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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
文献名2第1篇 向日山嵐よみ(新仮名遣い)むこうやまあらし
文献名3第5章 案外〔969〕よみ(新仮名遣い)あんがい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-23 17:27:03
あらすじ
黒姫たちの一行は大蛇の三公の館の表門に現れた。門番をしていた者たちは、生き埋めにしたはずの三人の男女が、敵対する虎公と一緒に子分たちや宣伝使も引き連れてやってきたのに肝をつぶし、真っ青な顔をしてぽかんとしている。

兼公は幽霊の真似をして親分の三公や幹部連に知らせるようにとおどかした。門番をしていた子分たちは驚いて、座敷に慌ただしく注進しに行った。兼公は遠慮もなく一同を導いて酒宴の場に乗り込んできた。

与三公、徳公は弱腰を抜かしてうろたえている。兼公は噴き出しそうになるのをこらえて作り声をし、幽霊気取りで恨みを述べて与三公をおどした。与三公は腰が抜けて真っ青な顔で両手を合わせて命乞いをしている。

虎公は吹きだして、幽霊ではないことを明かし、談判に来たことを告げた。徳公のふるえるさまやおかしな応対に、一同は笑い出してしまった。与三公と徳公は、虎公の気合を入れてもらってようやく腰が立つようになった。

そこへ大蛇の三公が、子分たちに酒肴を運ばせてやってきて、一同の前にきちんと座ると歓迎の口上を述べた。三公は、一行の姿が表門に見えただけで自分の身体から蛇が二三匹這い出し、逃げて行ったことを明かした。

三公が蛇を追って行くと、蛇はたちまち三匹の大蛇と変じ、向日峠の方面を指して逃げて行ったという。三公は、自分に憑依していた大蛇がお愛とお梅に悪を致したのだと言い、心から一同に許しを乞うた。

虎公をはじめ黒姫一行は、三五教の教えを普段から奉じているため、三公の詫びを入れて今までの恨みを流し、和気あいあいとして三公の客となった。三公の子分たちも酒宴のやり直しとなり、館はお祭り騒ぎとなってしまった。

三公は賓客のもてなしに全力を尽くしつつ宣伝歌を歌った。これまでに魔神に憑依されて体主霊従の限りを尽くしてきたことを恥じ、お愛に懸想して捕え、生き埋めにしようとしたことを懺悔した。

帰ってきてからは実は心の鬼に責められており、神前に罪を詫びていたところ、木花姫神の化身が現れ、生き埋めにした者たちは神の使いに救い出されてこの館にやってくることを告げられたという。

