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文献名1霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
文献名2第4篇 理智と愛情よみ(新仮名遣い)りちとあいじょう
文献名3第25章 琉の玉〔940〕よみ(新仮名遣い)りゅうのたま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-10-15 03:13:15
あらすじ
東助は道中、秋彦とともに生田の森の館に夜明け頃立ち寄った。国玉別夫婦は水ごり中で不在であったが、東助は急ぐたびだからと留守役の駒彦に告げて、さっさと行ってしまった。

水ごりから戻ってきた国玉別夫婦は、駒彦をやって東助に一言お詫びを伝えに追いかけさせた。

日暮れのころ、高姫が佐田彦とともに慌ただしくやってきた。高姫は用向きを伝えると、玉能姫に東助がここに来たかと尋ねた。玉能姫は、東助は朝早くに自分たちが不在のうちに出立してしまったと答えた。

高姫は自分の昔の夫であった東助に一言恨み言を言いたいがために、玉能姫に舟を出すようにとごねだした。そこへ駒彦が返ってきて、すでに東助は淡路島へ帰って支度を整え、フサの国に向かって船出してしまったと伝えた。

高姫はそれを聞いて、もう東助のことは思うまいとあきらめた。翌日、国玉別は琉の玉を高姫に渡して、生田の森の館を引き継いだ。そして自分たち夫婦は球の玉を奉じて紀の国に祀る神業の仕えるのだと伝えた。

