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文献名1霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻
文献名2第3篇 危機一髪
文献名3第11章 夢の王者〔741〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ黄竜姫の奥殿では、蜈蚣姫と小糸姫(黄竜姫)が久しぶりの親子の対面を果たしていた。小糸姫は、今は五十子姫、梅子姫の感化によって神素盞嗚尊の教えを奉じて三五教に帰依していることを明かした。
蜈蚣姫はこの物語に驚いたが、友彦のことを許すかどうかと娘に尋ねた。案に相違して小糸姫は友彦をずっと想っていたと明かし、友彦を城内に迎えるとまた縁りを戻してしまった。
と思いきや、これは友彦の夢であった。友彦は玉治別らと一緒に城外に逃れて茂みの中で寝てしまっていた。寝返りを打ったとたんに二三間下の岩に墜落して、腰をしたたか打ってしまった。
主な人物 舞台地恩城 口述日1922(大正11)年07月03日(旧閏05月09日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所
OBC rm2411
本文の文字数5136
本文のヒット件数全 1 件/瑞の御魂=1
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本文  黄竜姫の奥殿には、蜈蚣姫と一つ島の女王なる小糸姫の二人端坐して、親娘再会の悲喜劇が演ぜられ居たりける。
『母上様、久濶で御座いました。ツイ幼な心に前後の区別も弁へず、卑しき下僕の友彦に唆かされ、御両親様を打ち捨てて家出を致しました、重々不孝の罪、お詫の申し様も御座いませぬ。何卒今迄の事は憎い奴ぢやと思召さず、お赦し下さいませ』
と下坐に直つて悔悟の意を表する。蜈蚣姫は嬉し涙に暮れ乍ら、
『何の何の、叱りませう。一時は両親共に大変な心配を致しまして、殆ど此世が厭になり、いつそ夫婦の者が淵川へでも身を投げて死なうかと迄も悲観の淵に沈みました。然し大慈大悲の神様のお蔭で、淋しき悲しき心にも一道の光明が輝き始め再び夫婦は心を取直し、大自在天様の御教を波斯の国から印度の国、自転倒島まで教線を張り、肺肝を砕き活動をして見ましたが、如何しても吾々夫婦の行動が大神様のお心に召さぬと見え、する事為す事、鶍の嘴と喰ひ違ひ、夫の鬼熊別様は波斯と印度との国境、テルモン山の山麓に僅に教の園を開き給ひ、妾は自転倒島を駆け廻り、風の便りに其方の所在を聞き知り、万里の波濤を越えて漸う此島に着きました。鬼熊別が聞かれたなら、嘸お喜びなさる事であらう。まア立派に成つて下さつた。斯様な大きな島の女王となる迄には、随分苦労をなさつたでせう』
『イエイエ、尠しも苦労ナンカ致しませぬ。何事も神様の大御心にまかせ、国祖国治立尊の御守護遊ばす三五の教を信じ、瑞の御魂の大御心を心とし、焦慮らず燥がず、人を憎まず妬まず、心からの慈愛を旨となし万民に臨みました。その徳によつて此国は無事泰平に治まり果実よく稔り、民は鼓腹撃壤、恰も顕恩郷の昔の様で御座います。何卒母上様、貴女御夫婦共今迄の心を立替立直し、国祖国治立大神様の大御心を奉体し、誠一つになつて下さいませ。誠ほど強いものの結構なものは御座いませぬ。如何なる敵も赦すのが神様の御心で御座います』
『いかにも立派なお心掛け、さうでなくては結構なお道は開けますまい。さうしてお前様の御用助けをする方は誰方で御座いますか』
『ハイ、実の所、顕恩郷のバラモンの本山に御座つた五十子姫様、梅子姫様、それに付き添う今子姫、宇豆姫の四人の方々が、広大無辺の神力を現はし、其手柄を皆妾にお譲り下され、妾を此島の女王として下さつたのです』
『何、あの五十子姫、梅子姫がソンナ立派な行ひを致しましたか。姉妹八人申し合せ、顕恩城に忍び入り、大棟梁様の裏をかいて、メチヤメチヤに叩き壊した悪神ではありませぬか』
『あの方々は神素盞嗚尊様の御娘子、神様の命令に依つて顕恩郷に下僕となつて、バラモン教の人々を誠の道に救はむ為に、天降り遊ばしたので御座います。決して悪く思はれてはなりませぬ。今日の処では、五十子姫様は今子姫と共に自転倒島の聖地へ指してお帰りになり、只今は梅子姫様、宇豆姫と共に妾の日夜の神政を補助指導して下さる、結構な神様の様なお方で御座います。何卒母上様、一度丁寧に御礼を申し上げて下さいませ』
