爺の豊彦は、一行を自分のあばら家に案内した。豊彦の息子は真名井参りの途中でバラモン教にさらわれて、今は生死もわからないという。
また娘は理由のわからない業病にかかり、十八ケ月も伏せっているという。先だってここを訪れた英子姫によると、これは病気ではなく妊娠だと言われたが、まったく心当たりがない。
悦子姫が見立てて、確かに妊娠であることを確認した。十八ケ月前、夢で白髪の老人が五つの玉を与え、それをお玉に飲ませる夢を親子ともども見た後から、腹が膨れてきたのだという。
悦子姫は、立派な神様の霊魂が宿っているのを見抜いた。そして、厳の御魂の大神がお生まれになる、と診断した。
そのとたん娘のお玉は起き上がり、白髪の神様からも、「七人の女の随一、厳の御霊の誕生」を告げられた、と明かす。そして陣痛を訴え始めた。
悦子姫が取り上げて、無事に女の子が生まれた。悦子姫は女児に、玉照姫と名前をつけた。