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文献名1霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻
文献名2第2篇 千差万別
文献名3第5章 玉調べ〔787〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ麻邇の宝珠公開日の当日、八尋殿に役員信者は溢れるばかりに集まり来たり、型の如く祭りも無事に終了した。上段の間には杢助をはじめとして英子姫、五十子姫、梅子姫、初稚姫、玉能姫、お玉の方、最高座には玉照彦と玉照姫が控えていた。
亀彦、音彦、国依別の幹部連、秋彦、常彦、夏彦をはじめ、英子姫と相並んで黄竜姫、蜈蚣姫、テールス姫が末端に控え、友彦は幹部の上席に顔を並べていた。
高姫、黒姫、高山彦は群集を掻き分けて、今日の玉検分役として意気揚々と盛装を凝らしてやって来て、英子姫よりも一段上座に着いた。
総務の杢助が立って挨拶をなした。杢助は本日言依別教主が病気で欠席の旨を一同に告げ、また自分は神業のために働きたいと思うところがあり、総務の後任に淡路島の東助を推薦しておいたと述べ、拍手を浴びた。
杢助は初稚姫、玉能姫、五十子姫、梅子姫を伴って社殿の奥深く進み、黄金の鍵で宝座を開くと、各々一個の柳箱を差し上げて高座に現れ、段上に行儀よく据えた。
高姫は段上にすっくと立って一同を見回し、演説を始めた。そして宝珠を三五教の宣伝使たちに授けたのも日の出神と竜宮の乙姫の慈悲であり、それがわからぬようでは三五教の神政の仕組は到底わからないと嘯いた。
そしてまず、黄色の玉の検めに取り掛かった。お民とテールス姫を傍らに立たせ、柳箱の紐をほどいて取ると、中に入っていたのは団子石であった。
よくよく見れば石には、「高姫・黒姫の身魂はこのとおり、改心せねば元の黄金色のたまには戻らぬぞ」と文字が記されていた。高姫は顔色烈火のごとくになり、お民とテールス姫に食ってかかった。
玉治別が高姫に口を出していなす。群集はわいわいと騒ぎ出したが、国依別は、今日は高姫と黒姫の身魂調べであり、最前高姫が言ったとおり、自身に懸る日の出神と竜宮の乙姫が仕組んだことだから、と呼びかけた。
高姫は仕方なく、今度は久助と友彦を呼んで、白色の玉の検めを始めた。中はやはり団子石で、同様の文字が記されていた。またしても群集は騒ぎ出した。国依別は、これは玉を扱った人の身魂が写ったのだと述べ立てた。
黒姫は国依別をたしなめて、これは玉を授かった久助と友彦の身魂のせいだと反論した。友彦は怒って、黒姫の首筋を取って叱り付けた。高山彦は友彦を掴んで段上から突き落とそうとしたが、友彦が体をかわしたため、高山彦が落ちてしまった。
大勢は高山彦を介抱しながら、黒姫館にかついで運んで行った。杢助は、友彦にも退場を命じた。友彦はそれにしたがって会場を後にした。高姫は杢助に文句を言い、お民、テールス姫、久助にも退場を言い渡すが、杢助が何事も自分の責任だからとその場をおさめた。
高姫は仕方なく次の玉を検めたが、結果は同じだった。玉治別は立ち上がって、せっかく竜宮島の聖地から苦労して持ち帰った宝玉を、高姫・黒姫が駄目にしたと怒って食ってかかった。
高姫は軽くいなして、今度は黄竜姫に当たりだした。黄竜姫はきっとして、高姫・黒姫に改心を促すが、高姫はせせら笑っている。
