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文献名1霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
文献名2第3篇 神地の暗雲よみ(新仮名遣い)こうじのあんうん
文献名3第19章 紅蓮の舌〔1007〕よみ(新仮名遣い)ぐれんのした
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-03-05 17:30:18
あらすじ
門番のベスはふたたび竜雲とケールス姫の居間へやってきて、門前に白髪異様の老人が現れていろいろと不思議なことを言い、どうやらウラル教の宣伝使であるように思うので、調べてほしいと注進した。

ケールス姫は、その老人を連れてくるようにとベスに命じた。老人は竜雲の居間にやってくると、竜雲に雷のごとき声で問いかけた。竜雲は面食らって恐れをなしながら老人に名を問いかけた。

老人は、三五教の宣伝使・天の目一つの神(北光彦)と名乗った。竜雲は三五教と聞いて顔色を変えたが、気を取り直して余裕の振りをして社交辞令を述べ立てた。

天の目一つ神は竜雲に対し、単刀直入になぜバラモン教の教王であるサガレン王を追放したのかと問い詰めた。竜雲は、これは内々のことであるから申し上げるわけにはいかず、ただ三五教の教理を教えてほしいと答えた。

天の目一つの神は容赦せず、竜雲が王から后を奪い、共謀して王を追放して国を奪い、国政をほしいままにしていることを直言した。そして今度はケールス姫にこれをどう考えるか、問いただした。

ケールス姫はただただ恐れ入り、天の目一つの神の判断に任せるより他にはない、と自らの罪を認める発言をするのみであった。

天の目一つの神は、今のうちに両人は心を改めて王に心から謝罪し罪を清めなければ、たちまちに天罰が至るであろうと忠告した。そして早く決心をしないと実際の身辺の危険が刻々に迫っていると宣言した。

二人に忠告を終わると、天の目一つの神は廊下に杖の音を響かせながら帰って行った。竜雲とケールス姫は天の目一つの神の後姿を見送りながら、呆然自失として顔色青ざめ、ただただ太い息を吐いているのみであった。

ケールス姫は天の目一つの神が立ち去った後、目一つの神の神徳を称えた。竜雲は気を悪くし、自分が気に入らないなら自分を放逐し、目一つの神をこの位に据えたらよいと姫に対して怒った。

ケールス姫はサガレン王に背いたことを後悔し、竜雲に対し、自分の言が気に入らないならすぐに館から立ち去るようにと言い返した。姫を説得しようとする竜雲に対し、ケールス姫は自分の罪が恐ろしくなったと懐剣を取り出し、自害しようとした。

