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文献名1霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻
文献名2第2篇 再探再険
文献名3第4章 四尾山〔632〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-08 11:35:42
あらすじ自転倒島の真秀良場、青垣山をめぐらせる下津岩根の貴の苑、この世を治める丸山の、神の稜威は世継王山。桶伏の丸き神の丘、黄金の玉が隠された貴の聖地の永久に動かぬ御代の神柱。
国武彦が常永に鎮まりまして、天翔り国翔ける神力を潜め居る弥仙山。木の花姫の生御魂である埴安彦や埴安姫が築いた神の都は、いつしか栄えて開ける梅の花。
悦子姫一行は、英子姫から弥仙山に神業があると聞いて山に上り、玉照姫の出産に立ち会った。
悦子姫は神の大命を被って、音彦、加米彦、夏彦に命じて世継王山の麓にささやかな家を造らせた。ここに国治立命、豊国姫命を鎮祭した。
ある日、悦子姫を尋ねてくる四人の男女があった。それは、紫姫、青彦、馬、鹿の四人連れであった。
悦子姫は、紫姫のみを部屋に入れて人払いをした。その他の一同は、仕方なく外で待っている。その間、夏彦と加米彦は軽口を叩き合っている。
加米彦が悦子姫に人払いの解除を催促に行くと、一同は呼び戻された。そして神命により悦子姫は近江の竹生島に音彦を伴って行く事になった、と告げた。竹生島には、神素盞嗚大神がお隠れになっている。
加米彦と夏彦は、残って世継王山麓の館を守ることになった。年長者の夏彦を主と決めた。
紫姫一行は、神命によって行く先を授けられた。青彦は、日の出神より若彦と名を賜った。
翌朝、悦子姫と音彦は竹生島へと発ち、紫姫は供の三人に行く先も告げないまま、由良川の河辺伝いに西北指して進んでいった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年04月25日(旧03月29日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
OBC rm1804
本文の文字数8108
本文のヒット件数全 1 件/豊国姫=1
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本文  天と地との神の水火  うまらにつばらに大八洲
 天の沼矛の一雫  自転倒島の真秀良場や
 青垣山を繞らせる  下津岩根の貴の苑
 此世を治むる丸山の  神の稜威は世継王山
 力隠して桶伏の  丸き姿の神の丘
 黄金の玉の隠されし  貴の聖地の永久に
 動かぬ御代の神柱  国武彦の常永に
 鎮まりまして天翔り  国かけります神力を
 潜めて茲に弥仙山  木の花姫の生御魂
 埴安彦や埴安姫の  神の命の建てましし
 神の都の何時しかに  開けて栄ゆる梅の花
 薫り床しき松の世の  弥勒の御代に老松の
 茂る川辺や小雲川  清き流れの底深く
 四方の神々人々の  霊魂を洗ふ白瀬川
 神の仕組に由良の  ほまれを流す生田川
 イクタの悩み凌ぎつつ  神素盞嗚大神は
 天と地との神柱  堅磐常磐に建て給ふ
 暗を晴らして英子姫  万代寿ぐ亀彦が