蜈蚣姫と玉能姫の玉検めになると、高姫は二人を口汚く罵り、箱の蓋を開けた。そこには黒い消し炭玉が入っていた。高姫は蜈蚣姫と玉能姫を罵りながら怒っている。
最後に紫の玉の検めを行うことになった。高姫はもうだいぶ嫌気がさしていたが、杢助に促されて、梅子姫と初稚姫を呼び、蓋を開いた。すると四方に輝くダイアモンドのごとき紫の光が射し、高姫もあっと驚いて後ずさりした。一同の拍手する音は雨霰のごとく会場に響いた。
そこへ佐田彦と波留彦があわてて走ってきて、杢助に注進した。言依別教主が消えてしまい、後に書置きが残してあったという。杢助が開いてみると、そこには、麻邇の宝珠の青、赤、黄、白の四個をはじめ、三個の宝玉、都合七個を訳有ってある地点に隠した、とあった。
そして、決してこのたびのことは玉の関係者のあずかり知ることではない、とあった。また杢助を総務の職から解任し、後任に淡路島の東助を任じるとあった。
また言依別命自身は、いつ聖地に帰るか未定であり、決して後を追ってはならないと書いてあった。杢助は黙然としてはらはらと涙を流し、千万無量の感に打たれる如くであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月23日(旧閏05月29日) 口述場所 筆録者谷村真友 校正日 校正場所
OBC rm2705
本文の文字数8165
本文のヒット件数全 1 件/瑞の御魂=1
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本文  仰げば高し久方の  高天原の若宮を
 地上に写し奉り  大宮柱太知りて
 高天原に千木高く  仕へ奉りし珍館
 錦の宮に連なりし  稜威も広き八尋殿
 英子の姫を始めとし  梅子の姫や五十子姫
 初稚姫や玉能姫  音彦亀彦始めとし
 杢助総務其外の  役員信者は粛々と
 八尋の殿に寄り来り  早くも殿の内外に
 溢るるばかりなりにけり。
 かたの如く祭りも無事に終了した。上段の間には杢助の総務を始めとし、英子姫、五十子姫、梅子姫、初稚姫、玉能姫、お玉の方、最高座には玉照彦、玉照姫扣へられ、亀彦、音彦、国依別の幹部連、秋彦、夏彦、常彦を始め、英子姫と相並んで黄竜姫、蜈蚣姫、テールス姫末端に扣へ、友彦は幹部の上席に顔を並べて居た。群集を分けて意気揚々と登り来る高姫、黒姫、高山彦の三人は、今日玉調べの神務奉仕の役として、盛装を凝らし、英子姫よりも一段と上座に着いた。
杢助『私は素より鈍魂劣器至愚至痴なる身魂の持主で御座いまして、総務なぞをお勤め申す柄ではありませぬが、神命黙し難く心ならずも拝命致し、皆様のお助けに依つて御用の一端を勤めさして頂いて居りますは、是れも全く皆様の御同情のお蔭と厚く感謝致します。就ては私も少しく思ふ所あつて、神界の為めに、もう一働き致したう御座いまするので、後任者を推薦致して置きました。教主様は今日は急病でお引籠もりで御座いますから、御意見を伺ふ事は出来ませぬが、私の後任者として淡路島の東助様を、御苦労に預りたいと思うて、内々伺ひは出して御座います。就きましては、今日は実にお目出度い日柄で御座いまして、竜宮島より、お聞及びの通り、五色の麻邇宝珠納まり、言依別命様が兎も角御主管なされて居られましたが、今日、高姫、黒姫のお取調を願ひ、信者一同に拝観をさせよと、教主のお言葉で御座いますから、其お心算で、ゆつくりと御拝観を願ひます。再び拝観する事は出来ぬので御座いますから、此際充分御神徳を戴かれる様に、一寸一言申上げて置きます』
