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文献名1霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
文献名2第1篇 玉石混来
文献名3第4章 野辺の訓戒〔826〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ驚いて樹下に駆け寄った竜国別も、あっと悲鳴を上げてその場に倒れてしまった。テーリスタンは白楊樹から落ちて動けず、鷹依姫一人だけが泰然として天津祝詞と天の数歌を歌って回復を祈願している。
鷹依姫は三人が唸り声を出しているので、命に別状はないと安心し、黄金の玉をアールから騙し取った罪を大神に謝罪しながら夜を明かした。竜国別とカーリンスはようやく正気づいて起き上がると、玉への執着を責められて恐ろしい夢の警告を受けた、と二人涙ながらに語って懺悔を始めた。
テーリスタンは二人が弱気になったことをたしなめたが、竜国別はこれは神様の懲戒だと言い、カーリンスも同意した。
鷹依姫はお道のためなら初心を曲げずに断固として進むのだと言い放って自ら白楊樹に登ろうとした。しかし白楊樹にはよくよく見ると大きなムカデや蛇が巻きついていて登って進むことができない。
鷹依姫は、ここに庵を結んでムカデや蛇が根負けして退散するまで頑張るのだ、と言って三人に草庵を作らせた。四人は夜露を凌ぎつつ、庵の中で天津祝詞を奏上していた。すると外から異様な声が聞こえてきた。
竜国別、テーリスタン、カーリンスは寒水を頭から浴びせかけられたような感じがして、びりびりと震え出した。鷹依姫は一人平気な顔をして、怪物を言向け和そうと外に出て行こうとする。
三人が止めるのも聞かず、鷹依姫は萱原に出て怪しい声に向かって誰何すると、大音声に天の数歌を歌い上げた。前方に白煙が立ち上り、頭の光った蛸入道が現れた。蛸入道は鷹依姫の素性を知っており、テーナの酋長から黄金の玉を騙し取ったことを責め立てた。
鷹依姫は、天下国家のためなら細部を省みない心だと言い返す。蛸入道は、自分は悪神の将・猿世彦の悪霊であり、三五教の人間に怨みを晴らそうと、この櫟ケ原で待っていたのだと明かした。
鷹依姫は、猿世彦の本守護神は狭依彦という立派な神となっていると言い、蛸入道を解脱させようとする。蛸入道も自分を済度してくれる者を待っていたというが、鷹依姫の祝詞はまったく効果を表さない。
蛸入道は、鷹依姫の心に執着心という鬼が潜んでいるので、言霊が濁りきっていると指摘した。そして玉のことは思い切って善心に立ち返るようにと諭した。
また、黄金の玉はすでに発見されて言依別命によってある地点に隠されていることを告げ、言依別命と国依別が鷹依姫たちを探して高砂島にやってくるので、海岸伝いに北上し、アマゾン河をさかのぼって玉の森に向かうようにと伝えた。
鷹依姫は怪物の言葉に真実味を受け取り、玉への執着心を捨てて櫟ケ原から海岸に出て、北へと進んで行った。ちなみにこの怪物は実は怨霊ではなく、木花姫命が一行の執着心を取り払おうとのお計らいであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月11日(旧06月19日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
OBC rm2904
本文の文字数6345
本文のヒット件数全 1 件/木花姫=1
