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文献名1霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
文献名2第4篇 関風沼月よみ(新仮名遣い)かんぷうしょうげつ
文献名3第15章 氷嚢〔1099〕よみ(新仮名遣い)ひょうのう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-12-03 11:18:58
あらすじ
照国別の主従一行は岩彦のありかを訪ねたが見いだせず、テームス山を登りつめて山頂の関所に着いた。ここは大黒主の命によって春公、雪公、紅葉ほか二人が名ばかりの関守をやっている。

大酒をあおって大地に倒れ、酔いざめの風邪をひいては熱をだしている。春公は熱を出しながらも、酔って一同馬鹿話に時を費やしていた。

そこへ照国別一行がやってきて、春公が病んでいることを知ると、関所の中へ入ってきて鎮魂を始めた。春公は咳をすると小さな百足が飛び出した。百足は見る間に五六尺の大百足となると、一目散に逃げて行った。

春公は熱が下がり、身体は元のとおりに治ってしまった。春公は命を救われたことに感謝し、心から悔い改めた。そして照国別に従い、案内役として月の国に供をすることになった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月04日(旧09月16日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月25日 愛善世界社版197頁 八幡書店版第7輯 490頁 修補版 校定版203頁 普及版91頁 初版 ページ備考
OBC rm4015
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本文  照国別の宣伝使  仁慈無限の大神の
 教を四方に伝へつつ  月の都にバラモンの
 教を開き世を乱す  大黒主の神司を
 三五教の御教に  言向和し照国の
 尊き御代と立直し  一切衆生の身魂をば
 救はむものと勇み立ち  険しき山を打渉り
 荒野ケ原を踏み越えて  岩彦、照公、梅公の
 三人と共にクルスの森  進み来りて疲れをば
 休むる折しも向ふより  イソの館に攻め上る
 鬼春別の一部隊  片彦、久米彦両将が
 先頭に立ちて進み来る  此は一大事と一行は
 森の茂みに身をかくし  敵の様子を窺へば
 大胆不敵の命令を  采配振つて号令する
 それの態度の忌々しさに  照国別は木影より
 声張りあげて宣伝歌  涼しく清く宣りつれば
 敵は驚き照国の  別の命に四方より
 攻めかけ来る猪口才さ  無抵抗主義の三五の
 教を伝ふる神司  善言美詞の言霊に
 成るべくならば言向けて  悔悟させむと思へども
 暴逆無道の敵軍は  何の容赦も荒風の
 吹きまくる如迫り来る  正当防衛と云ひながら
 清春山より現はれし  岩彦司は杖を振り
 縦横無尽に敵軍に  阿修羅の如く打込めば
 負傷者を残し馬を棄て  皆散々に逃げて行く
 照国別は敵軍の  手傷を負ひて倒れたる
 二人の男を介抱し  信書を認め清春の
 醜の岩窟を守り居る  ポーロ司を戒めつ
 イソの館に三五の  教の道を学ぶべく
 遣はしやりて照、梅の  二人と共に駒に乗り
 轡を並べてシトシトと  テームス山にさしかかる
 折から吹き来る凩の  風に面を吹かれつつ
 これぞ尊き神風と  勇気日頃に百倍し
 蹄の音も戞々と  険しき坂を登り行く
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ。
 照国別は岩彦の所在を失ひ、彼が行衛を求めて、森の小蔭や薄原隈なく探り、一行は漸くにしてテームス山を登りつめ、頂上の関所に着いた。ここには大黒主の命を奉じて春公、雪公、紅葉他二人が小さな庵を構へて名ばかりの関守をやつてゐる。大酒を煽つては大地に倒れ、風に吹かれ酔醒めの風を引いては熱を出し、手拭で鉢巻をしながら狐の泣き声の様な百日咳に悩んで居る。何奴も此奴もコンコンカンカンの言霊の競争をやつて居た。風の神を追ひ出すのは、磐若湯に限ると云ふので捻鉢巻をしながら、酒の勢で昼夜風の神と競争をやり、薬鑵から熱を出し汗をタラタラと流しながら格闘してゐる真最中であつた。