 鶴の巣籠る松ケ枝に  千代の礎固めつつ
 此世を紊す曲津神  鬼雲彦を言向けて
 四方に塞がる叢雲を  神の伊吹に吹払ひ
 清めにや山家の肥後の橋  神子坂橋の手前まで
 スタスタ来る宣伝使  朧にかかる月影を
 透して向ふを眺むれば  虫が知らすか何となく
 心にかかる春霞  シカと見えねど陽炎の
 瞬く間もなく宣伝歌  耳さす如く聞え来る
 ツと立止まり道の辺に  様子窺ふ折もあれ
 夜目にシカとは分らねど  どこやら気分が悦子姫
 床しき影とおとなへば  案にたがはぬ麻柱の
 神の司の悦子姫  川瀬も響く音彦や
 まだシーズンは来らねど  名は夏彦や加米彦の
 随従の影は四人連れ  情無き浮世に揉まれたる
 心の底のつれづれを  徒然草を褥とし
 互にあかす物語  神徳照らす一イ二ウ三四
 五の御霊の六人連れ  七度八度九十
 百度千度万度  亀と加米との呼吸合せ
 顕幽二界に出没し  五六七の御代を来すまで
 心の帯を堅く締め  尽くさにや山家の道の辺に
 深き思ひを残しつつ  東と西へ別れ路の
 積る願ひの山坂を  さらばさらばの声共に
 別れ行くこそ雄々しけれ  悦子の姫はスタスタと
 三人の益良夫伴ひて  胸突坂を辿りつつ
 心の空に浮かぶ雲  英子の姫の御言葉
 由縁ありげに味はひつ  霞を辿る心地して
 いと勇ましくかけて行く  山の老樹は大空を
 封じて月日を隠しつつ  深き仕組を包むなる
 躑躅の花のここかしこ  胸もいろいろ乱れ咲く
 咲耶の姫を祀りたる  木の花匂ふ神の山
 恵も高き須弥仙の  山の麓に来て見れば
 アヽ天国か楽園か  山と山とに挟まれし
 青麦畑菜種花  紫雲英の花も咲きみちて
 心持よき花むしろ  蝶舞ひ遊ぶ神苑に
 心も赤き丹頂の  鶴の下りたる如くなる
 景色眺めて賤の屋の  細き煙も豊彦が
 雪を欺く白髯を  折柄吹き来る春風に
 いぢらせ乍らコツコツと  あかざの杖にすがりつつ
 神の使ひか真人か  やつれし人に似もやらず
 威風備はる翁どの  頼むとかけし言の葉の
 刹那の風に煽られて  心もそよぐ悦子姫
 神にひかるる思ひにて  伏屋の前に来て見れば
 三月三日の菱餅に  紛ふべらなる門の戸に
 驚き乍ら何気なう  表戸開く音彦が
 悦子の姫を伴なひて  しけこき小屋の上り口
 休らふ折しも老夫婦  蝶よ花よと育みし
 生命と頼む掌中の  娘のお玉が病気の
 心にかかる物語  うまらにつばらに宣りつれば
 慈愛の権化の悦子姫  真玉手玉手さし延べて
 娘のお玉を撫でさすり  首を傾けとつおいつ
 老の夫婦に打向ひ  豊彦豊姫お玉さま
 必ず心配遊ばすな  一生癒らぬ脹れ病
 生命にかかる気遣ひは  ないた涙を晴らしませ
 厳の御霊の大神が  五六七の御代の礎と
 神の水火をば固めまし  お玉の方の体を藉り
 三つの御霊の睦み合ひ  宿りましたる神の御子
 人の呼吸にて固めたる  曇りの多き魂でない
 水晶玉のミツ御霊  厳の御霊を兼ねませる
 三五の月の大神の  教を守る神人の
 今日は嬉しき誕生日  黒白も分かぬ暗の夜も
 愈開き春の空  アヽ惟神々々
 御霊幸はひましませと  祈る折しも忽ちに
 ホギヤアホギヤアと産の声  爺と姿アは云ふも更
 おつたま消たるお玉まで  妊娠がしてから十八月
 神の恵に恙なく  生み落したる音彦や
 万代祝ふ加米彦が  手の舞足の踏む所
