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文献名1霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
文献名2第1篇 神示の合離
文献名3第2章 月の影〔1171〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台祠の森 口述日1922(大正11)年12月07日(旧10月19日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所
OBC rm4402
本文の文字数4949
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本文  治国別は万公、晴公の他愛なき鼾声を聞き乍ら諸手を組み差俯向いてしばし冥想に耽りゐる。そこへ慌ただしく、息を喘ませ森の急坂を登り来たるものは五三公にぞありける。
『もし、先生、奥さまが見えました。さア何卒早く祠の前迄お下り下さいませ』
『何、奥が見えたとは何しに来たのだらう。奥に用はない。面会は相叶はぬから直に引返せと云つて呉れ』
と治国別は不興顔なり。
『何程あなたが権利があると云つて、玉国別様の奥様に対し、そンな命令権があるとは五三公には思はれませぬワ』
『何だ、五十子姫様か、お前は奥様だと云ふから又菊子姫が後を追うて来たのではあるまいか、怪しからぬ奴だと思つたからだ』
『本当に怪しからぬですな。五十子姫様を御覧なさいませ。玉国別様の御身の上を案じ煩ひ、女の身をも顧みず此山坂を夜を日に次いでお尋ね遊ばされました。それに同じ宣伝使の奥様菊子姫様こそ、怪しからぬぢやありませぬか。夫婦の情合と云ふものは、そンな水臭いものぢやなからうと五三公は思ひますよ』
『アハヽヽヽ人間の心といふものは一人一人違ふものだな。俺は斯うして宣伝しに出た以上は女房も忘れ、家も忘れ、自分の生命までも忘れて居るのだよ』
『何とまア、水臭い方ですな。菊子姫様がお聞きになつたら嘸失望落胆なさるでせう。天にも地にも掛替のない一人の夫が左様の(浄瑠璃)水臭いお心とは露知らず、都でお別れ申してより、雨の晨、風の夕、片時たりとも忘れし暇はなきものを、思へば情なき貴方の心、あゝ何としようぞいな何としようぞいなア……とお嘆き遊ばすは石の証文に岩の判を押した様なものですよ。肝腎の女房を忘れるやうな先生だから弟子の私等をお忘れになる位は何でもないでせう。一人途中に放つとけぼりを喰はされては、それこそ……本当につれないわ、本当につれないわ』
『アハヽヽヽ、怪体な男だな、河鹿峠の猿の霊が憑いたと見えるわい。エーエ、困つた人足を連れて来たものだ。一層の事、五十子姫のお帰りの時に五三公を袂の中に入れて這ひ出ぬ様に袂の先を蔓ででも括つて帰りて貰ひ雪隠の隅にでも放つといて貰はうかな。アハハヽヽ』
 万公、晴公は今迄治国別の厳しき命令に寝れぬ目を無理に塞ぎ、態とに高鼾をかき、寝真似をしてゐたが、余りの可笑しさに両人一度に吹き出し、
『ギヤツハヽヽヽギユツフヽヽヽ』
『万公、晴公、治国別に寝た真似をして見せてゐたのだな、仕方のない男ばかりだな』
『本当に男ばかりでは仕方がありませぬ、殺風景なものですよ。あの祠の近辺を御覧なさいませ。五十子姫様に今子姫様、仲々仕方がたつぷりありますよ。こりや万公、晴公、いい加減に狸の代理はよしにして先生のお伴に参り祠の前の春の様な気分を御相伴しようぢやないか。斎苑の館をたつてから異性の香を嗅いだ事もなく、殺風景な場面ばかり、心も気も荒れ果てた処で春陽の気の漂ふ絶世のナイスがやつてきたのだから何とはなしに上気分だ。エーン、いい加減に森を出立してホコラ(そこら)あたりを五三公と共に迂路つかうぢやないか』
『万公さまの御耳には、何だか祠の近辺には笑声が湧きたつて居るやうに聞こへて堪らないがナア』
