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文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
文献名2第3篇 衡平無死
文献名3第14章 天賊〔1350〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ文助は悄然として、黒蛇に囲まれた道を神に任せてまっしぐらに進んで行ったところ、沼に行き当たった。どうしたことか、黒蛇は沼の中には襲ってこなかった。
文助は怪しい虫が這いあがってくるのを薙ぎ払い落としつつ進んで行くと、たくさんの人間の頭が水面に浮かんでいるところにやってきた。よくみれば、今まで自分が霊祭りをしてやった知己や朋友、また現世にいるはずの人々であった。
文助は、その中の一人・久助という男に声をかけ、なぜこんなところにいるのかと尋ねた。久助は、文助が神様の職権を横領して天国へ上げてやろうと慢心して霊祭りをしたから、本来天国に行くべき自分の先祖までがこんなところに落とされてしまったと非難した。
文助は、自分が霊祭りをしたとこに、久助は霊媒に懸って天国へ救われたと言ったではないか、と反論した。久助は、天国へ霊を上げるのは大神様だけだ、慢心した宣伝使の言霊を聞いて、兇党界の悪霊が集まり、自分や先祖の名を騙ったのだと答えた。
文助は、久助たちは罪を犯したからここにいるのだ、自分が救ってやる、とあくまで自説を曲げない。久助が下知すると、沼の亡者たちの頭が水面に大小無数に浮かび上がり、口から真っ黒な水を吹いて文助を襲撃する。
文助は沼の中を一生懸命に泳ぎ走り、ようやく向こう岸に着いた。文助が後を振り返ると、たくさんの亡者の首が水際まで追いかけてきて、恨めしそうな顔をしている。
久助の頭が進んでくると文助に向かい、つい今しがた、瑞の御魂が現れて自分たちを沼から救い出してくれるという御沙汰が下ったところだから、文助への怨みはきれいさっぱり忘れてやる、と告げた。
そして久助は、自分たちはもともと悪人ではなく、天国へ進むだけの資格が合ったにもかかわらず、案内者の不徳によって苦しんでいたのだと告げ、これからは自分の神力で祖先の霊や病気が助かるなどと慢心してはならない、と戒めを与えた。
無数の亡者の頭はにわかに白煙となり、紫色に変じると月のような玉になり、たくさんの星のようなものがその周囲に集まった。そして次第に南の天を指して上って行った。
文助はこの態を見て初めて自分の慢心を悟った。文助は自分こそ天の賊であったと懺悔しながら、荒風が猛る萱野ケ原を進んで行く。ここには草原の中にかなり大きな平たい石があって、むくむくと動いている。文助は立ち止まって、何事かと石を眺めていた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月09日(旧12月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
OBC rm5214
本文の文字数3021
本文のヒット件数全 0 件/瑞の御魂=0
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本文  文助は悄然として黒蛇に天地四方を包まれながら、何事も神に任して驀地に進み行く。ピタリと玉子草の生えた沼に行当つた、何うしてもここを跋渉せなくては前進することは出来ぬ。黒蛇は此沼の畔まで追つかけて来たが、何うしたものか水中へは襲うて来なかつた。文助はヤツと蛇の難を遁れ一息したと思へば、此沼を渡らねばならぬ、どこ迄広いか遠いか見当のつかぬシクシク原である。そして怪しの虫が足にたかつて来て登りつき、尺取虫の様な恰好で顔の方まで這うてくる其気持の悪さ、消え入るばかりに思はれて来た。力限りに之を薙払ひ、むしつては落し、漸く顔だけは中立地帯の安全を得て進んで行くと、沢山な人間の頭が水面に浮んでゐる。よくよく見れば、自分が今迄霊祭りをしてやつた知己や朋友の霊界に行つた者及びまだ現世に居る筈の人間の顔である。文助は此時は既に目が余程明くなつてゐた。そして其声の色によつて、現界で知己となつた信者は皆悟ることを得た。真先に現はれた人間の頭は、小北山に永らく参詣し、ヘグレ神社の信者であつた久助といふ男である。
『オイ、お前は久助さまぢやないか、何しにこんな所に迷うてゐるのだい、結構な天津祝詞を奏上し霊祭までしてやつてあるのに、なぜこんな所にうろついてゐるのか』
『お前が神様の職権を横領して猪口才な霊祭をしてやらうの、天国へ上げてやらうのと慢心を致したものぢやから、天国へ行くべき俺の先祖までが、これ此通り、こんな所に堕されてゐるのだ。祝詞のお蔭で、地獄へまでは行かないが、地獄に等しいこんな沼の中で苦しんでゐるのは、皆貴様が神さま気取になつて、神様から貰うた俺たちの霊を左右致したからだ。ササ何うしてくれる、大先祖が地獄に堕ちてるから、霊祭をして高天原へ上げてやらうなどと吐きやがつて、こんな所へ押込めておいたぢやないか』
