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文献名1霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
文献名2第2篇 鶴亀躍動よみ(新仮名遣い)かくきやくどう
文献名3第12章 袂別〔927〕よみ(新仮名遣い)けつべつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-08-21 19:47:29
あらすじ神素盞嗚大神は、言依別命とカールを連れて天の鳥舟に乗り込み、国依別夫婦一同に見送られてウヅの都を後にし、フサの国の斎苑の館への帰途についた。大神は、高砂島は殊のほか神が選んだすばらしい場所であり、それゆえ日々固く神の教えを守って人々を導くように、という道歌を残した。国依別は、大神の歌に応えて決意を歌い、また言葉に尽くせぬ感謝を歌って大神との別れを惜しんだ。末子姫も空を打ち仰ぎ、別れを惜しみ、父大神への感謝とこれからの高砂島の司としての決意を歌った。末子姫の歌の中には、カールが木花姫命の化身であることが明かされていた。末子姫は歌いまた述懐を終わると、一同に会釈をして神殿に進み入った。竜国別は歌の中に、大神との別れを惜しみ、自分は今後、母・鷹依姫とともに自転倒島へと帰るつもりであることを詠み込んだ。高姫も大神との別れを惜しみ、大神への感謝を述べ、国依別と末子姫の前途を祝しまた高砂島での活動を任せつつ、高砂島一同への別れを歌に詠み込んだ。鷹依姫も大神への思いを述べ、これまでの述懐を詠みつつ、自転倒島への帰還と、まだ果たせぬ玉探しの行く末を思う歌を歌った。テーリスタンとカーリンスもそれぞれ述懐の歌を歌った。高姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンス、常彦の一行はウヅの都に別れを告げ、テル山峠を越えてハラの港に出て、自転倒島に向かって帰ることとなった。
主な人物 舞台ウヅの館 口述日1922(大正11)年08月28日(旧07月6日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年11月10日 愛善世界社版121頁 八幡書店版第6輯 296頁 修補版 校定版125頁 普及版45頁 初版 ページ備考
OBC rm3312
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本文  神素盞嗚大神は言依別命、カールと共にウヅの都を後にして、国依別夫婦を初め其他一同に送られ、天の鳥船に乗りて、空中高く羽ばたき勇ましく、フサの国斎苑の館を指して帰り玉ふこととなりましぬ。別れに臨み、大神は一同に左の歌を賜はりける。
『天と地との中空を
 功績も高く身も高く
 心も広く帰り行く
 斎苑の館へ欣々と
 言依別の神司
 カールを従へ三人連れ
 ウヅの都を今はしも
 別れに臨みて末子姫
 国依別や其外の
 百の司に宣べておく
 あゝ惟神々々
 神の恵のいや深く
 道の御稜威のいや尊く
 山川清く野は青き
 高砂島は神の国
 尊き神の殊更に
 選み玉ひし真秀良場ぞ
 心を清め身を浄め
 神の教を朝夕に
 固く守りて三五の
 道の光を輝かし
 青人草を悉く
 恵の露にうるほはせ
 千代も八千代も穏かに
 治め玉へよ惟神
 神の司や信徒に
 別れに臨み宣べておく
 あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
と歌ひ玉へば、国依別は直に立つて歌を歌ひ、大神に名残を惜しみまいらせけり。
『四方の雲霧吹き払ひ  汚れを清め天地の
 百の神人助けむと  心を配り身を砕き
 尽くさせ玉ふ瑞御霊  神素盞嗚大神の
 神言を畏みウヅの国  神の司に選まれて
 末子の姫と諸共に  アルゼンチンを守りつつ
 三五教の御教を  ウヅの御国は云ふも更
 高砂島は尚愚  常世の国の果て迄も
 開き進めて大神の  深き恵に酬いなむ
 吾は卑しき身を以て  尊き神の御裔なる
 末子の姫の夫となり  空しく月日を送る身の
 うら恥かしき神司  今より心を練直し
 千代も八千代に永久に  皇大神の御教
 あななひまつりうまし世を  五六七の神世と開きなむ
 あゝ大神の御恵  仮令天地は変るとも
 いかで忘れむ神心  心を平に安らかに
 国依別や末子姫  ウヅの館に御心を
 配らせ玉はずすくすくに  天津御空をかけらして
 御国に帰らせ玉へかし  あゝ惟神々々
 親子夫婦の生別れ  名残は尽きじ雲の上
 仰ぐも高し君の恩  謹み感謝し奉る
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
 茲に素盞嗚尊は再び天の鳥船に乗つて、天空高く帰り玉ひぬ。末子の姫は空を打仰ぎ、歌を詠む。其歌、

