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文献名1霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻
文献名2第3篇 瑞雲靉靆よみ(新仮名遣い)ずいうんあいたい
文献名3第19章 軽石車〔910〕よみ(新仮名遣い)かるいしぐるま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-06-02 17:21:03
あらすじバラモン教の教主として高砂島の高照山山麓に勢力を誇っていた石熊は、乾の滝で大蛇に魅入られていたところを末子姫に助けられ、三五教に改心した。巽の池の魔神を言向け和そうとして失敗し、三五教のカールに助けられ、ウヅの館を守っていた。このたびの言依別命出張とアマゾン河の魔神退治にあたり、石熊もカールを伴って出陣していたが、凱旋するとウヅの神館には神素盞嗚大神がご光臨されていた。石熊は歓喜の年に堪えず、祝歌を歌い舞った。バラモン教の司として様々な画策をなしていた過去、末子姫に助けられ、巽の池で試にあってカールに助けられ、自分の配下のバラモン教徒たちをウヅの館に導いたこと、アマゾン河の魔神退治の経緯と、大神ご来臨の喜びと感謝を歌うと、自席に戻った。今度はカールが面白く踊りながら歌った。松若彦の命によってバラモン教に潜入し、石熊の部下となって仕えていたこと、高砂島に着いた末子姫と捨子姫をウヅの都に案内し、その途上で石熊を助けて三五教に加えた経緯を歌った。そして、巽の池で魔神退治に失敗し、両足が動けなくなった石熊をわざと嘲って治した有様を、こっけいを交えながら歌い披露した。そしてこれによって石熊の本当の笑顔を見て、心を合わせるようになった経緯を明かした。言依別命にしたがって石熊たちとともにアマゾン河にお供し、ウヅの都に凱旋すると、神素盞嗚大神のご光臨を知り、その嬉しさと感謝を表した。カールの滑稽を織り交ぜた歌は宴席をどっと湧かした。
主な人物 舞台ウヅの館 口述日1922(大正11)年08月24日(旧07月02日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年10月15日 愛善世界社版221頁 八幡書店版第6輯 223頁 修補版 校定版223頁 普及版84頁 初版 ページ備考
OBC rm3219
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本文  今までバラモン教の教主となり、高照山の山麓に宏大なる館を造り、其勢力を四方に拡充したる石熊は、乾の滝に禊をなす折柄、大蛇に魅入られ、身体強直し、今や危機一髪の際、末子姫の一行に言霊を以て救はれ、茲にいよいよ三五の教に帰順し、テル山峠を乗越え、巽の池の魔神を言向け和さむとして大失敗を演じ、腰を抜かし、一時は両脚の自由を失ひ困窮の折柄、カールの奇智によりて助けられ、カールの後を追つかけ、末子姫の御後を慕ひて此処に参ゐ詣で、バラモン教の信徒を悉く三五教に導き高照山の霊場をウヅの館の末子姫が出張所となし、捨子姫、カールの両人をして、此神館を守らしめ居たりしが、此度言依別命、ウヅの館へ降り来れるを機会に、石熊はカールを招き、春彦を伴ひ、言依別の教主に従ひ、アマゾン河に立向ひ、漸くにして一行一八人と共に、ウヅの都に凱旋し、見れば思ひもかけぬ神素盞嗚大神の御降臨と聞き、歓喜の念に堪へず、茲に祝歌をうたつて舞踏し始めた。其歌、
『常世の国の自在天  大国彦や大国別の
 神の命の樹て給ふ  バラモン教の御教を
 此上なき救ひの道となし  心の限り身の限り
 神の御前に仕へつつ  沐雨櫛風の労を積み
 教を四方に開きつつ  三五教を目の上の
 敵と思ひあやまりて  教の御子をウヅの国
 これの館に忍ばせて  いろいろ雑多と画策を
 めぐらし来りし愚かさよ  テル山峠の中腹に
 高くかかれる大瀑布  乾の池より降り来る
 水に身魂を清めつつ  天眼通の神力を
 授け給へと祈る折  吾身体は強直し
 身動きならぬ不思議さに  仰いで瀑布を眺むれば
 さも恐ろしき大蛇奴が  眼を怒らしつ口開き
 呑み喰はむと構へ居る  其恐ろしさ身も震ひ
 胸も轟き悩む折  忽ち聞ゆる三五の
 誠の道の宣伝歌  近付き来る嬉しさに
 以前の心を取直し  私に感謝し居たりしが
 三千世界の救世主  神素盞嗚大神の
 八人乙女の末子姫  捨子の姫を伴ひて
 吾側近く仕へたる  カールの司を先頭に
