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文献名1霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻
文献名2第3篇 神仙霊境
文献名3第10章 太平柿〔792〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ若彦は常楠と共に熊野で修行中、木花姫命の託宣により、琉球の島に渡って竜神と言霊戦を行うことになっていたのであった。
一行がハーリス山に登る途中、国依別は空腹に耐えかねて、山腹の断崖絶壁に見事に生っている太平柿を常楠に所望した。常楠は、島人の一人に柿取りを依頼した。
島人チャールは、あの柿は竜神の持ち物であり、食った者は腹が膨れて苦しみ、遂には大蛇の子が腹を破って絶命する恐ろしい柿だと語ったが、国依別が竜神の化身ならば大丈夫かもしれないので取ってこようと請合った。
しかし島人ベースはいくら竜神が懸っていたとしても、食べるのは国依別の肉体だからやめた方がよいと忠告した。国依別は自分は肉体も完全に竜神の化身なのだからと適当なことを言って、柿を取ってくるように命じた。
命を受けたチャールとベースの両人は、あまりに柿がうまそうなので、使命を忘れて自分たちが食べ始めてしまった。仕方なく国依別は自分も断崖の柿の木に登って、むしって食べ始めた。
たちまち腹が布袋のように膨れて来た。国依別は慌てて木を降りようとしたが、相当に大きな大蛇が木を登ってきた。国依別は天の数歌を唱えたが、大蛇は登ってくる。辟易した国依別は、断崖の下の谷川の深淵に飛び込んだ。
チャールとベースも国依別の後を追って飛び込んでしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月25日(旧06月02日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所
OBC rm2710
本文の文字数4591
本文のヒット件数全 2 件/木花姫=2
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本文  紀州熊野の片畔  天地の神の御教を
 朝な夕なに宣べ伝ふ  三五教の若彦が
 常楠爺さまと諸共に  熊野の滝に参詣で
 御禊祓の最中に  現はれ出でし姫神は
 心の花の開くなる  蓮華の山の守り神
 木花姫の忽然と  滝の畔に現れまして
 言葉静かに宣らすやう  汝は是により常楠と
 旅装を整へ船に乗り  熊野の浦を立ち出でて
 浪間に浮ぶ宝島  琉と球との瑞宝の
 いや永久に納まれる  聖地に到りてハーリスの
 山に棲まへる荒神を  言向け和し竜神の
 腮の珠を受け取りて  三五教の神司
 玉照彦や玉照姫の  貴の御前に奉れ
 高天原の聖地より  言依別を始めとし
 国依別の宣伝使  後より来り給ふべし
 汝はそれに先だちて  此神島に到着し
 ハーリス山の深谷に  棲む竜神を言霊の
 神の息吹に言向けよ  木花姫は汝が身の
 前に後につき添ひて  必ず功績を建てさせむ
 一日も早く進めよと  言葉終ると諸共に
 早や御姿は消え給ひ  後に芳香馥郁と
 四辺に薫る床しさよ  幽玄閑雅の音楽は
 梢を渡る科戸辺の  風に相和し面白く
 耳も若やぐ若彦が  常楠伴ひ天を覆ふ
 樟の老木生茂る  熊野の森を後にして
 神の御言を畏みつ  浪のまにまに出で来り
 ハーリス山の麓なる  槻の大樹の洞穴を
 暫時の住家と定めつつ  日日毎日竜神を
 言向け和す其為に  数多の土人に侍かれ
 嶮しき山坂昇降し  心の限り真心を
 尽して神業に仕へける  今日は殊更竜神の
 出現遅く暇どりて  槻の大木の仮宅に
 帰りし頃は夜半頃  数多の篝火かがやかし
 我が洞穴に近づきて  外より中を眺むれば
 虎狼か鬼か蛇か  はた竜神の化身にや
 異様の物影忽ちに  嘯く声はウーウーと
 四辺に響く大音に  若彦胆を潰しつつ
 小声になりて数歌を  唱へ終れば中よりも
