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文献名1霊界物語 第26巻 海洋万里 丑の巻
文献名2第2篇 蓮華台上よみ(新仮名遣い)れんげだいじょう
文献名3第6章 大神宣〔771〕よみ(新仮名遣い)おおみのり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-09-29 19:03:40
あらすじ
神素盞嗚尊は厳然として立ち上がり、荘重な口調で歌った。

豊葦原の国中に邪神が現れてすさび、天下の民草を苦しめ悩ます惨状を見かねて、瑞御魂は神素盞嗚と現れて、八十猛の神司と八人乙女を四方に遣わし、三五の神の教えを宣べ伝えた。

ウブスナ山の斎苑館を後に残して出立し、自転倒島の中心地である綾の高天原の聖域に、国治立大神の化身である国武彦と一緒に世を忍んで隠れていた。

この世を救う厳御霊、瑞御霊と相並んで、天地の神に三五の教えを開き、天下の四方の木草に至るまで安息と生命を永遠に賜るために、朝夕心を配らせながら、三つの御玉の宝玉が鎮まり、また麻邇の玉が五の御玉として現れた。

埴安彦・埴安姫の神の御霊も、玉照彦・玉照姫と現れることとなった。

瑞の御霊と現れた三五教の神司・言依別命は、皇神の錦の機の経綸を心の底に秘め置いて、浮きつ沈みつ、世を忍んで深遠微妙の神策を永遠に建てよ。

神素盞嗚の我が身魂は、世界中にわだかまる八岐大蛇を言向け和して、高天原を納める天照大神の御許に復命をするまでは、井守蚯蚓と身を潜めて、木の葉の下をかいくぐって、松の世の尊い仕組みを成し遂げよう。

国武彦大神よ、汝もしばし深山の奥の時鳥のように姿を隠して、長年の憂き目を忍び、やがて来る松の神世の神政を心静かに待つことだ。

竜宮城から現れた五つの麻邇の玉は、綾の聖地に永久に鎮まりまして、桶伏山の蓮華台に天火水地が結んだ薫り高い梅の花であり、木花姫神の生御魂である。三十三相に身を表して、世人を救おうと流す涙は和知の川である。それが流れて由良の海となり、救いの船に帆を上げる。

秋山彦の真心や、言依別の犠牲の清き心を永久に五六七の神世の礎として、神の定めた厳御魂となる、実に尊さの限りの神宝である。

国治立大神の厳の御霊は、今しばし四尾山の奥深くに国武彦と現れて草の片葉に身を隠して、玉照彦・玉照姫を表に立て、言依別命を司とし、深遠微妙の神界の仕組みの業に仕えよ。

厳と瑞とのこの仕組みは、何が起ころうとも永久に変わらない。このことは初発の時から定まっている、万古不易の真理である。天地の神人を救うための我がなやみ、国治立神のお心も思いは同じと深く察し奉る。

大神は歌い終わると一同に微笑を与えて、奥の間に姿をかくさせ給うた。

国武彦命は神素盞嗚大神の御後姿を見送り、手を合わせて感謝の意を表し、一同の前に立ってやや非調を帯びた声音を張り上げて歌い給うた。

豊葦原の国祖として、国治立の厳御霊と高天原に現れ、神人たちが守るべき道を宣り伝え、神祭を布き広めた。

しかし天足彦・胞場姫の身魂より生まれた邪神の雲に包まれて、世は汚れてしまった。その結果、罪穢れを自らの身に負って天教山の火口に身を躍らせ、地の底根底の国を隈なく巡り、心身を尽くして造り固め、再び天教山の火口に再現した。

野立彦と名を変えて国中を駆け巡った。また豊国姫神の御霊はヒマラヤ山に野立姫と現れた。

再び来る松の世の礎を固めようと、自転倒島の中心地である綾の高天原の桶伏山の隣の四尾山に身を潜めた。この世を洗う瑞御霊に仕えて五つの御霊の経綸を行うために、国武彦となって神素盞嗚大神の御共の神と現れた。

現幽神を照り透す如意宝珠や、黄金の玉や、紫の玉といった宝はいち早く自転倒島に集まった。またここに、五つの麻邇の神玉が竜宮の一つ島から現れて、宣伝使たちの働きによって帰り降って来た。尊いことだ。