 悠々進み来りまし  九死一生の危難をば
 安々救はせ給ひつつ  大蛇に向つて言霊の
 恵も深き露の玉  注がせ給へば流石にも
 獰猛なりし曲神は  涙を流し喜びて
 執着心を解脱なし  恵の綱に曳かれつつ
 雲を起して天上に  喜び勇み昇りゆく
 あゝ惟神々々  神の恵の尊さよ
 末子の姫に従ひて  テル山峠の峻坂を
 登りつ下りつ楠の  樹蔭に一夜の雨宿り
 末子の姫の一行と  巽の池に立向ひ
 世人を悩め喰ふなる  大蛇を言向け和さむと
 心も勇み進み行く  神徳足らぬ石熊が
 宣る言霊は忽ちに  大蛇の怒を激発し
 風吹き荒び浪猛り  雨は車軸と降り来り
 何と詮方なき儘に  兜を脱いで三五の
 神の司の御前に  心の罪を謝しければ
 末子の姫は忽ちに  厳の言霊宣り上げて
 雲霧四方に吹払ひ  波をば鎮め雨を止め
 稜威の神力目のあたり  示させ給ふ尊さよ
 忽ち大蛇は解脱して  巽の池の波を割り
 姿を此処に現はしつ  感謝しながら空高く
 雲を起して昇り行く  末子の姫の一行は
 神業終へて池の辺を  後に眺めて去り給ふ
 いかにやしけむ石熊は  両脚自由を失ひて
 行歩も自由にならざれば  カールの司を呼びとどめ
 救ひを求め鎮魂の  其神業を頼めども
 カールは如何思ひけむ  口を極めて嘲弄し
 尻をからげて逃げ出す  其無念さに腹を立て
 カールの司思ひ知れ  仇敵を討たねばおかないと
 雄健ぶ機に両脚は  思ふが儘に活動し
 カールの後を追ひながら  ウヅの館に来て見れば
 末子の姫や捨子姫  松若彦の真心を
 こめさせ給ひし御待遇  嬉し涙に暮れ果てて
 殊恩を感謝し忽ちに  バラモン教の信徒を
 三五教に導きて  帰順の誠を表しつつ
 朝な夕なに神前に  仕へまつりし折柄に
 げに有難き三五の  言依別の神司
 此処に現はれ給ひつつ  尊き教を宣り給ふ
 あゝ惟神々々  神の恵の有難や
 辱なしと真心を  捧ぐる折しも瑞御霊
 神素盞嗚大神は  捨子の姫の口を藉り
 アマゾン河の森林に  立向ひたる高姫や
 鷹依姫の応援に  早く向へと宣り給ふ
 其神勅を畏みて  言依別の大教主
 正純彦を始めとし  カール、石熊、春公を
 伴ひ館を立出でて  千里の原野を打渉り
 帽子ケ岳に立向ひ  国依別の神司に
 対面されて琉、球の  玉の光りにアマゾンの
 河の魔神や森林の  猛き獣の荒びをば
 言向け和し霊光に  照らさせ給ふ有難さ
 鷹依姫や高姫の  神の司と諸共に
 帽子ケ岳に相会し  教主の君に従ひて
 身も勇ましくウヅ館  凱旋したる目出度さよ
 あゝ惟神々々  神の恵みの浅からず
 朝な夕なに恋ひしたふ  瑞の御霊の救世主
 神素盞嗚大神は  斎苑の館を立出でて
 自ら此処に降りまし  汚れ果てたる吾々が
 身魂を清め与へむと  御幸ありしぞ有難き
 あゝ惟神々々  神の恵を蒙りて
 心きたなき石熊の  重き罪をば赦せかし
 千代に八千代に神恩の  尊き限りを忘れずに
 孫子に伝へていや固く  仕へまつらむ惟神
 瑞の御霊の大御神  国魂神の御前に
 神寿ぎ言を宣りあげて  畏み畏み願ぎ申す
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と自分の懺悔や経歴を語り、且つ瑞の御霊の大神の降臨ありし事を感謝し、自席に復しぬ。
 カールは又もや立上つて両手を拍ち、腰を振り、面白く踊りながら歌ふ。
『罪もカールの神司  口もカールの神司
 手足もカールの神司  カールガール皆さまが
 尊き歌を誦みながら  踊つて舞うて来歴を
 数千万言並べ立て  最後に至つて救世主
 神素盞嗚大神の  ウヅの館に天降り
 ましましたりと聞くよりも  手の舞ひ足の踏み所
 知らぬ許りの嬉しさを  得意の言霊運転し
 高尚優雅に述べ上ぐる  あゝ惟神々々
 カールも一つ驥尾に附し  何か歌はにやなるまいと
 此場にスツクと立上り  得意の手踊りお目にかけ
 言霊車押しませう  バラモン教の神司
 頭の固き石熊が  高照山の山麓に
 教の館を構へつつ  猜疑の心深くして
 三五教を邪魔助と  朝な夕なに思ひつめ
 ウヅの館にまはし者  信者に化かして入りこませ
 あらゆる手段をめぐらして  漁夫の巨利をば占めむとす
 其憎さげな行動を  顛覆さしてくれむずと
 松若彦の前に出で  心の丈を打開けて
 願へば松若彦の神  暫し首を傾けて
 吐息をもらし宣らすやう  あゝ是非もない是非もない
