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文献名1霊界物語 第31巻 洋万里 午の巻
文献名2第1篇 千状万態
文献名3第6章 女弟子〔872〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月18日(旧06月26日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
OBC rm3106
本文の文字数3457
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本文  此乱痴気騒ぎの最中に、意気揚々としてモリスは国依別の居間を尋ね、姿の見えざるに、的切り此奴は紅井姫の居間に侵入し、脂下つてゐるに相違ないと、エリナを伴ひ、足音高く、現はれ来り、ガラリと襖を引あけて、
『国依別様、お前様の女房がはるばる尋ねてお出になりましたよ。サアどうぞトツクリとお楽しみなさりませ』
『ヤア、エリナ殿か、あなたのお母アさまは何うなりましたか。日々御案じ申して居りました』
『ハイ有難う御座います。とうとう母はあの大地震に亡くなつて仕舞ました。今は、父は御存じの通り、日暮シ山に囚はれ、たよる所もなき女の一人身、あなた様のお後を慕ひ、お世話に預りたいと存じまして、茲まで尋ねて参りました。どうぞ先日の御無礼をお叱りなく、憐れな妾、何卒お助け下さいませ』
 モリスはもどかしげに、
『コレコレ、エリナさま、そんな他人行儀の事を云ふに及ばぬぢやありませぬか。お前さま……ソレ私の前で雄健びしたように、ここで一つ売り出さぬかいな。ヤツパリ可愛い夫の顔を見るとグニヤグニヤになつて了ふから仕方がないワ。女と云ふ者は男にかけたら弱い者だなア、アハヽヽヽ』
 秋山別は言も荒らかに、
『姫様の御病気、今此通り御昏倒遊ばして御座る所だ。何を気楽な事を言つてゐるのだい』
『ヤア姫様が御病気だなア。コリヤ大変だ。ドレドレ、モリスが介抱をして進ぜよう。癪気を起して御座るのだらう。こんな所へ国依別さまの奥さまがやつて来たものだから、益々大変だ。併し乍ら姫様も結句諦めがついてよからう。サア一つお腹を取つてあげませう……癪に嬉しい男の力、身が粉になるまで抱いて欲しい……とか何とかヘヽヽ言ふ事がある。国依別さまだと都合が好いのだが、生憎奥さまの御臨検だからさうもならず……国依別さま、さぞお心の揉める事でせうなア』
とニヤリと笑ひ乍ら、
『コレコレお姫様、内事司のモリスで御座いますよ。サア気をしつかりなさいませ』
『エヽ汚らはしい!』
と今迄性念を失つて居たと思つた大病人に、力一杯横腹あたりを、肱鉄砲で打たれ、肋の三枚目をしたたかやられて『アツ』と其場に目を剥いて倒れて了つた。国依別は驚いて、
『コレコレお姫様、そりや余り乱暴ぢやありませぬか?』
『国依別さま、あなたは妾を騙しましたねえ。独身ぢやと仰有つたが、現に立派な奥様が訪ねて御座つたぢやありませぬか。エヽ残念ぢや口惜しい』
と歯切をかむで狂ひまはる。秋山別は紅井姫の体をグツと抱へ、
『モシモシ姫様、さう荒立ちなさつてはお体に障ります。どうぞ気をお鎮めなさいませ。世の中は広いものです。男の数も決して一人や二人ぢや御座いませぬ。そンな気の狭い事を仰有るに及びませぬ。あなたに適当な男が此お館にも一人や半分は居ますから、御世話を致します。どうぞお鎮まり下さいませ』
『エヽお前は秋山別か、又しても又しても好かぬたらしい、震ひが来る、退いてお呉れ!』
と云ひ乍ら、かよわき手に拳骨を固め、力一杯鼻つ柱を擲りつける。秋山別は不意に鼻つ柱を打たれ、目から火を出し乍ら、ヨロヨロヨロとよろめき、モリスの頭の上にドスンと倒れた機みに尻を下せば、モリスは夢中になつて、秋山別の睾丸を力一杯握りしめ、
『コリヤ国依別、貴様は女房のある身を持ち乍ら、神様の御規則に背き、箱入娘の姫様を誑らかしチヨロまかして、風紀を紊す大罪人、サア此玉さへ抜けば、発情は致すまい。モリスが、睾丸割去術でも施して去勢してやらうか』
と一生懸命に固く握りつめる。秋山別は真青になつて『ウーン』と云つたきり、ふん伸びて了つた。
 エリナ姫は気をいらち、
『モシ国依別さま、どうかしてやつて下さらぬと、息が止まりは致しませぬか』
 国依別は、