 一同は雨霰のごとく拍手する。杢助は初稚姫、玉能姫、五十子姫、梅子姫を伴ひ、社殿の奥深く進み、黄金の鍵をもつて傍の宝座を開き、各一個の柳筥を、頭上高く差し上げながら、静々と八尋殿の高座に現はれ、五個の柳筥は、段上に行儀好く据ゑられた。
 高姫は段上にスツクと立ち、一同を見廻し乍ら、
高姫『皆さま、今日は誠に結構なお日柄で御座います。今迄は瑞の御霊の三種の神宝此処に納まり、今日又厳の御霊の五色の神宝無事に納まり、皆様が拝観の光栄に浴さるる空前絶後の第一吉祥日で御座います。神様は引掛け戻しのお経綸をなさいますから、肝腎の厳の御霊の経を後に出し、瑞の緯を先に出したり、変幻出没究極す可らざる事を遊ばすのは、皆様御承知の事で御座いませう。今日迄三つの御玉を私共南洋あたりまで、捜索に行つたと申すのは、決して左様な緯役の玉を求めに行つたのではありませぬ。玉には随分モンスターの憑依するものでありますから、此高姫等は三つのお宝を探す様に見せて、其方に総ての精神を転じさせ、其時に日の出神、竜宮の乙姫の礎になるお方様が、一つ島に人のよう往かない如うな秘密郷の諏訪の湖に深く秘し、さうして仕組を遊ばして御座る事は、最初から我々両人の熟知する所、否仕組んで居る所で御座います。今日初稚姫、玉能姫、黄竜姫、梅子姫、蜈蚣姫其他五人の神司に、此御用をさせたのも日の出神の仁慈無限のお取計らひと、竜宮の乙姫様の御慈悲ですよ。それが分らぬ様では、三五教の五六七神政の仕組は到底、分るものではありませぬ。幸ひに賢明なる英子姫、稍改心の出来た言依別命の神務奉仕の至誠が現はれて、竜宮の麻邇の宝珠が聖地へ納まる事が出来る様になり、夫を受取り且つ調べるお役は特に此高姫、黒姫両人が致すべきもので御座います。依つて只今より御玉の改めを致しますから、皆さま、謹んで拝観なさるが宜しい。三つの御玉はどうならうとも私は知りませぬ。今度の五つの御玉こそ肝腎要な大望な御神業大事のお宝、就ては玉治別や其他の半研けの身魂が取扱つたのですから、少しは穢れて居ないかと心配を致して居るので御座います。身魂相応に玉の光が現はれるのですから、実に恐いもので御座いますよ。サアサ是れから、お民が預つてテールス姫に手渡した、黄色の玉を函から出して調べる事と致しませう。……黒姫さま、御苦労ながら一寸これへお越し下さい。さうしてお民さま、テールス姫さま、貴女は直接の関係者、此処にお扣へなされ』
 『ハイ』と答へて両人は高姫の傍に立寄る。高姫は口をへの字に結び、柳筥の桂馬結びの紐を解き、恭しく玉函を捧げ、八雲琴の調子に合して体躯を揺り、手拍子を取りながら、機械人形の如うに柳筥の蓋を、シヤツチンシヤツチンと取つて見た。黄色の玉が出るかと思ひきや、中より団子石がゴロリと出た。よくよく見れば何か文字が記してある。高姫は眉を顰め光線にすかし見てるに、「高姫、黒姫の身魂は此通り、改心致さねば元の黄金色の玉にはならないぞ」と記されてあつた。高姫は顔色烈火の如く、声を震はせ、
高姫『コレお民さま、テールス姫さま、お前さま達は偉さうな面をして、海洋万里の一つ島まで何しに往つて居つたのだ。アタ阿呆らしい。コンナ玉なら小雲川には邪魔になるほどあるぢやありませぬか』
