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文献名1霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻
文献名2第4篇 改心の幕よみ(新仮名遣い)かいしんのまく
文献名3第16章 千万無量〔708〕よみ(新仮名遣い)せんまんむりょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-06-13 17:37:56
あらすじ玉能姫は、神業のために夫と一時別れて活動をしなければならないお役目を思い、宣伝への決意を一弦琴に託して歌っていた。杢助がそこへやってきて、玉能姫に慰めの言葉をかける。初稚姫は神の道に安く艱難を乗り越える祈りを籠めた宣伝歌を歌った。杢助の庵の外では、にわかに騒がしい声が聞こえてきた。耳を傾けると、若彦がバラモン教徒たちに捕らえられて、打ち据えられている。玉能姫はいたたまれない気持ちになったが、自分と夫のそれぞれに与えられた役目に対するご神命を破るわけにもいかず、苦しい胸のうちをこらえて平静を装っている。玉能姫杢助に促されて天津祝詞を静かに奏上した。すると不思議にも庵の窓の外の人影は消えてしまい、後にはただ白狐が森の彼方に進んで行くのが見えたのみであった。玉能姫は自分の心の迷いを糺してくれたことに対して、神への感謝の祈りを捧げた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年05月27日(旧05月01日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月30日 愛善世界社版205頁 八幡書店版第4輯 456頁 修補版 校定版212頁 普及版94頁 初版 ページ備考
OBC rm2216
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本文 玉能姫『水の流れと人の行末  昨日や今日の飛鳥川
 淵瀬と変る世の中に  神の御水火に生れ来て
 夫ともなり妻となり  親子となるも神の世の
 縁の糸に結ばれて  解くる由なき空蝉の
 うつつの世ぞと知りながら  輪廻の雲に包まれて
 進みかねたる恋の途  暗路に迷ふ浅間しさ
 日は照り渡り月は盈ち  或は虧くる世の中に
 変らぬものは親と子の  尽きせぬ名残妹と背の
 深き契と白雲の  汝は東へ吾は西へ
 南や北と彷徨ひて  いつかは廻り近江路や
 美濃尾張さへ定めなく  神の恵を遠江
 祈り駿河の富士の山  木花姫の御神に
 願ひ掛巻く甲斐ありて  嬉しき逢瀬を三保の浜
 浦凪ぎ渡る羽衣の  松の響も爽かに
 風のまにまに流れ行く  此世を救ふ生神の
 貴の御楯と選まれし  神の任しの宣伝使
 千変万化に身を窶し  百の艱難を身に受けて
 世人を救ふ真心の  凝り固まりし夫婦仲
 鷹鳥山の頂に  黄金の光を放ちつつ
 衆生済度の御誓ひ  天国浄土の基礎を
 堅磐常磐に固めむと  治まる御代をみろくの世
 国治立大神や  豊国姫大御神
 神素盞嗚大神の  三つの御霊の神勅
 項にうけて世を開く  心の色も若彦の
 夫の命は今何処  折角会ひは会ひながら
 人目の関に隔てられ  其声さへも碌々に
 聞きも得ざりし玉能姫  果敢なき夢路を辿りつつ
 生田の森の吾思ひ  稚姫君の御霊
 堅磐常磐に鎮まりて  再び神代を立直し
 四方の天地神人を  救はせ給ふ経綸地
 守るも嬉しき吾身魂  行末こそは楽しけれ
 あゝ吾夫よ若彦よ  妾がひそむ此庵
 遥々訪ね来ります  清き尊き御心
 仇に帰せし胸の裡  うまらに細さに酌み取りて
 必ず恨ませ給ふまじ  此世を救ふ生神の
 在れます限り汝と吾は  又もや何時か相生の
 松の緑の常久に  霜を戴く世ありとも
 相互に昔を語りつつ  歓ぎ楽しむ事あらむ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 夫と在れます若彦が  行末厚く守りませ
 吾は女の身なれども  神を敬ひ天が下
 四方の身魂を慈しむ  清き心は束の間も
 胸に放さず天地の  神に祈りて身の限り
 心の限り三五の  誠一つを筑紫潟
 心の底も不知火の  世人は如何に騒ぐとも
 只皇神の御為に  夫婦心を協せつつ
 身は東西に生き別れ  如何なる艱難の来るとも
 神に任せし汝が命  妾も後より大神の
 御言のままに白雲の  遠き国をば踏み分けて
 神の司の宣伝使  山野を渉り河を越え
 海に浮びつ常世国  高砂島の果までも
 進みて行かむ惟神  御霊幸はひましませよ』
と一絃琴に連れて歌の声諸共に、幽邃に庵の外に響き渡りつつあつた。
 杢助は慨歎稍久しうして、力なげに二女が琴を弾ずる其場に現はれ、