そして、三五の道に立ち返り今までの行いを改め、彼らを恭しく迎え出て共に手を取り合い、世人のために尽くすように、という託宣を受けたことを明かした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月15日(旧07月24日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月25日 愛善世界社版48頁 八幡書店版第6輯 490頁 修補版 校定版52頁 普及版17頁 初版 ページ備考
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本文  黒姫の一行九人は、漸くにして大蛇の三公が表門に立ち現れた。門番をして居た二三人の若い奴、森の中に埋めて置いた三人の男女を初め、名を聞いても恐れて居た虎公が、乾児を引きつれ宣伝使までも伴うてやつて来たのに肝を潰し、蒼白な顔をしてポカンと眺めて居る。
 兼公は妙な手つきをして故意とに細い声を出し、
『ホーイホーイ、源公の奴、兼公さまが帰つて来たぞよ。お愛さまもお梅さまも生還り、墓から現はれて、お前等の素首を貰ひに来たから用意をして呉れ。余り怨めしいので肉体は死んだけれど霊魂が生還り、言葉のお礼に来たのだから、三公の親分を初め与三公、徳公、高、勘の兄弟分にも早く知らして下せえよ。ヒユードロドロドロ……』
と未だ七つ下りの太陽がカンカンとして居るのに、亡者の真似をして門の前で二三遍両の手をシユウと前に出し、右に左に二三間計り進退しながら顰めた顔をして見せる。
 源公外二人の乾児は驚いて、与三公、徳公等が酒に酔ひ喰うて管を捲いて居る座敷に慌しく注進する。兼公は勝手知つたる館の内、一同を導いて遠慮会釈もなく酒宴の場に乗込み来る。
 与三公、徳公は弱腰を抜かし狼狽へ廻る可笑しさ、吹き出すばかり思はるるをジツと耐へ、兼公は尚も作り声、
『ホーイホーイ与三の野郎。兄弟分の交誼を忘れ、俺の首へ不意に縄を引つかけ、手足を縛り、ようまあ無残にも生埋めにしよつたな。これ見よ、此通り首が長うなつたぞよー』
と云ひながら無理に首を伸ばして見せ、眼をクリクリさせ、舌を思ひ限り突き出し、両の手を怪しく前の方へぶらさげ、ビリビリ慄はせながら、
『ヒユードロドロドロ……』
 与三公は腰のぬけた儘両手を合せ、
『ヤア兄貴許して呉れ。決して俺が殺したのぢやない。親分の云ひつけだ。俺は親分にお前の知つて居る通り、助けてやつて呉れと頼んだのだが、如何しても聞いて呉れぬものだから、止むを得ず可憐さうな事をしたのだ。何卒堪忍して呉れ。その代りきつとお前の冥福を祈つてやる』
と蒼白の顔をし、両手を合せて慄つて居る可笑しさ。虎公は吹き出し、
『アハヽヽヽ、オイ与三、徳の両人、些と確りせぬか。幽霊でも何でもないのだ。正真正銘のピチピチした男の中の男一匹、武野村の虎だ。随分御親切にお愛をしてやつて呉れて、余り有難いからお礼に来たのだよ。妹のお梅まで御親切に預つてほんとにかつちけねえ。まあ悠りと気を落ちつけて、虎公の仰しやる事を聞かつしやい』
『これはこれは、武野村の親分で御座いましたか。何卒今までの不都合は水に流し、命だけは助けて下せえませ』
『オイ、与三に徳の両人、手前は睾丸をどうしたのか一遍見せて貰ひてえものだ』
『ハイハイ、お見せ申すは易い事でげすが、余りの吃驚で何処かへ転宅してしまひました。……睾丸の奴、気が利いて居らあ。虎公さまに引張られては、同じ年に生れた親までが苦しむと思つて、体好く姿をかくしよつた。貴様と云ふ奴は余程気の利いた奴だ。若い時から皺だらけの面しよつて気の喰はぬ奴だと思つて居たが、こんな時には都合がよい。何時もしんなまくらな、ブラブラとしやがつて力も出しやがらぬが、まさかの時には間に合ふと見えるわい。金剛不壊の宝珠迄何処かへいつた。どつかへ持つて逃げよつたのかなア』
お愛『ホヽヽヽヽ』
お梅『アー可笑しい、徳のをぢさま、見つともない。そんな処早う匿してお呉れ』
『ヘイ、匿すれば、かくれるものと知りながら、出るに出られぬ狸の睾丸、アハヽヽヽ』
『どうだ、与三に徳、些つと安心したか』
『些つと許り安心したやうです。親分、誠に済まねえが、さつぱり弱腰が抜けて仕舞つたのだから、一つ腰を揉んで下せえな』
『エイ厄介な奴だなア』
と云ひながら後へ廻り、腰をグツと抱へウンと気合をかけると、
『アイタヽヽ、アヽ、これでどうやら元の鞘に納まつたらしい。遉は親分だ、有難う御座いやす』
『もしもし親方、徳公もどうか一つ願ひます。如何にも斯うにもなりませぬわ』
『エヽ幽霊を按摩と間違へやがつたな』
『滅相な、幽霊に礼云ふなんて、そんな御心配はいりませぬ。きつと礼云ふ積りで御座いますから……アヽ知らぬ間にちやんと腰が直つて居やがらア。もう斯うなつちや幽霊のやり場がなくなつて仕舞つた、アハヽヽヽ』