お民『ハイ、何んな玉で御座います』
高姫『何んな玉もこんな玉もありますかい。お前の身魂の感化に依つて、折角の玉もこんな事になつて仕舞つた。……コレ、ジヤンナの土人の阿婆摺女テールス姫とやら、何の態だ、これは……阿呆らしい、早く改心なされ』
テールス姫『ハイハイ改心を致します。どうしてマアこんな玉になつちやつたのだらう、いやな事』
黒姫『それだから瑞の御霊は憑り易いと言ふのだ』
玉治別『瑞の御霊は憑り易いと仰有つたが、これは五の御玉ぢやありませぬか』
黒姫『何れも憑り易い身魂だ』
玉治別『そんなら貴女の身魂が憑つたのでせう。どれどれ、私が調べて見ませう』
高姫『お構ひなさんな。お前さまの如うな瓢六玉が見ようものなら、ただの玉になつて終ひます』
 群集はワイワイと騒ぎ出した。
 国依別は段上に立つて、
国依別『皆さま、お騒ぎなさるな。今日の玉調べは高姫さま、黒姫さまの身魂調べも同様ですから、決してテールス姫やお民さまの身魂が黒いのではありませぬ。最前も高姫さまが仰有つた通り、何と云うても御両人が、自分でお仕組なさつたのですから心配は要りませぬ。皆見る人の心々に写りますから……如意宝珠、又見る人の随意々々替はるから麻邇の宝珠といふのです。之が本物に違ひありませぬ。どうぞお騒ぎなさらない様に願ひます。一度高姫さまのメンタルテストをやる必要がありますからなア』
高姫『コレ国さま、お前さま、ゴテゴテ言ふ資格がありますか』
国依別『ありますとも、そんなら何故私に生田の森で、玉の所在を知らせ知らせと云つたのですか』
高姫『お前さまの言ふ事は、チツトより信用が出来ぬ。ブラツクリストに登録されて居る注意人物だ。お黙りなさい』
国依別『高姫署のブラツクリストに記されて居る私でも、チツト位信用が出来るのですか。私は又大いに信用が出来ぬと仰有ると思つたに……それはさうとして次の白色の玉を早く調べて見せて下さい』
高姫『八釜しう云ひなさるな。お前さまがツベコベ嘴を容れると、又玉が変化するかも知れませぬぞ。エヽ穢はしい。其方に往つて下さい。……サア今度は久助さま、友彦さま、お前さま達の責任だ。早く此処へお入来なさい』
 両人は「ハイ」と云ひながら高姫の左右に寄り添うた。高姫は又もや以前の如く、恭しく柳筥を開いて見た。中には前同様の団子石に同様な事が書いてある。高姫はへの字に結んだ口をポカンと開けて暫し見詰めて居た。群集は又もやワイワイ騒ぎ出した。国依別は又もや段上に押し上り、
国依別『皆さま、お騒ぎなさいますな。コリヤこれも屹度以前の通り団子石ですよ。丸で狐につままれた如うですが、これも心の随意々々変化する玉ですから、驚くに及びませぬ。小人玉を抱いて罪ありと云うて、どんな立派な玉でも小人物が扱うと、其罪が直に憑つて団子石になるのですから、団子石だと言うて力を落してはなりませぬぞ。これでも身魂の磨けたお方が見れば本真物になります』
黒姫『コレコレ国さま、いらぬ事を仰有るお前こそ小人だ。お前の様な小人が居るものだから、此通り玉が変化する。私が竜宮で久助に渡した時は、こんなものぢや無かつた。久助と友彦の慢心の身魂が憑つてこんなに変化したのですよ。大勢の前に、此様身魂ですと曝されて、誠に誠にお気の毒様ですけれどもお諦めなされ』
 友彦は大いに怒り目をつり上げながら、黒姫の頸筋をグツと握り締め、
