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文献名1霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
文献名2第2篇 珍野瞰下よみ(新仮名遣い)うづのかんか
文献名3第5章 下坂の歌〔847〕よみ(新仮名遣い)げはんのうた
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-01-14 17:50:40
あらすじ一行四人は初夏の炎天下に山道を下っていく。緩勾配の山道にさしかかった。石熊はそれを機に、心中の思いを宣伝歌にして歌い始めた。バラモン教に深く帰依して活動して三五教と教勢を争っていたかつての自分を歌い、乾の滝で大蛇に魅入られたところを、末子姫らに救われた経緯を歌った。カールは声調整わない滑稽歌に謎を込めて歌いだした。松若彦の命でバラモン教に入り込んで内偵をしていた自分の役目を歌いながら、敵の中にも味方があり、味方の中にも敵があると気をつける歌を歌った。歌っているうちに急坂にさしかかり、ひとしきり坂を下った一行は坂の傍らにある石に腰を掛けて息をつき、汗を拭った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月14日(旧06月22日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月15日 愛善世界社版55頁 八幡書店版第5輯 592頁 修補版 校定版59頁 普及版21頁 初版 ページ備考
OBC rm3005
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本文の文字数4676
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本文  一行四人は初夏の炎天に曝され乍ら、吹き来る涼風に衣の袖を翻しつつ、岩石起伏の急坂を、アブト式に一足々々爪先に力を入れ乍ら降り行く。
 少しく緩勾配の山路に差かかつた。新に帰順したる石熊はテル山峠の山上にて末子姫、捨子姫の驥尾に附し述懐歌を歌はむと、心中深く期する所ありしが、意外にも末子姫の休息を早く切り上げて坂を降り始めしより、止むを得ず沈黙を守り、急坂を降りつつあつた。今しも稍緩勾配の安全なる坂道に差かかりたるを機会に、歩み乍ら足拍子を取り、石熊は述懐の歌を唄ひ始めたり。
『あゝ面白い面白い  テル山峠の頂上に
 古今無双の二人のナイス  天津乙女の降来か
 木の花姫の出現か  木石ならぬ石熊も
 バラモン教の御教を  固く守りて今迄は
 巌の如く頑強に  教を楯にバラモンの
 神の教の信徒等に  化石したかと笑はれた
 此堅蔵も三五の  神の教に入信し
 優しき姿顔容に  心の動いた恥かしさ
 さはさり乍ら吾々は  素より賤しき身の上ぞ
 高根に咲ける松の花  如何に憔れ慕うとも
 天津御空の星影を  竿の先にてがらつよな
 極めて至難の事であろ  あゝ惟神々々
 御霊の頼を蒙りて  三五教に服従ひし
 此石熊が心根を  厳しく鞭撻なし玉ひ
 怪しき怪しき恋の暗  忍びて来る曲鬼を
 早く征服させ玉へ  バラモン教の神の法
 別に変りしこともなし  さは去り乍ら三五の
 神の教に比ぶれば  どこやら一つ物足らぬ
 吾がバラモンの主唱する  霊主体従の御教は
 神に貰うた肉体を  損ひ破ること許り
 普く世界の人々を  大事の大事の神徳に
 助くる道に欠けてゐる  あゝ惟神々々
 神の教は皆一つ  只実行と不実行の
 差別に依りて変るのみ  高天原を退らはれし
 此世を救ふ生神の  尊き御子と現れませる
 心も澄める末子姫  世人の為に身を捨てて
 教を開く捨子姫  か弱き女の身乍らに
 遠き山河踏みさくみ  長き潮路を打渡り
 はるばるここにテル山の  雲突く峰に現はれて
 神の御為世の為に  尽させ玉ふ尊さよ
 吾は常世の目の国に  生れて茲にバラモンの
 神の教に入信し  鬼熊別に導かれ
 バラモン教の御教を  誹り走りに聞き覚え
 高照山の山麓に  教の館を造りつつ
 天地の間此道に  優りし教はあらざらむ
 実にも尊き教ぞと  心も身をも打任せ
 身もたなしらに朝夕に  沐雨櫛風の労を積み
 教は日々に天津日の  豊栄昇ります如く
 月日と共に栄えけり  さはさり乍らバラモンの
 教に一つ疵がある  生血を出して大神の
 御目に示し犠牲の  誠と思ひ謬りし
