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文献名1霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
文献名2第2篇 自由活動よみ(新仮名遣い)じゆうかつどう
文献名3第7章 大蛇解脱〔753〕よみ(新仮名遣い)おろちげだつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-08-30 22:55:53
あらすじ三人が滝にやってくると、大蛇は毒酒が回ってほとんど半死半生の体であった。郷人たちはとどめを刺そうとやっきになっている。飯依彦らが正に大蛇の鱗の隙間に槍を突き通そうとしていたところに、清公らがやってきた。清公は、大蛇といえども天帝の分身であることを郷人たちに諭すと、大蛇の頭の上に乗って宣伝歌を歌い始めた。その歌には、郷人たちの言行心の不一致が凝って大蛇となって表れたことが歌われていた。清公が、心に潜む悪魔を清めて教えに従った言行に立ち返るように、と歌うと、大蛇は縮小してしまい、小さな蛇となってしまった。清公は蛇に引導を渡すと、郷人たちにも、三五教に立ち返って心を根底から立直すように、と諭した。郷人たちは清公の前に平伏した。清公は、郷人たちに地恩郷に参拝するようにと言い渡した。モンキーを案内者として、郷人たちは船に乗って参詣を果たした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月08日(旧閏05月14日) 口述場所 筆録者谷村真友 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年5月25日 愛善世界社版119頁 八幡書店版第5輯 74頁 修補版 校定版124頁 普及版55頁 初版 ページ備考
OBC rm2507
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本文  清公、チヤンキー、モンキーの三人は、酒の滝壺の前に宣伝歌を歌ひ乍ら進み寄り見れば、さしもの大蛇も毒酒に酔ひ、死物狂ひにノタ打廻つた揚句、大に疲労せしと見え、ガクリと首を曲げ口を噛み締め、殆ど半死半生の姿になつて居た。飯依彦の末裔飯依別を始め、久々別、久木別の三人の神司は、逃げ散りたる数多の郷人を呼び集め、各自に竹鎗を持ち、大蛇の身体を鱗と鱗の間より、力限りに突き刺し、殺さむとする真最中であつた。飯依別は大蛇の身体に向ひ、
『汝此郷を日夜に荒し、人民の膏血を搾り、あまつさへ我等が妻子を呑み喰ひ、郷人を悩ませし悪神の張本、天は何時迄も汝如き悪神を赦し給はず、忝なくも真澄姫命の御神徳に依りて、汝を弱らせ退治せむとの我等が計略、よくも斃死つたなア。サア是よりは汝の肉体の命を取り、此郷の惨害を除かむ。汝も定めて天地間の生物、神の御霊を受け居るならむ。必ず吾等が今日の仕打を恨み、霊魂中有に迷ひ、再び此郷に害を加ふ如きことあらば、吾等が祈念の神力にて其霊魂を責め悩め、根底の国へ追ひ遣らむほどに。……サア大蛇、霊肉共に寂滅為楽、必ず此世に心を残してはならぬぞ』
と大蛇に向つて誅戮の宣示をなし、久々別、久木別両人が指揮の下に、数多の郷人は声を揃へて竹鎗をしごき、鱗と鱗の間に、鎗の穂先を差込み『一二三』の掛声、一時に突込まむと身構へする折しも、宣伝歌の声と共に現はれたる清公以下の宣伝使、ツカツカと此場へ近寄り、
清公『我は地恩郷に現はれ給ふ竜宮島の女王、黄竜姫様の幕下、清公、チヤンキー、モンキーと申すもの、今木蔭に忍んで承はれば、飯依別以下二柱郷人の害を除かむとして毒酒の計略にて、此大蛇を誅戮せむとし給ふ其志、実に尤もなれども仮令大蛇と雖も天帝の分身分体なれば、易々殺すべからず。先づ第一に言霊を以て之に向ひ、如何にしても帰順せざる時は、各柄物を以て、直接行動を開始すべきである。先づ先づ待たせられよ』
と制止し大蛇の頭部にヒラリと飛び上り、盛んに宣伝歌を歌ひ始めた。