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本文  白楊樹の下に立寄つたカーリンスは幹に手をかけるや否や『アツ』と叫んで其場に倒れて了つた。テーリスタンは腰をしたたか打つた為、少しも歩む事は出来ず、元の所に横たはつてゐる。竜国別は驚いて、樹下に立寄り、又もや『アツ』と一声叫んだ儘、カーリンスと枕を並べて南向けに倒れて了つた。後には鷹依姫只一人、元より気丈の女とて、少しも騒がず、泰然として天津祝詞を奏上し、天の数歌を歌ひ、二人の恢復を祈つてゐた。
 竜国別、カーリンスの両人は掛合に『ウンウン』と虎の嘯く様な厭らしい声を出して唸りつづけてゐる。鷹依姫は此声を聞いて……アヽ生命に別条はない、マア大丈夫だ。夜が明けたら何とか工夫がつくだらう……位に思つて、切りに祝詞を奏上し、黄金の玉を策略を以て集め、うまくチヨロまかして此処まで来りし其罪を大神に謝罪しつつ、夜の明くるを待つた。
 東の空を紅に染めて漸く天津日の神は地平線上に、円き姿を現はし玉うた。テーリスタンは漸くにして腰の痛みも癒り、稍元気づき、鷹依姫と共に四辺の苺をむしり、両人の口に含ませ、一生懸命に鎮魂を施した。二人は漸くにして正気づき、起き上つて、
竜国『あゝ大変に恐ろしい事だつた。たうとう閻魔の庁まで引出され、大きな蜥蜴や毒蛇の責苦に遭はされ、黄金の玉を幾十となく背中に負はされ、骨も砕くる計り、其重さと苦さに、体は段々と地の中へ落ち込んで了ひ、何とも云はれぬ責苦に会うて来た。あゝ執着心位恐ろしいものはない。……モウ玉の事は、お母アさま、断念したら如何でせう』
カー『竜国別さま、お前さまもさうでしたか。私も同じ様な目に遭はされましたよ。そして横の方にウンウンと苦しさうに呻く声が聞えたので、ソツと覗いて見ましたら、恐ろしや恐ろしや、高姫さまと黒姫さまが、如意宝珠や紫の玉に取囲まれ、押へられ、紙の様な薄い体になり、鰈のやうに目が片一方の方へ寄つて了ひ、随分エグイ顔をして、口から黒血を吐き、見られた態ぢや御座いませなんだよ。吾々の霊は生き乍ら地獄へ落ち込んでゐると見えますワイ。……あゝ神様、どうぞ許して下さいませ。キツと今日限り心を改めます』
と合掌し、涙を滝の如くに流してゐる。
テー『おいカー、貴様は目を眩かしてそんな夢を見てゐたのだよ。夜前から俺は腰が痛いので、横になつた儘、ヂツとして貴様の倒れたのを見てゐたが、別に地獄へ往た様子もなし、只此木の下で竜国別さまと掛合にウンウンと唸つてゐたのだ。そんな気の弱い事を云ふな。そりやキツト心の迷ひだ。鬼も蛇も、地獄も極楽も、皆自分の心の船の舵次第で、どないでも転回するのだ。そんな迷信臭い事を言はずに、チトしつかりして呉れ』
竜国『イヤそれでも夢とは思はれない。又俺達の決して心の迷ひではない。日頃思つてゐる事を見るのなら、夢幻と判断しても良いが、吾々はそれ程悪事だとも思つてゐない。世界の為、神様の為、最善の努力をしてゐる考へで、寧ろ吾々のやつた事を誇りと思つてゐた位だから、決して幻想でも妄想でもないよ。兎も角吾々は今迄の行方に無理があつたに違ない。神様は一つ間違へば直に懲戒をして気をつける……と筆先に御示しになつてゐるのだから、ウツカリ疑ふ訳には行かないよ』
カー『竜国別さまの仰有る通りだ。俺やモウ未来が恐ろしくなつて来たワイ』
鷹依『お前達は一丈二尺の褌を締た一人前の堂々たる男ぢやないか。仮令如何なる事があらうとも、初一念を貫徹するのが男子の本分だ。妾は此の通り年を老つた女の身だ。けれ共そんな弱い心はチツとも持つて居ない。仮令地獄の底に落されて如何なる成敗に遇はされよう共、世界の為、お道の為になる事ならば、断乎として初心を曲げる事は出来ませぬ。それ程夢位が恐ろしいやうな事で、此夢の浮世に如何して暮す事が出来ませうか。大神様はお前達の心を試すために、いろいろと気をお引き遊ばすのだ。……エヽチヨロ臭い、もう仕方がない。妾は仮令此木の上から踏み外して墜落し、頭を割つて国替をせう共、あの玉を取つて来ねば措きませぬ。妾が上から、あの袋を下げおろすから、お前達は下に居つて、ソーツと手を拡げて鄭重に受けるのだよ』