 其醜業に信徒は  朝日に氷の解くる如
 次第々々に衰へて  法灯消えむとなしければ
 茲に一計案出し  テル山峠に名も高き
 大蛇の棲処と聞えたる  さも恐ろしき大瀑布
 人の恐れて近よらぬ  乾の瀑に朝夕に
 しげしげ通ひて水垢離  取りて身魂を清めつつ
 二年計り荒行を  励み居たるを何時しかに
 四方の国々知れ渡り  吾熱誠に感歎し
 又もや枯木に花咲きて  教は高く照りわたる
 高照山の聖場は  残枝忽ち花開き
 いと賑はしくなりにけり  此機を逸せずバラモンの
 教を四方に伝へむと  珍の国まで教線を
 張らむとすれば国彦の  御子と生れし神司
 松若彦の熱誠に  三五教の信仰は
 雷の如鳴り渡り  バラモン教に相対し
 侮り難き教敵と  今は全くなりにけり
 三五教が倒れるか  バラモン教が倒れるか
 生死の境と肝胆を  砕いて茲に一計を
 ひねり出して神司  ウヅの都の三五の
 教の館にさし廻し  三五教の信徒と
 佯らせつつ日に夜に  内外の様子を窺ひつ
 善らぬ事と知り乍ら  権謀術数の有り丈を
 今迄尽し来りける  神素盞嗚大神の
 珍の御子と現れませる  末子の姫の主従が
 テルの国へと出でまして  テル山峠を打渉り
 進み来ますとバラモンの  道の根本霊場より
 無言霊話をかけ来る  容易ならざる出来事と
 信任厚き神司  イサク、カールを始めとし
 シーナ、チールやネロ五人  テル山峠の西麓に
 差遣はして両人の  道を遮り高照の
 山の館に連れ帰り  其目的を達せむと
 乾の滝に現はれて  何時も慣れたる水垢離
 一心不乱に祈る折  忽ち身体強直し
 ビクともならぬ苦さに  空を仰いで滝の上
 見上ぐる途端に恐ろしき  醜の大蛇が口を開け
 目を怒らして眺めゐる  心戦き体縮み
 進退維に谷まりて  覚悟の臍を固めたる
 時しもあれや末子姫  二人の伴を引連れて
 現はれ来まし三五の  清き尊き言霊を
 宣らせ玉へば曲神は  雲を霞と消え失せぬ
 あゝ惟神々々  末子の姫の来らずば
 吾れは蛇腹に葬られ  漸く茲まで築きたる
 バラモン教は忽ちに  嵐に木葉の散る如く
 崩壊せむは目のあたり  吾は尊き生命を
 実にも畏き大神の  珍の御子に助けられ
 天下無二なる果報者  思へば思へば三五の
 神の教は大空に  輝き亘る日月の
 光に優る如くなり  あゝ惟神々々
 今迄犯せし罪悪を  乾の滝の水清く
 洗ひ清めて永久に  生れ赤子と成り変り
 命の続く其限り  皇大神の御道に
 使はせ玉へ天津神  国津神たち八百万
 国魂神の御前に  謹み敬ひ願ぎまつる
 末子の姫や捨子姫  何卒吾等が佯はらぬ
 此告白を平かに  いと安らかに聞し召し
 汝が命の従僕とし  千代も八千代も末永く
 伴ひ玉へ惟神  神かけ祈り奉る
 神かけ祈り奉る』
と歌ひ終り、潔く急坂を降り行く。再び山路は峻しくなつて来た。一行は一歩々々、坂路に起伏せる岩の頭に足を踏みしめ乍ら下り行く。カールは此山路に相当したる、声調も碌に整はぬ歌を唄ひ乍ら、三人の後に従ひ下り行く。
『ドツコイシヨウ ドツコイシヨウ  テル山峠は高い山
 岩石起伏の谷道を  危ない危ないアブト式
 力を入れる指の先  まかり違へば転倒し
 虻蜂取らずになるだらう  皆さま気をつけなさりませ
 敵の中にもドツコイシヨ  味方が隠れて居りまする
 オツト辷つた危ないぞ  味方の中にもドツコイシヨ
 敵が隠れて居るであろ  人間万事塞翁の
 馬と聞いたがドツコイシヨ  コラ又危い石車
 乗つて怪我をばなさるなや  ドツコイドツコイ災の
 後にはキツと福が来る  福が来たとて油断すな
 油断をすれば此通り  キツい坂道ドツコイシヨ
 下つて行くよな者ぢやぞえ  三五教の神司
 松若彦の命令で  高照山の神館
 飛ぶ鳥までも落すよな  勢強き石熊の
 ドツコイドツコイ ドツコイシヨ  オツト危い石車
 お側仕ひとなりすまし  一伍一什を偵察し
 隙行く駒のドツコイシヨ  悪の企みを細々と
 珍の館に報告し  今迄来たのはドツコイシヨ
 天の与へに違ひない  罷り違へばバラモンの
 石熊さまに嗅出され  五体も何もグタグタに
 バラモン教とバラされて  惜しき命の安売りを
 やつて居つたか分らない  ドツコイシヨウ ドツコイシヨウ
 知らぬが仏の石熊さま  バラモン教に一心に
 なつて御座つた其為か  間者となつて入り込みし
 カールとネロの両人を  オツト危い、又辷る
 此上なき者と愛しつつ  重く用ゐて下さつた