 声調揃はぬ怪声に  一二三つ四つ五つ六つ
 七八つ九つ十たらり  百千万と応酬する
 若彦大地に平れ伏して  轟く胸を押へつつ
 虎狼か鬼か蛇か  但は誠の神様か
 名乗らせ給へと呼はれば  国依別は声を変へ
 ハーリス山の竜神が  琉と球との宝玉を
 言依別や国依別の  神の司に授くなり
 夢々疑ふ事なかれ  是を聞いたる若彦は
 正直一途の性質  誠の神と喜んで
 感謝の涙に暮れて居る  常楠爺さまは怪しんで
 心の僻みか知らねども  竜の化身の姫神と
 思へぬ節がやつとある  言依別神様や
 国依別の宣伝使  此洞穴に入りまして
 息を休ませ給ふらん  此姫神は正しくも
 三五教の国依別の  神の司が茶目式を
 発揮したるに相違なし  これこれ国依別さまよ
 早く正体現はせと  云ふ間もあらず国依別は
 察知の言葉に耐りかね  思はず吹き出す笑ひ声
 忽ち化は現はれて  茲に三人暗黒の
 洞穴内に押し入つて  闇に彷徨ひ燧石
 カチカチ打てど何故か  今日に限つて火は出でぬ
 三人闇に包まれて  盲の神の垣覗き
 四辺を探る折柄に  松明持つて両人が
 此場に現はれ入り来り  其処に明火を立て置いて
 忽ち表へ駆け出す  言依別は起上り
 三人の姿を透し見て  不意の邂逅祝しつつ
 久方振りに四方山の  話と共に夜は明けぬ
 あゝ惟神々々  尊き神の引き合せ
 四魂揃うて神人は  旭の光を浴びながら
 四五の土人を従へて  棕櫚や花櫚の生ひ茂る
 林の中を掻い潜り  土柔かくぼかぼかと
 足を没する山麓の  小径を踏占め登り行く。
 冬とは云へど雪も無ければ霜も降らぬ、自転倒島の夏の如き陽気に、汗を垂らしながら脛を没する灰のやうなボカボカ道を踏み慣れぬ足に登つて往く。
 国依別は空腹に耐へ兼ね、傍の芭蕉の葉を一枚剥つて之を四つに畳み、敷物の代りにして路傍にドツカと坐し、左の手を膝に上向けにチンと乗せ、右の手を握り食指のみヌツと前に突き出し、太平柿の甘さうに断崖絶壁に実つて居るのを見て、喉を鳴らせながら無言の儘坐つて居る。言依別、若彦は七八間も先に立つて居る。国依別の後から従いて来た常楠、チヤール、ベース其他の土人は、国依別の態度に不審の念晴れず、ジツとして顔を見詰めて居た。国依別は膝の上に乗せた左の手を一二回上げ下げし乍ら、右の手の食指にて向ふの柿を指し、次で自分の口を指し、又柿を指し又口を指しやつて居る。
常楠『モシモシ国依別さま、此常楠は年は老つても耳は近いのだから、そんな仕方をせずに口で言つたら如何ですか』
 国依別は自分の口を指し又柿を指し、遂には腹を指して見せた。
常楠『察する所あの柿が食ひたいと仰有るのですか。そんなら今喰はして上げませう。これこれチヤールさま、誰か此中で木登りが上手な人、此谷を向ふへ渡つて、あの甘さうな柿を二つ三つ採つて来て下さらぬか。国依別の喉の神さまが彼の柿を献れよと御命令して御座る』
チヤール『ハイ畏まりました。併し乍ら彼処に残つて居るあの柿は、竜神さまの柿と云つて人間の喰ふ物ぢや御座いませぬ。若し一つでも喰はうものなら、男女に拘はらず、忽ち腹が膨れ、遂に臍がはぢけて、大蛇の児が生れ、親はそれつ切り国替致すと云ふ険難の柿です。それ故誰も採つた者もなければ、食つた者もありませぬ。従つて其味を知る者もないのです。此方に竜神様が御憑りになつて居られますのかなア。そんなら竜神さまに御上げ申すつもりで、取つて参りませうか』
ベース『オイオイ、チヤール、さう安請合をするものぢやないぞ。何程常楠様が天降つた神様だと云つても、竜神の柿を自由になさる事は出来ない。又仮令御憑りになつても、それは霊だから、ムシヤムシヤお食りになる筈がない。お食りになるとすれば此方の肉体が食ふのだから、それこそ大変だ。サア往かう。若彦様や言依別神様は、最早御姿が見えなくなつて了つた』
国依別『汝チヤール、ベースの両人、其争ひは尤もだ。併し乍ら此の方は真の竜神の化身、元の姿の儘ならば谷間に下つて鎌首をキユウと立て、舌をニヨロニヨロ出せば、手もなく口にニユウと這入るのであるが、斯う人間に化て居る間は、ヤツパリ人間並に採ることが出来ない。神が命令する、チヤール、ベース、早く採つて参れ。苦しうないぞ』
