現在よりほとんど三十五万年の昔、神素盞嗚大神が、天の真名井に誓約して瑞の御魂と生れ給ひ、千座の置き戸を負わせられて世界をさすらうことになった。
四方の八岐大蛇を言向け和して、再び日の出の御代となして皇大神に奉り、大海原の主宰である天職を完全に全うしようと、自らの水火より生まれたる八乙女を遣わした。
その中でも英子姫は、お供の悦子姫とともに自転倒島に漂着して、荒ぶる神や、鬼や大蛇を言向け和して、神の御国に礎を永遠に建て給ふ、尊き神代の物語。
ここに天運循環して言の葉の車の流れるままに、松村氏、北村氏、東尾氏、加藤氏らが、名さえめでたい万寿苑に筆を揃えて、言葉の玉を拾い集めると、四月三日に記し置く。