 蜈蚣姫は此物語に驚き舌を捲き、『ヘーツ』と言つたきり暫時言葉も出でず、思案投げ首に時を移したりける。
 少時あつて侍女が運びきたる豆茶に喉を潤し乍ら、蜈蚣姫は語を次で、
『お前様はそれ丈け善一筋の道を守り、結構な女王とまで成りなさつた位だから、今迄の如何なる無礼を加へた者でも赦しませうなア』
『ハイ、赦すの、赦さぬのと……左様な大それた……人間として資格は持ちませぬ。何事も皆神様のお仕組ですから……』
『仮令友彦の様な男でも、謝つて来たならば貴女は赦しますか』
『人間の性は善で御座います。悔い改めさへすれば元の大神様の分霊、罪も穢も御座いますまい。母上様は友彦をお怨みで御座いませうが、決して友彦が悪いのでは御座いませぬ。妾こそ友彦に対して、実に済まない事を致しました。神様の御神徳を頂き、斯様な結構な身の上になつたにつけても、明暮思ふのは御両親様の事、次には友彦の事で御座います。寝ても起きても……アヽ実に済まない事であつた……と思へばうら恥しくて立つても居ても居られない様です。何卒一度お目にかかつてお詫を致し度いもので御座います。それ故妾は貞節を守り、独身生活を続けて居ります』
と涙を袖に拭ふ。蜈蚣姫はアフンと許り呆れかへり、
『恋に上下の隔てなしとは、よくも言つたものだな。矢張りお前さまは友彦が恋しいのですか』
 小糸姫は俯向いて無言の儘涙にかきくれる。
『万々一其友彦が詐偽師、大泥棒、人の嬶ア盗みをする悪党であつたら、お前さまは如何しますか』
『チツトも構ひませぬ。友彦さまを悪人にしたのも皆妾の罪、それなれば尚々大切にして上げねばなりますまい』
『ヘエ左様ですか』
と娘の顔を訝かしげに打ち看守る。
 此時一人の侍女慌しく此場に現はれ来り、
『女王様に申上げます。今玄関口に鼻の先の赤い、色の黒い、不細工な男が一人立ち現はれ、……「俺は女王の夫だ、一遍小糸姫に会はせ」……と呶鳴つて居りますので、大勢の者どもが、コンナ気違ひを寄せてはならないと種々と致しますれど、力強の鼻赤男、容易に治まりませぬ。小糸姫に告げと許り失礼な事申して居りますが、如何致しませうか』
と聞くより小糸姫は顔色をサツと変じ、
『何、鼻の先の赤い男が、小糸姫に会ひたいと言つて居ますか。さア妾も参りませう。……母上様、暫時此処に待つて居て下さいませ』
と言ひ捨て、侍女の後に従ひ長廊下を伝ひ、表玄関指して進み行く。あとに蜈蚣姫は舌を捲き、
『ナント強い惚気様だなア。雀百まで雄鳥を忘れぬとやら、妾も如何やら鬼熊別様が思ひ出されて、お懐しうなつて来たワ』
と四辺に人無きを幸ひ、思ひのままに泣き叫ぶ。玄関口に現はれた小糸姫は、前後左右に数多の下僕を手玉にとり荒れ狂ふ友彦の姿を見て、ニコニコし乍ら「友彦殿、友彦殿」と声を掛けたり。此声に友彦は振り返り、俄に襟を繕ひ身体の恰好を直し乍ら、
『やア小糸姫どの、久し振りでお目に掛りました。随分凄い腕前でしたね』
『誠に申訳のない事で御座いました。さア何卒奥にお這入り下さいませ。妾がお手を執つてあげませう』
 一同小糸姫の此行為に呆れはて、ポカンとして打ち眺め居たり。友彦は小糸姫の握つた手を打ち払ひ、
『滅相も無い、権謀術数至らざるなき恐ろしき貴女、迂濶手でも引かれ様なものなら電気にかけられた様に、寂滅為楽の運命に陥らねばなりますまい。エー、恐ろしや恐ろしや僅か十六か十七で、コンナ大きな島の女王に成る様な腕前、活殺自在の権能を持つて居る貴女、何卒生命ばかりは昔の交誼で助けて下さい。貴女も随分私に泡を喰はせたから、もうあれで得心でせう。此上苛めるのは胴欲で御座います』
『恋しき友彦様、何御冗談を仰有いますナ。日日毎日、夢幻と貴下の事を思ひつめ、待つて居りました。さア安心して奥へ行つて下さい。母の蜈蚣姫も奥に休息して居られますから……』
 友彦は稍安心の態にて、赤い鼻を右の手で隠す様にし乍ら、小糸姫の細き手に左の手を握られ従いて行く。
『友彦さま、アタ恰好の悪い、右のお手をソンナ処へ当てたりして、何をなさいます』
『あまり鼻が赤くて見つとも無う御座いますから……』
『ホヽヽヽヽ、妾は其赤い鼻が好きなのですよ。世界中に鼻の先の赤い立派な男が、さう沢山にありますものか、ホヽヽヽヽ』
と笑ひ乍ら奥深く進み行く。友彦は嬉しさと嫌らしさと恥しさが一つになり、足もワナワナ奥殿目蒐けて進み入る。