友彦『コラ黒姫、失敬な事を言ふか、大勢の前で人の身魂の悪口を云うと言う事があるものか』
 爪の延びた手で頸筋をグツと喰ひ入る程掴み押へつける。黒姫は「キーキー」と言ひ乍ら其場に蹲踞む。側に居た高山彦は友彦の襟髪をグツと取り、段上から突き落さうとした途端に、友彦は体をパツとかはした。高山彦は二つ三つ空中廻転をして、群集の中に唸りを立てて落ちて来た。「サア大変」と大勢は寄つて掛つて介抱をし乍ら、痛さに唸く高山彦を担いで、黒姫館にドヤドヤと送つて行く。
国依別『黒姫さま、誠にお気の毒な事で御座いました。貴女も嘸お腹が立ちませう。又高山彦も思はぬ御災難で誠に御心配でせう。然し乍ら此処は神様の前、滅多な事は御座いませぬから御安心なさいませ』
黒姫『何から何まで、何時もお構い下さいまして、……ヘン……お有難う御座いますワイなア』
と肩と首をカタカタと揺つて居る、其容態の憎らしさ。
杢助『友彦殿、今日は職権を以て退場を命じます』
友彦『仕方がありませぬ。御命令に従ひ自宅へ控へ命を待ちまする。立腹の余り、ツイツイ粗怱を致しました』
と帰り行く。後見送りて黒姫は肩の中に首を耳の辺りまで石亀の如に突込んで仕舞ひ、頤を出したり引込めたり、舌を唇でチヨツと噛んで、何とは無しに嘲弄気分を表はして居た。
高姫『杢助さま、どうも怪しからぬぢやありませぬか。折角の如意宝珠の玉をこんな事にして仕舞うとは、一体全体訳が分らぬぢやありませぬかい。此責任は誰にありますか。……久助さま、お民さま、テールス姫さま、こんな不調法をして置いて、よう安閑として居れますな。此高姫が三人に対し退場を命じます。よもや杢助さま、是に向つて違背は有りますまいな』
杢助『何事も責任は私に有りますから、三人のお方はどうぞ此処に動かずに居て下さい』
 三人一度に「ハイ」と俯向く。
高姫『エヽそんなら時の天下に従へだ、もう何も言ひますまい。是から青玉だ。……サア玉治別、黄竜姫様、此処にお出でなさい。さうして久助さま、元の座にお帰りめされツ』
と稍甲声を張り上げながら、又もや例の如く調査し、恭しく玉筥の蓋を取つて見た。高姫の顔は又もや口が尖り出した。舌を中凹に巻いて二三分ばかり唇の外に出し、首を右の方に傾げて目を白黒させ、両手を開いて乳の辺りで行儀好く、扇を拡げた様にパツとさせ、腰を二つ三つ振つて居る。玉治別は是れを眺めて、
玉治別『これ高姫、黒姫、矢張お前さまお二人は改心が足らぬ。海洋万里の竜宮の一つ島の、秘密郷の諏訪の湖水から聖地高天原迄、万里の天空を八咫烏に乗せられ捧持して帰つた結構な玉を、黒鷹の身魂が憑つて斯んなに変化さしよつたのだ。玉治別承知致しませぬぞツ』
と今度は反対に高姫に喰つて掛る。
高姫『へー甘い事を仰有いますワイ。肝腎要の水晶玉の高姫が覗いて、玉が変化する道理が何処に有りますか。お前さまがあんまり慢心して御用した御用したと、法螺を吹くものだから斯んな事になつたのだ。……コレ小糸どん、此醜態は何だいな。これで立派に御用が勤まつたのですかい。本当に呆れてものが言へませぬワイ。これ小糸どん、どうして下さる。結構な玉に悪身魂を憑して、お前さまは神界のお邪魔を致す曲者だよ。童女の癖に大の男をアフンとさせる様な悪党者だから、玉の御用が出来さうな道理がない。妾は初めから、お前が玉の御用をしたと聞いた時、フフーと惟神的に鼻から息が出ました。日の出神が腹の中から笑うて御座つたのだ』
 黄竜姫は屹となり、『高姫さま』と声に力を入れ、