竜雲はあわてて姫の手を抑え、押しとどめようとしたが、姫は聞かずに力を入れて自害しようとする。右守のハルマが騒ぎを聞きつけてやってきて、姫の剣を奪って投げ捨てた。

そこへテールがやってきて、城内に火災が起こって城の大部分が焼け落ち、館にまで延焼したと告げに来た。実際に黒煙がもうもうとあたりを包み始めた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月23日(旧08月3日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月30日 愛善世界社版207頁 八幡書店版第6輯 657頁 修補版 校定版213頁 普及版93頁 初版 ページ備考
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本文  門番のベスは再び竜雲、ケールス姫の居間へ慌しく伺候し、恭しく両手をつかへ、
『畏れながら申上げます。只今門前に現はれました、白髪異様の老人が、老人かと思へば平たくなつたり、長くなつたり、顔が四つも五つもあり、身体が背継ぎしたやうに見えたり、眼も鼻も随分沢山持つた化物が現はれました。何と云つても頑張つて帰らうとは致しませぬ。到底吾々門番の非力では追払ふ訳には行きませぬ。併し乍ら、飲めよ騒げよ一寸先は暗よ、暗の後には月が出る……と、ヘヽヽヽヽ随分気に入る事を云ひます。屹度あれはウラル教の神様が化けて御座つたのかも知れませぬ。善とも悪とも、たとへ方なきもので御座います』
 竜雲はベスの言葉を聞き、暫く首を傾げて居たが、俄に口を尖らして、
『ベス、お前は大変に酩酊して居るではないか。目がチラチラして居るぞ。お前の酔うた眼で見たものだから、さう種々と姿が変つて見えたのであらう。決して化物ではあるまい』
『ハイ、些し許り聞し召したもので御座いますから、眼の調子が狂つても居りませうが、何は兎もあれ、一風変つた人物で御座います。何卒お目通りをお許しになつて篤とお調べ下さいませ』
 ケールス姫は傍より静な声にて、
『何は兎もあれ、其男を此処へ案内して来たがよからう』
『ハイ、畏まりました』
とベスは座を立ち、ヒヨロリヒヨロリと廊下を危く踏み鳴らしながら表へ出て行く。暫くありて以前のベスは白髪の老人を導き、竜雲の前に恐る恐る現はれ、
『唯今申上げました化物とは、これで御座います。どうぞ篤とお調べの上、ウラル教の神力をもつてお退治下さいませ。彼様なものが徘徊致すと吾々は門番も碌に勤まりませぬ』
竜雲『オイ、ベス、余計な事を申すな。早く立ち去れ!』
ベス『ハイ、オイ化州、確りやらないと駄目だぞ』
と口汚く罵りながら此場を立ち去つた。
老人『神地の都の城主、サガレン王の後を襲うて政治を執る竜雲とは其方の事か?』
と雷の如き大声を発して問ひかける。どこともなく底力のある声に、遉の竜雲も面喰つて後へ二足三足タヂタヂと退き、
『ハイ、仰せの通り竜雲は私で御座る。貴方は此竜雲に対し御訪問下さつたのは、如何なる御用で御座るか。さうして其御姓名は何と申さるるか、お聞かせを願ひ度い』
『吾こそは三五教の宣伝使、天の岩戸開きの神業に仕へたる天の目一つの神で御座る。汝に対し訓誡を与へ度き事あれば、老駆ををかし遥々と此処に参りしものぞ』
 竜雲は三五教と聞いて、些しく顔色を変じたが、何となく犯し難き其威貌に度肝をぬかれ、
『音に聞えし天の目一つの神様で御座いましたか。これはこれは遠路の処、ようこそ御入来下さいました。何卒々々至らぬ竜雲、宜敷く御指導をお願ひ申す』
『アハヽヽヽ、随分其方も外交的手腕は立派なものだ、余程現代化して御座ると見える。併し乍ら竜雲殿にお尋ね致したい事が御座る。其尋ねたいと申すのは外でもない、サガレン王の今日の境遇だ。苟くもバラモン教の教司、一国の王者の身をもつて、山野に流浪し給ふやうになつたのは、何かの理由がなくては叶はぬ。此経緯を詳細に吾前に告白されたい』
