お寅はお民のところにやってくると、お民は経典をひも解いている。お寅はお民に対して、蠑螈別を狙っても高嶺の花だ、魔我彦と結婚しろといきなり怒鳴りつけた。お民は驚いたが、すぐには返事はできないと冷静に返す。
お寅がしつこく迫っても、お民は頑として譲らない。お寅はしまいにお民を怒鳴りつけて帰ってしまった。
お民が独り言でいうことには、あんなケチで腰が曲がった魔我彦の女房になるくらいなら死んだ方がましだとくさした。そして自分がこんな教団に参詣するのは蠑螈別が一万両の金をもって駆け落ちしようといってくれたからだと独り言に明かした。
お民は、自分と蠑螈別との約束をお寅に見透かされたような対応を受けたので、もうこんな教団は逃げ出そうと去就を考えている。
一方お寅は夜分に松姫館を尋ねた。松姫からお民に言い聞かせてもらおうという魂胆である。お寅は、蠑螈別からお民を引き離したい一心で、お民が魔我彦の女房になることを今晩のうちに説きつけてくれと松姫に頼み込む。
そこへお菊と魔我彦がお寅を尋ねてやってきた。お寅は魔我彦に、蠑螈別の見張りをするようにと追い出すが、お寅と松姫が自分の結婚問題をどうさばくか気になり、雪がちらつく戸外で盗み聞きしている。