清公『神が表に現はれて  善と悪とを立て別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直し聞き直し
 身の過ちは宣り直す  三五教の神の道
 仮令大蛇は死するとも  大蛇の霊魂は永久に
 此世に残り種々の  悪しき曲行繰返し
 恨みを晴らし世を乱し  荒び猛るは目の当り
 悪逆無道の曲神も  善の道には敵し得ず
 月毎日毎此郷に  現はれ来り諸人を
 悩まし苦む此大蛇  元より悪き神ならず
 遠き神世の其昔  日の出神が現はれて
 真澄の姫の国魂を  大宮柱太知りて
 斎き祀らせ玉ひつつ  飯依彦命をば
 神の司と定められ  子々孫々に至る迄
 祭政一致の大道を  夢にも忘れちやならないと
 教へ置かれし言の葉を  郷人残らず打忘れ
 利欲の淵に身を沈め  勝利の山に憧憬て
 体主霊従の行動を  益々盛に続行し
 天地の神の御怒りに  触れて曲津を自ら
 生み出したる郷の人  今現はれし此大蛇
 皆郷人の魂や  心の色の反映に
 現はれ出でたるものなるぞ  心一つの持ち方で
 神と現はれ鬼となり  大蛇となるも各自の
 言心行の不一致ゆ  生み出したるものなるぞ
 これの大蛇を竹鎗の  武器もて虐く殺すより
 汝の心の真底に  潜める大蛇を平らげて
 誠一つの三五の  教の光り真澄鏡
 照らして見よや曲霊の  醜の肉体も忽ちに
 跡形も無く消え行きて  鬼も大蛇も影もなく
 誠の道の御恵みに  靡き伏すらむ郷人よ
 かかる大蛇の現はれし  其源を尋ぬれば
 紛ふ方なき郷人の  心の過ちある故ぞ
 大蛇よ大蛇よ曲神よ  汝に誠の魂あらば
 我言霊を謹聴し  うまらにつばらに汲み分けて
 怪しき賤しき此姿  行衛も更に白雲の
 消えて跡なき天津空  清く正しく澄み渡る
 目出度き御代に逢ふならむ  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ましまして  昔の神の伝へたる
 三五教の御教を  日日毎日繰返し
 思ひ出して神界の  御用に立てよ郷人よ
 神の守らす世の中は  いかで悪魔の蔓こらむ
 悪魔は心に潜むなり  一日も早く大神の
 厳の言霊経となし  身の行ひを緯として
 天と地との其中に  人と生れし功績を
 誠一つに立て直し  正しき神となり変り
 五六七の御代を造れかし  キリストメシヤの再臨も
 五六七出生の暁も  甘露台の瑞祥も
 蓮華台上の御神楽も  神国魂其ものの
 いづれ変らぬ一つ物  狭き心を振り捨てて
 三五教の神の道  思ひ浮べて行へよ
 あゝ惟神々々  御霊幸倍ましませよ』
と宣り終るや、今迄長大なる姿を現はしたる大蛇も、次第々々に縮小し、遂には小さき蛇となりて、清公が足許を嬉し気に這ひ廻る。清公は尚も天津祝詞を奏上し此蛇に向つて鎮魂を修し、
『汝再び此郷に現はれ、かかる悪逆無道を繰返す勿れ。又郷人も今迄の心を根底より立直し、日の出神の教へ置かれし三五教を信じ、真澄姫命の神霊に拝謝せば汝等が心中に潜める鬼、大蛇は忽ち姿を隠して、煙となりて消え失せむ』
と宣べ終るや、飯依別、久木別、久々別の神司を始め郷人一同は、清公が前に平伏し、今迄の不信仰の罪を悔い、再び大神の珍の御子とならむことを祈る。清公は、
『地恩郷に三五教の梅子姫、黄竜姫の現はれ給ひて神徳四方に輝きあれば、此郷の害悪を洗ひ清められし謝恩の為めに、打揃ひ参拝す可し』
と命ずれば、飯依別を始め一同は、一も二もなく此説に服し、モンキーを案内者として地恩郷に参拝することとなつた。
 幾十の船を海面に浮べてヒルの港を漕ぎ出した。船中は神徳の話で持切りながら、清公一同が乗り来たりし船をも従へて、タカの港へ上陸し、参詣する事となつた。此時神命に依つて清公の乗り来りし船は、元の所に帰され、其持主を求めて色々とヒルの郷の珍しき物を与へ、厚く謝辞を述べた。あゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一一・七・八 旧閏五・一四 谷村真友録)
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