 奥の一室には蜈蚣姫只一人、夫の身の上を思ひやり眼を腫して居る。其処へ嫌な嫌な友彦の手を携へて、嬉しげに這入つて来た小糸姫の姿を見て打ち驚き、
『まア、小糸姫様、冗談ぢやと思つて居たら本当ですか。アンナ糞彦を奥殿へ引張り込み遊ばしては、貴女の御威徳に関はりませう。冗談も良い加減になさいませ。………これこれ友彦、身の上知らずも程がある。お前等の来る処ぢやない、さアトツトと下僕の部屋へでも下つて休息しなされ。何程小糸姫がお前に執着されても肝腎の此親が許しませぬぞや』
『妾は肉体こそ貴女の娘、今は一国の権利を握る女王で御座れば、如何に貴女のお言葉なりとて承はるわけには参りませぬ。……友彦様、今迄の御無礼はお許し下さいませ。……母上様、友彦様の今迄の罪は許してやつて下さい。今日より友彦様を更めて妾が夫と仰ぎ、竜頭王と御名を与へまする。……いざ竜頭王殿、今日只今より妾は貴下の妻で御座いますれば、何卒宜しくお願ひ致しまする』
 友彦は夢では無いかと頬を抓つて見たり、其処四辺を突いて見て茫然として居る。斯かる処へ梅子姫は美しき器に種々の珍味を盛り、徐々として入り来り、
『これはこれは蜈蚣姫様、ようこそ御入来下さいました。久し振りでお目に懸ります。先づ御壮健にて、何より大慶至極に存じます。妾は顕恩城に仕へて居りました神素盞嗚尊の娘梅子姫で御座います。これなる一人は宇豆姫と申し、元は鬼雲彦様の侍女、何卒御眤懇に願ひ奉りまする』
『何とまア年が寄つた事、如何にもお前さまは梅子姫様に間違ひは無い。意地の悪さうな顔をして居乍ら、ようまア、娘をここ迄助けて出世をさして下さいました。然し乍ら、余り偉い出世で、此親もチツト位妬ましうなつた位で御座います。あまり出世をし過ぎて、母親の言ふ事も聞かぬ様になつて仕舞ひました。何卒貴女から一つ御意見遊ばして下さいませ。小糸姫が此様な我儘者になりますのも、温順な女になりますのも、指導者の感化力によりますのぢや。貴女から一つ淑やかになつて、親子夫婦の道をお悟り下さいまして、其上で娘に意見をして下さらば、偶会うた親の言ふ事を聞く従順な淑女になるでせう。それに何ぞや、人もあらうに、鼻赤の此様な不細工な性念の悪い男を、今日から竜頭王と仰ぎ奉るなぞと……ヘン……あまり呆れて物が言はれませぬワイなア』
と肩をプリンプリンと大きくシヤクツて、不平の持つて行き処を探し居たり。
『吾は今日より今迄の友彦に非ず。オーストラリヤの女王黄竜姫が夫、竜頭王で御座る。此国の権利は吾手に掌握致したれば、何事も此方の指図に任せ、慎み敬ひ凡ての行動を執つたがよからう』
と初めて王者振りを発揮し、恥し相に鼻の先に手を当てて宣示したり。
『ヘン、友彦さま、措来なさいませ。何程竜宮島の権利を握つたと言つても、妾に対しては効力はありますまい。妾は黄竜姫の母ですよ。謂はばお前さまの義理の母ですよ。何程主権者になつたと言つても、親の言ふ事を背く訳には往きますまい。友彦さま、返答を聞きませうかい』
と嫉妬と軽侮とゴツチヤ交ぜにして、鼻息荒く知らず識らずに立膝になり、友彦の面部を睨みつめて居る。一座白けきつた此場のまを持たさむと、宇豆姫は蜈蚣姫の手を執り、
『さア、蜈蚣姫さま、此方に風景の佳い立派な居間が御座います。先づ悠りと御休息下さいませ。お供を致しませう』
『ハイハイ、有難う。若い御夫婦の側に皺苦茶婆アが何時迄も坐つて居るのは、お座が白けませう。御機嫌を損ねてもなりませぬから、それならば気を利かして此処を一先づ立退きませう。これこれ友彦……オツト ドツコイ……竜頭王様、黄竜姫様、御夫婦仲よう天下の経綸を御相談遊ばせ。御邪魔になるといけませぬから、気を利かして風景の佳い処で、お茶なつと一杯頂戴致しませう』
と言葉をシヤクリ乍ら、畳触り荒く身体をピンピンと左右に振りつつ、一間の内へ進み入る。
 後に二人は、互に一別以来の経路を語り、身の失敗談を打明け、夕立雲の霽れたる如く再び旧の割なき仲となりにける。
    ○
 折から吹き来る烈風に竜頭王の安坐せる高殿は吹き倒され、バチバチガタガタと木端微塵に打ち砕かれ、身は高処より材木の破片と共に岩の上に落ち込み、ハツト驚きの目を覚せば、……豈図らむや、城外の木の茂みに、友彦は数多の下僕等に舁つぎ出され捨てられ乍ら疲れ果ててつい熟睡し、寝返り打つた途端に二三間下の岩の上へ墜落し、腰をしたたか打ち居たりける。
(大正一一・七・三 旧閏五・九 北村隆光録)
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