『初稚姫様、大変に音色が良くなりましたよ。玉能姫様、貴女の音色も余程宜しいな、稍悲調を帯びて居る様です。何かお心に懸つた事はありませぬか、心の色は直ぐに言霊の上に現はれるものですから』
玉能姫『ハイ、余り神様の思召が有難くて身に沁み渡り、又他人様のお情が胸に応へまして、感謝の涙に咽んで居ました』
『世の中は喜があれば悲がある、悲の後には屹度喜ばしい花が咲くものです。桜の花は此通り夜の嵐に無残に散りましたが、梢に眺めた花よりも斯う一面庭の面に散り敷く美しさは又一入ですな。人間は何事も神様の御心に任すより外に途はありませぬ。如何なる艱難辛苦に遭遇するとも悔むものでは決してありませぬ。私も一人の妻に死別れ、一度は悲しき鰥鳥の幼児を抱へて浮世の無常を感じましたが「イヤ待て暫時、斯くなり行くも人間業ではない、何か深き思召のある事であらう。死別れた女房は不愍な様だが、大慈大悲の神様は屹度今より以上、結構な処へお助け下さるであらう。あゝ私が悔めば可愛い女房が神の御国へも能う行かず輪廻に迷ひ苦み悶えるであらう。忘れるが何よりだ」と一念発起した上は却て独身の方が結句気楽で宜しい。斯んな事を言ふと「お前さまは無情な夫だ」と心の底で蔑みも笑ひもなさらうが、さてさて何程悔んで見た所で仕方がない。お前さまも人間の身を以て此世に生れ、況して尊き宣伝使に使はれた以上は、世間の凡夫とは事変り、楽しみも一層深い代りに苦しみも亦一層深いでせう。其苦しみが神様の恵の鞭だ。何事があつても決して心配はなされますなや』
と口には元気に言へど、何となく玉能姫が心も推量り、同情の涙の色が声に現はれて居た。
玉能姫『何から何まで、御親切に有難う御座います。我々夫婦の者を立派な神様にしたててやらうと思召し下さいまして、重ね重ねの御心遣ひ、神様の様に存じます』
と琴の手をやめて、両手を膝に置き、俯向きて涙を隠す愛憐しさ。初稚姫は愛らしき唇を開き、
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  尊き神の御前に
 魂の限りを捧げつつ  誠一つの言霊を
 朝な夕なに怠らず  讃へまつれよ惟神
 御霊幸はひましまして  天が下なる悉は
 余さず残さず皇神の  心のままに幸はひて
 安きに救ひ給ふべし  神は吾等と倶にあり
 神は吾等と倶にあり  神の御水火を杖となし
 誠の道を力とし  荒浪猛る海原も
 虎伏す野辺も矗々と  何の艱もあら尊と
 勝利の都へ達すべし  賞めよ讃へよ神の恩
 尽せよ竭せ神の道  尽せよ竭せ人の道
 人は神の子神の宮  人は神の子神の宮』
と歌ひ終つて又もや一絃琴を手にし、心地好げに微笑を浮べて居る。
 俄に窓の外騒がしく十数人の足音、バタバタと聞えて来た。折柄昇る月影に顔は確と分らねど人影の蠢めく姿、手にとる如く三人の目に入つた。見れば大喧嘩である。一人の男を引縛り、杢助が庵の窓前に運び来り、寄つて集つて拳骨の雨を降らして居る。
甲『ヤイ、往生いたしたか、吾々バラモン教の信徒を悪神扱ひしやがつて、鷹鳥山に巣を構へ、貴様の女房の玉能姫に魔術を使はせ此方を清泉の真中へ放り込み、身体に沢山の手疵を負はせやがつた、其返報がへしだ。サア、もう斯うなつては此方のもの、息の根を止めて十万億土の旅立さしてやらう。こりや若彦、能うのめのめと生田の森まで彷徨うて来よつたなア』
と又もや鉄拳の雨を所構はず降らして居る。
 現在眼の前に夫が打擲されて居る実況を見たる玉能姫の心は張り裂ける如く、仮令天地の法則を破るとも、飛びかかつて悪者に一太刀なりと酬いたきは山々なれど、泰然自若たる杢助に心惹かれ、苦しき胸を抱き平気を装うて居る。
杢助『玉能姫さま、何と面白い事が出来ましたな。坐ながらにして窓の内から活劇を見せて貰ひました。これも有難き思召でせう。サア早く神様に感謝の祝詞を奏上なさいませ。私はゆつくりと此活劇を見物致しませう。神様が如何しても使はねばならぬ必要の人物と思召したならば、仮令百万の敵が攻め来るとも、如何に鉄拳の雨を蒙るとも、鵜の毛で突いた程の怪我も致しますまい。何処の人かは知らねども、貴女の夫の名によく似た若彦と言ふ男らしう御座います。さてもさても腑甲斐ない男もあつたものだなア。アハヽヽヽヽ』
と作り笑ひに紛らす。玉能姫は心も心ならず、轟く胸を抑へながら静に天津祝詞を奏上し始めた。何となく声は震うて居た。地上に投げられ数多の悪者に苛責まれ居た若彦の身体より、忽ち五色の霊光発射し、ドンと一声、不思議の物音に杢助、玉能姫は窓外を眺むれば、人影は何処へ消えしか跡形もなく、窓近く一つの白狐ノソリノソリと太き尾を下げて森の彼方に進み行く。
杢助『アハヽヽヽ、神様は何処迄も吾々の気をお惹き遊ばすワイ』
 玉能姫は両手を合せ、
『惟神霊幸倍坐世』
初稚姫『皇大神守り給へ幸へ給へ』
(大正一一・五・二七 旧五・一 北村隆光録)
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