 知らぬ許りに雀躍し  芽出度い芽出度いお芽出たい
 千代に八千代に伊勢蝦の  曲つた腰の夏彦が
 百の齢を重ねつつ  ピンピンシヤンと跳ねまはる
 此瑞祥のミツ御霊  悦子の姫の計らひに
 玉照姫と命名し  述ぶる挨拶そこそこに
 口籠りたる涙声  涙の雨を凌ぎつつ
 門口出づる四つの笠  四ツつの杖は地を叩き
 春の霞に包まれて  笠は空中に揺ぎ行く
 夜は烏羽玉と暮れ果てて  一夜を明かす森の中
 鴉の声と諸共に  又もや進む四つの杖
 弥仙の山の絶頂に  四足の草蛙に恙なく
 七尺余りの身を乗せて  神の御声を笠の内
 厳の御前のいと清く  鬼も大蛇もコンパスの
 谷間を指して下り行く  茲に四人の一行は
 峰の嵐に送られて  老木茂る谷路を
 流れに沿ひて逸早く  進み進みて檜山
 神の恵の木の花も  一度に開く梅迫や
 道も直なる上杉の  郷を後に味方原
 深き仕組は白瀬川  浪音高き音彦が
 加米と夏とを伴なひて  悦子の姫を守りつつ
 綾の聖地に上り来る  珍の御言を蒙りし
 悦子の姫の胸の内  うちあけかねし苦みは
 神より外に世の人の  計り知られぬ仕組なり
 アヽ惟神々々  御霊幸はひましませよ。
 悦子姫は、世継王山の麓に、神の大命を被りて、加米彦、夏彦、音彦に命じ、些やかなる家を作らしめ、ここに国治立命、豊国姫命の二神を鎮祭し、加米彦、夏彦をして之を守らしめ、自らは音彦を伴なひ、神素盞嗚大神の隠れ給ふ近江の竹生島に出立せむとする折しも、悦子姫の在処を尋ねて来る四人の男女、日は漸く西山に没れし黄昏時、門の戸を叩いて、
『モシモシお尋ね申します。此お家は悦子姫様のお館では御座いませぬか』
と優しき女の声。
加米彦『ヤアどこやらで聞いた事の有る様な声だ……おい夏彦、表を開けて見よ』
夏彦『此木の生え茂つた山の裾の一軒家、薄暗くなつてから、女の声を出して尋ねて来るよな者は、どうせ本物であるまい……加米彦、御苦労だが開けて下さらぬか。私は又弥仙山の様な声がすると困るからなア』
加米彦『エー気の弱い男だなア。昼になるとビチビチはしやいで、夜になると悄気て了ふ加米彦……オツトドツコイ夏彦の様な男だなア』
夏彦『ハヽヽヽ、オイ加米彦、チツト勘定が違ひはしませぬか、ソンナ計算をやつて居ると、一年も経たずに破産の運命に陥り、身代限りの処分を受けますぞ』
加米彦『ナーニ、一寸神霊術に依つて、人格交換をやつたのだ。お前の肉体には加米彦が憑り、加米彦の肉体にはお前の霊が憑つて居るのだから、所謂、お前が戸を開けるのは畢竟加米彦が開けるのだ。……オイ加米彦の代表者、夏彦が命令する、……早く開けないか』
夏彦『エー何とかかとか言つて、責任を忌避する事ばつかり考へて居やがる。……アヽ仕方がない、ソンナラ准加米彦が戸を開けてやらうかい』
と小声に囁き乍ら、ガラリと開けた。
夏彦『ヤアあなたは紫姫様、……ヤア青彦さま、馬さま、鹿さま、久し振だ。サア這入つて下さい。……オイオイ夏彦の代理、紫姫様の御光来だ。悦子姫様に御取次を申さぬか』
加米彦『モウ人格変換だ。併し悦子姫様に申上げるのは、矢張加米彦の特権だ』
と一間に入り、
『モシモシ悦子姫さま、紫姫さま一行が見えました』
悦子姫『それは良い所へ来て下さつた。実は夜前から、一寸、神界の御用があるので、鎮魂をかけて置いたのです。青彦、馬公、鹿公さんも来ましたでせう』