『ハイ、これには種々の訳も御座いまするが、あまり込み入つての御干渉は迷惑千万、何卒此話は打ち切つて、三五教の教理を御教示あらむ事を希望致します』
『ハヽヽヽヽ、吾々の干渉地帯でないから問うて呉れなと云はるるのかな。イヤ尤もだ、秘密の暴露を恐るるは人情の常だ。たつて辞退せらるるものを無理には強要致さぬ。併し乍らよく考へて御覧なされ! もしも此処に或王者があり、其王者には后があつて、夫婦相並び神を敬ひ政治をとり、円満に民を治めて居る。其処へ何処ともなく一人の妖僧が現はれ来たつて、其后を誑惑し、変つた信仰を強ひ、漸次にして其后の心を奪ひ、遂には畏れ多くも夫たり国王たる神司を、妖僧と共に腹を合して放逐し、後に晏然として其后を妻となし、自らは王者然として控へて居る悪逆無道の怪物ありとすれば、竜雲殿は如何思召さるるか。神の教を宣伝する宣伝使として是が黙過する事が出来ようか、如何で御座るアハヽヽヽ。之は要するに譬で御座れば、決してお気にさへられな。竜雲殿の明敏なる頭脳によつて、其解決を与へて貰ひたいのだ』
『ハイ、成る程六かしい問題で御座る』
『六ケ敷き問題は問題だ。併し如何解決をつけたらよいかと聞いて居るのだ。イヤそこに俯むいて居るのはケールス姫殿で御座らう。其方の意見を承はらう』
『ハイ誠に恐れ入つた次第で御座います。何ともお答への致しやうが御座いませぬ。貴方の御判断にお任せ申すより、もはや手段は御座いませぬ』
『今の中に心を改め、其方両人が、計略をもつて逐出したるサガレン王を探ね出し、茨の鞭を負うて王に心の底より謝罪をなし、其罪を清めなければ、天罰立所に至り、地震雷火の雨の誡めに遇ふは最早眼前に迫つて居る。両人早く決心をなさらぬと、其方が身辺の危険は刻々に迫りつつありますぞ。いらざる目一つの神が差出口とけなさるるならばそれ迄だ。目一つの神は此上両人に対して忠告すべき事はない。よく良心に尋ねて、最善の方法を取られたがよからう。縁あらば又もやお目にかからうも知れない。左様なら……』
と云ふより早く、コツンコツンと廊下に杖の音を響かせ、表を指して帰り行く。
 竜雲、ケールス姫は、目一つの神の後姿を見送り、茫然自失為す処を知らず、顔色忽ち蒼白に変じ、太き溜息を吐いて居る。
 三五教に仕へたる  北光彦の宣伝使
 天の目一つ神司  松浦の郷を後にして
 河森河を遡り  神地の都に現はれて
 心汚き竜雲や  ケールス姫に打向ひ
 悪逆無道の行動を  悔悟せしめて天国の
 園に導き助けむと  老の歩みもトボトボと
 恐れげもなく進み来る  門番ベスに伴はれ
 奥殿深く進み入り  竜雲ケールス両人に
 向つて真理を説き諭し  其改心を迫りおき
 悠々として長廊下  コツリコツリと杖の音
 次第々々に遠ざかり  何時の間にやら崇高な
 神の姿は消えにける  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ  サガレン王を初めとし
 服ひまつる忠誠の  神の司や信人を
 誠の道にまつろひて  天授の真理を悟らしめ
 八十の曲津につかれたる  竜雲ケールス両人を
 尊き神の正道に  眼を醒まさしめ朝夕に
 神の教にまつろはせ  百の司の御魂まで
 洗ひやらむと雄々しくも  守りも固き此城に
 単身進み入りにける  神の御霊の幸はひて
 醜の曲津も影隠し  天津御神のたまひたる
 元つみたまに立ち帰り  神人和合の天国を
 神地の城の棟高く  照らさせたまへ惟神
 神のみ前に願ぎまつる。
 二人は目一つの神の立ち去りし後にて、又もやひそひそと話に耽り居る。
『モシ竜雲さま、今見えた目一つの神様は三五教の宣伝使だと云はれましたが、何とマア御神徳の高い方でせう。お顔は目つかちで、何とはなしに見劣りがするやうですが、どこともなしに犯すべからざる威厳が備はつて居ました。かういふと済みませぬが、常々神徳高き竜雲様だと思つて居ましたが、傍に寄せるとまるで比べものにはなりませぬ。象の傍によつた猫のような気分が致しましたワ』