春公『ウンウン、痛い痛い、風の神の奴、暴威を逞しうしやがつて、此春さまの頭蓋骨を鉄鎚でカンカンと殴りやがるやうな痛さだ。腹の中へは狐でも這入りやがつたと見えて、コンコンと吐すなり、テームス山の関守も中から斯う咳が出ては副守の奴、関守に早変りしやがつたと見える。本当に咳がチツとやソツとぢやない、痰と出やがつた。アハヽヽヽイヒヽヽヽ、痛い痛い、こりや雪公、一つ天眼通で風の神の正体を透視してくれないか』
雪公『あまり酒を喰つて寒風にあたると凍死するものだ。何卒凍死してくれと云つても、俺は凍死ばかりは御免だ。それよりも万劫末代生とほしになりたいからなア』
『こりや、貴様も余程訳の分らぬ唐変木だな。俺の云ふ透視と云ふのは、そんな怪体の悪い凍死ぢやないわい。腹の底まで何が憑いて居るか透視してくれと云ふのだ。アイタヽヽヽオイ早く透視せぬかい』
『おれは雪さまだから、あまり雪さまばかりに溺れて居ると凍死する虞があるぞ。貴様の腹の中を一寸見ると大変な腹通しだ。上げる下す、まるで此テームス峠の頂上の関守には持つて来いだ。貴様も生命の大峠が来たのだから、これ迄の因縁と諦めて潔く成仏せい。風声鶴唳にもド肝を冷し微躯付いて居る様な関守では到底生存の価値がない。よい加減に娑婆塞ぎは冥土参りした方が社会の為だからなア』
『こりや雪、貴様は何と云ふ冷酷な事を云ふのだ。ド頭をポカンとハル公にしてやるぞ』
『雪と云ふものは火のやうに温かいものでも、熱いものでもない。冷酷なのが当り前だ。冷然として人の病躯を冷笑するのが雪さまの特性だ。然しそれだけ熱があつては貴様も堪るまい。氷嚢の代りに此雪公さまの冷たい尻を貴様の薬鑵頭に載せてやらうか。さうすれば、少しは熱が減退するかも知れないぞ』
『斯う熱が高うては仕方がない。貴様の尻で俺の熱が下る事なら臭うても幸抱せうかい』
『よし、時々風が吹くかも知れぬが、前以てお断りを云うておく』
と云ひながら冷たい尻をまくつて春公の頭の上にドツカと載せた。
雪公『おい、随分冷い尻だらう。血も涙もない冷ケツ動物だから……熱病の対症療法には持つて来いだ。実にケツ構な療治法だ、アハヽヽヽ』
春公『こりや、俺の鼻の上に何だか袋を載せたぢやないか。冷いやりするが、怪体な香がするぞ』
『これは豚の氷嚢代理に睾嚢を張り込んでやつたのだ。イヒヽヽヽ』
『あゝ苦しい、重たいわい。チツと重量を軽減する様に中腰になつてくれないか』
『雪隠のまたげ穴をふん張つたやうな調子で中心を保つて居るのだから重たい筈はない。熱病と云ふものは頭の重いものだ。おもひおもひにお神徳をとつたが宜からうぞ。(義太夫)あゝ思へば思へば前の世で如何なる事の罪悪を、やつて来たのか知らねども、そりや人間の知らぬ事、現在テームス山の関守を仰せ付けられながら、其職責を完うせず、肝腎要の蜈蚣姫、小糸姫を知つて見逃した其天罰が報い来つて、今ここに臆病風の神様に襲はれたるか、いぢらしやア……悪い事とはしりながら、しりのつぼめが合はぬよな、しり滅裂の報告が、如何してハルナの神館に、鎮まりゐます大黒主に、致されうか……許して下されバラモン天王様、お願ひ申すと計りにて、コンコンコンとせき上げて、苦し涙にくれにける。シヤシヤ シヤン シヤン シヤン』
『ウンウンウン、こら雪公、そんな気楽な事どこかい。俺や、もう生命のゆきつまりだ。もちとシツカリ尻をあててくれぬかい』
『(義太夫)「ゆきつ、戻りつ、とつおいつ、又もや咳の声すれば、これがお声の聞きをさめと……思へば弱る後が……み……寂滅為楽も近づきて、無情の風は非時に、吹き荒ぶこそ哀れなり、トテチン トテチン トツトツチン、テンテン」いやもう瀕死の病人に対し応急療法も最早駄目だ。お前の一生も最早けつ末がついた。けつして決して娑婆に執着心を残し、踏み迷うて来てはならぬぞ。大黒主様の御目が届かぬと思うて慢心を致し、神を尻敷きにした天罰で、此清明無垢の雪のやうな身魂の雪さまに尻敷きにしられるのだ。因果応報、罰は覿面、憐れなりける次第なり。エヘヽヽヽ』
紅葉『こりや雪、貴様は俺が最前から聞いて居れば、春公さまに対し親切にして居るのか、不親切にして居るのか、或は介抱するのか、虐待するのか、テンと訳が分らぬぢやないか』
雪公『かうゆきつまつた世の中、訳が分らぬのはあたり前だ。俺はゆきつまつた社会の反映だから、これで普通だよ。親切さうに見せて不親切の奴もあり、善の仮面を被つて悪を行ふ奴もあり、人を助けてやらうと云つて甘くチヨロまかし、其実人は死なうが倒れやうが吾不関焉だ。自分さへ甘い汁を鱈腹吸うて自分が助からうとする奴ばかりだ。こんな悪魔横行の世の中に如何して真面目な事が出来ようか。俺の天眼通だつてその通りだ。当る時もあれば外れる事もある。社会の利益になる事もあれば社会の害毒になる事もある。それだから善悪不二、正邪一如と云ふのだわい。オツホン』