加米彦『ヤアあなたは変な事を仰有いますネ』
悦子姫『天眼通、自他神通の妙法を以て、人の霊魂を自由自在に使うたのです、ホヽヽヽ』
加米彦『ヤアそンな事があなたに出来るとは、今迄思はなかつた。人は見掛に依らぬものですネー』
悦子姫『紫姫さまを一時も早く、私の居間へお連れ申して下さい』
『承知致しました』
と加米彦は、次の間に下り、
『アヽやつぱり女は女連れだ。モシモシ紫姫さま、悦子姫様が特別待遇を以てあなた一人に限り、拝謁を許すと仰せられます。どうぞ奥へお通り下さい』
紫姫『ハイ有難う御座います』
と奥の一間に姿を隠したり。
悦子姫『コレ音彦さま、加米彦さま、あなた暫く、妾の声の聞えぬ所に居て下さい。少し御相談がありますから……』
加米彦『女は曲者とはよく言つたものだ、ナア音彦さま、今迄は音彦々々と仰有つたが、紫姫さまがお出でになるが早いか、一寸相談があるから、聞えぬ所へ往て下さい……なンテ本当に馬鹿にされますなア』
音彦『何は兎も角、皆さま、暫く林の中へでも往つて、面白い話でも致しませう。何時吾々は斯うやつて居つても、悦子姫女王から、ドンナ御命令が下つて、何処へ出張を命ぜられるやら分つたものぢやない。今の内に一つゆつくりと、芝生の上で打解けて話を致しませうかい。青彦さま、馬さま、鹿さま、サア参りませう』
と音彦は先に立ち、半丁許り離れたる木下闇に、探り探り進み行く。
加米彦『アヽ暗い暗い、丸で弥仙山に野宿した時の様だ』
夏彦『キヤツキヤツ、ザアザア、ウンウン、バチバチ、ガラガラ……ガ、サアこれから幕開きと御座い』
加米彦『エーしやうもない事言ふな。言霊の幸はふ国だ。併し乍ら夏彦、貴様は紫姫さまに電波を、チヨイチヨイ送つて居るが、長持の蓋だ、片一方はアイても、片一方はアク気遣ひはないワ。モウ今日限り、執着心を棄てたが宜からうぞ』
夏彦『何を言ひよるのだ。蛙は口から、……それや貴様の事だよ』
加米彦『ナーニ、貴様の霊が俺の肉体に始終出入しよつて、ソンナ心を出しよるのだ。貴様の霊が憑依した時の恋の猛烈さ……と云つたら、九寸五分式だ、まだも違へば軋死式、首吊り式、暴風雨地震式の恋の雲が包ンで来よつて、暗澹咫尺を弁ぜずと云ふ……時々幕が下りるのだよ。もう良い加減に改心をして、俺の肉体を離れて呉れ。其代りに小豆飯を三升三合、油揚を三十三枚買つて、四辻まで送つてやる、斯れでモウさつぱりと諦めるのだよ』
夏彦『何を言やがるのだ。勝手な熱ばつかり吹きよつて、……弥仙山の極秘を、音彦さまの前で暴露しようか』
加米彦『どうなつと勝手にしたが宜いワい。大胆不敵の加米彦は梟鳥式だ。斯う云ふ暗夜になればなる程、元気旺盛となつて来るのだ。弥仙山に野宿した時は、貴様の副守護神が俺の肉体に憑依しよつて、臆病な態を見せたぢやないか。他人の事ぢやと思うて居れば、皆吾が事であるぞよ、改心なされ……』
夏彦『どこまでも厳重な鉄条網を張りよつて、攻撃する余地がなくなつた。まつ四角な顔に四角い肩を聳やかし、四角四面な、冗談一つ言はぬ様な風を装うて居乍ら、ぬらりくらりと、まるで蛸入道の様な代物だなア。カメと云ふ奴ア、六角の甲を着て居る奴だが、此奴は二角程落して来よつた。カメと鼈との混血児だなア。……オーさうさう混血児で思ひ出した。コンコン鳴く奴ア、やつぱり、ケツだ。小豆飯に油揚式の霊魂だ。其勢か、能く口が滑らかに辷る哩』