と云ひ乍ら、一抱許りの白楊樹の根元に手をかけた。白楊樹の幹には三尺四尺も丈のある大蜈蚣が一面に巻ついて居る。さうして太き一尺計りの亀甲形の斑文のある蛇、赤い舌をペロペロと出し、目を怒らして、木の周囲に幾十匹とも数限りなく控えて居る。根元から梢まで、蜈蚣と蛇とが空地なく、幹も枝も絡んで居る其厭らしさ。流石の鷹依姫も之には辟易し、二三間後しざりし乍ら、
『コレコレ竜国別、テーに、カー、如何にもこれは容易に登る事は出来ませぬワイ。幸に此通り苺が沢山に生つてゐる。食物に何時まで居つたつて不自由はないから、あの玉が、風でも吹いて自然に落ちて来るか、蜈蚣や蛇が根負して逃げていぬか、どちらなりと埒の付く迄、此処で持久戦をやりませう。……サアサア皆さま、雨が降つては困るから、今の間にそこらの萱を刈り集めて、草庵を結び、あの蛇、蜈蚣と根比べを致しませう』
 三人は鷹依姫の言に従ひ、俄に木や草を刈り集めて庵を結び、籠城の準備に取かかつた。漸くにして雨蔽の為の、形ばかりの草庵は出来上つた。四人は夜露を凌ぎつつ、庵の中にて祝詞を奏上し、一時も早く玉の都合よく吾手に帰り、且又、蛇、蜈蚣の悪虫の退散せむ事を昼夜間断なく祈願して居た。
 外面に当つて『ケラケラケラ』と厭らしき笑ひ声が聞えた。竜国別、テー、カーの三人は此声が耳に入るや否や、寒水を頭から幾百石ともなく浴ぶせかけられた様な感じがし、ビリビリと慄ひ出し、歯をガチガチと鳴らして居る。鷹依姫は平気な顔して、
鷹依『コレコレお前達、なぜ斯様な真青な顔をして怖ぢけてゐるのだ。何が一体恐いのだい。大方、今の笑ひ声が恐かつたのだらう。オホヽヽヽ、何と臆病たれだなア。ドレドレ妾が一つ外へ出て、何者か知らぬが、言向け和して参りませう』
とムクムクと立上がり、萱製の莚戸を押開けて出て行かうとする。竜国別は驚いて、鷹依姫の腰をシツカと抱止め、
『モシモシお母アさま、あなたがそんな危険な事をなさらいでも、若い者が三人も控えて居ります。どうぞお待ち下さいませ』
 此時又もや『ケラケラケラ』と厭らしき声が連発的に聞えて来た。三人の男は首筋がゾクゾクし出し、又もや歯がガチガチと鳴り出したり。
鷹依『ホヽヽヽ、化物の奴、ケラケラケラなんて、ナアニ悪戯をするのだ。用があるのならば、犬の遠吠の様に、遠くから相手にならずに、なぜ此処へ這入つて来ぬか。奴甲斐性なし奴が』
テー『モシモシ鷹依姫さま、そんな事言つて貰うてはたまりませぬ。あんな奴に這入つて来られて如何なりますか』
と慄ひ声で半泣きになつてゐる。
鷹依『エーエ、どいつも此奴も弱虫ばつかりだな。今の若い者は口計り達者で、実地になつたら、此態、それだから、何程畑水練の学問をしたつて駄目だ。実地に当つて苦労を致さねば誠は出て来ぬぞよ……と神様が仰有るのだ。サアお前達、立派な男三人も居つて、外へ出て化物を言向け和す事をようせぬのなら、ようせぬでよいから、妾が独り出て来て談判をして来る程に、必ず止めては下さるなや』
と又もや立上り、莚戸を押し開けて出ようとする。竜国別は周章て抱止め、
『コレコレお母アさま、貴女が自らお出ましにならなくても、荒男が三人も居ります。どうぞ私に任して下さいませ』
 最前の怪しき声追々と近付き来り、一層厭らし相な音調にて、
『ガツハヽヽヽ、ギヒヽヽヽ、グフヽヽヽ、ゲヘヽヽヽ、ゴホヽヽヽ、ギヤハヽヽヽ、ギイヒヽヽヽ、ギユフヽヽヽ、ギエヘヽヽヽ、ギヨホヽヽヽ』
