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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
文献名2第3篇 火の国都
文献名3第19章 狐の出産〔983〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ一行はやや坂道が緩くなった場所にさしかかり、生き返ったような気分となった。おりしも、道の傍らにこんこんと清水が湧き出ているのを見つけ、三人は天の与えとかわるがわる手にすくって渇きを潤した。
三人が清水とその飲み具合をお互いに批評しあって掛け合いをしていると、一人の男が前にやってきた。男は、自分は夫婦で火の国から熊襲の国へ参拝に行く途中、妻がにわかに産気づいて動けなくなってしまったと告げた。
そして、三人に妻の出産を手伝ってほしいと頼み込んだ。徳公ははしゃぎ、久公は押し黙っている。黒姫は快く、この常助と名乗る男の妻の出産に立ち会い、取り上げ婆の役割をなすことを引き受けた。
黒姫は案内された場所に着くと、早速天津祝詞を上げた。常助の妻は次々に子供を出産し、黒姫は四人もの赤子を取り上げ、無事に出産を終えた。黒姫が産後の注意を常助夫婦に与えると、常助は黒姫に感謝の辞を述べ、夫婦親子どもども大きな白狐の姿となると、どこかへ消えてしまった。
徳公と久公は黒姫をからかうが、黒姫は最初から狐の変化だと見破っていたと答えた。そして、たとえ虎でも狼でも、頼まれたら赤子を取り上げてやるのが神様の道だと二人に諭した。
一行は荒井峠を越えて先へと進んで行く。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月17日(旧07月26日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所
OBC rm3519
本文の文字数4889
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本文  三人は稍緩勾配の坂道にかかり、甦き返つた様な気分になつて、宣伝歌を歌ひ乍ら進み行く。道の傍に滾々として清水が湧き出て居る。天の与へと三人は飛びつく様にして交る交る手に掬ひつつ喉を霑す。
徳公『旅人の生命養ふ清水かな。
 滾々と水の御霊の湧き出でにけり。
 あゝうまいうまいと掬ぶ清水哉。
 汗までが姿を隠す清水かな。
 喉笛の調子を直す清水かな。
 岩清水尊き神の恵みなり。
 有難し尊し何も岩清水』
久公『おい、徳、随分水々とよく囀るぢやないか。それほど貴様水が有難いか。此坂を降つて少しく左へとれば竜の湖があるから、そこへ飛び込むで死ぬ迄飲むといいわ、一杯々々手に掬うて飲んで居るより埒が好いからな。俺も一つ此清水で駄句つてみようか』
徳公『風流を知らぬ貴様に如何して俳句が出来るものかい』
久公『何、俺の名句をよく聞け!
 岩清水徳公の餓鬼の生命かな。
 餓鬼達が集まり来る清水かな』
徳公『アハヽヽヽ、もつと云はないか。もうそれで種切だなア』
久公『滾々と湧き出す命や岩清水。
 云ふよりも云はぬがましと口を詰め。
 柚よりも味の良くない清水かな。
 湧き返る胸板冷す清水かな。
 岩清水徳公の腹に虫がわき』
徳公『馬鹿にするない。水臭い事ばかり柚ぢやないか』
久公『きまつた事よ。水の御霊の教を伝ふる宣伝使のお供だもの』
黒姫『掬ふ手に恵の露や岩清水。
 滾々と尽きぬ生命の清水かな。
 何時までも涸るる事なし岩清水。
 高山の胸より湧きし清水かな。
 高山を通れば楽し岩清水。
 此水や神の恵の生命水。
 岩清水三五の月の光りあり。
 徳久が水掛論の比沼真奈井。
 高山の清水や殊に味の良き。
 岩清水吾背の君に飲ませたし。
 湧き出づる清水も神の恵かな。
 水々し若い男の水喧嘩。
 水にさへ根もなき喧嘩の花が咲き。
 水晶の霊の雫か岩清水。
 真清水や生命の親と伏し拝み。
 水入らぬ二人の仲に水喧嘩。
 水臭い心を嫌ふ瑞御霊。
 此水や末には広き海に入り。
 高山の水の甘さは誰も知らず。
 黒姫の心を洗ふ清水かな。
 坂道の疲れ養ふ清水かな。
 又汗の種ともならむ岩清水。
 真清水を掬ぶ手先や霧の立ち』
 斯く三人は道の傍に腰うち下し駄句りつつある処へ、慌しくやつて来た一人の男がある。男は腰を屈め乍ら、
『もしもし旅の御方様、一つお願が御座います。何卒聞いては下さいますまいか』
『何事か存じませぬが、妾達の力に叶ふ事ならば承はりませう』
男『早速の御承知有難う御座います。私は火の国の者で常助と申す百姓男で御座いますが熊襲の国の建日の館へ参拝せむと、女房のお常を伴ひ此坂をエチエチと登つて参りました処、まだ七月よりならない女房が俄に陣痛が来ると申しだし、路傍の木蔭に腹を痛めて七転八倒苦悶をつづけて居ります。何卒宣伝使様の御神力によつて安産をさせてやつて下さいませ』