 深い情に絆されて  三五教の信仰も
 時々怪しくなつて来た  一向私もバラモンの
 神の教に入信し  一つ腕をば研き上げ
 珍の都の人々を  アフンとさしてやらうかと
 副守護神が囁いて  ドツコイシヨ ドツコイシヨ
 危い危い誘惑の  手を伸ばしたる事もある
 あゝ惟神々々  神に貰うたドツコイシヨ
 直日の霊魂が輝いて  オツトドツコイそりや悪い
 誠の神の御教と  偽り神の教とを
 神に貰うたドツコイシヨ  稜威の霊に省みて
 必ず迷ふこと勿れ  天国地獄の国境
 胸に手を当て思案せと  何か知らぬが囁いた
 アイタタ、ドツコイ躓いた  拇指小指をしたたかに
 尖つた岩に突きあてて  千尋の谷間に危くも
 辷りおちむとドツコイシヨ  ドツコイドツコイ ドツコイシヨ
 傾く身体を手を広げ  中心取つてドツコイシヨ
 おかげで体が立直り  ヤツと命を取り止めた
 あゝ惟神々々  神程尊い方はない
 モウシ末子のお姫さま  捨子姫さまお二方
 足許用心なさりませ  ズイ分高い石熊が
 ゴロゴロゴロと坂道に  転かしてやらうと待つてゐる
 ドツコイ油断は大敵ぢや  人の心は分らない
 とは云ふものの石熊さま  お前の事ではない程に
 気を悪なさつて下さるな  躓く石も縁の端
 一樹の蔭の雨宿り  一河の流れを汲むさへも
 深い因縁あればこそ  お前の館に住み込んで
 朝晩同じ物を食ひ  水も洩らさぬ親切を
 尽して貰うた其時の  私の心の苦しさは
 口で言ふよな事でない  一層お前に真実を
 心の底から打明けて  白状せうかと思うたが
 ドツコイドツコイ待て暫し  松若彦の神司
 私を男と見込んでの  最上破格の御信任
 無にしちやならぬとドツコイシヨ  再び心を立直し
 猫を被つてやつて来た  カールは腹のドツコイシヨ
 汚い奴ぢやと思はずに  今迄お前を詐つた
 心の罪を赦してよ  ドツコイドツコイ其代り
 お前の深い計らひで  ウヅの都に遣はした
 間者は幾人あるとても  末子の姫の御前に
 俺が代つてお詫して  綺麗に綺麗に帳消しと
 流れ勘定にして貰ふ  皆さま危い足許に
 気をつけなされよ坂路は  ますます急になつて来た
 ウツカリ辷つて谷底へ  転落したら大変だ
 胸がドキドキ騒ぎ出す  三五教の神様よ
 どうぞ一行四人連れ  此急坂を恙なく
 あなたの厚き御守りに  通過をさせて下さんせ
 偏に御願申します  ドツコイドツコイ ドツコイシヨ
 アイタタ、ドツコイ又転けた  あんまり調子に乗り過ぎて
 知らずに乗つた石車  背中は少し打つたれど
 生命は別状はない程に  皆さま安心しておくれ
 ウントコ、ドツコイ ドツコイシヨ  降れば広きウヅの国
 青野ケ原の右左  青葉の蔭に身を休め
 ゆつくり一服致しませう  ホントに長い峠ぢやなア
 グヅグヅしてると日が暮れる  さうだと云つて無茶苦茶に
 走つて降れば又転ける  坊主と尼ならケがないが
 俺等の様な長髪は  中々此道や物騒な
 あゝ惟神ドツコイシヨ  御霊幸はひましませよ
 旭は照る共曇る共  月は盈つ共虧くる共
 仮令大地は沈むとも  再びこんな山路を
 私は通ろと思はない  本当に危ない坂道ぢや
 神の御為世の人を  助ける道と思やこそ
 音に名高き此坂を  登りつ下りつ致すのだ
 天地の神も吾々が  此真心を御照覧
 遊ばしまして世に高く  誉を残させ玉へかし
 淤縢山津見や駒山の  彦命や珍山の
 神の司の通りたる  此山坂を改めて
 二人の美人に導かれ  黄金の橋を渡るよな
 危ない気分で下りゆく  天教山ではなけれ共
 木の花匂ふウヅの国  花の都にドツコイシヨ
 ドツコイドツコイ ドツコイシヨ  上り行くこそ楽しけれ
 あゝ惟神々々  早言霊の油きれ
 停電するより仕様がない  二人の親が遺みとて
 残して呉れた膝栗毛  どうやら怪しくなつて来た
 そこには丁度恰好な  腰掛岩が並んでる
 皆さま一服せうぢやないか  叔母が死んでも直休み
 暑中休暇の避暑旅行  青葉の蔭に横たはり
 息をついだら如何であろ  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
と一歩々々、九十九折りの石だらけの危なき急坂を下つて来たが、稍少し計り緩勾配の坂の左側に腰掛の如く並んでゐる天然椅子に一行四人は腰を卸し息をつぎ、汗を涼風に拭ふ。
(大正一一・八・一四 旧六・二二 松村真澄録)
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