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文献名1霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
文献名2第2篇 狐運怪会よみ(新仮名遣い)こうんかいかい
文献名3第8章 黒狐〔1218〕よみ(新仮名遣い)くろぎつね
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじお寅は昼過ぎになっても蠑螈別が帰ってこないので業を煮やし、松姫館に乗り込んで松彦と松姫に文句を言い始めた。そこへお菊がやってきてお寅を呼びに来た。聞けば蠑螈別が帰ってきたのだという。お寅は喜んで飛び出していくが、それは蠑螈別に化けた狐であった。狐の蠑螈別はお寅に三万両を渡すと、自分は二十七万両持っているから、それを持ってお民と一緒にどこかで暮らすのだという。お寅はびっくりして蠑螈別に武者ぶりつくが、蠑螈別の姿はどこかえ消えて代わりに長い毛の生えた牛の子のような大狐がのそりのそりと森林へ逃げて行った。この狐はお寅の副守護神で小北山の狐の親玉であった。松彦、松姫、五三公の神威におそれをなして姿を現し、お寅の肉体から離れて行ったのであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月25日 愛善世界社版107頁 八幡書店版第8輯 397頁 修補版 校定版111頁 普及版43頁 初版 ページ備考
OBC rm4608
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本文  お寅は昼過になつても蠑螈別が帰つて来ないので、ソロソロ神の神力を疑ひ出し、松姫館に駆け込んだ。
お寅『ご免なさいませ、お邪魔にはなりませぬかな、下の御広間は随分乱痴気騒ぎが起つてゐましたが、余り御夫婦仲がいいので、お耳に達せなかつたと見えますな。ソリヤ無理も厶いませぬワ』
松姫『あゝお寅さま、よう来て下さいました、何か急用でも出来ましたのですか』
『コレ、贋の上義姫様、ようそんな事をヌツケリコと言うてゐられますな。蠑螈別さまはどうして下さつたのです。早うて夜明、遅くて昼時分には引寄せてやらうと仰有つたぢやありませぬか。モウ殆ど八つ時、蠑螈別さまの影もささぬぢやありませぬか』
『あゝさうでしたねえ、お気のもめた事でせう。もし松彦さま、蠑螈別さまはどうなつたのでせうかな』
松彦『さうだなア、お寅さまの改心次第だ。二つ目にはつねられたり、鼻をねぢられたりしられちや、誰だつてコリコリするからな』
お寅『コレ、贋の末代様、お前さまは私に何と仰有つた。そんなウソを言つて、神様の御用する人が、よいのですか。他の人の守護神はウソにした所で、松姫さまは上義姫様、あなたは末代様に違ないと、今の今まで深く信じて居りましたが、そんなこと仰有ると、末代様も上義姫様も、疑はずには居られませぬぞや』
松姫『ホヽヽヽヽ、あのお寅さまの六かしいお顔わいの。私は松姫だと云つてるのに、お前さま等が勝手に松と云ふ字がついとる以上は、末代様の奥様の霊に違ひない。さうすると上義姫の生宮だと、お前さま等がよつてかかつて祭り上げたのぢやないか。決して私の方から上義姫だと名告つたのぢやありませぬよ。今更贋だの本物だと云つて貰つても、私に関係も責任もないぢやありませぬか』
『そんなこた、あとで承はりませう。一体全体、蠑螈別さまは何うなさつたのですか。今日帰るとか明日帰るとか、ハツキリと白状しなさい』
『ホヽヽヽヽ、私がかくしたものか何ぞのやうに、白状しなさいとは痛み入ります。あんな酒飲男が二日や三日居らなくてもいいぢやありませぬか。何一つ世間の間にも合はず、酒ばかり飲んでゐられちや、どんな物好な人だつて、愛想をつかして放り出して了ひますよ。さうすりや止むなく此処へ帰つて来な仕方がないぢやありませぬか』