 カールの勝手にするがよい  石熊館に忍び込み
 偵察するのはよけれども  虜になつてくれるなよ
 お前の心はブカブカと  信仰きまらぬ浮草よ
 昨日はこちらの岸に咲き  今日は向方の岸に咲く
 安心ならぬと宣へば  カールは左右に首をふり
 私も男で御座ります  石熊如何に弁舌を
 揮つて籠絡しようとも  どうしてどうして動きませう
 必ず心配遊ばすな  細工は流々仕上がりを
 見てゐて下されませいやと  バラモン教に化けこんで
 石熊さまにお気に入り  お側の重き役となり
 信任されたる苦しさよ  頃しもあれや素盞嗚
 神の尊の貴の御子  末子の姫や捨子姫
 遠き波路を打渡り  ウヅの館に出でますと
 天眼力かは知らねども  石熊さまが前知して
 吾々五人をテル山の  峠を越えてハル港
 二人の女を待伏せて  ものをも言はせずフン縛り
 高照山に帰れよと  さもいかめしき御命令
 心そぐはぬ五人連れ  黄昏過ぐる芝の上
 息を休らふ折柄に  片方の木蔭に怪しくも
 細く聞ゆる怪声に  伴れの奴等は肝つぶし
 バラバラバラと逃げて行く  カールは後に只一人
 木蔭に佇み伺へば  これこそ確に末子姫
 捨子の姫と知つた故  テル山峠の案内に
 仕へまつりて登る折  水音高き滝の声
 末子の姫の命令に  乾の滝に往て見れば
 豈計らむや石熊の  神の司は滝の下
 化石の如く固まりて  両眼計りキヨロつかせ
 苦み居たる気の毒さ  末子の姫の言霊に
 大蛇の霊を解脱させ  石熊さまを従へて
 テル山峠の急坂を  節面白く歌ひつつ
 降り降りて楠の森  短き夏の一夜を
 明かして巽の池の辺に  迎への人と諸共に
 一行七人立向ひ  石熊さまの言霊に
 大蛇の神は怒り立ち  形勢不穏となりければ
 末子の姫は厳かに  貴の言霊宣り給ひ
 大蛇を言向け和しつつ  天に救はせ給ひける
 石熊さまは腰抜かし  アイタヽタツタアイタヽヽ
 どうしたものか俺の足  一寸も云ふ事ききよらぬ
 助けて呉れよと泣き出す  妙なことをば云ふ人ぢや
 耳なら如何に遠くても  聞くであらうが足が又
 耳の代りをするものか  早く立て立て早立てと
 言霊車を押しつれど  躄になつた石熊は
 身動きならぬ気の毒さ  直してやらねばなるまいと
 愛想づかしの数々を  並べ立つれば石熊は
 目を釣り上げて立腹し  おのれカール奴馬鹿にすな
 今にぞ思ひ知らせむと  足の痛みを打忘れ
 大地をドンドン響かせて  カールの後について来る
 足もカールの石熊は  始めてカールの真心を
 心の底より諒解し  嬉し涙を流しつつ
 御礼を云うて下さつた  コレコレモウシ石熊さま
 御礼は言うて下さるな  私が直すぢやない程に
 尊き神の御恵と  お前の心が引立つて
 足が立つたに違ない  私にお礼を言ふよりは
 三五教の神様に  感謝祈願の太祝詞
 奏上なさるがよからうと  一寸教へてやつたれば
 石熊さまは手を拍つて  カールさまお前の云ふ通り
 寔に感服しましたと  ニツと笑うた其顔は
 今も吾目にちらついて  どしても斯しても忘られぬ
 カール、石熊両人は  いよいよ心を合せつつ
 末子の姫や松若彦の  教の司に能く仕へ
 誠を励む折柄に  言依別の大教主
 突然此処に天降りまし  尊き神の御教を
 朝な夕なに宣り給ひ  天の岩戸の開けたる
 やうに心も勇み立ち  これでいよいよ夜があけた
 心にかかる雲もない  嬉し嬉しと喜んで
 いそしみ仕ふる時もあれ  神素盞嗚大神の
 貴の教に言依別の  瑞の命は吾々を
 伴ひ給ひて屏風山  帽子ケ岳に立向ひ
 時雨の森やアマゾンの  河に潜める曲神を
 言向け和し悠々と  再び館に凱旋し
 喜び勇む時もあれ  肉体持つた正真の
 神素盞嗚神様が  此処に現はれましますと
 聞いたる時の嬉しさよ  あゝ惟神々々
 賤しき吾等も天地の  恵の露にうるほひて
 瑞の御霊の救世主  神素盞嗚大神に
 間近く仕へまつるとは  天地開けし始めより
 これに優りし喜悦なし  あゝ惟神々々
 嬉しき夢は何時迄も  醒めずにあれやウヅ館
 一度に開く木の花の  匂ひめでたくいつ迄も
 散らずにあれや惟神  神の御前に祝ぎまつり
 国魂神の御前に  謹み敬ひ願ぎまつる
 謹み敬ひ願ぎまつる』
と歌ひ終り、さも厳粛なる宴席をドツと許り笑はせける。
(大正一一・八・二四 旧七・二 松村真澄録)
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