国武彦は永久に隠れてこの世を守って行く。甲子の九月八日、今日はいかなる吉日であろうか。天津御空の若宮に鎮まりいます日の神の大前に慎み畏み感謝し奉る。

千座の置戸を身に負ってこの世を救う生き神の瑞の御霊と現れた神素盞嗚大神の仁慈無限の御心を喜び敬い奉る。

言依別の神司よ、この行く先の神業にまたもや千座の置戸を負って、我が身魂と共に三柱揃って三つの身魂として、現世を洗い清める神業に仕え奉らせ。

神人たちの救いのために真心を千々に砕いて忍び忍びに神業を仕えまつり、松の世の五六七の神政を指折り数えて待ち暮らす我が三柱の神心を聞こし召せ。

国武彦神は歌い終わると一同に軽く黙礼し、そのまま御姿は白煙となってその場に消えてしまった。一同は直ちに拍手して天津祝詞を奏上した。そして御神慮の尊さを思い浮かべて、感涙に咽ぶのであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月18日(旧閏05月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年6月5日 愛善世界社版97頁 八幡書店版第5輯 179頁 修補版 校定版107頁 普及版35頁 初版 ページ備考
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本文  素盞嗚尊は儼然として立上り、荘重なる口調を以て歌はせ給うた。
『豊葦原の国中に  八岐大蛇や醜狐
 曲鬼共のはびこりて  山の尾の上や川の瀬を
 醜の魔風に汚しつつ  天の下なる民草を
 苦め悩ます此惨状を  見るに見兼ねて瑞御魂
 神素盞嗚と現はれて  八十の猛の神司
 八人乙女や貴の子を  四方に遣はし三五の
 神の教を宣べ伝へ  山川草木鳥獣
 虫族までも言霊の  清き御水火に助けむと
 ウブスナ山の斎苑館  後に残して八洲国
 彷徨ふ折りしも自転倒の  大和島根の中心地
 綾の高天の聖域に  此世の根元と現れませる
 国治立大神の  国武彦と世を忍び
 隠れいますぞ尊けれ  此世を救ふ厳御霊
 瑞の御霊と相並び  天地の神に三五の
 教を開き天が下  四方の木草に至る迄
 安息と生命を永久に  賜はむ為に朝夕を
 心配らせ給ひつつ  三つの御玉の神宝
 高天原に永久に  鎮まりまして又もはや
 現はれ給ふ麻邇の玉  五づの御玉と照り映えて
 三五の月の影清く  埴安彦や埴安姫の
 神の命と現れませる  神の御霊も今茲に
 いよいよ清く玉照彦の  貴の命や玉照姫の
 貴の命の御前に  納まる世とはなりにけり
 瑞の御霊と現れませる  三五教の神司
 言霊幸はふ言依別の  神の命は皇神の
 錦の機の経綸を  心の底に秘めおきて
 松の神世の来る迄  浮きつ沈みつ世を忍び
 深遠微妙の神策を  堅磐常磐にたてませよ
 神素盞嗚の我が身魂  八洲の国に蟠まる
 八岐大蛇を言向けて  高天原を治しめす
 天照します大神の  御許に到り復命
 仕へまつらむそれ迄は  蠑螈蚯蚓と身を潜め
 木の葉の下をかいくぐり  花咲く春を待ちつつも
 完全に委曲に松の世の  尊き仕組を成し遂げむ
 国武彦大神よ  汝が命も今暫し
 深山の奥の時鳥  姿隠して長年の
 憂目を忍びやがて来む  松の神世の神政を
 心静かに待たせまし  竜宮城より現はれし
 五つの麻邇の此玉は  綾の聖地に永久に
 鎮まりまして桶伏の  山に匂へる蓮華台
 天火水地と結びたる  薫りも高き梅の花
 木花姫の生御魂  三十三相に身を現じ
 世人洽く救はむと  流す涙は和知の川
 流れ流れて由良の海  救ひの船に帆をあげて
 尽す誠の一つ島  秋山彦の真心や
 言依別が犠牲の  清き心を永久に
 五六七の神世の礎と  神の定めし厳御魂
 実に尊さの限りなり  あゝ惟神々々
 御霊幸はへましまして  国治立大神の
 厳の御霊は今暫し  四尾の山の奥深く
 国武彦と現はれて  草の片葉に身を隠し
 錦の宮にあれませる  玉照彦や姫神を
 表に立てて言依別の  神の命を司とし
 深遠微妙の神界の  仕組の業に仕へませ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  厳と瑞との此仕組
 千代も八千代も永久に  変らざらまし天地の
 初発し時ゆ定まりし  万古不易の真理なり
 万古不易の真理なり  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  只何事も神直日
 大直日にと見直して  天地百の神人を
 救はむ為の我が聖苦  思ひは同じ国治立の
 神の尊の御心  深くも察し奉る
 深くも感謝し奉る』