『お金なしに出て居るのなら帰つて来るかも知れませぬが、何と云つても九千両の金を持つてゐたのですから、其金を持つて、そこら中をお民の奴とウロつきますわいな』
『何程ウロついたつて、遊んで食へば山もなくなるとか言ひますから、金さへなくなれば帰つて来られますワイ。何程沢山に使つても、九千両あれば、お民さまと夫婦が二十年や三十年は大丈夫ですからなア、マアそれ迄お待ちやしたら何うです』
松彦『ウツフヽヽヽ』
お寅『コレ、末代さま、何が可笑しい、私がこれだけ気をもんでるのに、お笑ひ遊ばすのか。人の悲しみがあなたは可笑しいのですか』
と喰つてかからうとする。
松姫『事情を聞けばお気の毒ですが、併しこれも自分から出た錆だから仕方がないぢやありませぬか。チイと金のありさうな信者に、リントウビテン大臣とか、五六七成就の神様だとか、旭の豊栄昇り姫、岩照姫、木曽義姫などと、ありもせぬ名をお附け遊ばして、随喜の涙をこぼさせて集めたお金が、なぜあなたの身につきますか。蠑螈別さまは、お前さまの罪を取つて上げようと思つて、其金を持つてお逃げ遊ばしたのですよ。つまり蠑螈別さまとお民さまはお前さまの罪取主、助け舟、命の御恩人だから御喜びなさい。正しき信仰上の目から見れば、お寅さま、あなたは随分よい御かげを頂きましたね』
お寅『馬鹿らしい、こんな御かげが何処にありますか。私もこれから、蠑螈別の後を追つかけて、金を取返し、恨みを言はねば承知しませぬ』
『オホヽヽヽ、貴女の恨はよう利きませうよ。清浄潔白の貴女のお言葉なら釘も利きませうが、弱点を知り合うた仲、犬も食はぬ夫婦喧嘩になつて了ひますよ。それにお民さまは娘盛りのキレイなお方、お前さまは五十の尻を作つた、言ふとすまぬが古手婆アさま、誰だつて浮気者だつたらお民さまの方へ肩をもつのは当然ですわ。お前さまもいい年して蠑螈別様の愛を独占しようなぞとは余り虫がよ過ぎるぢやありませぬか。貴女、其鼻何うなさいました。ハヂケてゐるぢやありませぬか。大方夜前追つかけていた時に転けて打ちなさつたのでせう。神様の教にも、改心致さぬと鼻を打たねばならぬ事が出来るぞよと示されてあるぢやありませぬか。貴方は実地教育をうけ、結構な御かげを頂きやしたねえ、本当にお羨ましう厶いますワ』
『ヘン、馬鹿にしなさるな、よい加減に人を嘲斎坊にしておきなさい。此お寅だつて石地蔵や人形ぢやありませぬから、チツとは性念がありますよ。お前さまは松彦さまといふ夫に会ひ、吾子が分つたのだからソラ嬉しいでせう、又勢も強いでせう。それだからそんな気強い事がいへるのだ。私の身になつて御覧なさい』
松彦『モシお寅さま、モウいい加減に蠑螈別さまのこたア思ひ切られたら何うです。又何うしても夫がなくちやならぬのならば、適当な男をお世話致しますワ』
『ヘン、余り馬鹿にして下さるな、私は男が欲しいので騒いでるのぢやありませぬ。只神様の為、世人の為になくてはならぬ蠑螈別さまだから、天下の為に気をいらつてゐるのですよ。五十の尻を作つて男なんか要つてたまりますか。そんな柔弱な魂だと思つて貰ひますと、ヘン、チツト片腹痛い』
『あゝさうですか。それで時々徳利が舞うたり、盃が砕けたり、鼻をねぢつたり、気絶したり、いろいろな珍妙な活劇をおやりなさるのですな』
『エヽなになつと勝手に言つておかつしやい。御夫婦仲よう、しつぽりとお楽しみ、左様なら、永らく殺風景な婆アが久しぶりの御対面、嬉し泣きの場面を汚しましてはすみませぬ。エライお邪魔を致しました。気の利かぬ婆アで厶いますから、どうぞお許し下さいませ』
 かく毒ついてる所へ、スタスタと上つて来たのはお菊であつた。
お菊『ご免なさいませ、お寅さま、否お母アさまは来てゐられますかな』
お寅『コレお菊、お前は何しに、こんな所へ来るのだい、サアお帰りお帰り、年も行かぬくせに小マしやくれた、ぢきに私の内証話を聞きに来るのぢやな』