『人の難儀を見て貴様は平気で居やがるが、本当に怪しからぬ奴ぢやないか』
『貴様何だい、袖手傍観してるぢやないか。貴様こそ本当に友人に対し冷酷な代物だ。大方触らぬ神に祟なしと云ふ猾い考へを持つて俺ばつかりに介抱させ、さうして善だの悪だの親切だの不親切だのと小言を垂れやがるのだな。尻でも喰つたがよいわい。屁なつと吸へ』
『俺は貴様等の二人の手が塞がつてゐるなり、あと二匹の奴はズブ六に酔ひやがつて役に立たぬなり、仕方がないから貴様の代りに関守を勤めて居るのだ。もしも斯んな処へ三五教の宣伝使が堂々とやつて来よつたら如何するのだ』
『そりや、その時のまた風が吹くわい。春公の風邪ぢやないがコンコンと懇談して関守としてのベストを尽すだけのものだ。これだけ熱が多いと此春公も黒死病になりやせぬか知らぬて、困つたものだ。俺の尻がソロソロ焼けて来だしたぞ。大変な熱だ』
『おい、あんまり貴様が大きな尻で志士仁人たる春公を圧迫するものだから、如何やら息が絶れたと見え、呼吸が止まつたぢやないか』
『俺は智慧の文珠師利菩薩だ。今朝も文珠師利菩薩が獅子に乗つて、此処を大変な勢で通つたぢやないか。それだから俺も春公の頭に腰掛け、尻からプン珠利菩薩となつて、あらゆる最善の知識を傾けて治療に従事してるのだ。此辛い時節に薬礼も貰はず、これだけ親切に介抱するものが何処にあるかい』
 かく話す処へ関所の押戸をポンポンと叩くものがある。紅葉は慌てて戸外に飛び出し仰ぎ見れば照国別一行であつた。
照国『此処はテームス山の大黒主の関所だと聞いて居るが、関守の頭に一寸お目にかかりたい』
紅葉『ハイ、関守の大将は、……実は……今年の今月の始めから……今日今夜に至るまで臆病風を引きましてコンコンとせきをやつて居ますので、生憎こん回はお目にかかる事は出来ますまい』
『それは気の毒な事だ。斯様な峠の吹きはなしでは風も引きませう。吾々が一つ神様にお願ひ致して鎮魂をやつて上げませうかな』
『エー滅相もない。貴方は三五教の宣伝使、左様なお方に鎮魂とやらをやられましては、サツパリコンと駄目になつて了ひます。何卒こん度に限つてお断わりを申します。サアお通りなさい』
『決して吾々は貴方等がバラモン教の関守だからと云つて、悪くするのではない。よくして上げたいと思ふからだ』
『何程御こん切に仰有つて下さつても、三五教のお方にお世話になるのは一寸こん難で厶います』
『お前は同僚が九死一生の場合を助けたい事はないのか』
『晨の紅顔、夕べの白骨、どうで一度は死なねばならぬ人生の行路、夢の浮世で厶いますから、春公も一層の事ここで死んだ方が、彼の為めには好都合かも知れませぬ。親切が却つて無になりますから、何卒鎮魂ばかりは平に御容赦を願ひます』
『何とバラモン教は友人に対してさへも随分冷淡なやり方ですなア。一切衆生に対しては尚更冷酷なと云ふ事は此一事にても看取される、かう云ふ事を聞くと如何してもバラモン教を改造してやらねばなるまい』
『実は此通り五人の関守が四人まで手抜きが出来ませぬので、困つて居る所で厶います。何卒御存じの通り取り込んで居りますから、御用があれば又明日来て下され』
『アハヽヽヽ、まるで吾々を乞食扱ひにして居よるわい。然し乍ら仮令バラモン教にもせよ、人の困難を見て之を救はずに素通りする事は出来ない。照公さま、梅公さま、お前は奥へ這入つて此処に屁垂つてゐる病人を鎮魂してやつて下さい』
『メヽヽ滅相な、病人は春公一人で厶います。外の奴は風を引いたといつてもホンの鼻腔加答児をやつただけ、風の神をおつ払ふとてスヤスヤと寝んで居るのですから、何卒お構ひ下さるな』
 照公、梅公は委細構はず奥に入り、両方より天の数歌を歌ひあげた。雪公は驚いて春公の頭の上にのせて居た尻をあげ、番小屋の小隅に蹲んで震うて居る。天の数歌を二三回唱へた時、春公はカツカツと大きな咳を二つした。その途端に小さい百足虫が二匹飛んで出た。見る間に五六尺の大百足虫となり一目散にテームス峠を矢の如くに逃げ下り行く。春公は初めて熱もさめ、身体元の如くなり汗を拭きながら、
『何れのお方か知りませぬが九死一生の場合、よくまあ助けて下さいまして、誠に有難う厶いました』
と感謝の声と共に不図見あぐれば、三五教の宣伝使照国別一行の三人であつた。春公は生命の親の宣伝使様と喜び勇み、これより四人を後に残し照国別に従つて心の底より悔い改め、案内役として月の御国へ従ひ行く事となつた。
(大正一一・一一・四 旧九・一六 北村隆光録)
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