黄竜姫『ソレは余りの御言葉ではありませぬか。貴女の御身魂さへ本当にお研けになれば、本当の玉がお手に入るのですよ。屹度、神様がお隠しになつたのだが、御自分の心から御立替遊ばせ。さうすれば、本当の麻邇の宝珠がお手にお入り遊ばすのでせう』
高姫『何と云つても立派な御弁舌、高姫も二の句が次げませぬ。オホヽヽヽ』
と肩を揺り又も腮をしやくる。
玉治別『モシモシ黄竜姫さま、斯様な没分暁漢のお婆アさま連に相手になつて居つても詰りませぬから、もう止めて置きませう』
 黄竜姫はニタリと笑ひながら、
黄竜姫『ハイ、さう致しませう』
と元の座に帰る。
高姫『アノマアお仲の好い事ワイの。ホヽヽヽヽ、若い男と女には監視を付けて置かにや険難だワイ』
 杢助は苦虫を噛み潰した如うな顔をして、厳然として無言の儘扣へて居る。
高姫『コレ杢助さま、お前も偉さうに総務面をして御座つたが、今日は目算ガラリと外れただらう。アノマア恐い顔ワイなア』
杢助『アハヽヽヽ、何だか知らぬが面白い事で御座るワイ。アハヽヽヽ』
高姫『コレ黒姫さま、確りなさらぬかいな。一向元気が無いぢやないか。お前の竜宮の乙姫が玉の持主ぢやないか。此奴等に三つまで此様な事にしられて、それを平気でようまア、居られますな』
黒姫『ハイ何分心配が御座いますので』
高姫『ウン、さうだとも さうだとも、高山彦さまがエライお怪我をなさつたから、御心配になるのも御無理と申しませぬが、もう暫らくだ、辛抱して下さい。さうしたら無事解放して上げます。……コレコレお節、お前の持つて帰つた赤玉を是から調べるのだから、蜈蚣姫さまも此処へ御出でなさい。お前さまも随分魔谷ケ岳で私に対して弓を引いたり、国城山で悪口を言ひました。先へ申して置きますよ。若し此赤玉が団子石になつて居つたら、どうなさいますか』
蜈蚣姫『何事も惟神に委した私、どうすると云ふ訳に行きませぬ。神様の御処置を願う迄です。乍併高姫さまの指図は断じて受けませぬ。左様御心得を願ひます』
と一つ釘を刺す。高姫は又も口をへの字に結び桂馬結びの紐を解き、
高姫『サアお節、地獄の釜の一足飛だ。お前が長らくの苦労も花が咲くか、水の泡になつて了うか、禍福吉凶幸禍の瀬戸の海ぢやぞい。瀬戸の海で思ひ出したが、ようも馬鹿にして下さつた。助けてやつたなぞと決して思つては居ますまいな。エー何をメソメソと吠えて居るのだ。善い後は悪い、悪い後は善いと云う事があるから、何月も月夜計りは有りませぬぞ。チツとばかし都合が悪いと言つて顔を顰める様では、どうして立派に玉能姫と言はれますか』
と口汚く罵り乍ら、柳筥の蓋をパツと開けた。
高姫『黒姫さま、一寸御覧、何だか此玉は黒いぢやありませぬか』
 黒姫は一寸覗き込む。
黒姫『ホンニホンニ、蜈蚣姫さまの如うに黒い玉だなア。コリヤ大方蜈蚣の身魂が憑つて、赤い筈の玉が黒くなつたのだらう』
玉能姫『黒姫さまも随分お白くありませぬから、どちらのがお憑り遊ばしたか分りますまい。オホヽヽヽ』
高姫『又しても又しても碌でもない、コリヤ消炭玉だ。道理で、ちと軽いと思つて居つた。アカ阿呆らしい。モウ玉調べは御免蒙りませうかい』
とプリンプリン怒つて居る。
杢助『御苦労ですがモウ一つ紫の玉をお調べを願ひます』
高姫『エー杢助さま、又かいなア』
と煩さ相に言ひ乍ら、万一の望みを最後の紫の玉に嘱して居た。国依別は一同に向ひ、