『是はしたり、余りと云へば余りの無礼ではないか。吾々を猫にたとへるとは不埒千万、それ程此竜雲が小さきものに見えるならば、なぜ其方は目一つの神を引き止めて夫となし、此竜雲を放逐せないのか』
と声を尖らせてゐる。
『何も貴方を疎外したのぢや御座いませぬ。目一つの神様の御神徳を讃へたので御座いますワ。貴方は見れば見る程、交際へばつきあふ程小さくなり汚くなり、弱くならつしやるやうですワ。こんな事なら、なぜ神徳高きサガレン王に背いたであらうかと、今更悔悟の念に堪へませぬ。此館は妾が住家、今はいい気になつて王者然と構へて居られますが、実際を云へば私の館、お気に召さねば何時なりと帰つて下さい』
『これケールス姫殿、其方は狂気したのか、其言霊は何で御座る』
『ハイ、一たん悪魔に誑惑され、大蛇のかかつた竜雲様に従つて居ましたが、今漸く病気全快しまして正気に立ち帰りました。もはや正気に立ち帰つた上は、今迄の罪が恐ろしく、又竜雲の悪心が憎らしくなつて来ましたよ』
『心機一転も甚だしいぢやないか。これケールス姫、よい加減に此竜雲を揶揄つて置くがよい。下らぬ事を云つてさう気を揉ますものではないよ』
『妾はもはや此世に生きて居る事は出来ませぬ。大罪を犯した者で御座いますから、潔く自殺を致します。仮令三日でも五日でも、縁あればこそ不義の契を結んだ妾、臨終の際にのぞんで一口忠告を致して置かねばなりませぬ。悪は何時迄も続くものではありませぬよ。貴方はこれから男らしく割腹して、サガレン王様に罪を謝すか、但は世捨人になつて再び難業苦業をなし誠の神の司とおなりなさるか、それは貴方の自由意志に任しませうが、たとへ如何なる事があつても、悪を企んだり策略を廻らしたり、今迄のやうに嘘をいつてはなりませぬよ。これが私の竜雲に対する忠告だ。此世に生きて何の詮もなし、左様ならば竜雲殿、お別れ致しますぞや』
と云ふより早く、懐中より懐剣をとり出し、今や喉にガバと許り突き立てむとす。竜雲は慌てて姫の手を確りと押へ、声を慄はせて、
『ケールス姫殿、暫し待たれよ。短気は損気、死なうと思へばいつでも死ねる。此竜雲も唯今限り改心を致すから、どうぞ死ぬ事だけは止めて下さい。可惜神地の城の名花を散らすは誠に惜しい、先づ思ひ止まつて下され』
と姫の手を力限りに握りしめて居る。
『イエイエ、何と云つて下さつても罪多き此体、死を選ぶより外に道はありませぬ。どうぞ其手を放して下さい!』
と身を藻掻く。其騒動を聞きつけて走り入つたる右守の神のハルマは、此体を見て打驚き、
『竜雲様、姫様、尊き御身を持ちながら、何の不自由もなきに夫婦喧嘩をなさるとは、盤古神王様に対し畏れ多いでは御座らぬか。苟くも王者の身をもつて、俗人輩のなすが如き刃物三昧とは何事で御座るか』
 ケールス姫は泣き声を絞りながら、
『ヤア其方は右守の神のハルマであらう。吾は決して竜雲殿と争ひはして居ない。余りの罪の恐ろしさに、自害をしようとして居るのだ。それを竜雲殿が執念深くも止めようとなさるのだから、どうぞ其方、私の頼みだ、竜雲殿の手を放させてお呉れ!』
『これこれ姫様、自殺は罪悪中の大罪悪と申すぢやありませぬか。如何なる事情かは存じませぬが、私が此処へ現はれた以上は、決して死なしは致しませぬ』
と云ひながら、強力に任せて姫の手より剣を奪ひ、手早く窓を開けて眼下の谷川へ投げ捨つれば、竜雲はやれ安心と吐息を吐く時しも、慌だしく此場に馳来るテールは両手を仕へ、
『モシモシ、此城内に火災起り、非常な勢で火は風に煽られ、火炎の舌は瞬く間に城の大部分を舐尽し、早くも此館に延焼しました。サア早く、立退きを願ひます』
と云ふ間もあらず、黒煙濛々として四辺を包み、竜雲、ケールス姫、ハルマは、見る見る黒煙に包まれにける。
(大正一一・九・二三 旧八・三 加藤明子録)
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