『別に聞きに来たいこたないのだけれど、何時も蠑螈別さまと酒に酔うて、大きな声で悋気喧嘩をなさるものだから、又ここへ岡焼にでもしに厶つたのかと案じて来て見たのよ。お母アさまは法界悋気が上手だからねえ』
『早く帰りなさい』
『五六七成就の生宮さまと、旭の豊栄昇り姫の生宮さまとが大広間を飛出し、春さままでが後について、悪口タラダラ坂を降り、神政松の下へ行つて、十六本の松を引抜き、岩を砕かうとして居るさうぢやから、一寸知らしに来たのよ』
『松位引いたつて、また植ゑ替へたらいいのだ。何程お福さまや竹さまが力が強うても、あの石はビクツともならないから、放つときなさい。それよりも早くお帰り』
『それなら帰りますワ。万公さまが首を伸ばして待つてゐますからねえ』
松姫『オホヽヽヽ』
お寅『親を弄るといふ事があるものかいな、お前はそれ程万公さまに惚れてゐるのかい』
お菊『惚れてますとも……ほれたほれた、何がほれた、馬が小便して地がほれた……といふ程惚れてますのよ。ホツホヽヽヽ、併しお母アさま、あなたの喜ぶ事が出来たのだけれど、余り憎らしい事をいふから、もう言はないワ、ねえ松姫さま、こんな憎い口を叩くお母アさまには、何ぼ娘だつて、バカらしうて言つてやれませぬわねえ』
松姫『結構な方がみえましたね、定めてお喜びでせう、お母アさまは……』
お寅『ナアニ、結構な事とは、コレお菊何ぢやいなア、早く言つておくれ、私も都合があるから』
お菊『そらさうでせう。言はうなかなア、ヤツパリ言はうまいかなア、こんな事さうヅケヅケといつて了ふと、互に楽みが薄くなるから、これは夢にしておきませうかい』
『エヽ焦心たい、早く言はぬのかいなア』
『イのつく人が、神様のおかげで、スタスタと帰つて来ましたよ』
『ナアニ、蠑螈別さまがな、さうだろさうだろ、ヤア松彦さま、松姫さま、誠にすみませなんだ。貴方の御神力は偉いものですな。御教とは一時半程遅れましたけれど、帰つてさへくれたら、これで神政成就の太柱がつかめます。神様もさぞお喜びで厶いませう』
『神様はお喜びなさるか、なさらぬか知りませぬが、お母アさまは嘸お喜びでせうね。私だつて余りイヤな事は、ない事はありませぬわねえ、ホツホヽヽヽ』
 夢寐にも忘れぬ恋男  待ちあぐみたる其時に
 蠑螈別が帰つたと  聞いてお寅は飛び上り
 閻魔のやうなきつい顔  忽ち変る地蔵さま
 松彦夫婦に打向ひ  失礼な事をベラベラと
 お喋り申してすみませぬ  コレコレお菊、お前さま
 ここで暫く御世話に  なつてゐなされ又しても
 内証話をきかれては  みつともないと言ひながら
 狐のお化と知らずして  誠の恋しき男だと
 細き階段トントンと  二つ三つもふみまたげ
 眼くらんでガラガラと  ころがる拍子に頭打ち
 アイタヽタツタと言ひながら  男に心を取られてや
 頭や腰の痛みをも  さのみ心にかけずして
 転げるやうに下りゆく  何は兎もあれ教祖殿
 帰つて蠑螈別さまに  不足のありだけ言ひ並べ
 お金をこちらへボツたくり  動きの取れぬやうにして
 男の愛を独占し  此喜びはここよりは
 外にやらじと酒でつり  チツとも外へは出さぬよに
 守らにやならぬと囁きつ  帰つて見れば蠑螈別
 火鉢の前に丹前を  かぶつたままに泰然と
 すわつてゐるぞ嬉しけれ。
お寅『マアマアマア、よう家を覚えて帰つて来なさつたな。私は又、どこのどなたか知らぬと思ひましたよ。あのマアすましたお顔わいの』
蠑螈『帰つてくる積ではなかつたのだが、どうしても思ひ切れないものが一つあつたので引返して来たのだ。マア酒でも出してくれ』
『思ひ切れないものとは、此燗徳利と猪口でせう。サアサアこんな所で飲んで貰ふと、又御機嫌をそこねるとすみませぬから、早く狐の森へでもいつて、お民とシツポリやつて来なさい』
『さう悪気をまはして貰つちや困るぢやないか。お民の奴、一本橋を渡る時、あわてて川へおち込み、それきりになつて了つたのだ』