『それは御心配で御座いませう。及ばぬ乍ら御世話をさして頂きます……これこれ二人の若い衆、水筒に水を一杯盛つて下さい。お産の時に使はねばなりませぬから……』
『ハイ、徳と承知致しました。スウヰートハートの結果赤坊を腹に仕入んで、到頭水筒の御世話に預ると云ふ妙な因縁ですなア。私も未だ嬶アを貰つてから間がないので、出産の状況を目撃した事がない。こりやまア、都合の好い事だ。一つ見物さして貰ひませうかい。なあ久公、何と云つても人間が一匹小さい○○から飛び出すのだから、随分六かしい芸当だらう。屹度見る丈けの価値はあるよ』
 久公は黙して答へず。
『これ徳公さま、出産と云ふものは大切なものだから、静かにせないと産婦が逆上すると大変だから、暫く沈黙して居て下さいや』
『委細承知致しました。これ常助どん、お前の奥さまは何処で呻つて居るのだ。早く案内しなさい。万一、赤坊が出にくがつて居つたら、俺が後に廻つて力一杯腰なり、尻なりを徳とブン殴つて叩きだしてやるから安心しなさい』
『そんな無茶をしたつて子は生れるものぢや御座いませぬ。却て産婦が気をとり失ひ難産を致しますから、何卒手荒い事はせぬ様に頼みます』
『常さま、安心なさいませ。此黒姫が何もかも呑み込んでゐますから大丈夫です。さあ早く参りませう』
『ハイ、有難う、御案内致します。斯うお越し下さいませ』
と路傍の草道を二三十間ばかり踏み分け進み行く。黒姫も一歩々々気をつけ乍ら雑草の中を探りつつ常助に従ひ行く。
『何とマアえらい叢ぢやないか。こんな処でお産をする奴ア碌な奴ぢやあるまい。河原乞食か、山乞食ぢやなくちや宿なし坊か、一体合点のゆかぬ代物ぢやないか』
『これ、徳公さま、お黙りなさい。産婦に障りますよ』
『ハイ、承知致しました、出産が済むまで徳山砲台も沈黙致します』
『ホヽヽヽヽ』
『この樹の根に女房が居ります。何卒宜しうお願ひ致します』
『ほんにほんに綺麗な女房だな。これお常さまとやら、妾は三五教の黒姫と云ふ宣伝使だ。これから神様に願つて、安く身二つにして上げますから御安心なさいませ』
『もしもし黒姫さま、そんな乱暴な事をしちやいけませんぞ。二つにして上げるなんてそんな無茶な事がありますか……殺す勿れ……と云ふ律法をお前様は蹂躙する積りですか』
『ホヽヽヽヽ、訳の分らぬ男だこと、二つにして上げると云ふのは、親切にとりあげて親と子と分けて上げると云ふ事だ。つまり子を生れさす事だよ』
『やアそれで安心した。何卒早く二つなつと三つなつとしてやつて下さい』
『ヒヨツとしたら五つになるかも知れませぬから、吃驚せぬ様にして下さい。……これこれお常さま、大分息苦しさうだ。今楽にして上げますから、チツとばかり辛抱しなさいや』
『ハイ御親切に有難う御座います、とんだ厄介をかけまして申訳が御座いませぬ』
 黒姫は、
『そんな心配なされますな』
と云ひ乍らお常の前に端坐し、天津祝詞を奏上し、天の数歌を謳ひ上げ、一生懸命に祈願を凝らしてゐる。
 お常は「ウン」とばかり苦悶の声と共に「ホギヤー」と一声、飛びだしたのはクリクリとした男の児……。
『ヤアお目出度いお目出度い……これこれ常助さま、徳さま、久さま、早く用意をなされ、お水の……私はまだ手がぬけませぬから……さアお常さま、も一気張りだよ』
と云ひ乍ら、又もや天の数歌を謳ひ上げると、「ホギアー」と一声、飛んで出た赤坊は女である。「ウン」と一声、又もや男の赤坊が飛び出す。
『さアも一気張りだ』
とお常の腰をグツと抱へ「ウーン」と息を掛ける、「ホギヤー」又飛出したのは女の赤坊である。
『さア常助さま、お常さま、御安心なさいませや。腹帯を締めて上げませう。産前よりも産後が大切ですから後を気をつけなさいよ』
『はい有難う御座います。お蔭で安産さして頂きました。此御恩は決して忘れませぬ』
『何だ、家の隣のお磯が双子を生みよつて珍らしいと云つて村中の評判だつたが、此奴ア又豪気だ。赤坊の夫婦が飛び出したぢやないか……なあ久公、なんでもこりや前の世で如何しても……お前と添はれねば手に手を取つて死出三途、蓮の台で一蓮托生、南無妙法蓮陀仏……と洒落て淵川へ身を投げた心中者の生れ変りだらうよ。何とまア仲のいい者だな。死ぬ時も一緒に死に、生れる時にも一緒に生れて来るのだから、ホントに巧妙な奴もあつたものだ。アハヽヽヽ……俺も嬶アの死ぬ時や一緒に死んでやつて、又此赤坊の様に、同じ母親の腹に生れて来てやらう。こりや、うまい事を考へた。オホヽヽヽ』
『これこれ八釜しい。下らぬ事を云ふぢやありませぬよ、後の身体に障つたら如何しますか』
『それだと云つて、犬か猫か狐か狸の様に、人間が一遍に四人も赤坊を生むのだもの、これが黙つて居られるものか。生れてから初めて見たのだから、珍しくつて面白くつて仕方がありませぬワイ。
 四つ足の身魂か何か知らねども
  一度に四つの子を生みにけり。

