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文献名1霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
文献名2第1篇 天空地平よみ(新仮名遣い)てんくうちへい
文献名3第2章 入那城〔1106〕よみ(新仮名遣い)いるなじょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじイルナの国王セーラン王は、叔父で左守のクーリンスの娘ヤスダラ姫を許嫁としていたが、大黒主に取り入って勢力を増した右守カールチンは、無理矢理自分の娘を王妃にしてしまった。ヤスダラ姫は外国の毘舎の娘に追いやられてしまっていた。王はそのことを思い悩んで落涙にむせんでいる。カールチンの娘サマリー姫は、王がヤスダラ姫のことを思い悩んで自分を嫌っていることから王と喧嘩し、狂気のごとく駆け出して実家に帰ってしまった。クーリンスは王のところにやってきて、王が剛直なあまり短気を起こすとかえって右守の思うつぼになると諫言した。王はあくまでよこしまな勢力に屈するのは嫌だと決意を面に表す。王と左守は不思議なことに、昨晩同じ夢を見ていた。北光彦の神という白髪異様の神人が現れて、鬼熊別の妻子が三五教宣伝使となってイルナの国を通るから、城に迎え入れればバラモン教の勢力に対抗できる、と示したという。クーリンスは早速、黄金姫母娘を探すべく王の居間を去った。しばらくすると、右守カールチンの腹心ユーフテスが案内も通さずに王の間に入ってきて、王がサマリー姫と喧嘩したことをなじった。ユーフテスは、すでにカールチンが大黒主に事の顛末を早馬で知らせたと言い、王に謹慎を迫った。王はユーフテスの横柄な振る舞いに怒り、カールチン一族を追放すると怒鳴りたてた。ユーフテスは王の権幕に怖気づき、すごすごと帰っていく。次に、ヤスダラ姫の妹・セーリス姫が王のもとにやってきた。姫は、カールチンが王位を奪おうと、サマリー姫の件を大黒主に讒言したと伝えた。王は、カールチンの腹心ユーフテスが、セーリス姫に執心していると聞いて、姫に策を授けた。
主な人物 舞台イルナ城(入那城、セーラン王の館) 口述日1922(大正11)年11月10日(旧09月22日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年6月15日 愛善世界社版29頁 八幡書店版第7輯 540頁 修補版 校定版29頁 普及版13頁 初版 ページ備考
OBC rm4102
本文の文字数4713
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本文  入那の国のセーラン王の館は東西南に広き沼を囲らし、北の一方のみ原野につづいて居る。此国では最も風景好く且要害よき地点を選み王の館が築かれてある。セーラン王は早朝より梵自在天の祀りたる神殿に昇りて祈願を凝らし、終つて吾居間に帰り、ドツカと坐して双手を組み思案にくれながら独言、
『あゝ世の中は思ふ様に行かないものだなア。忠誠無比の左守の司クーリンスの娘ヤスダラ姫を幼少の頃から父王の命に依り許嫁と定つて居たものを、大黒主の神様に媚び諂ふ右守の司カールチンの勢力日に月に増大し、殆ど吾をなきものの如くに扱ひ、ヤスダラ姫をテルマン国の毘舎シヤールの女房に追ひやり、わが最も嫌ふ所の右守の司が娘サマリー姫を后に致したとは、実に下、上を犯すとは言ひながら無暴の極まりだ。あゝヤスダラ姫は今頃は如何してゐるだろう。一度姫に会つて幼少からの吾心の底を打明かし、ユツクリと物語つて見たいものだが、吾は刹帝利の王族、ヤスダラ姫は最早毘舎の女房と迄なり下つた以上は到底此世では面会も叶ふまい。一国の王者の身でありながら、一生の大事たる許嫁の最愛の妻に生き別れ、斯様な苦しき月日を送らねばならぬとは如何なる宿世の因縁か、あゝヤスダラ姫よ、余が心を汲み取つてくれ』
と追恋の情に堪へかねて思はず知らず落涙に咽んで居る。かかる所へ襖をサラリと引き開け、少しく顔色を変へて絹ずれの音サラサラと入り来りしはサマリー姫なりき。
『王様、貴方の此頃の御機嫌の悪いこと、一通りや二通りでは厶いませぬ。妾も日夜貴方様の不機嫌なお顔を拝みましては到底やりきれませぬから、本日限りお暇を賜りたう存じます』
と意味ありげに声を震はせて詰る様に云ふ。王は驚いてサマリー姫の顔をツクヅクと見守りながら、
『合点の行かぬ其方の言葉、何かお気に障つたかなア』