『さうですなア』
と云ひ乍ら、モリスの手を指一本一本力を入れて放させた。秋山別は漸くに気が付き、呆け面してポカンと口をあけて紅井姫の顔を恨めしげに眺めて居る。
『あのマア厭な男、妾の顔に何ぞ付いて居りますか?』
『ハイ、何だか知りませぬが、男の顔がひつついてますワイ。それもクの字が一番ハツキリ現はれ、つぎにアの字が現はれて居りますが、クの字は段々と色が黒くなり、アの字が赤く花の様に現はれかけました。あのクの字の黒い事わいの』
『又しても厭な事を云ふ男だナ。サア早うあちらへお行き!汚らはしい、アリーは居らぬか、サールは何処ぞ、早く箒を持つて来てお呉れ』
 次の間に息をこらして控えてゐた二人の侍女は、箒と塵取を持つて現はれ、跪いて姫の手に渡せば、姫は手早く其箒を取り、第一に秋山別に向ひ、
『エヽ煩雑い男奴』
と云ひ乍ら狂人の如く髪ふり乱し、目を釣りあげ所構はず打据ゑたり。モリスは、
『コレコレ姫様、そンな乱暴をなさつては可けませぬ』
と立あがるを、姫は、
『ナニ此睾丸掴み』
と云ひ乍ら、又叩きつける。二人は流石に手向ひもならず、コソコソとして吾居間に引下り行く。
『お前さまは国依別さまの御家内でせう。紅井が永らく御厄介になりまして、さぞお待兼でしたらう。サア大事の婿さまを伴れて、勝手にお帰りなさいませ』
『これはしたり姫様、そりや大変な考へ違ひ、此方はアラシカ山の山麓に御座るウラル教の宣伝使エスと云ふ方の娘さまで御座いますよ。フトした事から途中にお目にかかり、二三日御世話になりましたもの、独身主義の国依別に、女房があつて堪りますか』
『あなたは世界を股にかけて御歩き遊ばす宣伝使様、うち見る島の先々、掻き見る磯の先おちず、若草の妻を至る所にお持ち遊ばし、神生み、御子生みを遊ばす丈あつて、随分巧に言霊をお使ひ遊ばします。妾も最早観念致しました。妾の恋は真剣で御座ります。つまり九寸五分式の猛烈な恋なれば、最早あなたに見放された上は、此世に生きて何の楽みも御座いませぬ。恋の病に悩み一生苦むよりも、一層此場であなたのお目の前で自害して相果てまする。愚な女と一口にお笑ひ下さいますれば、それを冥途の土産に嬉しう帰幽致します』
と隠し持つたる短刀を閃かし、ガハと喉につき立てむとするにぞ、国依別は打ち驚き、直に飛びつき、姫の手を打叩きし其途端に短刀はバラリと前におちぬ。国依別は手早く短刀を拾ひあげ、熱涙を流し乍ら、
『あゝ困つた事が出来て来たものだワイ。これと云ふのも、若い時に女泣かせや、御家倒し、家潰しを数限りなくやつて来た其酬ゐだらう……モシモシお姫様、私は今こそ斯ンな殊勝らしい顔をして宣伝使になつて居りますが、私の素性を洗つたら如何な姫様でも愛想をつかされるでせう。随分と女を泣かして来た代物ですよ。こンな男に心中立をしたつて直に放かされ、蛸の揚壺を喰はされますよ。どうぞこンな男の事は思ひ切つて下さいませ』
『自分の事を自分で悪く仰有る、其正直なお心が妾には震ひつく程好で御座います。果して此エリナ様があなたの女房でないのならば、是非茲に御逗留遊ばして、妾に神様の教を聞かして下さいませ。お気に入らぬ者を無理に女房にして下さいとは申しませぬ。お側においてさへ頂けば、それで満足致しますから……』
『それは困りましたねい。どうしても私は急にここを立たねばなりませぬから、姫様のお側において頂く事は到底出来ませぬ。どうぞ思ひ切つて下さいませ』
『そんなら、あなたのお弟子として、どンな所でも厭ひませぬからお伴れ下さいませ。お願で御座います』
『どうぞこのエリナもお弟子として、あなたのお出で遊ばす所へお伴れ下さいませ。其代りに洗濯や針仕事は十分致しまして、御神徳が授かつたら宣伝も致します』
『あゝ仕方がありませぬ。それならお二人共、一所に参りませう。併し乍ら紅井姫様、貴女は楓別命様のお許しを受けなくてはなりますまい。お許しさへあれば、何時でもお伴を致しませう』
 紅井姫は、『ハイ有難う御座います』と機嫌顔。
 是より国依別は楓別命に暇を告げ、二人の女を伴ひ、神館を後に日暮シ山の岩窟に向ひ、エス、キジ、マチの三人の生命を救ふべく夜の明けぬ中より準備為し、日暮シ山指して男女三人進み行く。
(大正一一・八・一八 旧六・二六 松村真澄録)
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