音彦『オイ加米彦、充分に今日は気焔を吐いて聞かして呉れ。明日はお別れせにやならぬかも分らないからなア』
加米彦『エーそれや音彦さま、本当ですか』
音彦『どうやらソンナ気配がする様だ。どうも悦子姫さまのお顔色に現はれて居る様だ』
加米彦『アハー、あなたは、間がな隙がな、あの美しい別嬪を見詰めて御座る丈あつて違つてますなア。男を怪しい笑靨の中に巻き込みて了ふ丈の魔力を保有して御座る女王さまだから、何時の間にか音彦さまも恋縛を受けなさつたと見えるワイ……ヤアお芽出たう、おウラ山吹さま、……併し乍ら道心堅固の悦子姫様だ。太田道灌ぢやないが「七重八重花は咲けども山吹の、実の一つだになきぞ悲しき」とウツカリ秋波でも送らうものなら、三十珊の巨弾で撃退されて了ふよ。自惚と梅毒気の無い者は滅多にないから、音彦さま、能う気を付けなさい』
音彦『アハヽヽヽ、加米彦さま、それは、例の人格交換ぢや有りませぬか。音彦でなくて実際は加米彦さまの事でせう。お芽出たいお方ですネ』
 一同大声を挙げて笑ふ。
加米彦『モウ密談も済みただらう。宜い加減に気を利かして帰りませうか、コンナ暗がりへ放り込まれて、夜分に目の見えぬ人間は、聊か迷惑だ。斯う云ふ暗い晩に得意な奴はアマ夏彦一匹位なものだ、ワツハヽヽヽ』
と仇笑ひつつ先に立ち帰つて行く。加米彦、門口より、
『モシモシ悦子姫様、モウ御安産は済みましたかな、男でしたか女でしたか、……何と云ふお名をおつけになりました。……玉照彦ですか……』
悦子姫『ホヽヽヽ、加米さまですか。エライ失礼を致しました。サア皆さまと一緒にお這入り下さいませ』
加米彦『お役目なれば、罷り通るツ。悦子姫殿、紫姫殿、許させられえ』
とワザと体を角立て、紙雛の様なスタイルで、稍反り気味になつて、悦子姫の居間にズーツと通る。
悦子姫『加米さま、冗談も良い加減にして置きなさらぬか。妾は明早朝、音彦さまと此処を立出で、或る所へ参ります。加米彦さまと夏彦さま、どうぞ留守をシツカリ頼みます』
加米彦『ヘー、ヤツパリ……ヤツパリですなア』
悦子姫『エツ、何ですと』
加米彦『ヤア、何でも有りませぬ。ヤツパリあなたは神界の大切な御用をなさるお方、到底吾々ヘツポコの計り知る可らざる御経綸が有ると見えますワイ』
悦子姫『ホヽヽヽ』
紫姫『ホヽヽヽ』
音彦『唯今承はれば、私はあなたと共に、どつかへ参るのですか』
悦子姫『ハイ御苦労様乍ら、どうぞ妾に従いて来て下さいませ』
音彦『ハイ承知仕りました。どこまでも、神様の為ならば、お伴致しませう』
加米彦『ヤア音彦の命、万歳々々』
と、度拍子の抜けた大声で呶鳴り立てる。
音彦『加米彦さま、永らく御昵懇になりましたが、暫くお別れせなくてはなりませぬ。どうぞ機嫌よく留守をして居て下さいませや』
加米彦『ハイハイ畏まりました。あなたも、悦子姫さまと御機嫌よく、相提携して、極秘的神業に御参加下されませ』
と意味有りげに、ニタリと笑ふ。
夏彦『悦子姫様、私はお伴は叶ひませぬか』
悦子姫『ハイ有難う御座います。併し乍ら神様の御命令で、あなたは暫く、妾の帰るまで、加米彦さまと留守をして居て下さいませ』
加米彦『アハヽヽヽ、態を見い、サア明日からは此加米彦の、何事も指揮命令に服従するのだぞ。……モシモシ悦子姫さま、どうぞあなたのお留守中は、夏彦が吾々の命令に服従致します様に、厳しく命令を下しておいて下さい。上下の区別がついて居ませぬと、凡ての点に於て矛盾撞着、政治上の統一を紊しますから……』