と益々烈しくなつて来た。竜国別はテー、カー二人に向ひ、
『おいテー、カー、お前御苦労だが、俺はお母アさまの側に守つて居るから、お前、一つ様子を考へに出て見て呉れぬか』
テー『ハイ、お易いこつて御座いますが、何分此間天狗に取つて放られ、腰の骨を折つて、思ふ様に足が動けませぬので、どうぞカー一人に仰せ付けて下さいな』
カー『俺だつて此間転倒した時に、大腿骨を痛めて居るから、体が思ふ様に動かない。マア仕方がない。此処に暫く籠城して、化物と根比べをしたら如何でせう』
竜国『アヽそれもさうだ。……なアお母アさま、テー、カーもあの通り、体を痛めて居りますから、一層の事、化物と根比べを此処でする事にしませうか』
 鷹依姫は、
『エヽ腰抜共だなア』
と云ひ乍ら、吊り戸を押し開け、外に飛び出して了つた。三人は其勇気に舌を巻き、コワゴワ乍ら外面を、萱壁の隙間から覗いて居る。
 鷹依姫は斯う云ふ時には無茶苦茶に肝の太くなる女である。平気の平左で怪しき声を尋ねて、あちらこちらと探し廻つた。前かと思へば後に聞え、右かと思へば左に聞へ、一向掴まへ所のないのに劫を煮やし、大音声をはりあげて、
鷹依『ヤアヤア、何者の妖怪変化ぞ。畏れ多くも国治立大神、木の花姫命、日の出神、神素盞嗚大神の御神業に仕へまつる三五教の宣伝使鷹依姫其他に対し、無礼千万にも、外面より罵詈嘲弄的態度を取るは、心得難き憎き曲者、サア早く正体を現はせ。天地の道理を説き諭し、汝が修羅の妄執を払拭し、其霊魂を天国浄土に助けてやらう。違背に及ばば、三五教の神司鷹依姫、神に代つて、汝を根の国底の国に、吾言霊の威力を以て追落してやらうぞ。サア如何ぢや、返答を聞かせ。一二三四五六七八九十百千万……』
と大音声に、天の数歌を歌ひ上げた。萱の株を隔てて、少し計り前方に白煙立ち上り、其の中からボンヤリと現はれた頭の光つた蛸入道、赤黒い細い手をニユツと前に出し、招き猫の様な恰好をし乍ら、
『フツフヽヽヽ、其方はバラモン教の神司、転じてアルプス教の教主となり、再転して三五教の宣伝使と変り、高姫に無実の難題を吹きかけられて、遥々と高砂島まで迂路つきまわり、小人窮して乱をなす譬に洩れず、所在策略をめぐらし、テーナの里の酋長が家宝と致せる、黄金の玉をウマウマ手に入れたであらうがなア』
鷹依『大功は細瑾を顧みずと云つて、天下国家の為ならば、少々位の犠牲は見越しておかねば、何事も成就するものではありませぬワイ。大魚小池に棲まず、清泉には魚育たず、春の夜の月は朦朧として居るのが却て雅趣がある様なもので、人間として神業に奉仕する上に於て、チツと位過ちがあつた所で、天津祝詞の功力により、科戸の風の朝霧夕霧を吹払ふ事の如く、罪も穢も、消え失せるは神界の尊き御恵み、何処の枉神か知らぬが、その様なせせこましい小理窟を云つて、吾々をへこまさうと思つても、左様な事に尾を巻いたり、旗を巻いたり、鉾を戢めて退却する様なヘドロイ女宣伝使では御座らぬぞや。お前は一体何者だ。大方黄金の玉に執着があつて、折角吾々が手に入れたものを横奪せうと思ひ、あの白楊樹の上迄持つて上つたのだらう。サアもう斯うなる以上は、此鷹依姫が承知致さぬ。サア早く木登りをしてここへ持つて御座れ。お前と云ふ奴は、怪しからぬ悪戯を致す者だ。アハヽヽヽ、油断も隙もあつたものぢやないワイ。オツホヽヽヽ』
