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文献名1霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
文献名2第4篇 言霊神よみ(新仮名遣い)ことたましんぐん
文献名3第20章 岩窟の邂逅〔1008〕よみ(新仮名遣い)がんくつのかいこう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-10-13 10:30:08
あらすじ一方、松浦の里のサガレン王が隠れ住む岩窟の前に聞こえてきた女宣伝使の宣伝歌は、神素盞嗚大神の娘・君子姫であった。思わず宣伝歌に引きつけられて出迎えたエームスに、君子姫と侍女の清子姫は一礼し、ここに隠れているサガレン王とは、顕恩郷で二人が仕えていた国別彦ではないかと問い、面会を申し出た。サガレン王はバラモン教教主の息子として、顕恩郷で君子姫、清子姫に面識があった。王は君子姫に、父の死後バラモン教の教主となった鬼雲彦に疎んぜられて顕恩郷を出て以来、このシロの島にやってきてバラモン教を広め王となったが、竜雲に后と国を奪われた経緯を歌で明かした。そしてこの岩窟に現れて自分たちに大神の教えを思い起こさせてくれた老人は、三五教の天の目一つの神ではないかと問い、君子姫に対して、心をあわせてシロの島に大神の教えを広め、竜雲やケールス姫を改心させたい旨を歌で訴えた。君子姫は、鬼雲彦一派に海に流されてここにたどり着いたのは、サガレン王を救うためであると答え、何々教といった小さな隔てを撤回し、神の心ひとつとなってシロの島にわだかまる曲津を言向け和そうと歌った。サガレン王は君子姫たちと協力し、神地の都の人々を言向け和すべく、王を先頭に旗鼓堂々として宣伝歌を歌いながら都を指して進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月23日(旧08月3日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月30日 愛善世界社版221頁 八幡書店版第6輯 662頁 修補版 校定版229頁 普及版100頁 初版 ページ備考
OBC rm3620
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本文の文字数3405
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本文  松浦の里の天然の岩窟の前に聞えて来た女の宣伝歌。
『神が表に現はれて  善と悪とを立て別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直せ聞き直せ
 身の過ちは宣り直す  三五教の神の道
 抑も起りを尋ぬれば  国の御祖と現れませる
 国治立大御神  豊国姫大御神
 厳と瑞との二柱  塩長彦や大国彦の
 神の命の枉業に  虐げられて一度は
 根底の国に下りまし  百の艱みを受けさせて
 下津岩根の底深く  隠れ給ひつ神人を
 恵ませ給ふ御心は  天津空より尚高く
 竜宮海より尚深し  野立の彦や野立姫
 救ひの神と現れまして  厳の霊を分け給ひ
 埴安彦や埴安姫の  神の命の分霊
 神素盞嗚大神の  瑞の御霊と諸共に
 至厳至重の神界の  清き大智を世に照らし
 天地四方の神人の  身魂を四方に生ませつつ
 教司を遠近に  配らせ給ふ尊さよ
 神素盞嗚大神の  御子と生れし君子われは
 父の御言を畏みて  メソポタミヤの顕恩郷
 バラモン教の神館  鬼雲彦の側近く
 仕へ奉りて三五の  清き教を伝へむと
 思ひそめしも束の間の  今は夢とぞなりにけり
 吾等姉妹八人は  顕恩郷を後にして
 各自々々に宣伝歌  謡ひて進む折柄に
 バラモン教の釘彦が  一派のものに捕へられ
 悲しや姉妹五人連れ  おのもおのもに棚なしの
 破れ小船に乗せられて  波のまにまに捨てられぬ
 神の恵みを受け乍ら  千波万波を乗り越えて
 大海中に漂へる  眺めも清きシロの島
 ドンドラ岬に安着し  夜を日についで大神の
 大道を伝へ宣べながら  漸く此処に来りけり
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 小糸の館にあれませる  シロの神島の神国に
 サガレン王の神司  タールチン司やキングス姫の
 貴の命を始めとし  テーリス、エームス、ゼム、エール
 其外百の司達  恵みの露に霑ひて
 心汚き竜雲が  醜の企みを根底より
 顛覆させて元の如  王位に復させ給へかし
 さはさりながら大神の  仁慈無限の御心は
 決して人をば傷つけず  生命をとらず麻柱の
 仁慈無限の正道を  心の空に照り明かし
 救ひ助くる思召  必ず大事を過らず
 瑞の御霊の貴の子と  生れ出でたる君子われ
 御供に仕ふる清子姫  只今此処に現はれて
 バラモン教の人々に  誠の心を打ち明けて
 進め参らす言霊を  完美に委曲に聞し召せ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 竜雲如何に強くとも  誠の神の現はれて
 誠一つの言霊を  射放ち給へば曲神も
 忽ち神威に相うたれ  雲を霞と消え失せむ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と足拍子を取つて勇ましく謡ひ乍ら館の前に進み来る。
 エームスは知らず知らずに此宣伝歌に引きつけられ、二人の宣伝使の前に進み寄り丁寧に礼をなせば二人も恭しく答礼し、