『何、お民……が……川へはまつて死にましたとな。エヽ気味のよい………イヤイヤ気の毒な事だなア。さぞお前さまも悲しかつただらうな。なぜ飛込んで一緒に心中なさらぬのだい、随分水臭いぢやありませぬか』
とツンとして他人行儀になつてゐる。
蠑螈『何ともはや、魔我彦は惜い事をしたものだ。魔我彦が聞いたらさぞ悔むだろ、不憫な者だ』
お寅『悔む人が違ひませう、ヘン、仰有いますワイ。そんな事に化かされる、海千山千ぢやありませぬぞえ。モツトモツトすぐれた劫を経た狸婆アを騙さうと思つても、ダメですよ。時に蠑螈別さま、お金はどうなさつたの』
『お金か、ありやお前、余りあわてたものだから、一本橋の上からパラパラと落して了つたのだ。拾つてみようと思つたけれど、何分夜叉のやうな勢で、どこの婆アさまか知らぬが、追つかけて来るものだから、つい恐ろしくなつて野中の森までに逃げていつたのだよ』
『そんなウソを云つたつて駄目ですよ。お前さまの懐にチヤンとあるぢやないか』
『ソリアある、併しこれは拾うた金だ、お前の金は一旦落したのだ、落したものを拾はうと云つたつてダメだらう。それを改めて蠑螈別が拾うて来たのだから、所有権は俺にうつつてるのだ。最早指一本さへる事はさせないから、此金に未練はかけてくれるなよ。其時の用意の金だからなア』
『盗人たけだけしいとはお前さまの事だ。どうあつても斯うあつても、此方へひつたくらねばおきませぬ』
『アハヽヽヽ、お前の力で取れるものなら取つてみろよ。此蠑螈別は今までとはチツト様子が違ふのだから、ウツカリ指一本でもさへようものなら、大変な目に会ふぞ』
『ナアニ、グヅグヅ言ふと又鼻をねぢようか。そんな事を言はずに素直に出しなさいよ。又要る時にや私にこたへてさへ下さつたら、惜気もなく出して上げますから、今日はお酒を上つて宵からグツスリとお休見なさい。お前さまが飛んで出たものだから、此神館は大騒動が起つてゐるのよ。信者の信仰がグラつき始めて、此城が持てるか持てぬか分らないといふ九死一生の場合だから、せめて此お金なつと持つてゐなくちや心細くて仕方がない。千両だけお前に持たしておくから、八千両こちやへお返しなさい』
『それならモウ邪魔臭いから、十分の一だけお前にやらう。サア検めて受取つてくれ』
とポンと前へつき出したのは、三万両の大判であつた。お寅婆アはビツクリして、
『コレ蠑螈別さま、コリヤ、サヽ三万両ぢやないかい』
蠑螈『ウン三万両だ、まだ二十七万両懐にあるのだ。これだけあれば、一代遊んで暮しても大丈夫だ』
『其お金、こちらへ預つて上げませう』
『お前の金は九千両、二万一千両も利をつけてやつたぢやないか。お前もそれだけあれば得心だろ、二十七万両は俺の使用権利があるのだから決して渡さない。もしも之を無理にも取らうものなら、それこそ泥棒だ』
『決して取らうといふのぢやない、預つておかうといふのだ。お前さまに此金持たしておいては険難だから、預らうといふのだよ』
『此金を以て、実の所はお民を或所へ預けて来たのだ。お民にも二十万両の金がもたしてあるのだ。サア之から御免蒙らう、お寅婆アさま、随分まめで暮して下さい、左様なら』
と立ち上らうとする。お寅はビツクリして立上り、大手をひろげ、
『エヽそれ聞くからは、何と云つても行かしはせぬ。命にかけてもお前をお民に渡してなるものか』
と武者ぶりつく途端に、蠑螈別の体は長い毛だらけであつた。ハツと驚き手をはなす途端に、蠑螈別の姿はどこへやら、黒い牛の子のやうな大狐がのそりのそりと後ふり返りながら向ふの森林さして逃げて行く。これはお寅婆アの副守護神で、小北山の発頭人ともいふべき親玉であつた。松彦、松姫、五三公の神威に恐れて姿を現はし、お寅の肉体からスツカリと放れて了つたのであつた。
(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 松村真澄録)
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