三人は寝つきもならず、岩窟のそばの暗闇の中に端座して世の開けるのを待っていた。すると岩窟の中からウーウーと唸り声が始まり、言霊により黒姫の行為を厳しく戒める声が聞こえてきた。
黒姫は悪神の声だとして岩窟からの声に口応えを始める。芳公は神様の声にさからうものではないと黒姫を諫めるが、黒姫は自分は国治立命様の片腕たる竜宮の乙姫の生き宮だと威張りだす。
芳公と房公は、生き宮はもっと立派な人間だと思ったがだまされたと黒姫に文句をつけ始め、口喧嘩のようになってしまう。
岩窟の声はさらに言霊により黒姫の所業を並べて非難し、改心を迫る。黒姫は気色ばんで、言霊により岩窟の声に対して孫公の作り声だろうと言い返す。
岩窟の声は最後には宣伝歌にて、高山彦が女を作っていると歌い、聖地の伊勢屋の娘といちゃついていると歌うと、何者か忍ばせて岩窟から出て行った。
黒姫はけしからんことを言うと立腹するが、芳公は高姫のローマンスが神界まで聞こえているのでしょうとすっとぼける。