高姫は生田の森で琉の玉を守護することとなり、国玉別、玉能姫、駒彦は紀の国の若の浦を指して進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月19日(旧07月28日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年11月10日 愛善世界社版277頁 八幡書店版第6輯 351頁 修補版 校定版290頁 普及版109頁 初版 ページ備考
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本文  東助は秋彦と共に生田の森の若彦(今は国玉別)の館に翌日の夜明け頃、一寸立寄つて見た。昔は人は一夜の中に五十里や八十里は平気で跋渉したものである。
東助『国玉別さまは居られますかなア』
と訪ふ声に駒彦はあわてて飛び出し、
駒彦『コレハコレハ総務さまで御座いますか。……ヤアお前は秋彦、久振りだつたなあ』
秋彦『ウン』
東助『夫婦は居られるかなア』
と重ねて問へば駒彦は、
駒彦『ハイ、今朝のお礼を済ませ、夫婦連れにて軈て東助様が見えるだらうから、それ迄に布引の滝へ水垢離を取りに往つて来るから、一寸待つてゐて貰へとの命令で御座いました。どうぞ暫く御休息下さいませ。やがてお帰りになるでせうから……』
東助『別に用もないのだから、夫婦が帰られたら、東助がフサの国の斎苑の館へ御神務を帯びて行く途中、一寸訪問したと伝へておいてくれ。神様の御用は一刻も猶予は出来ないから………』
と云ひすて、早くも此場をスタスタと立去りにける。秋彦も兄の駒彦に折角会ひ乍ら、碌々に詞も交し得ざる本意なさに、後ふり返りふり返り名残を惜しみつつ、東助の後に従つて明石の港を指して進み行く。
 後に駒彦は双手を組み、
駒彦『あゝ何としたすげない人だらう。いつも朴訥な東助さまだと聞いて居つたが、コリヤ又余り愛想がなさすぎる。国玉別夫婦も夫婦だ、何故こんな時に布引の滝なんかへ行くのだらう。行きたけりやモ少し早く往つて、早く帰つて来れば良いのに、此頃は玉能姫が膨れたとか、ふくれぬとか、何とか彼とか云つて、小言ばかり仰有るものだから、女房に甘い国公も、夜分は碌々によう寝ないと見えて、朝寝をするのだ。それだから斯んなことが出来て来るのだ。エヽまあまあなんでこれ程遅いのだろ。これから一走り駆け出せば、秋彦に会はれぬ事はないが、又不在にしておいては、おれの役がすまぬなり、困つた事が出来て来た。これだから若夫婦の世話はするものぢやないと人が言ふのだ。東助さまも大方早く淡路島へ立寄つて女房のお百合に会ひ、一分間でもいちやつかうと思うて、倉皇として駆け出したのだらう。ヤツパリ夫婦といふものは互に恋しいものと見えるワイ。おれも早く修行をして結構な女房を持ち、家庭を作つて、……コレ駒彦……イヤ女房……と意茶ついて見たいものだ。あゝ辛気臭い、男同志の兄弟にさへ碌々話も出来ぬやうな詰らぬことがあるものか』
と呟いてゐる。そこへ帰つて来たのは国玉別、玉能姫の両人であつた。
駒彦『コレ国さま、玉さま、何をグヅグヅしてゐるのだ。とうとう東助が愛想をつかして帰つて了ひました。秋彦までが……』
国玉別『東助が帰つたとは、誰の事だ』
駒彦『誰のこともあつたものか。国玉別さま、玉能姫さま、よい加減にしておきなさい。聖地の総務の東助さまがここへ一寸お寄りになり、お前さま等夫婦の不在を見て、何とマア仲の良い夫婦ぢやなア……と思はれたか、思はれぬか、そりや知らぬが、どうぞ宜しうと云つて、トツトと帰つて行かれました。秋彦までが、折角兄弟に対面し乍ら、ロクに私に詞も交さず、明石の港まで行つて了つたのですよ。まだ半時許り前だから、私はこれから追つかけて、弟にモウ一目会うて来ます。どうぞお前さま等夫婦は此処に仲好うしてゐて下さい。何か伝言があるなら申上げますから……』
玉能姫『それはそれは誠に不都合な事で御座いましたなア……国玉別さま如何致しませうか』
国玉別『後追つかけてでも行かうものなら、東助様の気性としてどんなに怒られるか知れたものぢやない。いつそ駒彦に往つて貰はう。……コレ駒彦、国玉別夫婦が誠にすまぬことで御座いましたとお詫をしてゐたと、是だけ言つてくれ。其外のことは何にも言はぬが宜しいぞ』
駒彦『ヨシ合点だ!』
といひ乍ら尻ひつからげ、生田の森の中に姿をかくした限り日の暮れ過まで帰つて来なかつた。
 其日の暮頃、高姫は佐田彦と共に慌ただしくやつて来た。
高姫『モシモシ国玉別さま、私は高姫で御座います。神様の御命令に依つて、生田の森の守護職となり、はるばると出て来ました。お前さまは此事は疾つくに御存じでせうなア』
と門口から出しぬけに喚いてゐる。玉能姫は此声を聞くよりあわただしく表に飛び出し、
玉能姫『これはこれは高姫様、能うこそいらせられました。サアお這入り下さいませ。貴女の此所へお越しになることは、二三日以前より、錦の宮から通知が御座いまして、其用意の為にいろいろ道具の取片付も致し、今日は名残に布引の滝へ禊に行つて参りました。サア今日からは貴女は此館の主人、どうぞ御遠慮なく奥へお通り下さいませ』
高姫『ハイ有難う』