『それだから小生が人間の処世法は笑ふに限る、笑ひは天国の門を開く捷径だと云つてゐるのだよ。さア先生、五三公と共に参りませう。貴方も久し振りで五十子姫様にお会ひになつても、あまり悪い気は致しますまいぜ。義理の姉さまぢやありませぬか。やがて松公さまも伊太公を連れて帰つて来られませうから兄弟の対面も間近に迫つたりと云ふもの、さア早く御輿をお上げなさいませ。如何に重々しいのが宣伝使の威厳だと云つても、さう尻が重たくては千変万化の活動は出来ませぬぞや』
『アハヽヽヽそンなら三人の部下に擁立されて治国別も危険区域へ出陣しようかな』
『(芝居口調)早速の御承知、五三公身にとり、光栄至極に存じます。然らば私が先登に立つて御案内、あいや、万公、晴公は治国別宣伝使の前後を守り吾後に従つて来よ。下に 下に 下に』
と杖を以て四辺を払ひ乍ら祠をさして下り進む。
 治国別は漸く祠前に進み、拝礼終つた後、
『玉国別様、お塩梅は如何でございますか。これはこれは五十子姫様、ようまアおいで下さいました。やア之で私も一安心、誠に玉国別様はお気の毒で厶りました』
『治国別様、夫が色々と深いお世話になりましてお礼の申しやうも厶りませぬ。吾々夫婦の改心のため神様が目を覚まさして下さつたので厶りませう。思へば思へば実に有難い御神徳を頂きました』
『今子姫様、治国別で厶りますよ、御苦労でしたな。嘸お疲れになつたでせう』
『エヘヽヽヽ女と云ふものは結構な者だな。玉国別様に一寸義理一遍の簡単な御挨拶、それから異性の五十子姫様に対しては至れり尽せりの親切振り、其余波を今子姫様へタツプリ浴せかけ、いやもう抜目のない先生のやり方、五三公も女に生れて来たらモチト位やさしい言葉をかけて頂くのだけどな。五十子姫と五三公との間違ひで、之程社会の待遇が変るものかな』
 五十子姫は吹き出だし、
『オホヽヽヽ何と面白い、治国別様は同勢を連れて居なさいますこと、屹度道中は弥次喜多気分が漂うて愉快な事で厶りませう』
『兎も角神様の御為めに活動する位、楽しい事は厶りませぬ。就いては此処に一つ云ふに云はれぬ有難い事が私の身に突発致しました』
と聞くより五十子姫は驚きの色をなして、
『それは何より結構で厶ります。さうして、その嬉しい事とは何で厶りますか、早く聞かして下さりませ』
 治国別は「ハイ」と言つて首を垂れてゐる。
『先生様に代つて五三公が報告の任に当りませう。治国別様は御兄弟の対面を成さいました。それはそれは立派な弟さまがお在りなさるのですよ。しかも片彦将軍の秘書役ですから随分立派な方ですわ。人品骨柄と云ひ、其容貌と云ひ、先生様と瓜二つですもの』
『何、御兄弟に御対面遊ばしましたと、それはそれはお目出度い事で厶ります。然し乍らバラモン教の片彦将軍が秘書役とは不思議ぢや厶りませぬか。運命とか云ふ神の手に人間は翻弄されて居るやうなものですな。如何かして三五教に御帰順遊ばし兄弟揃うて御神業にお尽し遊ばすことは出来ぬもので厶りませうか』
と稍心配げに治国別の顔を見つめる。
『惟神の御摂理によつて都合よくして下さるでせう。伊太公さまの所在を尋ねて参りましたから、やがて弟は帰順の上、ここへ帰つて来るでせう』
『伊太公さまは何処へ行きましたか。バラモンの手にでも、捕はれたのぢや厶りますまいかな』
と五十子姫の晴れぬ顔色を見るや治国別は、
『ハイ伊太公はバラモンの軍人に捕へられ、清春山の岩窟に幽閉されて居りますのを私の弟が改心帰順の結果、神様へ御奉公始めに伊太公さまを、とり返しに行つたので厶ります。伊太公さまを首尾克く連れ帰る迄は此治国別は兄弟の名乗りを許さない覚悟で厶ります』
と云ひ終つて涙ぐむ。
 斯く話す折しも谷道の下方より四五人の人声聞え来たる。玉国別は其人声に耳を聳てバラモン教の残党の襲来に非ずやと胸を躍らし待ち構へ居る、斯る処へ伊太公を伴ひ帰り来れるは松公、竜公外数人なりける。松公は祠の前に合掌し感謝の神言を奏上し終つて一同に向ひ恭しく礼を施し治国別の前へ進み出で、
『宣伝使様、松公で厶ります。お蔭を以て伊太公様を迎へて参りました』
『それは御苦労感謝する。まづゆるゆると休息して下さい。伊太公さま、嘸お困りでしたらう。お察し申します』