『いえいえ、決して決して気に障る様な事は厶りませぬ。何と申しても誠忠無比の左守の司様のお娘、許嫁のおありなすつたヤスダラ姫様を悪逆無道の吾父カールチンが放逐して、貴方のお気に入らない妾を后に納れられたのですから、貴方の日夜の御不快は無理も厶りませぬ。最早今日となつては妾もやりきれませぬ。互に愛のない、諒解のない夫婦位不幸なものは厶りませぬから、妾は何と仰有いましても、今日限りお暇を頂き父の館へ下ります』
『これサマリー姫、今更左様な事を云つてくれては困るぢやないか。少しは私の身にもなつて呉れたら如何だ』
『はい、貴方のお嫌ひな妾がお側に仕へて居ましては、却て貴方のお気を揉ませ苦しめます道理、妾の如き卑しき身分の者がヤスダラ姫様の地位を奪ひ、斯様な地位に置かれるのは実に心苦しう厶ります。提灯に釣鐘、月に鼈の配偶も同様、互に苦情の出ない間に別れさして下さいましたならば、妾は何程幸福だか知れませぬ。今貴方の独言を聞くとはなくに承はれば、誠忠無比の左守の司の娘ヤスダラ姫を吾父のカールチンが放逐し、気に入らぬサマリー姫を后に納れたのは残念だと仰有つたでは厶いませぬか。何と云つてもお隠しなされても、もう駄目で厶ります。妾はこれから父の家に帰り、父より大黒主様へ伺ひを立て、其上で妾の身の振り方を定めて頂きますから、何卒これまでの縁と思つて下さいませ』
と早立上らうとするを王は狼狽てて姫の袖を引掴み、
『さう短気を起すものではない。其方は私を困らさうと致すのだな』
『いえいえ、お困らし申す所か、貴方がお気楽におなり遊ばす様にと気をもんで居るので厶ります。左様なら、御免下さいませ』
と王の手を振り放し、怒りの血相物凄く父の館へ指して一目散に帰り行く。
 セーラン王は姫の狂気の如く駆け出した後に只一人黙然として頭を傾け、吾身の運命は如何になり行くかと、トツ、オイツ思案に暮れ居たる。其処へシヅシヅと入り来るは左守の司のクーリンスなりける。クーリンスはセーラン王の父バダラ王の弟であつて、言はば王の叔父に当る刹帝利族である。
『王様、今日はお早う厶います。只今登城の際、館の者の噂を聞けば、サマリー姫様は何か王様と争ひでもなさつたと見え、血相変へて数多の家来共の御引留申すのも聞かず、蹴倒し薙払ひ一目散にカールチンの館へ帰られたさうで厶います。兎も角七八人の家来をカールチンの館へ差向け、姫を迎へ帰るべく取扱つておきましたが、一体如何な事を仰有つたので厶りますか。右守の司カールチンは大黒主様の大変なお気に入り、王様も左守の司も殆ど眼中にないと云ふ旭日昇天の勢で御座りますれば、今サマリー姫の機嫌を損じ、カールチンの立腹を招かうものなら、忽ち貴方の御身辺も危う厶りませう。誠に困つた事が出来ました』
『何事も天命と諦めるより仕方がない。吾は決して顕要の地位を望まない。仮令首陀でも何でも構はぬ。夫婦が意気投合して此世を渡ることが出来たならば、此上ない余としての喜びはないのだ』
『王様、何とした、つまらぬ事を仰有るのですか。貴方が左様なお心で如何して此入那の国が治まりませうぞ。少しは気を強くもつて下さらないと吾々左守の司の働きが出来ないぢやありませぬか。王様あつての左守の司では厶りませぬか』
『もう斯うなる以上は何と云つても仕方がない。サマリー姫が帰つた以上は、屹度カールチンは日頃の陰謀を遂ぐるは今此時と、大黒主の力を借つて遂には吾地位を奪ひ、入那の国を掌握する事になるだろう。如何なりゆくも運命だと余は諦めて居る』
『右守の司のカールチンが此頃の傍若無人の振舞は怪しからぬ、とは云ひながら、もとを糺せば王様が鬼雲姫様の御退隠の件に就いて御意見を遊ばしたのが原因となり、王様は鬼熊別の腹心の者と睨まれ給うたのが起りで厶います。悪人の覇張る世の中、阿諛諂侫の徒は日に月に勢力を張り天下に横行闊歩し、至誠忠直の士は圧迫される世の中ですから、少しは王様も其間の消息をお考へ遊ばし、社交的の頭脳になつて頂かねばなりますまい。クーリンスは心に染まぬ事とは知りながら、お家の為めを思ひ剛直一途の貴方様に対し涙を呑んで御忠告を申上げます』
『仮令大黒主に睨まれ、国は奪らるるとも王位を剥がるるとも、仮令吾生命は奪はるるとも、吾は断じて邪悪に与する事は出来ぬ。放埒不羈にして悪逆無道の限りを尽す大黒主の頤使に甘んずるよりも、鬼熊別様の趣旨に賛し、亡ぼさるるが本望だ。あゝもう此上そんな事は云つて呉れるな』
『だと申して此儘に打ちやり置けば大変な事になります』
