、櫟、岩、只今より天下晴れての三五教の宣伝使だ。左様心得たが宜からうぞ』
岩公『ヘン馬鹿にしやがるワイ、糞宣伝使奴が。雪隠虫奴が。平助に屁を嗅がされて、お楢に追ひ出され、宣伝使もあつたものかい、アハヽヽヽ』
おコン『サア皆さま是からが正念場だ。十四五丁進めば、愈真奈井ケ原の聖地に着く、此処で天津祝詞を奏上し、天の数歌をあげてお出なさい。妾が導師を致しませう』
と、声も涼しくおコンは祝詞を奏上する。一同その後に従いて、一心不乱に合唱する。平助、お楢、お節の三人、杖を突き乍ら、ヒヨコヒヨコと此処に現はれ、
平助『お前は昨夜の御客ぢやないか。大勢の方が、コンナ雪の中に赤裸になつて、何をして御座るのだ。皆さま、サアサア行きませう。着物はどうしなさつた』
 『ハツ』と一同気がつけば、野雪隠を中央に、一同手を合せ、一生懸命に祝詞を奏上して居た。後の山より狐の鳴き声二声、三声、
『コンコン、カイカイ』
(大正一一・四・二一 旧三・二五 松村真澄録)
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