 斯かる処へ大蛇の三公は、衣紋を整へ恭しく四五人の乾児に酒肴を運ばせ、白扇をすぼめたまま右の手を膝のあたりに斜に置き、静々と入り来り、一同の前に行儀よくきちんと坐り、
『これはこれは皆様、よくこそ入らせられました。三公誠に恐悦至極に存じます。貴方様御一行のお姿が門前にチラリと見えますや否や、この三公の体より小さき蛇二三匹這ひ出しました。ハテ不思議やと眺めている中、その小蛇は表門さして一生懸命逃げだす。不思議の事だと後を追つかけ眺むれば、忽ち変る三匹の大蛇、鎌首を立て向日峠の方面さして一目散にかけ去りました。昨日はお愛様お梅様其他の方々に対し、くだらぬ意恨より御無礼の事を致しましたが決してこの三公が左様の悪事を働いたのではありませぬ。私に憑依して居た大蛇の奴、吾が肉体を使ひ、あのやうな悪逆無道を致したので御座いますから、何卒三五教の信者たる貴方様、今迄の此の肉体の罪を許して下さいませ。屹度お許し下さるに間違ひないと確信致してお目通り致しました。サア何卒一献召し上り下さいませ』
『これはこれは痛み入つたる御挨拶、仰せの通りで御座らう。虎公は大蛇を憎んで三公を憎まず、マアマア御安心なさいませ』
『皆様ようこそお越し下さいました。サア何卒、汚穢しい所では御座いますが、御緩りとお寛ぎ下さいまして、三公が寸志の御酒をお上り下さるやうにお願ひ致します』
『ハイ有難う。サアサアお愛さま。お梅さま、孫公、何をまごまごして居るのだ。サア早く上りなさい。虎公さまの乾児共、お前も一緒に上るんだよ……ヘイ御免下さいませ』
と云ひながら黒姫はズツと奥に通る。虎公外一同も黒姫の後に従ひ、奥の間に蹄鉄形にずらりと座を占めた。
 大蛇の三公は黒姫以下一同に心の底より障壁を除つて、誠意を籠め酒肴を勧める。黒姫の一行も三五教の教を遵奉して居るお蔭で、今迄の恨みを流れ河で尻を洗つたやうにケロリと忘れて仕舞ひ、和気靄々として盃を酌み交し、他愛もなく吾家に帰つたやうな気分になつて、或は歌ひ或は舞ひ、三公の数百人の乾児も座敷の外の庭に蓆を敷き、再び酒の飲み直しをやり、三公館は全くのお祭り騒ぎと一変して了つた。
 三公は珍客の待遇に全力を尽し、打ち解けて色々と痒い所へ手の届くやうな接待振りをやつて居る。三公の歌、
『熊襲の国に隠れなき  醜の曲津の容器と
 もてはやされた無頼漢  大蛇の三公と名を呼ばれ
 調子に乗つてドシドシと  体主霊従のありたけを
 尽して来たのが恥かしい  八岐の大蛇の分霊
 醜の魔神に憑依され  神の大道は云ふも更
 人の踏むべき道さへも  取り違へたる曲津神
 執着心に囚へられ  お愛の方に懸想して
 朝な夕なに村肝の  心を悩ませ居たりしが
 思ひは募る恋の暗  黒白も分かずなり果てて
 虎公さまの留守宅を  狙ひすまして押し囲み
 お愛の方やお梅さま  繊弱き女を引つ捕へ
 人跡絶えし向日山  林の中に連れ行きて
 人のなすべき業でない  悪虐無道を敢行し
 勝鬨あげて吾家に  帰りて見れば村肝の
 心の鬼に責められて  夜も碌々に寝まれず
 その苦しさに三五の  皇大神の御前に
 体を清め口嗽ぎ  自が犯せし罪科を
 詫ぶる折しも神殿に  現はれ給ひし神姿
 木花姫の御化身  言葉静に宣らすやう
 お愛お梅を初めとし  二人の男は三五の
 神の司の黒姫に  救ひ出されて明日の日は
 必ず此処に来るべし  汝は今より身を清め
 心の駒を立て直し  誠一つの三五の
 道にかへりて今迄の  悪しき行ひ立て直し
 世人の鑑となれよかし  虎公お愛を初めとし
 黒姫司や孫公を  御身其外一同が
 恭しくも出で迎へ  互に胸を打ちあけて
 神に供へた大神酒に  心の垢を洗ひ去り
 互に手に手を引き合うて  世人のために尽せよと
 宣らせたまひし御言葉  夢か現か夢ならず
 現にあらぬ大神勅  悪虐無道の三公も
 胸の雲霧吹き散りて  今は尊き神の御子
 清き身魂となりにけり  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ひましまして  黒姫司は云ふも更
 虎公さまやお愛さま  其他一同の信徒と
 皇大神の御道に  進みて行かむ吾が心
 完全に委曲に聞し召せ  国魂神の純世姫
 月照彦の神様に  誠心籠めて三公が
 慎み誓ひ奉る  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ひましませよ』
と歌ひ終り、一同に恭しく一礼して下座につき敬意を表せり。
(大正一一・九・一五 旧七・二四 加藤明子録)
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