『久方の天津御空を打仰ぎ
  隠れし後も眺めつるかな。

 垂乳根の父は雲井の空高く
  かけりて波斯に帰りましけり。

 今暫し待たせ玉へと願ふ間も
  なくなく父は帰りましけり。

 打ち仰ぎ眺めすかして大空の
  清きは父の心なる哉。

 国依別神の命と諸共に
  ウヅの館に清く仕へむ。

 言依別神の命の御姿を
  仰けば清し瑞御霊かも。

 言依別神の命はいかにして
  珍の館を去りましにけむ。

 木の花の神の命の分霊
  カールの司いとなつかしき哉。

 大空を昇りつめたる鳥船は
  恵の露をふらしてぞ行く。

 霊幸はふ神の恵を朝夕に
  忘れざらまし夫婦二人は。

 天降り玉ひし父も今は早
  雲井の空に隠れましけり。

 千早ふる神の造りしウヅの国
  高砂島の国の真秀良場。

 桃上彦神の司の鎮まりし
  ウヅの神国殊にさやけき。

 国彦の神の御裔の松若彦が
  尽す誠は神ぞ知るらむ。

 高砂の尾の上に立てる松若彦の
  誉は千代に輝きやせむ。

 惟神神の御前に慴れ伏して
  朝な夕なに国を守らむ。

 数万年歴史の末に夫と言ひ
  妻といふ者生れ来しかな。

 垂乳根の親の恵を身に受けて
  ウヅの都に照りわたるかな。

 朝日さす夕日輝くウヅの国
  恵は殊に高砂の島。

 国民のかまどの煙賑しく
  竜世の姫の恵尊き。

 アマゾンの河の魔神を言向けし
  言依別や国依別の神。

 国依別神の命の働きに
  時雨の森は治まりにけり』

 末子姫は三十一文字の歌を以て、名残を惜み、或は述懐を述べなどして、茲に一同に会釈し、神殿指して進み入りにける。
 竜国別は別れに臨み、三十一文字を詠む。其歌、

『霊幸はふ神の国依別れ別れに
  竜国別の心悲しき。

 神国を今竜国別の神司
  母諸共に自凝島へ行かむ』

 高姫の歌、

『高砂の千歳の松に今しばし
  別れなむとす名残惜しさよ。

 遥々と海山越えてウヅの国
  珍の身魂と吾はなりぬる。

 惟神神の光に照らされて
  高姫胸も晴れわたりける。

 素盞嗚神尊のいます限り
  世はおだやかに治まりて行く。

 高砂の島に天降りし素盞嗚
  神の尊ぞ尊かりけり。

 国依別貴の命の神司
  千代に八千代に御国守れよ。

 大神の八人乙女の末子姫
  わけて清けき君の御姿。

 松若彦神の命の神司
  ウヅの館に永遠に仕へよ。

 惟神神の御国を高姫が
  別れ惜みて神言を宣る』

 鷹依姫も亦三十一文字を詠む。其歌、

『自凝の島より来る鷹依姫の
  神の司は今別れなむ。

 これやこの行くも帰るも別れても
  神の恵に大本の道。

 足曳の山を踏み越え川わたり
  海に浮びて神の道行く。

 国依別貴の命や末子姫
  幸多かれと朝夕祈る。

 鷹依姫神の司は珍の都
  別れむとして涙こぼるる。

 惟神神の御為道の為
  世人の為に尽す真心。

 アマゾンの河の流れはさかしくも
  神とわたればさかしくもなし。

 アマゾンの時雨の森に鷹依の
  姫の司は心残りぬ。

 月の神斎きまつりし兎の都
  今は恋しくなりにけるかな。

 黄金の玉の所在を探ねむと
  求ぎ来りける親子悲しも。

 惟神神の御前にひれ伏して
  ウヅの館の幸を祈らむ。

 見渡せば山川清く野は青し
  天津御空は真澄の鏡。

 野も山も清くさやけき神国に
  別れて帰る名残惜しさよ。

 自凝の島を立出で早三年
  四年振にて錦の宮へ。

 四尾の山の麓にそそり立つ
  錦の宮を遠く拝みつ。

 素盞嗚神尊の御姿を
  近く拝みし事の嬉しさ。

 言依別神の命に巡り会ひ
  雄々しき姿見たる嬉しさ。

 国依別神の命よ今日よりは
  心を配れ重荷負ふ身は。

 八乙女の末子の姫の御館
  今別れ行く心悲しき。

 惟神神の恵の幸はひて
  又会ふ春を待ちつつぞ経む』

 テーリスタンは覚束なげに歌を詠む。

『鷹依姫神の司に従ひて
  玉を索めつ今此処にあり。

 玉々と玉に心を奪はれて
  今はたまらぬ悲しい別れ。

 魂はどこかの空に宿替し
  テーリスタンの魂無し男。

 われも亦自凝島に立帰り
  若草の妻持たむとぞ思ふ。

 若草の妻の命と手をひいて
  ウヅの都にいます芽出たさ。

 素盞嗚神尊の御姿
  伏し拝む時涙こぼれつ。

 言依別神の命は空高く
  吾れを見棄てて去りましにけり。

 カールさま二人の後に従ひて
  身もカールガールと御空行くかな。

 高姫も漸く心和らぎて
  久方振りに笑ひ顔見る。

 いと涼し風吹く島の神の国
  後に見棄てて帰る惜しさよ。

 黒姫の生命救ひし其為に
  高砂島に退はれにけり。

 烏羽玉の心も黒き黒姫は
  今や何処の空に彷徨ふ。

 いつ迄も腰折歌は尽きざれど
  神のまにまにとどめおくなり』

 カーリンスは、又もや三十一文字を詠む。

『カーリンス、テーリスタンと諸共に
  涙の海に漂ひにけり。

 高砂の島にやうやう渡り来て
  玉捜しする時の苦しさ。

 天祥の山の瀑布へ現れて
  モールバンドを言向け和しぬ。

 言向けしモールバンドの功績は
  カーリンスならで鷹依の姫。

 竜国別神の命の鼻高き
  帽子ケ岳に登り行くかな。

 素盞嗚神尊を伏し拝み
  身の置所知らぬ嬉しさ。

 嬉しやと思ふ間もなく大神は
  われを見すてて帰りましけり。

 高姫の司と共に海原を
  渡ると思へば涙含まるる。

 高姫よ心の駒を立直し
  波太平洋を渡りましませ。

 カーリンスこれが一生の御願ぞ
  波高姫よ心鎮めよ。

 村肝の心の海に荒波の
  竜国別よ暫し鎮まれ』

と口から出放題の歌を並べ、高姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンス、常彦の一行は、ウヅの都に別れを告げ、テル山峠を踏み越え、ハラの港に出で、自凝島に向つて帰ることとなりにけり。
(大正一一・八・二八 旧七・六 松村真澄録)
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