『余は昨夜の夢に、北光彦の神と云ふ白髪異様の神人顕はれ来り諭し給ふやう「汝の一身を始め入那の国家は実に危急存亡の秋に瀕せり、之を救ふに一つの道がある。それは外でもない、鬼熊別の神司の妻子なる黄金姫、清照姫は、今や三五教の神力無双の宣伝使となつて居る。彼はハルナの都へ言霊戦を開始すべく出陣の途中、此入那の国を通過すべければ、彼をカールチンの部下の捕へぬ間に汝が部下に捜索せしめ、密に此館に誘ひ帰りなば、カールチンやサマリー姫の勢力如何に強くとも、到底敵すべからず。今や大黒主は鬼春別、大足別の両将をして大部隊の軍卒を引率せしめ出陣したる後なれば、今日の大黒主の勢力は前日の如くならず、早く部下の忠誠なる人物を選み、母娘両人の行手を擁し、此王城にお立寄りを願ふべし」との事であつた。クーリンス、夢であつたか現であつたか、余には判然と分らないが、屹度これは真実であらうと思ふ。其方は如何思はるるか』
『王様も其夢を御覧になりましたか、へー、何と妙な事があるものですな。私も昨夜その夢を歴然と見ましたので、実は夢の由を申上げむと参つたので厶ります。こりや屹度正しき神様のお告げで厶りませう。左様ならば時を移さず忠実なる部下を選んで表面は母娘を生捕ると称し、迎へて参る事に致しませう』
『然らばクーリンス殿、一時も早く其用意を頼む』
『はい』
と答へてクーリンスは恭しく暇を告げ一目散に吾家を指して帰り行く。
 王は又独り黙然として両手を組み、少しく光明にふれたやうな気分にもなつて居た。
『昨夜の夢が実現したならば自分も亦此苦が逃れられるであらう。うまく行けば再びヤスダラ姫と添ふことが出来るかも知れない』
などと、頼りない事を思ひ浮かべながら色々と考へ込んで居る。そこへ足音高くカールチンの一の家来と聞えたるユーフテスは、虎の威をかる狐の勢、王者も殆ど眼中になき有様にて、案内もなく襖をサラリと引き開け、
『王様、只今カールチン様のお使で参りましたが、貴方様はサマリー姫様を虐待遊ばし、王者の身としてあるまじき乱暴をお働きなさつたさうで厶りますな。吾主人カールチン様は表向き貴方様の御家来なり、又サマリー姫様の父親なれば、王様にとつてはお父様も同然で厶りませう。親として子の不埒を、何程王者なりとて戒められずには居れないと云つて、ハルナの都の大黒主様の御許に早馬使をお立てになりました。何分のお沙汰あるまで別館に行つて御謹慎をなさりませ』
と横柄面に打ちつけるやうに云ふ。その無礼さ加減、言語に絶した振舞である。王はカツと怒り、
『汝、臣下の分際として余に向つて無礼千万な、左様な事は聞く耳もたぬ。ユーフテス、汝が主人カールチンに対して余は今日限りサマリー姫と共に暇を遣はす、一時も早く右守の司の館を立出で、何処へなりと勝手に行けと申伝へよ』
と声荒らげてグツと睨めつけ叱りつくれば、ユーフテスは案に相違の王の権幕に縮み上り、頭をガシガシ掻きつつ、狼に出会うた痩犬の様に尾を垂れ、影まで薄くなつてシヨビ シヨビとして帰つて行く。
『アハヽヽヽヽ、右守の司の悪人に仕ふるユーフテス奴、余が一喝に遇うて悄気返り、初めの勢何処へやら、スゴスゴ帰り行く其有様、ほんに悪といふものはマサカの時になれば弱いものだな、アハヽヽヽヽ』
と思はず知らず高笑ひして居る。そこへスタスタと足早に這入つて来たのはヤスダラ姫の妹セーリス姫なり。
『王様、今日は御壮健なお顔を拝し、セーリス姫誠に恐悦に存じます。就きましては早速ながら、父クーリンスの命により女の身をも顧みず罷り出でました。カールチンは年来の野心を成就するは今此時と、ハルナの都へ早馬使を立て王様の廃立を図つて居りまする。就いては吾父クーリンスはそれに対する準備も致さねばなりませず、家老のテームスに命じ黄金姫母娘の所在を探すべく準備の最中なれば、父が参る暇が厶りませぬので不束なる女の妾が参つたので厶ります。又父が幾度も登城致しますれば右守の身内の奴等に益々疑はれ事面倒となりますれば、向後を慮り妾を代理として参らせたので厶ります』
『あゝさうか。事さへ分れば女でも結構だ。時にセーリス姫、其方はユーフテスに今会はなかつたか』
『ハイ、只今お廊下で会ひました。大変な悄気方で帰つて参りました。あの男は実に好かない人物で厶ります。毎日日々妾の許へ艶書を送り、それはそれは嫌らしい事を云つて参ります。本当に困つた事で厶ります』
『ホー、そりや都合のいい事だ。これセーリス姫、近う近う』
と手招きすれば、セーリス姫は「はい」と答へて王の側近くににじり寄る。王は姫の耳に口寄せ何事か囁けば、セーリス姫はニツコと笑つて打頷き此場を立つて帰り行く。
(大正一一・一一・一〇 旧九・二二 北村隆光録)
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