 常助とお常さまとのそのなかに
  狐のやうな子は生れけり。

 お常さん腹帯シツカリ締めなされ
  後の肥立ちが肝腎だから。

 肝腎の常助さまはウロウロと
  呆気面して何を周章る。

 常さまよ子は三界の首枷ぢや
  うかうかせずに働け是から。

 今までは二人暮しの常さまも
  これからチツと荷が重うなる』

『これこれ徳さま、又八釜しい、チツと黙つて居て下さい』
『黒姫が何程黙れと云つたとて
  こんな事見て黙つて居らりよか。

 千早振る神代もきかず四人の
  子が一時に生れ出るとは。

 狐ならば知らず人間の身体より
  四つ足ドツコイ四つ身飛び出る。

 あゝ惟神如何なる神の悪戯か
  古今独歩の今日の誕生。

 珍無類例しもあらぬお常さまが
  一度に四人フウフ(夫婦)と生む』

『さあ、常助さま、お常さま、もう大丈夫です。御安心なさいませ』
『とんでもない御世話になりました。決して此御恩は忘れませぬ』
『随分身体を大切になさいませ。冷たい水を飲んだり無理をせぬ様に、七十五日の間は御保養あらむ事を、こんこんと懇望して置きます』
『ハイ有難う御座います。左様なればこれでお別れ致します』
と云ふより早く、常助、お常は真白けの大狐となり、真白の尾を垂れて四匹の子供を連れ、ノソリノソリと森林深く姿を隠したり。
『アハヽヽヽヽ、何だ。初めからチツと怪しいと思つて居たが、狐の産婆さまを黒姫さまが為さつたのだな。何と偉いものだ。一遍に四人も子を産むのが変だと思つて居つた。如何やらまだ狐に騙されて居る様な気がするぞ……おい久公、俺の頬を抓つて見て呉れ、黒姫さま迄がソロソロ狐の親分の様に見え出して来たワイ』
『ホヽヽヽヽ、神様のお道には別け隔てはありませぬ。人民は申すに及ばす、鳥獣虫族に至る迄助けて行くのが、三五教の御教だからなア』
『黒姫さまお前さまも呆れたでせう。初めは矢張人間だと思うて居たのでせう』
『そんな事の分らぬ妾ですかい。初めから常助だとか、お常だとか云つて居つたぢやありませぬか。あゝして人間に化けて居つたけれども、太い尻尾が股の間から一寸見えて居たのだ。お前はそれが気がつかなかつたのだな』
『初めから狐だと思つたら、アタ嫌らしい、誰が相手になるものか。力一杯ブン殴つてやるのだつた。なあ久公、さつぱりコンと訳が分らぬ様になつて来たぢやないか』
『いや、もうあんまりの事で久には何とも云ふ事が出来ないわ』
『さア、も一息だ。そろそろ参りませうか』
と黒姫先に立つ。徳公は、
『ハイ、参りませう。もう此先に出産して居つても、狐の取上げだけは断つて下さい』
『狐ばかりか、虎でも狼でも獅子でも、熊でも大蛇でも鬼でも構はぬ、頼まれたら産婆をしてやりますよ。それが神様の道に仕ふるものの尽すべき道だからなア』
徳公『何と、恐ろしい宣伝使だなア。徳と考へねばなるまい、さア行かう』
と先に立ち、荒井峠を西へ西へと下り行く。
(大正一一・九・一七 旧七・二六 北村隆光録)
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