と云ひ乍ら、何となくそはそはしい様子で、そこらあたりをキヨロキヨロと見まはしつつ、言ひ憎さうに、モヂモヂし乍ら、
『あの……東助さまはここへ御立寄りにはなりませなんだかなア』
玉能姫『ハイ、今朝早々お尋ね下さつた相で御座いますが、折あしく布引の滝へ夫婦の者が水行に参り、不在中だつたものですから、門の閾も跨げずに、秋彦と一緒にお帰りなつたといふことです。大方今頃は淡路島の吾館へでもお立寄りになつて、今晩はゆつくりお休み遊ばし、明日更めてお出でになるでせう』
高姫『ヤアそりや大変だ。如何しても斯うしても東助さまに一目お目にかかり、一言恨みいはねばなりませぬ。イヤ一言御礼をいはねばならないのです。コレ国玉別さま、玉能姫さま、御苦労だが、一ツ舟を急いで出して下さい。そして淡路島まで送り届けて下さい。玉能姫様は舟を操るのが大変お上手だから……』
国玉別『又貴方は俄に東助様をお慕ひ遊ばすのですな。何か深い事情が御座いますか』
高姫『事情がなうて何としよう。私の恋しい恋しい昔の夫で御座んすワイナ。サア早く舟を出して下さいなア。コレ玉能姫さま、一生の願ひぢや、早う出して下さらぬと間に合ひませぬ』
玉能姫『モシ国玉別様、舟を出して送つて上げませうかなア』
国玉別『折角のお頼みだから、送つて上げたいが、昔の恋男だなんて聞く上は、ウツカリ送る訳にも行くまい。東助さまの御心も分らず、ウツカリ送つて行かうものなら、それこそ何んなお目玉を頂戴するか分るまいぞや。いつもの東助様ならば、ゆつくりと吾家に休んで行つて下さるのだけれど、閾もまたげずに行かれたとこを思へば、高姫さまが後からお出になるのを知つて、うるさがつて逃げられたのかも分らぬから、此奴ア一つ考へものだ』
高姫『エヽ人情を知らぬ冷酷な動物だなア。そんなことで三五教の宣伝使が出来ますか。チツト粋を利かしたら如何だなア』
 かく話す折しもスタスタと帰つて来たのは駒彦であつた。
国玉別『ヤア駒彦か。東助さまに会うて来たか』
駒彦『ハイ都合よく明石の港で追つ着き、秋彦にも会ひ、それから舟で淡路島のお宅まで送り届け、お百合さまと面会の上酒を汲みかはし、私達兄弟もドツサリと頂きました』
高姫『コレお前は駒彦だつたな。そして東助さまはまだ淡路島にゐられますかな』
駒彦『ヤア高姫様か、お珍らしい所でお目にかかりました。随分貴女も玉の事について、生田の森には面白い経歴が残つて居りますなア。国依別さまの神懸で竹生島へお越しになつたり、随分御苦労をなさいましたですなア。未だに時々思ひ出して、国玉別様と話をして居るのですよ。随分玉にかけては、貴女も偉いものですなア』
高姫『コレ駒彦、玉の事は如何でも宜しい、暇な時に聞かして下さい。東助さまは如何して居られますかなア。サア早く云つて下さい。早く早く、気がせけてなりませぬワイナ』
駒彦『東助さまですか、明石海峡で別れました。モウ今頃にやあの勢で行かれたら、高砂の沖へでもかかつてゐられるでせう。私は小舟でたつた一人、ここまで帰つて来ました。そして森の中でいろいろと道草をくつて居りましたから、大分時間がたつて居りますよ。高姫さまは東助さまに何か急用があるのですか』
高姫『エヽもう宜しい。東助の事は思ひますまい』
国玉別『サア高姫様、何卒ここに洗足の湯が沸いて居りますから、之を使つてお上り下さいませ、事務の引継ぎをせなくてはなりませぬから、引継いだ以上は最早此処は貴女のお館ですから、どうぞ御ゆつくりとくつろいで御話を承はりませう』
高姫『ハイ有難う』
と云ひ乍ら、佐田彦に足を洗つて貰ひ、塵を打払ひ乍ら、笠をぬぎ蓑をすて、奥の間へ進み入る。
 其夜は主客共に安く寝につき、翌日国玉別は琉の玉を高姫の前に差出し、
国玉別『これが言依別命様より預りました琉の宝玉で御座います。貴女は此玉を何処までも保護して長く此森にお止まり下さいませ。私は神命に依り、玉能姫、駒彦と共に球の玉を持つて、紀の国路へ参り、之を祀らねばなりませぬから、どうぞ、宜しうお願申します』
玉能姫『高姫様、何卒宜しく』
高姫『ハイ、畏まりました。私のやうな者が、尊い琉の玉を保護さして頂くといふ事は、何とした冥加に余つた事で御座いませう。キツト大切にお守り致しますから、御安心下さいませ』
国玉別『早速御承知下さつた上は、一刻も猶予がなりませぬ。サア是より球の玉を捧じ、紀の国へ参りますから、随分御機嫌よくお勤めなさいませ』
玉能姫『駒彦、サア参りませう………高姫様左様ならば暫くお別れ致します』
高姫『どうぞ御無事に御神業をお勤めあそばすやう祈つて居ります。そんならそこ迄私がお送り致しますから、コレ佐田彦、此宝玉の番をしてゐて下さい』
国玉別『イエイエそれには及びませぬ。此玉が館にある以上は、あなたは暫くの間は此家をお出ましになつてはいけませぬ』
高姫『左様ならば、是非が御座いませぬ。ここでお別れ致しませう』
と門口に見送る。国玉別、玉能姫、駒彦は十数人の信徒に送られ、夜を日についで紀の国の若の浦を指して進み行く。
(大正一一・九・一九 旧七・二八 松村真澄録)
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