悦子姫『加米彦さま、あなたお年は幾歳でしたかネー』
加米彦『ハイ私はザツト二十才で御座います』
悦子姫『違ひませう……』
加米彦『イエ別に……さう沢山も違ひませぬが……精神上から申せば、先づ二十才……現界に肉体を現はしてからは三十三年になります』
悦子姫『それは大変な違算ぢやありませぬか』
加米彦『何分亡父が貧乏暮しをして居たものですから、素寒貧で、十三(仰山)な遺産も御座いませぬ、アハヽヽヽ』
悦子姫『夏彦さまは幾才ですか』
夏彦『ハイ私は見た割とは、ひね南瓜で御座います。精神は兎も角も、肉体は四十八になりました』
悦子姫『アヽそれなら年長者を以て上役と定めます。加米彦さま、妾が此家を出立するが最後、何事も夏彦さまの指揮命令に従つて、神妙に留守をして下さいや』
加米彦『ヘエ………』
 悦子姫、稍顔色を変へ、
『加米彦さま、お嫌ですか』
『イヤイヤ滅相もない、何事もあなたの御命令に従ひます』
悦子姫『夏彦さまの命令は即ち妾の命令、どうぞ宜しうお頼み申します』
とワザと両手をついて叮嚀に下から出る。
『エー実の所は、夏彦の下に従くのは虫が好きませぬが、其処まで仰有つて下さいますれば、謹みてお受致します。……悦子姫様のお代理夏彦様、どうぞ宜しう、何事も御指導下さいませ』
夏彦『お互様に宜しうお願致します』
悦子姫『どうぞお二人さま、公私混同せない様に頼みますで……』
 二人一度に、
『ハイハイ承知致しました』
と両手を突き、今度は真面目になつてお受をする。
紫姫『青彦さま、馬さま、鹿さま、これから妾は、悦子姫様の神様より重大なる使命を蒙りました。明朝未明に此処を立出で、妾の行く所へ、御苦労乍ら従いて来て下さい。さうして青彦さまと云ふお名は、一寸都合の悪い事が有りますから、今日限り名を改めて、日の出神様より若彦とお改へになりましたから、其お積もりで居て下さいや』
青彦『ハイ承知致しました。何だか天の稚彦命様に能く似たよな名ですなア。嬉しい様でもあり、悲しい様な気持も致します。併し乍ら、何事も神命のまにまに、絶対服従を致します。どうぞ宜しう……』
紫姫『ハイ、不束な妾、どうぞ宜しう御指導を仰ぎます。……まだ夜明けまでには間が御座いますれば、皆さま一休眠致しませう』
音彦『それや結構です。サア皆さま、お休眠なさいませ。お先へ失礼』
と横になつて、早くも高鼾をかく。
加米彦『ナント罪のない男だなア。今物を言つて居つたかと思えば、早高鼾だ。人間も茲まで総てに超越すれば、モウ占たものだ、悦子姫様の眼力も偉いワイ』
夏彦『コレコレ加米彦さま、皆様のお就寝の御邪魔になります。あなたも早く、おとなしくお睡眠なさい』
加米彦『コレハコレハ上官の御命令、確に遵守し奉る、恐惶頓首、アツハヽヽヽ』
と笑ひ転けた儘、呼吸不整調な高鼾をかく。一同は之れに倣うて、残らず寝に就きたり。
 鶏の声に目をさまし、悦子姫は音彦を伴ひ、綾の大橋打渡り、山家方面を指して進み行く。紫姫は、由良川の川辺伝ひに、西北指して三人の男を伴ひ、行先をも告げずトボトボと下り行く。嗚呼、紫姫は今後如何なる活動をなすならむか。
(大正一一・四・二五 旧三・二九 松村真澄録)
(昭和一〇・六・一 王仁校正)
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