禿化『此方は、昔の神代に常世の国の常世姫の部下となり、言霊別命、元照彦命などの神将を、縦横無尽に駆悩ましたる猿世彦の勇将であつたが、言霊別命、元照彦命両人が風を喰つて常世城を逃げ失せたる後を追ひ、スペリオル湖の湖辺まで追ひかけ到り見れば、両人の姿は雲を霞と北方へ遠く逃げ去つた様子、それ故、此猿世彦は元照彦、美濃彦の間者なる、船頭の湊彦に船を操らせ、寒風吹き荒ぶ湖上を渡る折しも、退引ならぬ湊彦の強談に赤裸となり、とうとう吾肉体は木乃伊になつて了つた。暫くあつて、三五教の神司に言霊を以て助けられ、蘇生へり、茲に身魂は二つに分れ、一方の身魂は猿世彦の肉体を使つて、遂には日の出神の教訓を受け、宣伝使となつて、アリナの滝の水上、鏡の池にて神界の御用を勤める事となつたが、此方はスペリオル湖の湖上に於て、木乃伊となつた苦しき時の思ひが凝つて、今に此高砂島の山中に彷徨ひ、三五教の奴原に対し、恨みを返さねばならぬと、汝等四人アリナの滝に現はれしを幸ひ、如何にもして、恨を晴らさむと、心は千々に砕いたなれど、何を言うても、鏡の池に月照彦神の神霊守りあれば、容易に汝等を悩ますの余地なく、隙を窺ひ、汝の後に引添ひ、錦の袋にブラ下り乍ら、ここまでやつて来た猿世彦の副守護神、怨霊の凝固である程に、モウ斯うなる上は、何程藻掻いても、此櫟ケ原は悪霊の集合地帯だ。飛んで火に入る夏の虫、覚悟を致して、一時も早く元へ引き返し、此玉を此猿世彦に渡して帰るがよからう。グズグズ申すと、寝首を引掻き、むごい目にあはしてやるぞよ。ウツフヽヽヽ』
 鷹依姫は声を励まし、
『猿世彦の怨霊とやら、よつく聞け。其方の本守護神は狭依彦神となり、立派に神業に古より奉仕して、黄泉比良坂の戦ひにまで出陣し、抜群の功名を立てたでないか。なぜ其方は左様な怨霊となつて、何時までもまごつきゐるか。チツと胸に手を当て、善悪正邪の道理を考へて見たら如何だえ』
禿化『私だとて本守護神が神になつてゐるのに、何時までも斯様な曲神に落ちてゐたい事はないのだ。併し吾々を済度し助けて呉れる宣伝使が出て来ないので、今に身魂は世に落ち、曲神の群に入つて、日夜艱難辛苦を嘗めてゐるのだ』
鷹依『そんなら此鷹依姫が有難き神文を聞かしてやるから、これにて綺麗サツパリと成仏致し、誠の神に立帰れよ』
と言ひ乍ら、天津祝詞と神言を二三回、一生懸命に繰返し唱へ上げ、
『サア是丈結構な祝詞を上げた以上は、最早解脱したであらう。早く此場を立去らぬか』
禿化『何程結構な神文を唱へて呉れても、お前の心に執着心と云ふ鬼が潜んで居る以上は、其言霊が濁り切つて居るから、解脱所か苦しくて苦しくて、益々迷ひが深くなる計りだ。黄金の玉の事は今日限りフツツリと思ひ切つて善心に立返つてくれ。お前の尋ねる桶伏山の黄金の玉は既に既に発見されて、言依別神様が或地点に、人知れず、神界の命に依つてお納めになつてゐるぞ。最早玉の詮議は無用だ。お前達の心中を憐み、頓て言依別命様が、国依別を伴ひ、お前の所在を尋ねてお越し遊ばすから、お前はこれより東を指して海岸に出で、海ばたを通つて、巴留の国のアマゾン河の河口に出で、それより、河船に乗つて、玉の森林に向へ』
鷹依『如何にも、さう承はらば、どこともなしに妙味のある言葉だ。一つコリヤ考へる余地が充分にある。何れ三人の者とトツクリと相談をしておいて、返事をするから、今晩はこれで帰つて下さい。又明日の晩お目にかかりませう』
 禿頭の化物はジユンジユンと怪しき音を立て、濛々と白煙を起し、忽ち其怪しき姿を隠して了つた。
 これより鷹依姫一行は此玉に対する執着心を除去し、櫟ケ原を東にとり、海岸に出で、北へ北へと進んで行く。
 因に此怪物は決して猿世彦の怨霊では無い。天教山の木花姫が、一行の執着心を払ひ、誠の宣伝使に仕立て上げむとの周到なる御計らひなりける。
(大正一一・八・一一 旧六・九 松村真澄録)
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