国依別『モシモシ皆さま、モウ一つになりました。何を言つても手品上手の高姫さまで御座いますから、水を火にしたり火を水にしたり、石を玉にして呑んだり吐いたり、終ひには天を地にしたりなさいます。天一の手品よりはお上手ですから、其お心算で確りとお目にとめられます様に願ひまアす。東西々々』
 高姫はクワツと怒り、
高姫『神聖なる八尋殿に於て何と言ふ事を言ふのか。此処は寄席では有りませぬぞい。尊き尊き神様のお鎮まり遊ばす錦の宮の八尋殿では有りませぬか』
国依別『八尋殿だからといつて、手品が悪い道理が有りますか。現にお前さま手品をして居る途中です。そんな事を言うと自縄自縛に落ちますぞ。二十世紀頃の三五教の五六七殿でさへも劇場を拵へてやつて居るぢやありませぬか。訳の分らぬ事を言ふものぢや有りませぬ』
高姫『それだから瑞の御霊の遣り方は、乱れた遣り方だと神様が仰有るのだよ。アアモウ此玉は調べるのが嫌になつた。又初稚姫や梅子姫さまに恥をかかすのが気の毒だから、こりやもう開けない事にして置かう』
杢助『此玉は是非調べて頂きたい。神様は我子、他人の子の隔ては無いと仰有るのだから、神素盞嗚尊の御娘御の梅子姫様と、杢助の娘の初稚姫、依估贔屓したと言はれてはなりませぬから、どうぞ此場でお調べを願ひませう』
高姫『エーエー仕方がないなア。本当にイヤになつちまつた。そんなら、マアマも一苦労致しませう。……梅子姫さま、お初さま、サア早く此処へ来るのだよ』
と稍自棄気味になり言葉せはしく呼び立てる。言下に梅子姫、初稚姫は莞爾として高姫の側に寄り添うた。高姫は又もや柳筥の蓋をチヤツと開いた。忽ち四方に輝くダイヤモンドの如き紫の光り、流石の高姫もアツと驚いて二足三足後に寄つた。黒姫は飛び上つて喜び、思はず手をうつた。一同の拍手する声、雨霰の如く場の外遠く響いた。
高姫『お初、イヤ初稚姫さま、梅子姫さま、お手柄お手柄。矢張りお前等は身魂が綺麗だと見えますワイ。……杢助さま、お前さま中々好い子を持つたものぢや。ヤレヤレ是で一つ安心、後の四つは四足魂に汚されて了うた。瑞の御魂のやうに憑る麻邇の珠だから、田吾作、久助、お民、友彦、黄竜姫、蜈蚣姫、テールス姫、お節も是から、百日百夜小雲川で水行をなさい。さうすれば元の玉に還元するだらう。嫌といつても此高姫が行をさせて元の光りを出さねば措くものかい』
 七人はアフンとして頭を掻いて居る。其処へ走つて来たのは佐田彦、波留彦両人であつた。
佐田彦『杢助さまに申上げます。今朝より言依別命様は御病気と仰有つて、御引籠りになつておいでなさいましたが、余りお静かですから、ソツと障子を開けて中へ這入つて見れば、萩の机の上に斯様な書き置きがして御座いました』
と手に渡す。杢助開いてこれを見れば、
『此度青、赤、黄、白の四個の宝玉を始め三個の玉、三つ四つ併せて都合七個、言依別命都合あつて、或地点に隠し置いたり、必ず必ず玉能姫、玉治別、黄竜姫其他此玉に関係者の与り知る所に非ず。然し乍ら杢助は願ひの如く総務の職を免じて、淡路の東助を以て総務となす。言依別は何時聖地に帰るか、其時期は未定なり。必ず我後を追ひ来る勿れ』
と書いてあつた。杢助は黙然として涙をハラハラと流し、千万無量の感に打たるるものの如くであつた。
(大正一一・七・二三 旧閏五・二九 谷村真友録)
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