『妾は三五教の若き女の宣伝使で御座います。今此処に伴つて居りますのは清子姫と云ふこれも宣伝使で御座います。妾は或事情の為め、鬼雲彦様の部下に捕へられ、此処まで流されて漸く漂着して来た者で御座います。サガレン王様と申すのは、大国別神様の御子息国別彦様では御座いますまいか。お差支なくば、何卒拝顔が致したいもので御座います』
『ハイ左様ならば暫くお待ち下さいませ。エームスこれより奥へ参り伺つて来ます。何卒それ迄お腰を卸してお休みを願ひます』
『早速の御承知、有難う厶います。左様なれば清子姫様、暫く休息さして頂きませう』
 暫くあつてエームスは恭しく出で来り、君子姫、清子姫の先に立ち、サガレン王の潜みたる岩窟に進み入る。サガレン王は君子姫の姿を見るより今更の如く打ち驚きぬ。其故はメソポタミヤの顕恩郷に於て常に顔を合して居た為に、見覚えが何処ともなくあつたからである。サガレン王は歌ふ。
『思へば高し神の恩  計り知られぬ顕恩の
 郷に潜みてバラモンの  教をきはむる折柄に
 神素盞嗚大神の  御子と生れし君子姫
 朝な夕なに健やかに  鬼雲彦の側近く
 仕へ給ひし神姿を  それとはなしに朝夕に
 眺めて暮し居たりける  吾は大国別神
 教司の貴の御子  国別彦命なり
 鬼雲彦が暴虐の  醜の魔風に煽られて
 已むなくお城を脱出し  エデンの川を打渡り
 フサの海原横断し  波に漂ひ印度洋
 千波万波をかき分けて  漸くシロの島影を
 認めし時の嬉しさよ  神の恵に抱かれて
 漸く神地の都路に  進みて教を宣りつるが
 心正しき国人は  一人残らず吾道に
 服ひ来りて神館  瞬く間に建て終り
 要害堅固の絶勝をば  選みて此処に城造り
 吾は推されてシロの島  神地の都の王となり
 神を敬ひ民を撫で  世は平けく安らけく
 治まりかへつて四海波  静にそよぐ折もあれ
 岩井の里の酋長が  娘と生れしケールス姫の
 君の命を発見し  愈此処に妻となし
 厳と瑞とは相並び  顕幽一致の政体を
 開く折しも腹黒き  醜の曲津の竜雲が
 何処ともなく入り来り  忽ち館を蹂躙し
 悪逆日々に募りつつ  遂には吾を追ひ出し
 今や暴威を揮ひつつ  世を乱すこそ悲しけれ
 あゝ惟神々々  神の御霊の幸はひて
 三五教の宣伝使  天の目一つ神様は
 此処に現はれ来りまし  顕幽一致の真諦を
 完美に委曲に説き給ひ  喜ぶ間もなく素盞嗚の
 神の命の御裔なる  汝の命は今此処に
 現はれ給ひし雄々しさよ  君子の姫よ清子姫
 吾は尊きバラモンの  教を奉ずる身なれども
 皇大神の御心に  もとより変りはあるまじく
 思へば思へば有難し  汝と吾とは今よりは
 心を協せ力をば  一つになしてシロの島
 四方の国人悉く  尊き神の御道に
 服へ和し竜雲が  心に潜む曲神を
 千里の外に追ひ払ひ  迷ひきつたるケールス姫の
 君の命を善道に  導き救ひ麻柱の
 誠の道を永久に  経と緯との機を織り
 治めて行かむ惟神  神に誓ひて真心を
 ここに披瀝し奉る  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
と謡へば、君子姫はこれに答へて、
『あゝ惟神々々  尊き神の御裔と
 生れ出でませる国別彦の  神の命の言霊よ
 天教山に現れませる  日の出神や木花の
 咲耶の姫の神言もて  父大神に従ひて
 三五教を天ケ下  豊葦原の国々に
 開き伝ふる宣伝使  吾は君子の姫なるぞ
 父の御言を畏みて  バラモン教の大棟梁
 鬼雲彦の側近く  仕へまつりて三五の
 誠の道を諭さむと  心を尽し身を竭し
 千々に説けども諭せども  霊の曇りし神司
 千言万語の言の葉も  豆腐に鎹糠に釘
 寄り処なき悲しさに  あらぬ月日を送る内
 太玉神の現はれて  厳の言霊打ち出し
 雄健び給へば鬼雲彦の  神の司は逸早く
 見るも恐ろし其姿  大蛇となりて黒雲の
 中に姿を隠しける  妾姉妹八人は
 右や左に相別れ  流れも清きエデン川
 後に見捨ててエルサレム  フサの国をば遠近と
 彷徨ひ巡りて御教を  伝ふる折しもバラモンの
 神の司の釘彦が  手下の者に捕へられ
 無残や五人の姉妹は  見るも危き捨小舟
 艪櫂もなしに海原に  つき出されし恐ろしさ
 神を力に三五の  誠を杖に両人は
 潮の八百路を打渡り  波のまにまに漂ひて
 大海中に浮びたる  木草も茂るシロの島
 ドンドラ岬に上陸し  夜を日に次いで今此処に
 サガレン王が行末を  救はむ為めに来りけり
 人は神の子神の宮  慈愛の深き大神の
 其懐に抱かれて  誠一つに進みなば
 如何なる曲の猛ぶとも  何か恐れむ神心
 いざ之よりは汝が命  バラモン教や三五の
 神の教と云ふ様な  小さき隔てを撤回し
 互に手を執り助け合ひ  此シロ島に蟠まる
 八岐大蛇や醜狐  曲鬼どもを言向けて
 昔の儘の神国に  完美に委曲に樹て直し
 ミロクの御世を永久に  開き仕へむ惟神
 神の御前に君子姫  謹み敬ひ祈ぎ奉る
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と謡ひ終り、茲にサガレン王、君子姫は胸襟を開いて久濶を叙し、相提携して、竜雲始めケールス姫其他の神司達に憑依せる曲津神を打払ひ、本然の心に立ち帰らしめ、再びシロの島の神地の都をして至治太平の楽園と復すべく、王を先頭にタールチン、キングス姫、テーリス、エームス其他の幹部を始め、数多の至誠の男女を引率し、旗鼓堂々として宣伝歌を歌ひながら、馬に跨り都を指して進み行く。惟神霊幸倍坐世。
(大正一一・九・二三 旧八・三 北村隆光録)
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