 伊太公は第一に玉国別に向つて涙と共に挨拶を終り五十子姫、今子姫其他に対し感謝の涙を湛へ無事を祝し、治国別に向ひ容を改め、
『神様の御恵と松公、竜公さまのお蔭によりまして無事に先生のお側へ帰る事を得ました。有難く御礼を申し上げます』
『貴方の壮健なお顔を見て治国別も安心致しました。お蔭で弟に公然と対面が出来るやうになりました。あゝ惟神霊幸倍坐世』
と合掌する。
『もし先生、道公の一行はもとの森蔭へ転宅致しませうか。兄弟御対面につきまして何れ海山の話がありませう。貴方が五十子姫様と御面会の時も治国別様は気を利かしてあの森蔭に待つて居て下さつたのですから、此方も其返礼にしばらく此幕を切り上げようぢやありませぬか。ねえ五十子姫様、さうでせう』
『旦那様、私が手を曳いて上げますから、あの森蔭迄遠慮致しませう』
『別に男と男との兄弟が久し振りに巡り合うたのですから、又夫婦の御面会とは模様が違ひます。何卒御遠慮は要りませぬから、ここに居て下さいな』
『伊太公お前は如何だつた。随分困つたらうな。玉国別の言ふ事も聞かずに血気の勇を揮つて飛び出すものだから皆のお方に心配をかけたのだよ。これからは気をつけて貰はねば困るよ』
『はい、誠に申訳も厶りませぬ。至つて至らぬ伊太公、此後は屹度心得、自由行動は今日限り鼬の道切れといたちます』
『アハヽヽヽ何処迄も気楽な男だなア、道公の私もあきれて了ひました。先生、此奴はもう脈上りですよ。こんながらがらを旅につれて歩くのは一つ考へ物です。奥様のお帰りの時に懐へでも入れて持つて帰つて頂いたら如何でせう』
『五十子姫だつて、さう二人も軽い男を懐に入れて帰るのは困ります。ねえ今子さま』
『あの五十子姫様の弱い事を仰有りますこと、今子は歯痒ゆくなりましたワ。男の三人や五人は髪の毛一筋あればつないで帰れるぢやありませぬか。現代の男はまるで屁の様なものですからな。ホヽヽヽヽ』
『此奴あ怪しからぬ。斯う女に侮辱されては伊太公も男子を廃業したくなつて来たわい』
 治国別は言葉を改めて、
『今日より松公は治国別の弟、竜公さまは義理の弟、何卒皆さまと一緒に仲良うして神業に尽して貰ひ度い』
 松、竜両人はハツとばかりに嬉し涙に咽び頭も得上げず大地に踞みて俯向き居る。
『皆さまに御免を蒙つて治国別が其方と別れし後のアーメニヤの状況を詳しく聞かして呉れないか。さうして其方は如何云ふ手続きでバラモン教に這入つたのか。その動機を聞かして貰ひ度い』
『兄上様がアーメニヤの神都より宣伝使となつて竜宮の一つ島へ渡られた後、バラモン教の一派に襲はれ刹帝利、浄行を始め毘舎、首陀の四族は四方に散乱し目も当てられぬ大惨事が突発しました。大宜津姫様がコーカス山から敗亡の体で逃げ帰つて来られてから間もない疲弊の瘡の癒え切らない所だから、忽ち神都は防禦力を失ひ常世の国へウラル彦、ウラル姫様一族は其姿を隠し玉ひ諸司百官庶民の住宅は焼き亡ぼされ、ウラル河の辺りに武士の館が少し許り残されたのみ。離々たる原上の草、累々たる白骨叢に纒はれて、ありし昔の都の俤も見えず蓮府槐門の貴勝を初め毘舎の族に至るまでウラル河に身を投じて水屑となつたものも沢山にあり、中には遠国に落ち延び田夫野人の賤しきに身を寄せ或は山奥の片田舎に忍び隠れて桑門竹扉に詫住居する貴勝の身の果敢なさ。夜の衣は薄くして暁の霜冷たく朝餉の煙も絶えて首陽に死する人も少からず。その中にも私は父母兄弟に生別れ、死別れの憂目に会ひ、広い天下を当所もなく漂流する内バラモン教の片彦に見出され、心ならずも兄様の所在を探るを唯一の目的として今日まで日を送つて参りました。アヽ有難き大神様の御引合せ、コンナ嬉しい事は厶りませぬ』
と袖に涙を搾る。
 一同は松公の物語を聞き感に打たれてすすり泣きするものさへありき。夜は段々と更け渡り、月は黒雲に包まれ、忽ち四面暗黒の帳は深く下ろされぬ。山猿の叫ぶ声、彼方此方の谷間より消魂しく響き来る。
(大正一一・一二・七 旧一〇・一九 北村隆光録)
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