チヤール『ハイ畏まりました』
ベース『苦しうないと仰有いましたね。そりや其筈だ。ジツとして芭蕉の葉の上に胡坐をかき、人に苦しい思ひをさして、あの柿を採り、居乍らにして据膳を戴き遊ばすのだもの、何が苦しいものか。楽なものだよ』
国依別『グヅグヅ申さずに早く採つて献上致せ。国依別空腹に依り、最早一歩も歩行けなくなつて、此処に極楽往生を致しかけたぞよ』
常楠『オツホヽヽヽ』
 チヤール、ベースの両人は、猿の如く断崖を下り、可なり深い谷川の点在せる岩の頭を飛び乍ら、流を避けて向ふ側に渡り、柿の木に喰ひついて二人は登り行く。
 水の垂る様な甘さうな柿が、幾つともなく沢山に葉の蔭にぶらついて居る。其大きさは牛の睾丸位確かにある。チヤール、ベースの両人は得も言はれぬ甘さうな香に耐りかね、自分の使命を忘れて一生懸命に甘さうな奴から、採つては食ひ採つては食ひ、舌鼓を打つて居た。
 常楠は下から声を掛け、
常楠『コレコレ、チヤール、ベースの両人、柿を落さないか』
 此声にチヤールはフト気がつき、
チヤール『今落しませう。併し斯んな柔かい柿を落せば、潰れて了ひます。生憎容れ物もなし、私の腹の中へ入れて持つて下りますから、待つて居て下さい』
常楠『此処に竜神さまがお待兼だ。少し固くつても良いから、むしつて此方へ抛つて呉れ』
チヤール『堅いものは渋くつて喰へませぬぞえ』
常楠『エー仕方がないなア』
国依別『あゝ斯うして居て、人が甘さうに食うて居るのを見ると、腹が余計空くようだ。エー仕方がない、人を力にするな、師匠を杖に突くなと、神様が仰有つた。人の力で甘い柿を採つて、徳を取らうと思つても駄目だ。ドレ自分の事は自分で埒をつけるに限る』
とペコペコした腹を抱へ、二重腰になつて、断崖を辷り落ち、谷川から浮き出した岩の頭を、ポイポイと飛び越え、辛うじて対岸の柿の根元に着いた。見れば二人は蚕が桑の葉を食ふやうに、小口ごなしに赤い甘いのを平らげて仕舞ひ、下の方には青い渋いのがぶら下つて居る。国依別は空を仰きながら、
国依別『オイ、チヤール、ベースの両人、些とは赤いのを残して置いて呉れよ。今登るから……』
と柿の節だらけの瘤に手をかけ足をかけ、やつと一の枝に取りつき下を見れば、激潭飛沫の谷川凄惨の気に襲はれ、空腹の上の事とて目も眩む様な感じがして来た。国依別は漸くにして一方の細き枝に身を寄せ、
国依別『アヽ危いものだ。この枝が一つペキンと折れようものなら忽ち寂滅為楽だ。併し怖い所に行かねば熟柿は食へんぞよと神様が仰有つた。美味しい熟柿は矢張り怖い所にあるものだナア』
と呟きながら辛うじて美味さうな奴を一つむしり、飛びつくやうに矢庭に頬張つて見た。何とも云へぬ美味で思はず目も細くなり、顔に皺を寄せて賞翫した。忽ち腹は布袋の如く刻々に膨れ出した。
国依別『ヤア此奴は耐らん、チヤールの云ふやうに大蛇が腹に宿つたのかなア。何だか腹の中がクレクレとして来たぞ。天足、胞場の昔のやうに体主霊従になつて仕舞ふのではあるまいかなア。高山の伊保理、低山の伊保理を柿わけて食し召せと云ふからは、強ち神罰も当るまい。アヽグヅグヅして居ると腹が大きくなつて下りられないやうになる。あゝ惟神々々霊幸倍坐世』
と樹を下りんとする。相当に黒い大きな大蛇、亀甲型の斑紋を光らせながら絡繹として柿の樹目蒐けて上つて来る嫌らしさ。国依別は一生懸命に一二三四と天の数歌を唱へた。
 国依別は追々登り来る勢猛き悪蛇に僻易し、樹上より両手を拡げて空中を掻きながら、谷川の蒼味だつた深淵の上にドブンと落ち込んだ。逆巻く浪に捲き込まれて暫くは其姿も見えなくなつて仕舞つた。蛇は急速度を以て数限りなく柿の木に上つて来る。
 チヤール、ベースの両人は、国依別の飛び込んだ青淵目蒐けて又もやドブンドブンと飛び込んで仕舞つた。パツと立つた水煙と共に二人の姿は又々消えて仕舞つた。あゝ此三人の行方は如何なつたのであらうか。
(大正一一・七・二五 旧六・二 加藤明子録)
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