『ソリヤ貴様が悪いのだよ。おれが霊祭をした時にや、貴様霊媒に憑つて……お蔭で天国へ救はれた、地獄の苦を遁れました……と喜びよつたぢやないか、一旦天国へ上つて又悪を致し、こんな所へ落されたのだらう、そんな不足は聞きませぬぞや』
『今の宣伝使といふ奴は、皆自分が神様の気取になり、神様の神徳を横領して、平然と構へてゐる天賊だから、そんな奴の言霊が何うして大神様の耳に達するか、皆兇党界の悪霊が、貴様の声を聞いて集まり来り、俺達の先祖の名を騙り、天国へ助けてくれたの何のと、嘘を言つてゐるのだ。霊を天国へ上げるものは大神様よりないのだ、又大神様の聖霊に充された予言者のみ、之をよくするのだ。其外の宣伝使の分際として、何うして結構な神様の分霊が左右されるか、不心得にも程があるぞ。俺の子孫は貴様等盲審神者に騙されて、自分の先祖は天国へ行つて居ると云つて喜んでゐるが、子孫の供物は皆兇党界にしてやられ、可愛い子孫の側へも近づくことが出来ない様にしてしまつたのだ。お前に限らずすべての宣伝使は自我心が強く癲狂痴呆の輩だから、大それた神様の権利を代理するやうな考へでゐるのだから困つたものだ。地獄界の案内者といふのは、貴様等如き天賊的プロパガンディストの仕業だ。サア是から俺たちの先祖や知己を迷はしてくれたお礼だ、チツタ苦しうても辛抱せい。これから暫く此沼の中へ沈めてブルブルをさしてやらう。さうなとせなくちや、俺たちの虫がいえないワ、のう熊八、テル、ヨク、七、ヨツ、賢太郎、権州、さうぢやないか。お富、お竹、お夏貴様もチツと来い、此奴の為には被害者だ』
といふや否や、「ワーツ」と蜂の巣を破つたやうな声を出して、水面に各首をつき出した。数百千のゴム毬を水中に投げたやうに、円い頭が四方八方から数限りもなく浮上つて来た。
『今文助が言霊を奏上して助けてやらう。身の過ちは宣り直せと云ふことがある。知らず知らずの御無礼御気障りだ。神様も神直日大直日に見直し聞直して下さるだらう。これから貴様たちも、俺が宣り直しをするから浮べるだらう、マアさう一時に喧しくいふない。惟神霊幸倍坐世惟神霊幸倍坐世』
『コリヤ、久助は一同の代表者だが、そんな濁つた言霊は益々俺たちを苦しむるものだ。そして言霊を奏上して救うてやらうとは何だ。まだ貴様は我が折れぬのか、ここでお詫を致せばよし、まだ我をはるのなら、此方にも考へがあるぞ』
『俺は何と云つても、貴様達を悪に導かうとしてやつたことぢやない、どうぞよくしてやらうと思ふから、一生懸命に霊祭をしたり、貴様達の子孫に言ひ付けて鄭重なお給仕をさしてるのだ。そんな不足は聞きたくはないワイ』
『此奴ア何と云つても駄目だ。オーイ、皆の連中、餓鬼も人数だ、かかれ かかれ』
と下知するや、バサバサと水をもぐつて幾千万とも限りなく大小無数の頭が浮き上り、口から各真黒のエグイともにがいとも知れぬ、煙草の脂を溶いたやうな水を吹き、四方八方より襲撃する。文助は一生懸命に、早く岸に泳ぎつきたいものだと、頭に躓き乍ら目も眩むばかりになつて、殆ど二時ばかりを無性矢鱈にシクシク原の膝を没する許りの沼を漸く向岸に着いた。
 後振返り見れば、沢山の首は水際まで追つかけ来り、恨めしさうな顔をして眺めてゐる。久助の頭は真先に進んで、目を怒らし、
『俺達は貴様の為に、斯様な所へ押し込められてゐるが、素より案内者の貴様が悪かつた為に苦しんでゐるのだ。決して元よりの悪人ぢやない、天国へ進むだけの資格は持つてゐるのだ。其証拠は常から神様を信仰して来たのだ。今に瑞の御霊が現はれて、水の中から救つて下さるといふ御沙汰が今下つた所だから、最早お前を恨んだ所で仕方がない。綺麗薩張と大神様の徳に対して忘れてやるから、これから先、気をつけたがよからうぞ。キツと自分の神力で祖先の霊や人の病気が助かるなぞと思うたら当が違ふぞ。皆人をかやうな苦しい所へおとすばかりだから、別れに臨んで一言注意を与へておく。何れ八衢において会ふかも知れない、それまでにチツと心を直しておくがよからう』
と言ふより早く、無数の頭は俄に白煙となつて、沼の二三間許り上に渦をまき、遂にはそれが紫色に変じ、月の如き玉となり、沢山の星の様なものが其周囲に集まり、次第々々に昇騰して南の天を指して昇つて行く。其中の最も大なる月の如き玉は久助の精霊であつた。其他の小さき星の如き光は、何れも神の道に在つて忠実なる信者なりし者が、宣伝使に誤られて、一時ここに苦悶を続けてゐたのである。文助は此態を見て、初めて悟り………
『ああ自分は実に慢心をして居つた、いかにも久助の言つた通だ。厳の御霊、瑞の御霊の大神様、貴神の御神徳を、知らず知らずに慢心を致して自分の物と致して居りました。重々の罪悪をお許し下さいませ。御神諭にある天の賊とは全く吾々の事で厶いました。ああ惟神霊幸倍坐世』
と詫びながら、荒風たける萱野ケ原を当途もなく進んで行く。後へ帰らうとすれども、何者か後より押すやうに思へて、一歩も退くことは出来ぬ。只機械的に馬車馬的に、何者にか制縛されつつあるやうな心地で、心ならずも進み行くのであつた。ここには草原の中に可なり大きな平たい石があつて、ムクムクと其石が動いてゐる。ハテ訝かしやと、文助は立止まつて目も放たず眺めてゐた。
(大正一二・二・九 旧一一・一二・二四 松村真澄録)
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