と歌ひ終り、一同に微笑を与へて、奥の間に姿をかくさせ給うた。
 国武彦命は神素盞嗚尊の御後姿を見送り、手を合せ感謝の意を表し、終つて一同の前に立ち、稍悲調を帯びた声音を張り上げ歌ひ給うた。
『天の下なる国土を  汗と涙の滝水に
 造り固めて清めたる  豊葦原の国の祖
 国治立の厳御霊  御稜威も高き貴の宮
 高天原に現はれて  百の神等人草の
 守らむ道を宣り伝へ  神の祭を詳細に
 布き拡めたる元津祖  天足の彦や胞場姫の
 捻け曲れる身魂より  生れ出でたる曲身魂
 八岐大蛇や醜狐  醜女探女や曲鬼の
 怪しの雲に包まれて  さも美はしき国土も
 汚れ果てたる泥水の  溢れ漂ふ世となりぬ
 醜の曲霊に憑かれたる  常世の彦や常世姫
 千五百万の神々の  罪や穢を身に負ひて
 木花姫の守ります  天教山の火口より
 身を躍らして荒金の  地の底迄身を忍び
 根底の国を隈もなく  さ迷ひ巡り村肝の
 心を尽し身を尽し  造り固めて天教の
 山の火口に再現し  野立の彦と名を変へて
 あ真似く国内を駆け巡り  豊国姫の神御霊
 野立の姫と現はれて  ヒマラヤ山を本拠とし
 身を忍びつつ四方の国  夫婦の水火を合せつつ
 世界隈なく検めて  再び来る松の世の
 其礎を固めむと  自転倒島の中心地
 綾の高天と聞えたる  桶伏山の片ほとり
 此世を洗ふ瑞御霊  四尾の山に身を忍び
 五つの御霊の経綸を  仕へまつらむ其為に
 日の大神の神言もて  天の石座相放れ
 下津磐根に降り来て  国武彦となりすまし
 神素盞嗚大神の  御供の神と現はれぬ
 此世を思ふ真心の  清き思ひは仇ならず
 現幽神を照り透す  金剛不壊の如意宝珠
 黄金の玉や紫の  貴の宝は逸早く
 自転倒島に集まりて  三千世界を統べ守る
 其礎はいや固く  国常立となりにけり
 又もや嬉しき五つ御玉  波に漂ふ竜宮の
 一つ島なる秘密郷  金波漂ふ諏訪の湖
 底ひも深く秘めおきし  五つの御霊と称へたる
 青赤白黄紫の  光眩ゆき麻邇の玉
 梅子の姫や黄竜姫  蜈蚣の姫や友彦や
 テールス姫の御使に  持たせ給ひて遥々と
 黄金翼の八咫烏  天津御空を輝かし
 雲路を別けて自転倒の  松生ひ茂る神の島
 綾の聖地に程近き  恵も深き由良の海
 其川口に聳り立つ  秋山彦の神館
 心の色は綾錦  空照り渡る紅葉姫
 夫婦の水火も相生の  松葉茂れる庭先に
 十曜の紋の十人連  しづしづ帰り降り来る
 其御姿の尊さよ  いよいよ茲に五つ御玉
 国武彦も永久に  隠れて此世を守り行く
 玉依姫のおくりたる  麻邇の宝珠は手に入りぬ
 あゝ惟神々々  時は待たねばならぬもの
 時程尊きものはなし  此世を造り固めたる
 元の誠の祖神も  時を得ざれば世に落ちて
 苦み深き丹波路の  草葉の影に身を凌ぎ
 雨の晨や雪の宵  尾の上を渡る風にさへ
 心を苦しめ身を痛め  天地の為に吾力
 尽さむ由も泣くばかり  胸もはり裂く時鳥
 八千八声の血を吐きて  時の来るを待つ間に
 今日は如何なる吉日ぞや  神世の姿甲子の
 九月八日の秋の庭  御空は高く風は澄み
 人の心も涼やかに  日本晴れのわが思ひ
 瑞と厳との睦び合ひ  八洲の国を照らすてふ
 三五の月の御教の  元を固むる瑞祥は
 此世の開けし初より  まだ新玉のあが心
 あゝ惟神々々  天津御空の若宮に
 鎮まりいます日の神の  御前に慎み畏みて
 国治立の御分霊  国武彦の隠れ神
 遥に感謝し奉る  千座の置戸を身に負ひて
 此世を救ふ生神の  瑞の御霊と現れませる
 神素盞嗚大神の  仁慈無限の御心を
 喜び敬ひ奉り  言依別の神司
 此行先の神業に  又もや千座の置戸負ひ
 あれの身魂と諸共に  三柱揃ふ三つ身魂
 濁り果てたる現世を  洗ひ清むる神業に
 仕へまつらせ天地の  百の神たち人草の
 救ひの為に真心を  千々に砕きて筑紫潟
 深き思ひは竜の海  忍び忍びに神業を
 仕へまつりて松の世の  五六七の神の神政を
 心を清め身を浄め  指折り数へ待ち暮す
 あが三柱の神心  完全に委曲に聞し召し
 天津御空の若宮に  堅磐常磐に現れませる
 日の大神の御前に  重ねて敬ひ願ぎまつる
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましませよ』
と歌ひ了り給ひ、一同に軽く目礼し、其儘御姿は白煙となりて其場に消えさせ給うた。一同はハツと驚き、直に拍手し天津祝詞を奏上し、御神慮の尊さを思ひ浮べて、感涙に咽ぶのであつた。
(大正一一・七・一八 旧閏五・二四 松村真澄録)
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